重度療養管理加算とは?通所リハの単位数と算定要件【令和6年度】
「重度療養管理加算って、どんな利用者さんに、いくら算定できるの?」「通所リハで取りたいけれど、対象になる状態の判断が難しい…」——医療ニーズの高い利用者を受け入れている通所リハビリテーション(デイケア)では、こうした疑問は尽きません。重度療養管理加算は、計画的な医学的管理のもとで重度の利用者を支える事業所を評価する、収益面でも意義の大きい加算です。
この記事では、令和6年度(2024年度)介護報酬改定をふまえた重度療養管理加算の単位数・算定要件・対象となる9つの状態を、通所リハビリテーションを主軸に、現場で迷いやすいポイントまで徹底的に解説します。短期入所療養介護(老健ショート)の扱いや、実地指導で見られる記録のポイントも整理しました。
- 重度療養管理加算を算定できるサービスと、通所リハの単位数(100単位/日)
- 対象者の要件(要介護3〜5)と「利用者等告示十八」に定める9つの状態
- 「常時頻回の喀痰吸引」「重篤な合併症」など、判断に迷う用語の具体的な中身
- 届出の要否・診療録・請求明細書の記載など、実地指導で問われる手続き
- 算定できないケース、他加算との関係、現場でよくある質問(FAQ)
重度療養管理加算とは?まず結論から
重度療養管理加算とは、医学的管理を必要とする重度の利用者に対して、計画的な医学的管理のもとに必要な処置などを行ったことを評価する加算です。算定できるのは通所リハビリテーションと短期入所療養介護の2サービスで、通所介護(一般のデイサービス)にはありません。ここを混同しないことが第一のポイントです。
通所リハビリテーションでは、要介護3・4・5で、厚生労働大臣が定める一定の状態にある利用者に対し、計画的な医学的管理のもとサービスを提供した場合に、1日につき100単位を算定します。届出は不要で、実施した医学的管理の内容を診療録に記載します。
ちびウルフ通所介護(デイサービス)でも取れる加算だと思ってました…!
リハウルフよくある勘違いなんだ。重度療養管理加算は医師の管理が前提だから、医療職の体制がある通所リハと短期入所療養介護だけ。通所介護にはこの加算は設定されていないんだよ。
算定できるサービスと単位数【通所リハ・短期入所療養介護】
重度療養管理加算の対象サービスと単位数、対象者を整理すると次のとおりです。本記事は通所リハビリテーションを主軸にしますが、比較のため短期入所療養介護(老健のショートステイなど)も併記します。
| サービス | 単位数 | 対象者 |
|---|---|---|
| 通所リハビリテーション | 1日につき100単位 ※所要時間1時間以上2時間未満の通所リハ費を算定している場合は算定不可 | 要介護3・4・5 |
| 短期入所療養介護 (介護老人保健施設・ユニット型老健) | 1日につき120単位 | 要介護4・5 |
| 短期入所療養介護 (特定介護老人保健施設) | 1日につき60単位 | 要介護4・5 |
なお、令和6年度介護報酬改定では、重度療養管理加算の単位数・算定要件そのものに大きな変更はありません。ただし基本報酬や他の加算は改定されているため、請求は最新のサービスコード表で確認してください。
対象者の要件「利用者等告示十八」に定める9つの状態
重度療養管理加算の核心は、対象者が「厚生労働大臣が定める状態(利用者等告示第十八号に定める状態)」のいずれかに該当することです。要介護度の要件を満たしたうえで、次の9つの状態のいずれかにあることが必要です。
| No | 対象となる状態 | 補足(頻度・条件など) |
|---|---|---|
| 1 | 常時頻回の喀痰吸引を実施している状態 | 1日8回以上の日が、1か月で20日以上ある |
| 2 | 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態 | 1か月につき1週間以上、人工呼吸または間歇的陽圧呼吸を行っている |
| 3 | 中心静脈注射を実施している状態 | — |
| 4 | 人工腎臓を実施しており、かつ重篤な合併症を有する状態 | 人工腎臓を各週2日以上実施している |
| 5 | 重篤な心機能障害・呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態 | — |
| 6 | 膀胱または直腸の機能障害がストーマの処置を要する状態 | 身体障害者4級以上に該当し、かつストーマの処置を実施 |
| 7 | 経鼻胃管や胃ろう等の経腸栄養が行われている状態 | — |
| 8 | 褥瘡に対する治療を実施している状態 | 褥瘡の分類が第3度以上で、必要な処置を実施 |
| 9 | 気管切開が行われている状態 | — |
これらのいずれかの状態が、一定の期間や頻度で継続していることが算定の条件です。「該当しそう」という印象判断ではなく、頻度や程度の要件まで確認することが、後の返還リスクを避けるうえで重要です。
ちびウルフ「常時頻回の喀痰吸引」って、どのくらいの回数を言うんですか?
