通所リハビリの口腔・栄養スクリーニング加算とは?

通所リハビリの口腔・栄養スクリーニング加算は(Ⅰ)20単位・(Ⅱ)5単位。この4倍の差は「口腔と栄養の両方をやったか、片方だけか」で決まります。
ただし、両方やったのに(Ⅰ)が取れず、(Ⅱ)5単位になる——という場面が頻繁に起きます。理由は、栄養アセスメント加算や口腔機能向上加算を算定している月は、その領域のスクリーニングが評価されないからです。要件は「何をやったか」だけでなく「他に何を算定しているか」で決まるという、通所リハビリの加算のなかでもとりわけ判定が込み入った加算です。
この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(厚生省告示第19号)通所リハビリテーション費 注17、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第29号の2、老企第36号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- (Ⅰ)20単位・(Ⅱ)5単位の違いと算定タイミング
- 利用開始時と利用中6月ごとという実施頻度
- (Ⅰ)は口腔と栄養の両方、(Ⅱ)は片方だけの場合であること
- 栄養アセスメント加算・口腔機能向上加算を算定していると(Ⅰ)が取れないこと
- 「見つけて同月に開始した月」は例外的に算定できること
- 他事業所が算定している場合は算定できないこと
- 口腔連携強化加算との排他関係
- スクリーニングで確認する項目(口腔3項目・栄養4項目)
- 結果をケアマネへ提供することが要件であること
- 算定する事業所はサービス担当者会議で決めること
口腔・栄養スクリーニング加算とは?単位数は20単位と5単位
口腔・栄養スクリーニング加算とは、利用開始時と利用中6月ごとに、利用者の口腔の健康状態と栄養状態を確認し、その情報をケアマネジャーに提供した場合に算定できる加算です。
| 区分 | 単位数 | 内容 |
|---|---|---|
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) | 20単位 | 口腔と栄養の両方のスクリーニング |
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) | 5単位 | いずれか一方のみのスクリーニング |
いずれも1回につき。実施は利用開始時と利用中6月ごとなので、算定機会は年2回程度です。
20単位×年2回=年40単位。金額としては大きくありません。
ただしこの加算は、告示注17に「届出を行った」という文言がありません(他の加算のような体制届出の規定が置かれていない)。管理栄養士の配置も不要です。介護職員等が確認できる項目だけで完結する——着手のハードルがもっとも低い加算です。
告示の原文で構造を確認する
通所リハビリテーション費 注17です。
別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定通所リハビリテーション事業所の従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の口腔の健康状態のスクリーニング又は栄養状態のスクリーニングを行った場合に、口腔・栄養スクリーニング加算として、次に掲げる区分に応じ、1回につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定せず、当該利用者について、当該事業所以外で既に口腔・栄養スクリーニング加算を算定している場合にあっては算定しない。
イ 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) 20単位
ロ 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) 5単位
- 実施のタイミングは利用開始時と利用中6月ごと
- 実施するのは事業所の従業者(管理栄養士等の資格要件なし)
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は重複算定できない
- 他の事業所ですでに算定している利用者には算定できない
この加算は、1人の利用者について1つの事業所しか算定できません。通所介護と通所リハビリを併用している方、小規模多機能を使っている方などでは、どちらが算定するかを調整する必要があります。
