令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では、通所リハビリテーション(デイケア)に関わる見直しが数多く行われました。基本報酬の改定から、業務継続計画(BCP)未策定減算の導入、リハビリ・口腔・栄養の一体的取組の推進まで、現場の運営に直結する変更が並びます。

この記事では、通所リハビリに関する令和6年度改定の主な項目を、「基本報酬」「新設・見直しされた加算」「新しい減算」「運営基準の変更」に整理し、厚生労働省の資料にもとづいて分かりやすく解説します。管理者・リハ職・相談員の方が、改定の全体像を短時間で把握できる構成にしています。

この記事でわかること
  • 令和6年度改定で通所リハの基本報酬がどう変わったかがわかる
  • 新設・見直しされた主な加算のポイントがわかる
  • 新しく導入された減算(BCP・虐待防止など)の内容がわかる
  • 運営基準(虐待防止・身体拘束適正化など)の変更点がわかる
ちびウルフちびウルフ

改定項目が多すぎて、どこから押さえればいいか分からないよ…。

リハウルフリハウルフ

大丈夫。まず「基本報酬」「加算」「減算」「運営基準」の4つに分けて見ると一気に整理できるよ。順番に解説していくね。

令和6年度介護報酬改定(通所リハビリ)の全体像

令和6年度の介護報酬改定は、全体の改定率が+1.59%とされ、処遇改善や自立支援・重度化防止、医療と介護の連携強化などが柱になりました。診療報酬との同時改定(トリプル改定)でもあり、医療・介護・障害福祉をまたいだ連携が一段と重視された点が特徴です。

なお、施行時期は項目によって異なります。多くの項目は令和6年4月施行ですが、基本報酬など一部は令和6年6月施行とされたものもあるため、適用日には注意が必要です。通所リハビリでは、特に次の4分野の変更を押さえておくと全体像をつかみやすくなります。

分野主な変更
基本報酬事業所規模別の基本報酬の見直し(大規模型の評価方法の変更など)
加算リハ・口腔・栄養の一体的取組の推進、入浴介助加算(II)・科学的介護推進体制加算の見直しなど
減算(新設)業務継続計画未策定減算、高齢者虐待防止措置未実施減算の導入
運営基準身体的拘束等の適正化、退院時情報連携の推進、送迎の取扱い明確化など

① 基本報酬の見直し

通所リハビリの基本報酬は、事業所規模別の体系が見直されました。あわせて各区分の単位数も改定されています。

基本報酬の単位(通常規模型・5時間以上6時間未満の例)

代表的な区分として、通常規模型で5時間以上6時間未満の場合の単位数は次のとおり改定されました(改定前→改定後)。

要介護度改定前改定後
要介護1757単位762単位
要介護2897単位903単位
要介護31,039単位1,046単位
要介護41,206単位1,215単位
要介護51,369単位1,379単位
ポイント 大規模型(Ⅰ)・(Ⅱ)については、リハビリテーションマネジメント加算の算定状況やリハ専門職の配置などの要件を満たす場合、通常規模型と同等の基本報酬を算定できるよう評価方法が見直されました。単に規模が大きいほど単価が下がる、という単純な仕組みではなくなった点が重要です。
注意 ここで示した単位数は通常規模型・特定の時間区分の一例です。時間区分・規模区分・地域区分によって単位数は異なります。実際の算定にあたっては、必ず厚生労働省の告示・留意事項通知や自治体の資料で確認してください。

② 見直し・推進された主な加算

リハビリ・口腔・栄養の一体的取組の推進

今回の改定の大きな方向性が、リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に管理する取組の推進です。これらに係る計画書が一体的な様式に見直され、専門職が連携して利用者の状態を多面的に支える仕組みが評価されました。

入浴介助加算(II)の見直し

入浴介助加算(II)について、利用者の自宅での入浴の自立を促す観点から、医師等に代わって介護職員が訪問し、医師等の指示の下、ICT機器を活用して利用者の状況把握を行い、医師等が評価・助言する方法でも算定が可能になりました。単位数は1日につき60単位です。

科学的介護推進体制加算の見直し

LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出とフィードバック活用を評価する科学的介護推進体制加算についても、入力項目の整理など、現場の負担に配慮した見直しが行われました。LIFEは複数サービスで様式や提出頻度の共通化が進められ、データ入力にかかる手間の軽減が図られています。

退院時情報連携・医療連携の強化

医療機関のリハビリテーション計画書の受け取りが義務化され、退院後早期から切れ目なくリハビリにつなげるための情報連携が推進されました。病院から在宅・通所リハへの移行期に、医療と介護のリハ職が同じ情報をもとに支援できる体制づくりが評価されています。退院直後の体力低下を防ぐうえで、現場でも重要度の高い変更点です。

処遇改善加算の一本化

これまで3種類あった介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算が、「介護職員等処遇改善加算」へ一本化されました。要件と加算率が再整理され、より分かりやすい体系になっています。

ちびウルフちびウルフ

加算が一本化されたのは、事務的にもラクになりそうだね!

