「要支援1と要支援2、どちらも同じ『要支援』だけど、いったい何が違うの?」——介護保険の認定結果を受け取ったご家族から、よくいただく質問です。同じ要支援でも、使えるお金の上限はおよそ2倍、受けられるサービスの量も変わってきます。違いを知らないまま過ごすと、使えるはずのサービスを取りこぼしてしまうこともあります。

この記事では、要支援1と要支援2の違いを「状態」「認定の基準」「使えるお金の上限」「サービスの使い方」の4点から、介護の専門職がやさしく整理します。ご家族の認定結果がどんな意味を持つのか、はっきり分かるようになります。

この記事でわかること
  • 要支援1と要支援2の「状態」としての違い
  • 判定の物差しになる「要介護認定等基準時間」の違い
  • 使えるお金の上限(区分支給限度基準額)が約2倍違うこと
  • 要支援2と要介護1の分かれ目

要支援1と要支援2の違いを一言で

まず結論です。両者の違いは「支えが必要な場面の多さ」にあります。要支援1は複雑な生活動作の一部に手助けが要る程度、要支援2はそれより支えが必要な場面が増えている状態、と考えるとイメージしやすいです。

どちらも「基本的な日常生活はおおむね自分でできる」点は共通しています。食事・トイレ・入浴などは自立していることが多く、大きく違うのは掃除・買い物・服薬管理といった「手のかかる動作(IADL)」や、立ち上がり・歩行の安定性です。

ちびウルフちびウルフ

同じ「要支援」なのに、1と2でそんなに変わるものなの?

リハウルフリハウルフ

変わるんだ。特に大きいのが使えるお金の上限。要支援2は要支援1のおよそ2倍まで保険でサービスを使えるんだよ。だから「どっちの認定か」はとても大事なんだ。

状態の違い:要支援1と要支援2

状態像をもう少し具体的に見てみましょう。

要支援1の状態

要支援1は、要介護状態区分の中でもっとも軽い区分です。食事・排せつ・入浴といった基本的な生活動作は自分でできますが、立ち上がりや片足での立位などにやや不安定さがあり、掃除や買い物など手のかかる動作の一部に見守りや手助けが必要な状態です。

要支援2の状態

要支援2は、要支援1と比べて支えが必要な場面が増えている状態です。基本的な生活は自立しているものの、立ち上がりや歩行がより不安定になり、手のかかる生活動作の多くに見守りや部分的な介助が必要になります。適切な支援を受けることで、要介護への進行を防げる可能性がある時期でもあります。

ポイント要支援1・2はどちらも「予防が効く時期」です。この段階で運動やリハビリ、生活の工夫に取り組むことで、状態の維持・改善が期待できます。「まだ軽いから」と何もしないのは、いちばんもったいない過ごし方です。

認定の基準:要介護認定等基準時間の違い

要支援1と2の区分は、心身の状態を調べる認定調査と主治医意見書をもとに、「要介護認定等基準時間」という物差しで判定されます。これは介護の手間を推計するための目安の時間で、実際に家庭で介護する時間とは異なります。

区分要介護認定等基準時間の目安
要支援125分以上32分未満
要支援232分以上50分未満
要介護132分以上50分未満(※要支援2と同じ時間帯)

表を見て「あれ?要支援2と要介護1が同じ時間帯になっている」と気づいた方は鋭いです。この点は次の章でくわしく説明します。

要支援2と要介護1の分かれ目

要介護認定等基準時間が「32分以上50分未満」の場合、要支援2になるか、要介護1になるかは2つの観点で判断されます

  1. 認知機能の低下があるか。理解力や判断力の低下が見られる場合は要介護1と判定されやすい。
  2. 状態が安定しているか。病気やケガで心身の状態が不安定で、今後変化する可能性が高い場合は要介護1と判定されやすい。

つまり、同じくらいの介護の手間でも、認知面の低下や状態の不安定さがあると要介護1に、そうでなければ要支援2に振り分けられる、というイメージです。要支援2と要介護1では受けられるサービスや相談窓口も変わるため、この違いは押さえておきたいポイントです。

ちびウルフちびウルフ

同じ時間でも、認知症があるかどうかで分かれるんだね。なんだか難しい…

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。だから判定は専門的なんだよ。もし結果に納得できないときは、区分変更の申請ができるし、担当のケアマネジャーに相談するのがいちばんだよ。

使えるお金の上限(区分支給限度基準額)の違い

要支援1と2でもっとも大きく変わるのが、1か月に保険で使えるサービスの上限額です。これを「区分支給限度基準額」といい、単位(1単位=おおむね10円が目安)で表されます。