通知④はこう定めています。「口腔・栄養スクリーニング加算の算定を行う事業所については、サービス担当者会議で決定することとし、原則として、当該事業所が当該加算に基づく口腔スクリーニング又は栄養スクリーニングを継続的に実施すること。」
担当者会議で決める、というのがルールです。請求してから重複が判明して返戻、という形が典型的な失敗なので、開始前に確認してください。
(Ⅰ)20単位が取れる月・取れない月
ここが本題です。告示第95号第29号の2イ(4)が、(Ⅰ)を算定できない月を定めています。
(4)算定日が属する月が、次に掲げる基準のいずれにも該当しないこと。
(一)栄養アセスメント加算を算定している間である又は当該利用者が栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービスを受けている間である若しくは当該栄養改善サービスが終了した日の属する月(栄養状態のスクリーニングを行った結果、栄養改善サービスが必要であると判断され、栄養改善サービスが開始された日の属する月を除く。)であること。
(二)当該利用者が口腔機能向上加算の算定に係る口腔機能向上サービスを受けている間である又は当該口腔機能向上サービスが終了した日の属する月(口腔の健康状態のスクリーニングを行った結果、口腔機能向上サービスが必要であると判断され、口腔機能向上サービスが開始された日の属する月を除く。)であること。
(5)他の介護サービスの事業所において、当該利用者について、口腔連携強化加算を算定していないこと。
| その月の状況 | (Ⅰ)20単位 | (Ⅱ)5単位 |
|---|---|---|
| 栄養も口腔も他の加算を算定していない | 算定可 | — |
| 栄養アセスメント加算を算定中 | 不可 | 口腔のみで算定可 |
| 栄養改善サービス実施中 | 不可 | 口腔のみで算定可 |
| 口腔機能向上サービス実施中 | 不可 | 栄養のみで算定可 |
| 栄養と口腔の両方でサービス実施中 | 不可 | 不可 |
| スクリーニングで発見し、同月にサービス開始 | 算定可 | — |
| 他事業所が口腔連携強化加算を算定 | 不可 | — |
ちびウルフ両方ちゃんとやっているのに、5単位しか取れないことがあるんですね…。
リハウルフそこは制度の考え方を理解すると納得できる。スクリーニングは「まだ手を付けていない領域を見つけるため」の加算なんだ。
すでに栄養改善サービスを提供している人に対して、栄養のスクリーニングをしても新しい発見はない。だからその領域は評価しない。でも口腔はまだ手つかずなら、そこを拾う価値がある——だから(Ⅱ)5単位。
損した気分になるけど、実は「もう介入している」という良い状態なんだよ。栄養改善加算200単位を月2回取っている人なら、そちらのほうがずっと大きい。
(Ⅱ)5単位の2つのルート
告示第29号の2ロは、(Ⅱ)を2つのルートで定めています。
| ルート | 実施するスクリーニング | 状況 |
|---|---|---|
| ロ(1) | 口腔のみ | 栄養側は栄養アセスメント加算または栄養改善サービスを算定中/口腔側は口腔機能向上サービスを受けていない |
| ロ(2) | 栄養のみ | 栄養側は何も算定していない/口腔側は口腔機能向上サービスを受けている |
通知②も、この構造を確認しています。
口腔スクリーニング及び栄養スクリーニングは、利用者に対して、原則として一体的に実施すべきものであること。ただし、大臣基準第19号の2ロに規定する場合にあっては、口腔スクリーニング又は栄養スクリーニングの一方のみを行い、口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)を算定することができる。
「原則は一体的に実施」——これが基本です。片方だけというのは、他の加算との関係でやむを得ない場合の例外にすぎません。
スクリーニングで確認する項目
通知③が、確認項目を具体的に列挙しています。
イ 口腔スクリーニング
a 硬いものを避け、柔らかいものばかりを中心に食べる者
b 入れ歯を使っている者
c むせやすい者
ロ 栄養スクリーニング
a BMIが18.5未満である者
b 1〜6月間で3%以上の体重の減少が認められる者又は基本チェックリストの№11の項目が「1」に該当する者
c 血清アルブミン値が3.5g/dl以下である者
d 食事摂取量が不良(75%以下)である者
「柔らかいものばかり食べる」「入れ歯を使っている」「むせやすい」——これらは介護職員が日常の食事場面で確認できる項目です。専門的な検査は不要です。
栄養側も、BMI・体重変化・食事摂取量は通常の記録から拾えます。血清アルブミン値だけは検査値なので、主治医からの情報が必要になります。
