高齢者がスリッパで転びやすいのは、かかとがなくて脱げやすく、足を上げずにすり足で歩くことになるからです。家の中で転ばないためには、かかとまで包む、軽い、底がすべりにくい室内履きに替えるのが効果的です。スリッパを室内履きに替えただけで、歩き方が安定する人は少なくありません。

この記事では、高齢者がスリッパで転びやすい理由と、室内履きの選び方、はくときの注意点をまとめました。商品の仕様はメーカーの公式通販サイトで確認しています。

この記事でわかること
  • 高齢者がスリッパで転びやすい理由
  • 家の中で転倒が多い場所
  • 転ばない室内履きの選び方
  • 室内履きをはくときの注意点
  • 高齢者向けの室内履きおすすめ3選
ちびウルフちびウルフ

父が家の中でよくつまずくんだ。スリッパが脱げそうになってるのをよく見かけるんだけど。

リハウルフリハウルフ

スリッパは、高齢者にとっては意外と危ないはきものなんだ。かかとがないから、脱げないように足を上げずに歩くようになる。その結果、ちょっとした段差や敷物の端につまずきやすくなるんだよ。

高齢者がスリッパで転びやすい理由

スリッパは手軽にはけて便利ですが、足の力やバランスが落ちてきた高齢者には、次のような危険があります。

  • かかとがなく脱げやすい:歩いている途中で脱げたり、ずれたりしてバランスを崩す
  • すり足になる:脱げないように足を上げずに歩くため、つま先が引っかかりやすい
  • つま先が余っている:サイズが大きいと、つま先が段差や敷物に引っかかる
  • 底がすべりやすい:フローリングや畳の上ですべることがある
  • 足に合わない:むくみや外反母趾があると、合わないスリッパで足が痛くなり歩き方が崩れる

訪問の現場では、本人は「スリッパのほうが楽」と言うものの、歩く様子を見るとすり足になっていることがよくあります。すり足の原因と対策は「高齢者のすり足|足が上がらない原因と対策」で解説しています。

靴下だけで歩くのも注意

スリッパをやめて、靴下だけで歩く人もいます。しかし靴下は、フローリングの上ではすべりやすくなります。特に、立ち上がるときや方向を変えるときにすべって転ぶことがあります。家の中でも、底にすべり止めがある室内履きをはくほうが安全です。

家の中で転倒が多い場所

東京消防庁の救急搬送データ(令和6年中)によると、高齢者の「ころぶ」事故は「住宅等居住場所」で最も多く発生しており、そのうち屋内での発生が9割以上を占めています。発生場所は、居室・寝室が最も多く、玄関・勝手口等、廊下・縁側・通路、トイレ・洗面所と続きます。

場所はきものに関係する危険
居室・寝室敷物やカーペットの端、電気コードにつま先が引っかかる
玄関上がりかまちの段差、はきかえのときにふらつく
廊下フローリングで靴下やスリッパがすべる
トイレ・洗面所床がぬれていてすべる、方向転換でふらつく

※東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」より、住宅等居住場所における高齢者の「ころぶ」事故の発生場所上位をもとに作成

家の中の転倒予防の全体像は「高齢者の転倒予防|原因と自宅でできる対策」でまとめています。

転ばない室内履きの選び方

高齢者の室内履きは、次のポイントで選びましょう。

①かかとまで包むタイプを選ぶ

いちばん大事なのは、かかとまで包み、歩いても脱げないことです。かかとがあると、足を上げて歩いても脱げないため、すり足になりにくくなります。

②足を入れやすく、脱げにくいもの

かかとがあると、はくのが大変になることがあります。履き口が広く開くもの、面ファスナーで甲の部分を調整できるもの、かかとを踏まずに足を入れられるものを選ぶと、はくときにふらつきにくくなります。

③軽いもの

重い室内履きは、足を上げるのに力が必要で、すり足の原因になります。手に持って軽いと感じるものを選びましょう。

④底がすべりにくいもの

家の床の素材(フローリング、畳、クッションフロアなど)に合わせて、すべりにくい底のものを選びます。ただし、すべりにくすぎる底は、すり足の人の場合かえってつまずくことがあります。実際にはいて、歩きやすさを確かめましょう。

