通所介護の口腔・栄養スクリーニング加算とは|単位数・要件【令和6年度】
通所介護(デイサービス)で「口腔・栄養スクリーニング加算」を算定したいけれど、加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いや、栄養アセスメント加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算との関係が複雑で、結局どれを取ればいいのか分からない——。運営の現場では、こうした「併算定の整理」でつまずくケースが本当に多いものです。
この記事では、令和6年度介護報酬改定を踏まえて、通所介護の口腔・栄養スクリーニング加算の単位数・算定要件・実施頻度・併算定ルール・必要な様式までを、管理者・運営者の目線で徹底的に整理します。読み終えるころには、自事業所が「(Ⅰ)を取るべきか(Ⅱ)にとどまるか」を自信を持って判断できるようになります。
- 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)20単位/(Ⅱ)5単位の違いと算定の分かれ目
- 「利用開始時+6か月ごと」という実施頻度と、ケアマネへの情報提供のしかた
- 栄養アセスメント加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算との併算定の関係
- 実地指導で指摘されやすいポイントと、運営記録・様式の整え方
- 管理者が押さえるべき「取りこぼし防止」のチェックリスト
- 口腔・栄養スクリーニング加算とは?通所介護での位置づけ
- 単位数は(Ⅰ)20単位・(Ⅱ)5単位/月|まず結論
- 算定要件を徹底解説|(Ⅰ)と(Ⅱ)の分かれ目
- 実施頻度は「利用開始時+6か月ごと」|タイミングを間違えない
- ケアマネへの情報提供がカギ|「提供した記録」を残す
- 併算定の早見表|栄養アセスメント・栄養改善・口腔機能向上との関係
- 管理者・運営者が押さえる実務ポイント
- 対象サービスはどこまで?通所介護以外への広がり
- スクリーニング項目の具体例|何をチェックするのか
- 算定開始までの全体フロー|導入の進め方
- よくある質問(FAQ)
- 過誤・返還につながりやすい誤算定パターン
- 算定可否セルフチェックリスト
- 制度改定と保険者ルールは必ず最新を確認
口腔・栄養スクリーニング加算とは?通所介護での位置づけ
口腔・栄養スクリーニング加算は、通所介護の従業者が利用者の口腔の健康状態と栄養状態を定期的にチェック(スクリーニング)し、その情報を担当ケアマネジャーに提供することを評価する加算です。令和3年度介護報酬改定で、それまでの「栄養スクリーニング加算」を口腔の視点まで広げる形で創設され、令和6年度改定でも単位数・要件に変更はありません。
背景には、令和6年度改定の大きな柱である「リハビリ・口腔・栄養の一体的取組」があります。高齢者の低栄養やオーラルフレイル(口腔機能の衰え)は、要介護度の悪化や誤嚥性肺炎に直結します。専門職でなくても気づける「入口のチェック」を通所介護に組み込み、必要な人を栄養改善・口腔機能向上の専門的サービスにつなげる——そのスクリーニング=ふるい分けの入口を担うのがこの加算です。
ちびウルフ「アセスメント」とか「改善加算」とか似た名前が多くて、スクリーニング加算がどこに位置するのか分からないの…
リハウルフスクリーニングは“入口のふるい分け”だよ。まず全員を軽くチェックして、リスクが見つかった人を栄養改善加算や口腔機能向上加算といった“本格対応”につなげる。だから一番手前の浅い評価、と覚えておけばいいんだ。
単位数は(Ⅰ)20単位・(Ⅱ)5単位/月|まず結論
結論から示します。口腔・栄養スクリーニング加算には(Ⅰ)と(Ⅱ)の2区分があり、単位数は次のとおりです。
| 区分 | 単位数 | 評価する内容 | 主な算定場面 |
|---|---|---|---|
| 加算(Ⅰ) | 20単位/月 | 口腔・栄養の両方をスクリーニング | 他の栄養・口腔系加算を算定していない通常時 |
| 加算(Ⅱ) | 5単位/月 | 口腔・栄養のいずれか一方をスクリーニング | 栄養系または口腔系の加算を併算定していて片方しか評価できないとき |
いずれも「1か月につき」算定する加算です。単位数だけ見れば(Ⅰ)の20単位が基本形で、(Ⅱ)の5単位は他加算との併算定の都合で片方しか評価できないときの受け皿と理解すると整理しやすくなります。なお(Ⅰ)と(Ⅱ)を同月に同時算定することはできません。
算定要件を徹底解説|(Ⅰ)と(Ⅱ)の分かれ目
加算(Ⅰ)20単位の算定要件