確認だけでは足りない——ケアマネへの提供が要件
告示第29号の2イ(1)(2)は、確認した情報を介護支援専門員に提供していることを明確に要件としています。
(1)利用開始時及び利用中六月ごとに利用者の口腔の健康状態について確認を行い、当該利用者の口腔の健康状態に関する情報(当該利用者の口腔の健康状態が低下しているおそれのある場合にあっては、その改善に必要な情報を含む。)を当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること。
(2)(栄養状態についても同様)
単に確認して自事業所の記録に残すだけでは要件を満たしません。ケアマネへ提供した記録(送付日・方法・内容)を残してください。
また、低下のおそれがある場合は「その改善に必要な情報」まで含めて提供することが求められています。「むせやすい人がいます」だけでなく、食形態の提案や受診勧奨といった情報まで添えるのが本来の姿です。
「利用者全員を継続的に把握する」という前提
通知①には、加算の対象者だけを見ていればよいわけではない、という一文があります。
口腔スクリーニング及び栄養スクリーニングは、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることに留意すること。なお、介護職員等は、利用者全員の口腔の健康状態及び栄養状態を継続的に把握すること。
加算を算定しない利用者についても、口腔と栄養の状態は継続的に把握する——これが前提です。6月ごとのスクリーニングは、その継続的な把握を節目で記録に落とす行為、と理解するとしっくりきます。
発見したら次につなぐ——同月算定の例外
通知⑤が、この加算のいちばん大事な仕掛けを示しています。
口腔・栄養スクリーニング加算に基づく口腔スクリーニング又は栄養スクリーニングの結果、栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービス又は口腔機能向上加算の算定に係る口腔機能向上サービスの提供が必要だと判断された場合は、口腔・栄養スクリーニング加算の算定月でも栄養改善加算又は口腔機能向上加算を算定できること。
スクリーニング20単位+口腔機能向上加算150〜160単位×2回。発見して同月に介入を始めた月は、両方算定できます。
制度の意図ははっきりしています。見つけたら止めずに介入へつなげ。6月ごとのスクリーニングを「チェックを埋める作業」で終わらせず、対象者を拾い出す起点として使ってください。
口腔連携強化加算との排他関係
要件(5)で、他の介護サービスの事業所が当該利用者について口腔連携強化加算を算定していないことが求められています。
口腔連携強化加算は、事業所の職員が利用者の口腔の状態を評価し、歯科医療機関と歯科専門職の関与を連携させる加算です。他事業所でこれを算定していると、口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)は算定できません。
訪問介護・訪問看護・通所介護などを併用している利用者では、他サービスの算定状況をケアマネ経由で確認する必要があります。
算定にあたっての実務ステップ
- サービス担当者会議で、どの事業所が口腔・栄養スクリーニング加算を算定するかを決める
- 他事業所が口腔連携強化加算を算定していないかをケアマネに確認する
- 利用開始時に、口腔3項目と栄養4項目を確認する
- その月に栄養アセスメント加算・栄養改善サービス・口腔機能向上サービスを算定していないかを確認し、(Ⅰ)か(Ⅱ)かを判定する
- 低下のおそれがある場合は改善に必要な情報も含めて、ケアマネへ提供する
- 提供日・方法・内容を記録に残す
- 結果として栄養改善または口腔機能向上サービスが必要と判断されたら、同月に開始する(同月算定が可能)
- 次回のスクリーニングを6月後にスケジュールする
- 加算対象外の利用者も含め、口腔・栄養の状態を継続的に把握する
4つ目の判定を毎回やるのが面倒ですが、ここを飛ばすと(Ⅰ)で請求して返戻になります。利用者ごとに「その月に算定している栄養・口腔関連加算」を一覧化しておくのが実務的です。
よくある質問
(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは何ですか?
(Ⅰ)20単位は口腔と栄養の両方のスクリーニングを行った場合、(Ⅱ)5単位は他の加算との関係でいずれか一方のみを行う場合の区分です。
どのくらいの頻度で実施しますか?
利用開始時と、利用中6月ごとです。
管理栄養士がいないと算定できませんか?