リハウルフリハウルフ

そうだね。ただし移行には経過措置や要件の確認が必要だから、自分の事業所がどの区分に当たるかは早めにチェックしておくのが安心だよ。

③ 新しく導入された減算

令和6年度改定では、運営基準の遵守を促すための減算がいくつか導入・整理されました。通所リハビリに関係する主なものを押さえましょう。

業務継続計画(BCP)未策定減算

感染症・自然災害に備えた業務継続計画(BCP)を策定していない事業所に対する減算が導入されました。通所系サービスでは基本報酬の1%を減算します(施設・居住系は3%)。一定の経過措置が設けられたうえで適用されています。

高齢者虐待防止措置未実施減算

虐待防止のための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の配置といった措置を講じていない場合の減算です。通所系では委員会を年1回以上開催することなどが求められ、未実施の場合は基本報酬の1%が減算されます。

注意 身体的拘束等の「適正化」は通所リハでも運営基準上の記録などが義務化されましたが、いわゆる「身体拘束廃止未実施減算」は施設・居住系・短期入所・多機能系が対象で、訪問・通所系には適用されません。混同しやすいため、自事業所に適用される減算を正確に確認しましょう。

④ 運営基準・その他の見直し

報酬以外にも、運営基準の見直しが複数行われました。通所リハビリに関係する代表的な項目は次のとおりです。

  1. 医療機関のリハビリテーション計画書の受け取りの義務化(医療と介護のリハ連携を強化)
  2. 退院後早期のリハビリ実施に向けた退院時情報連携の推進
  3. 身体的拘束等の適正化の推進(記録・指針・研修などの整備)
  4. 高齢者虐待防止の推進(委員会・指針・研修・担当者配置)
  5. 豪雪地帯等で気象状況が急変した場合の所要時間の取扱いの明確化
  6. 通所系サービスにおける送迎の取扱いの明確化(他事業所利用者との同乗など)
  7. テレワークの取扱いや外国人介護人材の人員配置基準上の取扱いの見直し
現場で優先して着手したいこと ①BCPの策定と研修・訓練の実施、②虐待防止委員会・指針・研修の整備、③身体拘束適正化の記録ルール作り。減算回避に直結する3点から優先的に整えるのがおすすめです。

改定対応で管理者が押さえるべきポイント

改定項目は多いですが、運営の優先順位をつければ対応はシンプルになります。次の流れで進めると抜け漏れを防げます。

  1. 減算リスク(BCP・虐待防止)の有無を点検し、未整備なら最優先で対応する
  2. 処遇改善加算の新区分への移行手続きと要件を確認する
  3. リハ・口腔・栄養の一体的計画書の様式に対応する
  4. 入浴介助加算(II)などICT活用の余地がある加算を検討する
  5. 自治体の集団指導資料・Q&Aで最新の解釈を確認する

よくある質問(FAQ)

令和6年度の通所リハの基本報酬は上がったのですか?
区分によりますが、通常規模型では多くの区分で単位数が引き上げられました。一方で大規模型は評価方法が見直され、要件を満たせば通常規模型と同等の基本報酬を算定できる仕組みになりました。
BCP未策定減算はいつから、いくら減算されますか?
通所系では基本報酬の1%が減算されます。経過措置が設けられたうえで適用されています。最新の適用時期は厚生労働省・自治体の通知で確認してください。
通所リハに身体拘束廃止未実施減算は適用されますか?
適用されません。身体拘束廃止未実施減算は施設・居住系・短期入所・多機能系が対象です。ただし通所リハでも身体拘束等の適正化(記録・指針・研修)は運営基準で求められます。
処遇改善加算の一本化で何が変わりますか?
従来の3加算が「介護職員等処遇改善加算」に統合され、要件と加算率が再整理されました。移行には経過措置や要件確認が必要なため、早めの対応が安心です。
正確な単位数はどこで確認できますか?
厚生労働省の介護報酬改定資料(告示・留意事項通知・Q&A)や、各自治体の集団指導資料が一次情報です。本記事の数値も目安として、必ず一次情報で照合してください。
まとめ
  • 令和6年度改定(通所リハ)は「基本報酬」「加算」「減算」「運営基準」の4分野で押さえる。
  • 基本報酬は通常規模型の多くの区分で引き上げ、大規模型は要件次第で通常規模型と同等に。
  • 新たにBCP未策定減算(通所1%)高齢者虐待防止措置未実施減算(1%)を導入。
  • リハ・口腔・栄養の一体的取組、入浴介助加算(II)のICT活用、処遇改善加算の一本化が大きな見直し点。
  • 正確な単位数・要件は必ず厚生労働省・自治体の一次情報で確認を。

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」/社会保障審議会 介護給付費分科会(第239回)資料1・参考資料1/介護保険最新情報 各号/WAM NET「令和6年度介護報酬改定」

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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