加算(Ⅰ)は、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 従業者が、利用開始時および利用中6か月ごとに、利用者の口腔の健康状態のスクリーニングおよび栄養状態のスクリーニングを行うこと(=口腔・栄養の両方)
- スクリーニングで確認した情報を、利用者の担当介護支援専門員(ケアマネジャー)に提供すること
- 当該事業所が定員超過利用・人員基準欠如の減算に該当していないこと
- 算定日の属する月が、栄養アセスメント加算を算定しておらず、かつ栄養改善加算に係る栄養改善サービスを受けていない期間であること
ポイントは要件4です。栄養アセスメント加算や栄養改善加算を算定している月は、栄養のスクリーニングを別途評価する意味が薄いため、(Ⅰ)は算定できません。この場合、口腔の評価だけを行って(Ⅱ)を算定する、という流れになります。
加算(Ⅱ)5単位の算定要件
加算(Ⅱ)は、口腔・栄養のいずれか一方のスクリーニングを「利用開始時および6か月ごと」に実施し、その情報をケアマネに提供する場合に算定します。具体的には、次のような場面が代表例です。
| 併算定している加算 | 評価できない項目 | スクリーニング加算の扱い |
|---|---|---|
| 栄養アセスメント加算/栄養改善加算 | 栄養(すでに専門的に評価・対応中) | 口腔のみ評価 →(Ⅱ)5単位 |
| 口腔機能向上加算 | 口腔(すでに専門的に評価・対応中) | 栄養のみ評価 →(Ⅱ)5単位 |
ちびウルフじゃあ、口腔機能向上加算を取ってる人は、栄養だけスクリーニングして(Ⅱ)5単位を取れるってこと?
リハウルフそのとおり。口腔は加算側でしっかり見ているから、スクリーニングでは栄養だけを評価して(Ⅱ)を算定する、という整理になるんだ。逆に栄養改善加算を取っている人なら、口腔だけ評価して(Ⅱ)だね。
実施頻度は「利用開始時+6か月ごと」|タイミングを間違えない
この加算で最も取りこぼしが起きやすいのが実施タイミングの管理です。要件は「利用開始時」および「利用中6か月ごと」。つまり、初回評価のあとはおおむね半年に1回のペースでスクリーニングを繰り返す必要があります。
「毎月20単位が入る加算」ではありますが、その裏付けとして「最低でも6か月に1回はスクリーニングを実施し、ケアマネへ情報提供している」という事実が必要です。前回実施から6か月を超えて未実施のまま算定を続けると、過誤請求・返還のリスクになります。
ケアマネへの情報提供がカギ|「提供した記録」を残す
スクリーニング加算は、単に「評価した」だけでは算定できません。確認した口腔・栄養の情報を担当ケアマネジャーに提供することが必須要件です。これは、スクリーニング結果をケアプランやサービス担当者会議に反映させ、必要な人を専門的サービスにつなげるためです。
情報提供は、口頭だけでは「やった証拠」が残りません。実務では、スクリーニング結果を記載した様式(情報提供書)を作成し、提供日・提供先・提供方法(手交・郵送・FAX・データ連携など)を記録に残すのが鉄則です。
- 利用開始時・6か月ごとに、口腔(および/または栄養)のスクリーニングを実施する
- 結果を所定の様式(栄養・口腔スクリーニング様式)に記載する
- 担当ケアマネジャーへ情報提供し、提供日・方法を記録する
- 低栄養・口腔機能低下のリスクがあれば、栄養改善加算・口腔機能向上加算など専門的対応につなげる
併算定の早見表|栄養アセスメント・栄養改善・口腔機能向上との関係
管理者が一番混乱するのが「他の栄養・口腔系加算との併算定」です。下表で整理します。
| 状況 | 算定できるスクリーニング加算 |
|---|---|
| 他の栄養・口腔系加算を算定していない | 口腔・栄養の両方を評価 →(Ⅰ)20単位 |
| 栄養アセスメント加算を算定中 | 栄養は評価不可。口腔のみ評価 →(Ⅱ)5単位 |
| 栄養改善加算(栄養改善サービス)を受けている期間 | 栄養は評価不可。口腔のみ評価 →(Ⅱ)5単位 |
| 口腔機能向上加算を算定中 | 口腔は評価不可。栄養のみ評価 →(Ⅱ)5単位 |
管理者・運営者が押さえる実務ポイント
1.加算(Ⅰ)か(Ⅱ)かを「利用者ごと」に判定する
加算区分は事業所単位ではなく利用者ごとに決まります。同じ事業所でも、口腔機能向上加算を併算定しているAさんは(Ⅱ)、何も併算定していないBさんは(Ⅰ)、ということが普通に起こります。利用者一覧に「併算定状況」と「適用区分」を並べて管理しましょう。
2.スクリーニングは「従業者」が実施できる