⑤足の幅とむくみに合うもの

高齢者は足の幅が広くなっていたり、夕方にむくんだりすることがあります。3E・4Eなど幅の広いものや、甲の高さを調整できるものを選ぶと、きつくなりにくくなります。サイズは、むくみやすい夕方に合わせて選ぶのがおすすめです。

ちびウルフちびウルフ

室内履きって、外の靴と同じサイズでいいの?

リハウルフリハウルフ

基本は同じでいいけど、むくみやすい人は少しゆとりのあるものや、甲を調整できるものがいいね。大きすぎるとつま先が引っかかるから、つま先に指1本分くらいの余裕が目安だよ。実際にはいて、家の中を歩いてみるのが一番だね。

足の状態に合わせた室内履きの選び方

足の状態によって、合う室内履きは変わります。次の表を目安に選びましょう。

足の状態選び方のポイント
むくみがある幅が広いもの(3E・4Eなど)、面ファスナーで甲の高さを調整できるもの。夕方のむくんだ状態で合わせる
片まひがある履き口が大きく開くもの、片手でも着脱しやすいもの。まひ側の足が入れやすいかを確認する
外反母趾・足の変形があるつま先がゆったりしたもの、やわらかい素材のもの。当たって痛い場所がないかを確認する
糖尿病がある足に傷を作らないよう、きつすぎず縫い目が当たらないもの。はいた後に足に赤みがないかを毎日確認する
すり足になっている軽いもの、底がすべりにくすぎないもの。つま先が引っかからないかを歩いて確かめる

左右の足で大きさや形が違う人もいます。片方だけきつい、片方だけ脱げやすいといった場合は、メーカーによっては左右で違うサイズを組み合わせて買えることもあるので、問い合わせてみるとよいでしょう。足の状態が気になる場合は、訪問リハビリのセラピストやケアマネジャーに相談すると、実際に歩く様子を見てアドバイスを受けられます。

室内履きをはくときの注意点

室内履きを選んだら、はき方や使い方にも気をつけましょう。

  • 座ってはく:立ったまま片足ではくとふらつく。椅子やベッドに座ってはく
  • かかとを踏まない:かかとを踏んではくと、スリッパと同じで脱げやすくなる
  • 底のすり減りを確認する:底がすり減るとすべりやすくなる。定期的に買い替える
  • ぬれたらはき替える:洗面所やトイレで底がぬれたら、すべりやすくなる
  • 家の中の環境もあわせて整える:敷物の端やコードを片付け、段差には手すりを付ける

夜中にトイレへ行くときに室内履きをはかずに歩いてしまう人もいます。ベッドの横に、座ってすぐはける位置に置いておきましょう。

高齢者向けの室内履きおすすめ3選

ここからは、徳武産業の「あゆみシューズ」の中から、公式通販サイトで仕様を確認できた室内履きを紹介します。価格はいずれも公式通販サイトの記載(税込)です。

1. あゆみ SUTTO FIT(スットフィット)

履き口が広くて足を入れやすいのに、脱げにくい室内履きです。公式通販サイトによると、重さは片方(Lサイズ)で約100gと軽く、「リンゴ1個よりも軽い」と紹介されています。底材は合成底(EVA)で、サイズはS(20.5〜21.5cm)から3L(26.5〜27.5cm)まで、幅は3E相当です。価格は4,510円です。軽さと足の入れやすさを重視する人に向いています。

2. あゆみ チャルパーII

あゆみシューズの人気の室内用シューズ「チャルパー」が新しくなったモデルです。公式通販サイトでは、軽くてはきやすく、足入れがしやすいルームシューズと紹介されています。サイズはM(22.0〜23.0cm)から3L(26.5〜27.5cm)まで、幅は3Eです。価格は4,510円です。スリッパから室内履きへの替えはじめに選びやすい形です。

