令和6年度の介護報酬改定で、訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションのリハビリテーション計画書の様式が見直されました。「どの様式を使えばいいの?」「リハだけ記入する様式と、栄養・口腔まで一体で記入する様式は何が違うの?」——現場ではこうした疑問がつきません。

この記事では、令和6年度改定後の訪問&通所リハの計画書・様式を、2つのパターンに整理してわかりやすく解説します。あわせて、医療保険から介護保険への移行時に役立つ厚生労働省のQ&Aのポイントも、PT・OT・ST目線でまとめました。

この記事でわかること
  • 令和6年度改定後のリハ計画書・様式の全体像(2パターン)
  • 一体的様式(別紙様式1-1〜1-4)とリハのみ様式(2-2-1・2-2-2)の違い
  • 医療→介護移行時に様式2-2-1を計画書とみなせる条件
  • Barthel IndexをFIMに代替できるか等、厚労省Q&Aの実務ポイント

令和6年度改定後のリハ計画書・様式は大きく2パターン

令和6年度介護報酬改定後の訪問&通所リハビリテーション計画書の様式は、大きく分けて2つのパターンがあります。自分の事業所がどちらを使うべきかを、まず全体像で押さえましょう。

パターン様式特徴
パターン①
一体的様式
別紙様式1-1/1-2/1-3/1-4リハビリ・個別機能訓練・栄養管理・口腔管理の評価等を一体的に記入できる様式
パターン②
リハのみ様式
別紙様式2-2-1/2-2-2主にリハビリテーションのみを記入できる様式
ちびウルフちびウルフ

なんで様式が2パターンに分かれてるの?

リハウルフリハウルフ

令和6年度改定では、リハビリ・栄養・口腔を切れ目なく一体的に進める方向が強く打ち出されたんだ。だから三位一体で書ける様式(パターン①)が用意された。一方で、リハだけを記入したい場面もあるから、リハ中心の様式(パターン②)も残されている、というわけだよ。

パターン①:一体的様式(別紙様式1-1〜1-4)

パターン①は、リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理、口腔管理の取組を一体的に運用し、自立支援・重度化防止を効果的に進めるための様式です。これらに関する評価等を一体的に記入できるよう、別紙様式1-1、1-2、1-3、1-4が用意されています。

リハ・栄養・口腔をバラバラに評価するのではなく、一つの様式群でつなげて管理することで、多職種が同じ視点で利用者を支えられる設計になっています。リハビリテーションマネジメント加算や口腔・栄養関連の取組を一体的に進めたい事業所に向いています。

ポイント:一体的様式が目指すもの令和6年度改定の大きな方向性は「リハ・栄養・口腔の一体的取組」。別紙様式1-1〜1-4は、その理念を1つの様式群で実現するためのものです。多職種連携を前提に運用すると効果を発揮します。

パターン②:リハのみ様式(別紙様式2-2-1・2-2-2)

パターン②は、主にリハビリテーションのみを記入する様式で、別紙様式2-2-1および2-2-2が該当します。リハビリ計画を中心に記載したい場面で使われ、とくに医療保険から介護保険のリハビリへ移行する利用者の情報提供で重要な役割を持ちます。

厚生労働省のQ&Aでは、医療機関がこの別紙様式2-2-1を用いて情報提供を行い、一定の要件を満たした場合、その様式を介護保険のリハビリテーション計画書とみなして算定を開始してよい、とされています。医療から介護への「切れ目のない移行」を支える仕組みです。

厚労省Q&Aで押さえる実務ポイント

様式の使い方をめぐっては、厚生労働省のQ&Aで具体的な取り扱いが示されています。現場で迷いやすい4点を整理します。

① Barthel IndexをFIMに代替できるか

別紙様式2-2-1のADL評価項目にはBarthel Indexが用いられていますが、医療機関から介護側へ提供する際に、これをFIM(Functional Independence Measure)に代替することは可能です。ただし、Barthel Indexの代替としてFIMを用いる場合に限られ、情報提供をする医師と受ける医師の間で事前の合意が必要です。

② 同一医療機関・同一医師なら診療を省略できるか

情報提供を行う医療機関と、情報提供を受ける介護保険のリハビリ事業所が同一の場合も、様式2-2-1を計画書とみなす取り扱いは同様に可能です。さらに、様式2-2-1を記載した医師と、事業所側で情報提供を受ける医師が同一であれば、事業所における医師の診療を省略して差し支えありません。

注意:省略するなら理由を記録医師の診療を省略する場合は、省略した旨を理由とともに記録することが求められます。「同一医師だから省略した」という根拠を必ず残しましょう。

③ 訪問リハと通所リハの両方で共通の計画とみなせるか

医療から介護へ移行する利用者が、訪問リハと通所リハの両方を利用する場合、別紙様式2-2-1による情報提供の内容を共通のリハビリテーション計画とみなし、双方で使用して差し支えありません。ただし、リハビリテーション会議の開催等を通じて、病状・心身の状況・希望・環境に関する情報を構成員と共有し、訪問・通所それぞれの目標と提供内容に整合が取れていることを確認する必要があります。

