「介護保険の支給限度額って何?」「限度額をオーバーしたらどうなるの?」——ケアプランを立てるとき、利用者・家族に説明するとき、必ず関わってくるのが「区分支給限度基準額」です。仕組みを正しく理解しておくと、限度額オーバーによる思わぬ自己負担を防げます。

この記事では、介護保険の支給限度額(区分支給限度基準額)の最新の単位数一覧を示したうえで、限度額に含まれるサービス・含まれないサービスや加算、限度額をオーバーした場合の取り扱いまで、ケアマネ・看護師・PT/OT/ST・介護職、そして利用者・ご家族にも分かるように解説します。

この記事でわかること
  • 介護保険の支給限度額(区分支給限度基準額)とは何か
  • 要支援・要介護別の最新の単位数一覧
  • 限度額に含まれるサービス・含まれないサービス
  • 限度額に含まれない加算の考え方
  • 限度額をオーバーした場合の自己負担と請求方法

介護保険の支給限度額(区分支給限度基準額)とは?

結論から言うと、支給限度額とは、要介護度ごとに決められた「1か月に介護保険で使える金額(単位数)の上限」のことです。正式には「区分支給限度基準額」といい、現場では単に「限度額」と呼ばれます。

上限が設けられているのは、介護保険を無制限に給付すると制度の財政が成り立たなくなるためです。要介護度が高い人ほど必要な介護量が多くなるため、要介護度に応じて段階的に上限が設定されています。

ポイント限度額は「単位」で決まっています。1単位あたりの金額は地域の人件費水準に応じた「地域区分」で異なり、その他地域は1単位10円、東京23区(1級地)は1単位11.40円などとなります。同じ単位数でも、地域によって実際の費用は変わります。

介護保険の支給限度額【最新の単位数一覧】

区分支給限度基準額は、2019年10月の改定以降は単位数が据え置かれています。令和3年度(2021年)・令和6年度(2024年)の介護報酬改定でも、区分支給限度基準額の単位数に変更はありません。現行の単位数(1か月あたり)は次のとおりです。

要介護状態区分区分支給限度基準額(1か月)金額の目安(1単位10円換算)
要支援15,032単位約50,320円
要支援210,531単位約105,310円
要介護116,765単位約167,650円
要介護219,705単位約197,050円
要介護327,048単位約270,480円
要介護430,938単位約309,380円
要介護536,217単位約362,170円
注意上の金額は1単位10円で計算した目安です。実際の費用は地域区分(1単位10円〜11.40円)で変わるため、正確な金額は事業所所在地の地域区分で確認してください。
ちびウルフちびウルフ

報酬改定があっても、限度額は変わっていないの?

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。消費税10%に上がった2019年10月が直近の引き上げで、それ以降は据え置きが続いているよ。サービスの単位数自体は改定で変わっても、限度額の枠は同じ、という点に注意してケアプランを組もうね。

区分支給限度額に含まれるサービス・含まれないサービス

すべてのサービスが限度額の枠に入るわけではありません。施設サービスなどは別枠で給付されます。

限度額に含まれる主なサービス

訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション、福祉用具貸与、短期入所生活介護・短期入所療養介護、定期巡回・随時対応サービス、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護などが含まれます(特定施設・認知症対応型共同生活介護などは短期利用に限り含まれます)。

限度額に含まれない主なサービス

居宅療養管理指導、特定施設入居者生活介護(短期利用を除く)、認知症対応型共同生活介護(短期利用を除く)、地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用を除く)、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設、介護医療院などは限度額に含まれず、別枠で給付対象となります。

ポイント施設サービスや居宅療養管理指導は限度額の枠外です。なお、介護療養型医療施設は令和6年(2024年)3月末で廃止され、介護医療院などへ移行しています。

区分支給限度額に含まれない「加算」とは

サービス費だけでなく、加算にも「限度額に含まれるもの」と「含まれないもの」があります。含まれない加算は限度額を圧迫しないため、ケアプラン上の管理で重要です。

サービス限度額に含まれない主な加算(例)
訪問介護特別地域加算/中山間地域等の小規模事業所加算/中山間地域等提供加算/介護職員等処遇改善加算
訪問看護特別地域加算/中山間地域等加算/緊急時訪問看護加算/特別管理加算/ターミナルケア加算/サービス提供体制強化加算
訪問リハビリ中山間地域等提供加算/サービス提供体制強化加算
通所介護・通所リハ中山間地域等提供加算/サービス提供体制強化加算/介護職員等処遇改善加算
短期入所サービス提供体制強化加算/介護職員等処遇改善加算 ほか
注意処遇改善関係の加算は近年「介護職員等処遇改善加算」へ一本化されるなど、名称・体系が改定で変わっています。加算が限度額に含まれるかどうかは、最新の単位数表・告示で確認してください。