リハウルフ喀痰吸引を1日8回以上実施している日が、1か月で20日以上ある場合を指すんだ。回数と日数の両方の条件があるから、記録でちゃんと示せるようにしておこうね。
「重篤な合併症を有する」とは具体的にどんな状態か
No.4の「人工腎臓を実施しており、かつ重篤な合併症を有する状態」の「重篤な合併症」とは、具体的には次のような疾病が想定されています。
- 透析中に頻回の検査・処置を必要とするインスリン注射を行っている糖尿病
- 常時低血圧症(収縮期血圧90mmHg以下)
- 透析アミロイド症で手根管症候群や運動機能障害を呈するもの
- 出血性消化器病変を有するもの
- 骨折を伴う二次性副甲状腺機能亢進症のもの
- うっ血性心不全(NYHA Ⅲ度以上)のもの
疾病名の確認にあたって、かかりつけ医の情報提供書は必須ではありませんが、確認した医師名・日付・内容等を診療録に記載しておくことが求められます。口頭確認で終わらせず、必ず記録に残しましょう。
「褥瘡に対する治療」は第3度以上が対象
No.8の褥瘡については、次の分類で第3度以上に該当し、その褥瘡に対して必要な処置が行われた場合が対象です。
| 分類 | 状態 |
|---|---|
| 第1度 | 皮膚の発赤が持続し、圧迫を取り除いても消失しない(皮膚の損傷はない) |
| 第2度 | 皮膚層の部分的消失(びらん、水疱、浅いくぼみとして表れるもの) |
| 第3度 | 皮膚層がなくなり、潰瘍が皮下組織にまで及ぶ深いくぼみとして表れる |
| 第4度 | 皮膚層と皮下組織が失われ、筋肉や骨が露出している |
在宅酸素は「人工呼吸」に含まれる?間違えやすいポイント
No.2の「人工呼吸器を使用している状態」について、現場でよく問われるのが在宅酸素療法(HOT)の扱いです。結論として、在宅酸素(設置型・携帯型)は人工呼吸には含まれません。人工呼吸または間歇的陽圧呼吸を行っている状態が対象であり、酸素を投与しているだけでは該当しない点に注意してください。
ちびウルフ「医学的管理のもと」って、具体的に何をすればいいんですか?
リハウルフ医師や看護師が状態を継続的に観察して、必要に応じて医療的な措置を行うことだよ。そして、その内容を診療録に記載しておくところまでがワンセットなんだ。
算定の手続き|届出・診療録・請求明細書の記載
重度療養管理加算は、加算取得のための届出(体制届)は不要です。ただし、算定を裏づける記録は厳密に求められます。手続きの流れを整理します。
- 対象者が要介護度の要件(通所リハは3〜5、短期入所療養介護は4・5)を満たすか確認する
- 「利用者等告示十八」の9つの状態のいずれかに、頻度・程度の条件も含めて該当するか確認する
- 計画的な医学的管理のもと、必要な処置・観察を実施する
- 実施した医学的管理の内容を診療録に記載する
- 請求明細書(介護給付費明細書)の摘要欄に、該当する状態(1)〜(9)のいずれかを記載する
リハ職・看護職の視点|現場で押さえたい実務ポイント
重度療養管理加算は、医師・看護師による医学的管理が前提ですが、通所リハビリテーションの現場ではPT・OT・STなどのリハ職、介護職、相談員も連携して関わります。職種をまたいで押さえておきたい実務の要点をまとめます。
- 記録の一貫性:通所リハ計画書・リハビリテーション会議記録・診療録の内容に矛盾がないようにする。状態像が書類間で食い違うと指導で指摘されやすい。
- 状態の継続性を示す:喀痰吸引の回数・日数、人工呼吸の実施期間など、頻度要件を満たすことを記録で客観的に示す。
- 状態変化のモニタリング:褥瘡の治癒など、状態が改善・終了したら速やかに算定を見直す。漫然と継続算定しない。
- 多職種での情報共有:送迎・入浴・リハ提供時にリスクが高い利用者であることを全職種で共有し、安全管理体制を整える。
重度の医療ニーズに対応できることは、地域の中で事業所の専門性をアピールする強みにもなります。「受け入れられる体制がある」ことを記録と実践の両面で示すことが、加算の適正算定とサービスの質の両立につながります。
重度療養管理加算でよくある質問(FAQ)
通所介護(デイサービス)で重度療養管理加算は算定できますか?
1時間以上2時間未満の通所リハでも算定できますか?
算定に体制の届出は必要ですか?
在宅酸素を使っている利用者は対象になりますか?
複数の状態に該当する場合、請求はどう記載しますか?
かかりつけ医の情報提供書は必須ですか?
- 重度療養管理加算は、通所リハビリテーション(100単位/日)と短期入所療養介護(120単位/日・特定の場合60単位)で算定できる。通所介護にはない。
- 対象者は通所リハで要介護3〜5、短期入所療養介護で要介護4・5。さらに「利用者等告示十八」の9つの状態のいずれかに該当することが必要。
- 喀痰吸引は「1日8回以上が月20日以上」、褥瘡は「第3度以上」など、頻度・程度の条件まで確認する。
- 在宅酸素だけでは人工呼吸器使用には該当しない。治療終了後は算定できない。
- 届出は不要だが、医学的管理の内容を診療録に記載し、請求明細書の摘要欄に主な状態を記載する。


(厚生労働省より引用)-640x360.png)