算定できます。告示は「指定通所リハビリテーション事業所の従業者が」としており、職種の限定はありません。
栄養アセスメント加算を算定していると(Ⅰ)は取れませんか?
取れません。栄養アセスメント加算を算定している間は(Ⅰ)の要件から外れます。口腔のみのスクリーニングによる(Ⅱ)5単位は算定できます。
口腔機能向上サービスを提供している人はどうなりますか?
(Ⅰ)は算定できません。栄養のみのスクリーニングによる(Ⅱ)5単位が算定できます。
栄養も口腔も他の加算を算定している場合は?
(Ⅰ)も(Ⅱ)も算定できません。
スクリーニングで見つけて同じ月にサービスを始めた場合は?
その月は口腔・栄養スクリーニング加算と、栄養改善加算または口腔機能向上加算の両方を算定できます。
他の事業所も算定できますか?
できません。同一の利用者について、当該事業所以外ですでに算定している場合は算定できません。算定する事業所はサービス担当者会議で決定します。
確認するだけで算定できますか?
できません。確認した情報を担当の介護支援専門員に提供することが要件です。低下のおそれがある場合は、改善に必要な情報も含めて提供します。
口腔のスクリーニングでは何を見ますか?
硬いものを避け柔らかいものばかりを中心に食べる者、入れ歯を使っている者、むせやすい者——の3項目です。
栄養のスクリーニングでは何を見ますか?
BMIが18.5未満、1〜6月間で3%以上の体重減少(または基本チェックリスト№11が「1」)、血清アルブミン値3.5g/dl以下、食事摂取量が不良(75%以下)——の4項目です。
口腔連携強化加算との関係はどうなりますか?
他の介護サービスの事業所が当該利用者について口腔連携強化加算を算定している場合、口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)は算定できません。
加算を算定しない利用者は放っておいてよいですか?
いいえ。通知は「介護職員等は、利用者全員の口腔の健康状態及び栄養状態を継続的に把握すること」としています。
- 通所リハビリの口腔・栄養スクリーニング加算は(Ⅰ)20単位・(Ⅱ)5単位
- いずれも1回につき、利用開始時と利用中6月ごとに実施する
- (Ⅰ)は口腔と栄養の両方、(Ⅱ)は一方のみ
- 原則は口腔と栄養を一体的に実施する
- 実施者に職種の限定はなく、管理栄養士の配置も不要
- 栄養アセスメント加算を算定している月は(Ⅰ)を算定できない
- 栄養改善サービス実施中と終了月も(Ⅰ)を算定できない
- 口腔機能向上サービス実施中と終了月も(Ⅰ)を算定できない
- その場合でも、手つかずの領域を(Ⅱ)5単位で拾える
- 栄養と口腔の両方でサービス実施中なら、どちらも算定できない
- スクリーニングで発見し同月にサービスを開始した月は例外的に算定できる
- その月は栄養改善加算・口腔機能向上加算とも併算定できる
- 1人の利用者につき1事業所しか算定できない
- 算定する事業所はサービス担当者会議で決定する
- 他事業所が口腔連携強化加算を算定していると(Ⅰ)は算定できない
- 口腔は「柔らかいもの中心」「入れ歯」「むせやすい」の3項目
- 栄養はBMI・体重減少・血清アルブミン値・食事摂取量の4項目
- 確認した情報を介護支援専門員に提供することが要件
- 低下のおそれがある場合は改善に必要な情報も含めて提供する
- 加算対象外の利用者も含め、全員の口腔・栄養状態を継続的に把握する
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号) 通所リハビリテーション費 注17(全国老人保健施設協会 法令Q&A検索システム)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号) 第19号の2、第29号の2
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス等に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号) 通所介護費(19)口腔・栄養スクリーニング加算について、通所リハビリテーション費(20)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および老企第36号の留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。他事業所との算定調整、(Ⅰ)(Ⅱ)の判定、届出の要否や様式は指定権者によって取扱いが異なる場合があります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。基本チェックリストの項目番号は「地域支援事業の実施について」(平成18年6月9日老発第0609001号)によります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。