限度額をオーバーした場合の自己負担と請求方法

限度額を超えてサービスを利用すると、超えた分は全額(10割)自己負担になります。普段は1〜3割の負担で済んでいるものが、超過分はいきなり10割になるため、負担額が大きく増えます。

ポイントたとえば1割負担の方が普段650円で受けているサービスでも、限度額を超えた分は6,500円(10割)の負担になるイメージです。超過が見込まれる場合は、ケアマネが事前に利用者・家族へ説明し、サービスの組み合わせを調整することが大切です。

複数サービスで超えたときの取り扱い

複数のサービスを利用して限度額を超えた場合、どのサービスを超過分として扱うかは、ケアマネジャーがケアプラン作成時に判断します。厚生労働省からは「いずれのサービスを超過の取り扱いとしても構わない」と示されています。

  1. ケアプラン作成時に、各サービスの単位数を合計し限度額と比較する。
  2. 超過が見込まれる場合は、利用者・家族へ実費負担となることを事前に説明する。
  3. どのサービスを限度額超過として扱うかをケアマネが判断し、計画に反映する。
  4. 超過分は10割負担として請求される点を、サービス事業者とも共有しておく。
ちびウルフちびウルフ

限度額を超えないようにするコツはあるの?

リハウルフリハウルフ

限度額に含まれない加算や、別枠給付のサービスを把握しておくことが大事だよ。区分変更で要介護度が上がれば限度額も増えるから、状態に変化があれば区分変更申請も検討しよう。事前の見える化が一番のコツだね。

限度額を上手に管理する実務ポイント

限度額オーバーを防ぐには、ケアプラン段階での「見える化」が欠かせません。専門職が押さえておきたい実務ポイントを整理します。

区分変更との関係を意識する

利用者の心身状態が大きく変化し、より多くのサービスが必要になった場合は、区分変更申請で要介護度が上がれば限度額(単位数)も増えます。要介護認定の有効期間は初回原則6か月、更新は原則12か月(審査会の意見により最長48か月まで)ですが、状態変化があれば有効期間の途中でも区分変更申請が可能です。限度額が窮屈になってきたら、漫然と超過させるのではなく区分変更も選択肢に入れましょう。

限度額に含まれない費用を整理する

限度額に含まれない加算(処遇改善加算など)や、別枠給付のサービス(居宅療養管理指導など)を把握しておくと、限度額の枠を有効に使えます。逆に、福祉用具貸与や通所系を多く組む場合は単位数が積み上がりやすいため、月の合計単位を早めに試算しておくことが大切です。

注意近年は、訪問介護の利用が限度額の7割を超える、または全サービスの6割以上を訪問介護が占めるようなケアプランについて、保険者(市区町村)による点検・検証の対象となる仕組みがあります。サービスの組み方には根拠と説明責任が求められます。
ちびウルフちびウルフ

利用者さんやご家族には、どう説明すればいいの?

リハウルフリハウルフ

「今の要介護度だと1か月でこの単位まで保険が使えます」「これを超えると超過分は全額負担になります」と、金額の目安まで添えて伝えると安心してもらえるよ。超えそうなときは、事前に一緒に優先順位を考えるのが大切だね。

介護保険の支給限度額に関するよくある質問(FAQ)

令和6年度の改定で支給限度額は変わった?
区分支給限度基準額の単位数は2019年10月以降据え置かれており、令和3年度・令和6年度の改定でも変更はありません。サービスの単位数は改定されても、限度額の枠は同じです。
限度額を超えた分は何割負担?
超過分は全額(10割)自己負担です。通常の1〜3割負担とは別に、超えた分だけ全額の負担が発生します。
施設サービスも限度額に含まれる?
含まれません。特養・老健・介護医療院などの施設サービスや、居宅療養管理指導は限度額の枠外で、別に給付されます。
処遇改善加算は限度額に含まれる?
介護職員等処遇改善加算は限度額に含まれない加算です。限度額を圧迫しないため、サービス費の計算とは分けて考えます。
要介護度が上がれば限度額も増える?
増えます。要介護度が高いほど限度額(単位数)も大きくなります。状態が大きく変化した場合は、有効期間の途中でも区分変更申請が可能です。
まとめ
  • 区分支給限度基準額は、要介護度ごとに決まった1か月の介護保険利用の上限(単位)
  • 最新の単位数は要支援1=5,032〜要介護5=36,217単位。2019年10月以降、令和6年度改定でも据え置き
  • 施設サービスや居宅療養管理指導は限度額の枠外。限度額に含まれない加算もある
  • 限度額を超えた分は全額(10割)自己負担になるため、事前説明と調整が重要
  • 1単位あたりの金額は地域区分で変わるため、所在地で確認を
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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