区分区分支給限度基準額(1か月)
要支援15,032単位(約5万円)
要支援210,531単位(約10.5万円)

ご覧のとおり、要支援2は要支援1のおよそ2倍まで保険でサービスを使えます。そのぶん、デイサービスの利用回数を増やしたり、訪問系のサービスを組み合わせたりと、ケアプランの幅が広がります。上限を超えた分は全額自己負担になるため、限度額の範囲でどう組み立てるかがポイントになります(実際の自己負担は原則1〜3割)。

受けられるサービスの使い方

要支援1・2はどちらも「介護予防サービス」を利用します。訪問型・通所型のサービス、福祉用具のレンタル、住宅改修などが対象です。ケアプラン(介護予防サービス計画)は、原則として地域包括支援センターが担当します。

違いは主に「使える量」です。要支援2のほうが限度額に余裕があるため、たとえば「週2回のデイサービス+週1回の訪問」といった組み合わせが取りやすくなります。要支援1の場合は回数を絞り、本当に必要なサービスに重点を置く形が中心になります。どちらの場合も、目的は「今の生活を維持し、悪化を防ぐこと」です。

注意要支援の方は、特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所することは原則できません。また、生活援助の一部は市区町村の「総合事業」として提供されます。利用できるサービスの範囲は地域によって差があるため、地域包括支援センターで確認しましょう。

要支援のケアプラン例(要支援1・要支援2)

イメージがつかめるよう、要支援1と要支援2で組みやすいケアプランの一例を挙げます。あくまで目安で、実際の内容はご本人の希望や状態、地域のサービスによって変わります。

区分組み立て例ねらい
要支援1週1回の通所型サービス+手すりのレンタル外出・交流の機会をつくり、転倒を防ぐ
要支援2週2回の通所型サービス+週1回の訪問型サービス+福祉用具運動・生活支援を組み合わせ、悪化を防ぐ

要支援2のほうが限度額に余裕があるため、通所と訪問を組み合わせるなど、支援の幅を広げやすいのが分かります。どちらの場合も「本人が続けられること」「生活の困りごとに直結すること」を優先して組むのが、失敗しないコツです。

ポイントケアプランは一度作ったら終わりではありません。定期的に見直し(モニタリング)が行われます。「サービスが合っていない」「回数を変えたい」と感じたら、地域包括支援センターの担当者に遠慮なく伝えましょう。

専門職からのアドバイス(在宅の現場から)

現場で感じるのは、要支援の時期こそ、その後の生活を大きく左右するということです。要支援1・2は、適切に体を動かし、生活習慣を整えれば、状態を維持・改善できる可能性が十分にある段階です。「まだ元気だから」と支援を先延ばしにするより、早めにリハビリや通所サービスを取り入れたほうが、結果的に要介護への進行を遅らせられるケースをたくさん見てきました。

また、状態は変化します。ケガや入院、認知症の進行などで支えが必要な場面が増えたら、要支援1から2へ、あるいは要介護へと区分が変わることもあります。「最近つまずくことが増えた」「家事がつらくなった」と感じたら、区分変更の申請ができます。認定結果に迷ったときも、遠慮なくケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。

要支援1と要支援2はどちらが重い状態ですか?
要支援2のほうが支援を必要とする状態です。要支援1がもっとも軽く、要支援2、要介護1〜5の順に介護の必要度が高くなります。
要支援1から要支援2に変わることはありますか?
あります。状態が変化した場合は「区分変更申請」を行い、改めて認定を受けられます。逆に状態が改善して軽くなることもあります。
要支援2と要介護1の違いは何ですか?
認定の目安時間は同じですが、認知機能の低下や状態の不安定さがあると要介護1、そうでなければ要支援2と判定されます。受けられるサービスや相談窓口も変わります。
要支援1でもデイサービスは使えますか?
使えます。ただし限度額の範囲内なので、要支援2より利用回数は控えめになりやすいです。ケアマネジャーと相談して回数を決めます。
まとめ
  • 要支援1と2の違いは「支えが必要な場面の多さ」。どちらも基本の生活はおおむね自立。
  • 認定の目安時間は要支援1が25分以上32分未満、要支援2が32分以上50分未満。
  • 使えるお金の上限は要支援1が5,032単位、要支援2が10,531単位でおよそ2倍。
  • 要支援2と要介護1は目安時間が同じで、認知機能や状態の安定性で分かれる。
  • 要支援は予防が効く時期。早めの取り組みが要介護への進行予防につながる。

出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」、区分支給限度基準額(介護給付費分科会資料)。数値は目安であり、詳細はお住まいの市区町村でご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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