「デイサービスとデイケアって、名前は似ているけれど何が違うの?」「家族にはどちらを選べばいいの?」——介護保険のサービスを調べ始めると、多くの方がこの2つの違いでつまずきます。どちらも日帰りで施設に通うサービスですが、目的・人員・料金・対象者まで、実は明確に異なります

この記事では、介護保険業界で長年勤務し、書籍の監著・編集を行う理学療法士が、デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)の違いを、厚生労働省の定義にもとづいてどこよりも分かりやすく整理します。読み終えるころには、ご本人やご家族に合うのはどちらかを、根拠をもって判断できるようになります。

この記事でわかること
  • デイサービスとデイケアの違いが「目的・内容・人員・料金・対象者」で整理してわかる
  • 厚生労働省の定義にもとづいた正確な違いがわかる
  • リハビリと機能訓練の違い、併用できるかどうかがわかる
  • ご本人・ご家族にどちらが合うか、選び方の視点がわかる
ちびウルフちびウルフ

デイサービスもデイケアも、日帰りで通うところでしょ?何がそんなに違うの?

リハウルフリハウルフ

いい質問だね。一番の違いは「目的」なんだ。デイケアは医師の指示のもとリハビリをする場所、デイサービスは生活の支援や交流が中心の場所。ここを押さえると一気に整理できるよ。

デイサービスとデイケアの違いを一覧で比較

まず全体像をつかみましょう。デイケア(通所リハビリテーション)とデイサービス(通所介護)には、次のような違いがあります。

比較項目デイケア(通所リハビリ)デイサービス(通所介護)
主な目的心身機能の維持回復・自立支援のためのリハビリ生活機能の維持・社会的孤立の解消・家族の負担軽減
提供されるものリハビリテーション(医師の指示が必要)機能訓練(医師の指示は不要)
専門職医師+PT・OT・STなどリハ専門職が配置生活相談員・看護職員・機能訓練指導員など
料金の傾向やや高い傾向やや低い傾向
主な提供施設介護老人保健施設・病院・診療所など通所介護事業所・地域密着型事業所など

以下では、それぞれの項目を一つずつ詳しく解説していきます。気になる項目から読んでいただいて構いません。

違い①:厚生労働省の定義

もっとも正確に違いを理解するには、厚生労働省の定義を確認するのが近道です。要約すると次のとおりです。

デイケア(通所リハビリテーション)の定義

介護老人保健施設・病院・診療所などで、居宅の要介護者に対し、心身機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために、理学療法・作業療法などのリハビリテーションを行うサービス、とされています。

デイサービス(通所介護)の定義

要介護状態となっても、可能な限り自宅で自立した日常生活を営めるよう、生活機能の維持・向上を目指し、必要な日常生活上の世話や機能訓練を行うもの。あわせて、利用者の社会的孤立感の解消や、家族の身体的・精神的負担の軽減を図ることが目的とされています。

つまり、デイケアは「リハビリ=医療的な視点での回復」が軸、デイサービスは「生活と交流の支援」が軸、という違いが定義からも読み取れます。

違い②:利用の目的

定義の違いは、そのまま利用目的の違いに直結します。

デイケアの目的 心身機能の維持回復/日常生活の自立を助けるための理学療法・作業療法などのリハビリ。「歩けるようになりたい」「退院後の体力を戻したい」といったニーズに応えます。
デイサービスの目的 社会的孤立感の解消/心身機能の維持/家族の介護負担の軽減。「家に閉じこもりがち」「家族が日中に休息を取りたい」といったニーズに応えます。

違い③:サービス内容

実際に施設で受けられるサービスの中身も異なります。

デイケアのサービス内容

身体機能面では、関節拘縮の予防、筋力・体力の維持、自主トレーニングの指導など。日常生活面では、歩行練習(屋内・屋外)、寝返り・起き上がり・移乗などの基本動作訓練、階段昇降・入浴・トイレ動作などの日常生活動作訓練が行われます。

デイサービスのサービス内容

食事・入浴・排せつの介護、健康管理、日常生活動作訓練、レクリエーションなどが中心です。専門的なリハビリよりも、生活全般の支援と交流の場としての役割が大きいのが特徴です。

ちびウルフちびウルフ

じゃあ「しっかりリハビリしたい人」はデイケア、「楽しく過ごして元気を保ちたい人」はデイサービスって感じなの?

リハウルフリハウルフ

ざっくりした入口の理解としてはその通りだよ。ただ、最近はリハビリに力を入れたデイサービスもあるから、最後は「目的」と「事業所ごとの中身」で見極めるのが大事なんだ。

違い④:人員体制(人員基準)

配置される専門職にも、はっきりとした違いがあります。

デイケアの人員基準(概要)

専任の常勤医師1名以上の配置が原則です(併設の病院・診療所などでは当該医師との兼務も可)。加えて、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職が、利用者100人に対し1名以上を内数として配置されます。看護職員・介護職員も利用者10人に1名以上の配置が必要です。

デイサービスの人員基準(概要)

生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員を配置します。医師の常勤配置やリハ専門職の必置は求められません。なお、定員10名以下の地域密着型通所介護では、看護職員または介護職員のいずれか1名の配置で可とされています。

注意 人員基準はサービス区分や提供時間、事業所規模によって細かく異なります。実際の配置は事業所により差があるため、利用前にケアマネジャーや事業所に確認しましょう。