この加算のスクリーニングは、管理栄養士や歯科衛生士でなければできないものではありません。通所介護の従業者が実施できる、簡便なチェックです。だからこそ全利用者に広く実施でき、必要な人を専門的サービスへつなぐ「入口」として機能します。誰が・どの様式で・いつ実施するかを、事業所の手順として標準化しておきましょう。
3.実地指導で見られる3点
実地指導(運営指導)でこの加算が確認されるとき、典型的に見られるのは次の3点です。
| 確認点 | 備えておくこと |
|---|---|
| 6か月ごとの実施が継続しているか | 実施日の記録・次回予定の管理表 |
| ケアマネへの情報提供をしているか | 情報提供書の控え・提供日と方法の記録 |
| 併算定との整合(区分の妥当性) | 利用者ごとの併算定状況と区分判定の根拠 |
対象サービスはどこまで?通所介護以外への広がり
口腔・栄養スクリーニング加算は、通所介護(デイサービス)だけの加算ではありません。地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、通所リハビリテーション、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)など、幅広い在宅・居住系サービスで設定されています。複数事業を運営する法人では、サービスごとに様式や運用がバラつきがちです。法人全体で「スクリーニングの標準手順」を共有しておくと、職員の異動や応援があっても品質が保てます。
一方で、サービスごとに併算定できる栄養・口腔系加算のラインナップが異なります。たとえば通所リハでは口腔機能向上加算や栄養改善加算の運用が通所介護と違う場面があります。「他事業で取れたから自事業でも同じ」と思い込まないことが、過誤防止の第一歩です。自事業のサービス種別に応じた取扱いを、必ず保険者の手引き等で確認しましょう。
スクリーニング項目の具体例|何をチェックするのか
「スクリーニングを実施する」と言っても、実際に何を見ればよいのか迷う現場は多いものです。専門的な精密検査ではなく、従業者が日常の関わりの中で確認できる範囲の簡便なチェックが想定されています。代表的な観点を整理します。
栄養状態のスクリーニング観点
| 観点 | 確認の例 |
|---|---|
| 体重・BMI | BMIが低い、一定期間での体重減少がみられる |
| 食事摂取量 | 食事を半分以上残す、食欲が落ちている |
| 外見・状態 | 痩せが目立つ、活気の低下、むくみ など |
口腔の健康状態のスクリーニング観点
| 観点 | 確認の例 |
|---|---|
| かむ機能 | 固いものが食べにくい、食べこぼしが増えた |
| 飲み込み | 食事中・食後にむせる、痰がからむ |
| 口腔衛生・義歯 | 口の汚れ・乾燥、義歯が合っていない |
これらに当てはまる項目が見つかった利用者は、低栄養やオーラルフレイルのリスクが高いと判断し、ケアマネへの情報提供を通じて、栄養改善加算・口腔機能向上加算などの専門的サービスや、必要に応じて受診・歯科受診につなげます。スクリーニングは「点数を取るため」ではなく、重度化のサインを早期に拾うためのものだという視点を、現場と共有しておくことが大切です。
ちびウルフ専門の検査機器がなくてもできるんだね。でも、見落としが怖いな…
リハウルフだからこそチェック項目を様式に固定しておくんだ。誰が見ても同じ観点で評価できれば、担当が変わっても見落としにくい。気になる項目があれば「リスクあり」としてケアマネに必ず伝える、という運用ルールにしておくと安心だよ。
算定開始までの全体フロー|導入の進め方
これから新規に算定を始める事業所が、つまずかずに導入するための全体フローを示します。
- 自事業のサービス種別で本加算が算定可能かを確認し、保険者へ体制等の届出を行う
- スクリーニング様式(栄養・口腔の観点を盛り込んだチェック表)と情報提供書を整備する
- 誰が・いつ・どの様式で実施するか、事業所内の手順を標準化し職員に周知する
- 利用者ごとに併算定状況を確認し、(Ⅰ)20単位か(Ⅱ)5単位かの区分を判定する
- 利用開始時にスクリーニングを実施し、結果をケアマネへ情報提供(提供日・方法を記録)
- 次回(6か月後)の実施予定を一覧管理し、期限前にアラートが出る仕組みを作る
とくに重要なのが、最後の「次回予定の管理」です。毎月の請求は淡々と続く一方で、肝心の「6か月ごとのスクリーニング」はうっかり抜けがちです。利用者数が増えるほど手作業の管理は限界が来るため、介護ソフトの加算管理や期限管理表でシステム的に抜け漏れを防ぐ仕組み化を、導入と同時に整えておきましょう。
よくある質問(FAQ)
口腔・栄養スクリーニング加算は毎月算定できますか?