3. あゆみ かかとスポッと

公式通販サイトで「手を使わずに履ける!」と紹介されている室内履きです。スポッとはけてちょうどよいフィット感とされています。かがんでかかとを入れるのが難しい人や、片手が不自由な人に向いています。サイズはS(20.5〜21.5cm)から3L(26.5〜27.5cm)まで、幅は3E相当です。価格は4,950円です。

室内履きに替えても転びやすいとき

はきものを替えても転びやすい場合は、足の力やバランスが落ちている、薬の影響がある、目が見えにくくなっているなど、ほかの原因が隠れていることがあります。次のような場合は、医師やケアマネジャーに相談しましょう。

  • 最近、急に転ぶ回数が増えた
  • 歩くときにふらつく、足が上がらない
  • 薬が増えてから、ふらつくようになった
  • 家の中でも、つかまるところを探しながら歩いている

歩くのが不安定な場合は、つえや歩行器を使うことも考えましょう。つえの選び方は「高齢者の杖の選び方|介護保険の対象と長さの合わせ方」で解説しています。訪問リハビリでは、家の中での歩き方や環境を、実際の生活の場で確認できます。

ちびウルフちびウルフ

室内履きを嫌がって、すぐスリッパに戻しちゃうんだよね。

リハウルフリハウルフ

慣れたはきものを替えるのは、誰でも抵抗があるよね。軽くてはきやすいものを選んで、「これ、軽いよ」と一度はいてもらうのがコツ。はいてみて楽だと感じると、自分から選ぶようになる人も多いよ。

よくある質問

高齢者にスリッパはよくないのですか?

かかとがないため脱げやすく、すり足になってつまずきやすくなります。足の力やバランスが落ちている人は、かかとまで包む室内履きのほうが安全です。

家の中では靴下だけでもいいですか?

靴下はフローリングの上ですべりやすく、立ち上がるときや方向を変えるときに転ぶことがあります。底にすべり止めがある室内履きをはきましょう。

室内履きはどんなものを選べばいいですか?

かかとまで包む、足を入れやすく脱げにくい、軽い、底がすべりにくい、足の幅に合う、の5つがポイントです。

室内履きのサイズはどう選べばいいですか?

基本は普段の靴と同じサイズで、つま先に指1本分くらいの余裕が目安です。むくみやすい人は夕方に合わせて選び、甲を調整できるものを選ぶと安心です。

かがんで室内履きをはくのが難しいです。

椅子やベッドに座ってはきましょう。履き口が広いものや、手を使わずにはけるタイプを選ぶと楽になります。

室内履きはどのくらいで買い替えればいいですか?

決まった期間はありませんが、底がすり減ってすべりやすくなったら替えどきです。定期的に底の状態を確認しましょう。

室内履きを嫌がる場合はどうすればいいですか?

軽くてはきやすいものを選び、一度はいてもらって楽さを感じてもらうのがコツです。無理に替えさせず、本人が選べるようにしましょう。

はきものを替えても転ぶ場合は?

足の力やバランスの低下、薬の影響など、ほかの原因が隠れていることがあります。医師やケアマネジャーに相談し、必要なら訪問リハビリなどで家の中の歩き方を確認してもらいましょう。

まとめ
  • スリッパはかかとがなく、すり足になってつまずきやすい
  • 高齢者の転倒は家の中で多く、居室・玄関・廊下・トイレで起きている
  • 室内履きは、かかとまで包む・脱げにくい・軽い・すべりにくい・幅が合うもの
  • 座ってはく、かかとを踏まない、底のすり減りを確認する
  • はきものを替えても転ぶ場合は、ほかの原因がないか相談する
参考にした情報

※商品の仕様と価格は2026年11月8日時点のメーカー公式通販サイトの記載にもとづいています。仕様や価格、販売状況は変わる可能性があるため、購入時にご確認ください。転倒の発生場所のデータは東京消防庁管内の救急搬送データ(令和6年中)であり、全国の数値ではありません。室内履きの選び方やはき方のポイントは、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味