違い⑤:料金

料金体系もデイケアとデイサービスで異なります。料金は要介護度や取得している加算によって変わり、要介護度が重くなるほど高くなる傾向があります。

全体的な傾向としては、医師やリハ専門職を手厚く配置するデイケアのほうが、デイサービスより料金が高くなりやすいといえます。ただし、利用時間・加算・地域区分などで実際の金額は変動するため、正確な負担額は事業所やケアマネジャーに見積もりを依頼するのが確実です。

違い⑥:対象者

利用できる人(対象者)にも違いがあります。

サービス対象者
介護予防通所リハビリ(介護予防デイケア)要支援者
通所リハビリ(デイケア)要介護者
通所介護(デイサービス)要介護者
地域密着型通所介護(小規模デイサービス)要介護者
認知症対応型通所介護認知症の症状がある要介護者
介護予防認知症対応型通所介護認知症の症状がある要支援者

このほか、市町村の総合事業の「通所型サービス」をデイサービスとして実施している事業所もあります。

リハビリテーションと機能訓練の違い

デイケアとデイサービスを分ける本質的なポイントが、「リハビリテーション」と「機能訓練」の違いです。

ここが決定的 リハビリテーション医師の指示のもとで実施するもの(デイケアが提供)。
機能訓練=医師の指示がなくても実施できるもの(デイサービスが提供)。

同じように体を動かす内容でも、「医師の指示にもとづくかどうか」で呼び方と位置づけが変わります。退院直後や疾患の回復期など、医療的な管理が必要な場合はデイケアが向いています。

デイサービスとデイケアは併用できる?

結論として、要介護1〜5の方はデイケアとデイサービスを併用できます。一方で、要支援者(要支援1・2)は、デイケアとデイサービスの併用はできませんので注意が必要です。

併用の可否は要介護度によって変わるため、ケアプランを組む際にケアマネジャーとよく相談しましょう。詳しい条件は関連記事で解説しています。

デイサービス・デイケアの種類と選び方

ひとくちにデイサービス・デイケアといっても、事業所ごとに特色があります。

よくある特色の例 認知症対応型/リハビリ特化型/短時間型/入浴・食事なしの機能訓練特化/レクリエーション充実型/言語聴覚士在籍/土日祝日対応 など。

選ぶときは、次の手順で整理すると失敗しにくくなります。

  1. ご本人の目的を明確にする(リハビリ重視か、生活・交流重視か)
  2. 必要なサービス内容・対応時間・送迎の有無を書き出す
  3. 候補事業所の特色(特化型か総合型か)を比較する
  4. 見学・体験利用で雰囲気とスタッフの対応を確認する
  5. ケアマネジャーと相談し、ケアプランに位置づける

「リハビリでしっかり機能を戻したい」ならデイケア、「日中の居場所や交流、家族のレスパイトを重視したい」ならデイサービスが基本の入口です。最終的には事業所ごとの中身を見て、ご本人に合う場所を選びましょう。

専門職が押さえておきたい説明のコツ

ケアマネジャーやリハ職、相談員が利用者・家族に説明する場面では、専門用語をそのまま使うと混乱を招きます。次の3点を意識すると伝わりやすくなります。

現場で使える説明のポイント ①「リハビリ(医師の指示が必要)」と「機能訓練(指示は不要)」の違いを先に伝える。
② 料金は「要介護度・加算・時間で変わる」と前置きしてから目安を示す。
③ 要支援者は併用不可など、対象者ごとの制限を最初に確認しておく。

この3点を押さえるだけで、家族からの「結局どっちがいいの?」という質問に、根拠をもって答えられるようになります。

よくある質問(FAQ)

デイサービスとデイケアの一番大きな違いは何ですか?
「目的」と「医師の指示の有無」です。デイケアは医師の指示のもとリハビリを行う場、デイサービスは生活支援や交流を中心とした機能訓練の場です。
料金が安いのはどちらですか?
一般的にはデイサービスのほうが安い傾向があります。ただし要介護度・加算・利用時間・地域区分で変わるため、正確な金額は事業所やケアマネジャーに確認しましょう。
要支援でもデイケアは使えますか?
使えます。要支援者は「介護予防通所リハビリ(介護予防デイケア)」の対象です。ただし要支援者はデイケアとデイサービスの併用はできません。
リハビリをしっかり受けたい場合はどちらですか?
医師の指示にもとづく専門的なリハビリを希望する場合はデイケアが基本です。近年はリハビリ特化型のデイサービスもあるため、事業所ごとの内容も比較しましょう。
両方を同時に利用できますか?
要介護1〜5の方は併用が可能です。要支援者は併用できません。ケアプランの中で組み合わせを検討します。
まとめ
  • デイケア(通所リハビリ)は医師の指示のもとリハビリを行う場、デイサービス(通所介護)は生活支援・交流・機能訓練が中心の場。
  • 違いは「目的・サービス内容・人員・料金・対象者」で整理でき、料金はデイケアのほうが高い傾向。
  • リハビリ=医師の指示が必要、機能訓練=指示は不要、という点が本質的な分かれ目。
  • 要介護1〜5は併用可、要支援者は併用不可
  • 最後はご本人の目的と事業所ごとの中身を見て、見学・体験のうえで選ぶのが失敗しないコツ。

出典:社保審-介護給付費分科会 第180回(R2.7.20)通所リハビリテーション/第141回(H29.6.21)通所介護及び療養通所介護/WAM NET「通所リハビリテーション」「通所介護」

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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