加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は同じ月に両方取れますか?
栄養改善加算を算定している利用者は、スクリーニング加算は一切取れませんか?
スクリーニングは誰が行ってもよいのですか?
令和6年度改定で単位数や要件は変わりましたか?
スクリーニングで「リスクなし」だった場合も算定できますか?
新規に算定するには届出が必要ですか?
過誤・返還につながりやすい誤算定パターン
最後に、実地指導や報酬請求の場面で過誤・返還につながりやすい典型パターンを整理します。自事業所に当てはまっていないか、チェックの視点として活用してください。
| 誤算定パターン | なぜ問題か |
|---|---|
| 6か月ごとの実施が抜けたまま毎月算定を継続 | 実施の裏付けがなく、算定要件を満たさない |
| ケアマネへの情報提供の記録がない | 「提供した」事実を証明できない |
| 併算定状況を無視して一律(Ⅰ)20単位を算定 | 栄養改善加算等の算定月は(Ⅰ)を算定できない場合がある |
| (Ⅰ)と(Ⅱ)を同月に重複算定 | 両者は同月併算定できない |
| 定員超過・人員欠如減算の状態で算定 | 減算該当時は算定不可 |
これらはいずれも、「実施タイミングの管理」「情報提供の記録」「利用者ごとの区分判定」という3つの基本を押さえれば防げるものです。逆に言えば、この3点が崩れると、月数百円〜の小さな加算であっても、対象者が多く期間が長ければ返還額はまとまった金額になります。日々の運用ルールとして定着させましょう。
算定可否セルフチェックリスト
運用開始後の自己点検に使えるチェックリストです。すべて「はい」と言えるかを定期的に確認してください。
- 利用開始時、および前回から6か月以内にスクリーニングを実施しているか
- 口腔・栄養の評価結果を様式に記録しているか
- 担当ケアマネへ情報提供し、提供日・方法を記録しているか
- 利用者ごとに併算定状況を確認し、(Ⅰ)/(Ⅱ)の区分が妥当か
- 定員超過・人員基準欠如の減算に該当していないか
- 次回スクリーニング予定を一覧管理し、期限前にアラートが出る仕組みがあるか
制度改定と保険者ルールは必ず最新を確認
口腔・栄養スクリーニング加算そのものは令和6年度改定で単位数・要件に変更がありませんが、併算定の対象となる栄養アセスメント加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算などは見直しの対象になり得ます。これらの取扱いが変われば、スクリーニング加算の(Ⅰ)/(Ⅱ)の判定にも影響します。算定方針を固めるときは、必ず厚生労働省の最新の通知・Q&A、および事業所所在地の保険者(市町村)の手引きを確認しましょう。判断に迷う場面では、保険者へ事前に照会しておくと、後の過誤・返還を防げます。こうした一次情報に基づく運用こそが、事業所の信頼性と算定の安定につながります。
- 通所介護の口腔・栄養スクリーニング加算は(Ⅰ)20単位/(Ⅱ)5単位(いずれも月1回・令和6年度改定で変更なし)。
- (Ⅰ)は口腔・栄養の両方、(Ⅱ)はいずれか一方を評価。区分は利用者ごとに併算定状況で判定する。
- 要件は「利用開始時+6か月ごとの実施」「ケアマネへの情報提供」「定員超過・人員欠如減算に非該当」など。
- 栄養アセスメント加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算との併算定で(Ⅱ)になる場面を正しく整理する。
- 実施日・情報提供の記録を残し、6か月ごとの期限管理を仕組み化することが取りこぼし防止のカギ。
※本記事は令和6年度介護報酬改定および厚生労働省・各自治体の関連資料をもとに作成しています。算定の最終判断は、必ず事業所所在地の保険者(市町村)および厚生労働省の最新通知・Q&Aをご確認ください。