④ 標準様式を使わないと加算は算定できないのか

提示されている様式はあくまで標準例です。同様の項目が記載されたものであれば、各事業所で活用している様式でも差し支えありません。所定の様式そのものを使わなくても、必要項目を満たせばリハビリテーションマネジメント加算や移行支援加算等は算定できます。

リハウルフリハウルフ

「厚労省の様式じゃないと加算が取れない」と思い込んでいる事業所は多いけど、そうじゃないんだ。大事なのは様式の見た目より、必要な項目がちゃんと記載されているかどうか。自事業所の使い慣れた様式でも、項目を満たせばOKだよ。

医療→介護の移行で様式2-2-1を使うときの手順

実務でいちばん問い合わせが多いのが、医療保険から介護保険へリハビリを移行するケースです。様式2-2-1を計画書とみなして算定を始める流れを整理します。

  1. 医療機関から様式2-2-1で情報提供を受ける。ADL評価はBarthel Index、または医師間の合意があればFIMでも可。
  2. みなしの要件を満たすか確認する。必要項目が記載され、他の要件を満たしていれば、様式2-2-1をリハビリ計画書とみなせます。
  3. 同一医師なら診療省略を検討する。記載医師と受け手の医師が同一なら、事業所側の診療を省略可(理由を記録)。
  4. 訪問・通所を併用するなら整合を確認する。共通計画として使う場合は、リハビリテーション会議で目標・内容の整合を確認します。

令和6年度改定で様式が見直された背景

そもそもなぜ様式が再編されたのか。背景を押さえると、どの様式をどう使うべきかが腹落ちします。令和6年度改定では、高齢者の自立支援・重度化防止に向けて、リハビリ・栄養・口腔を「三位一体」で切れ目なく進める方向性が一段と強調されました。

従来はリハ・栄養・口腔がそれぞれ別の様式・別のタイミングで評価されがちで、多職種が同じ利用者像を共有しづらいという課題がありました。これを解消するために、評価等を一体的に記入できる別紙様式1-1〜1-4が整備されたのです。リハ専門職にとっても、栄養状態や口腔機能を踏まえてリハ計画を立てられる点は大きなメリットです。

ポイント:様式は「連携の道具」様式の再編は、書類を増やすためではなく、リハ・栄養・口腔の専門職が同じ土俵で利用者を支えるための「共通言語」をつくるためのものです。一体的様式を選ぶなら、多職種でのカンファレンス運用とセットで考えると効果が高まります。

実務で起きやすい様式の取り違え

現場でよくあるつまずきが、「移行時の情報提供様式」と「日常運用のリハ計画書」を混同してしまうケースです。様式2-2-1は医療→介護の移行時に医療機関から情報提供を受ける場面で力を発揮する様式であり、これをみなしで計画書として使えるのは要件を満たしたときに限られます。移行とは関係のない通常の新規利用者では、自事業所の運用様式で必要項目を満たして計画書を作成すれば問題ありません。

よくある質問(FAQ)

別紙様式1-1〜1-4と2-2-1・2-2-2はどう使い分けますか?
リハ・栄養・口腔を一体的に運用したいなら一体的様式(1-1〜1-4)、リハ中心に記入したい・医療からの移行情報を扱うならリハのみ様式(2-2-1・2-2-2)が基本の使い分けです。事業所の運用方針に合わせて選びます。
医療機関から提供された様式2-2-1を、そのまま介護のリハ計画書にできますか?
他の要件を満たせば、様式2-2-1をリハビリテーション計画書とみなして算定を開始できます。ADL評価はBarthel Index、医師間合意があればFIMでも可です。
厚労省の標準様式でないと加算は取れませんか?
取れます。様式は標準例であり、同様の項目が記載されていれば自事業所の様式でも差し支えありません。重要なのは様式の体裁ではなく必要項目の有無です。
訪問リハと通所リハで同じ計画書を共有できますか?
できます。様式2-2-1による情報提供を共通計画とみなして双方で使えますが、リハビリテーション会議等で目標・提供内容の整合を確認することが条件です。
まとめ
  • 令和6年度改定後のリハ計画書様式は2パターン。一体的様式(別紙様式1-1〜1-4)とリハのみ様式(2-2-1・2-2-2)。
  • 一体的様式はリハ・栄養・口腔を一体運用する設計。リハのみ様式は医療→介護の移行時の情報提供で活躍する。
  • 様式2-2-1は要件を満たせば介護のリハ計画書とみなせる。ADLはBarthel、医師間合意があればFIM代替も可。
  • 標準様式でなくても、同様の項目が記載されていれば加算は算定できる。診療省略時は理由の記録を忘れずに。

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」、同「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」、令和6年度介護報酬改定に関する厚生労働省Q&A。様式・要件は今後の通知で変更される場合があるため、最新の公表資料をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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