通所介護の中山間地域等サービス提供加算とは?

通所介護(デイサービス)の中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は、1日につき所定単位数の100分の5です。中山間地域等に住む利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えてサービスを提供した場合に算定します。
この加算でつまずくのは、事業所がどこにあるかではなく、利用者がどこに住んでいるかで判定する点です。都市部の事業所でも、実施地域外の山間部に住む方を受け入れていれば算定できます。逆に、事業所が中山間地域にあっても、実施地域内の方には算定できません。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)通所介護費の注9と、厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域(平成21年厚生労働省告示第83号)第2号の原文を確認して整理しました。
- 中山間地域等サービス提供加算は所定単位数の5%であること
- 判定するのが利用者の居住地であること
- 「通常の事業の実施地域を越えて」が要件であること
- 対象となる10区分の地域
- 運営規程の実施地域の設定が算定可否を左右すること
- 条文上、届出の定めがないこと
- 通所介護には15%・10%の加算がないこと
- 送迎の負担をどう考えるか
ちびウルフ訪問系には15%や10%の加算がありますよね。通所介護には5%だけなんですか?
リハウルフ通所介護費には注9の5%だけです。特別地域加算15%も小規模事業所加算10%もありません。訪問系は事業所が不便な場所にあること自体が負担ですが、通所は利用者が通ってくる形。負担の出方が違うという整理でしょう。そのぶん、遠方への送迎という形で負担が出ます。
通所介護の中山間地域等サービス提供加算とは?
通所介護の中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は、通常の事業の実施地域の外に住む中山間地域等の利用者を受け入れた場合に、基本報酬に一定割合を上乗せする加算です。告示19号 通所介護費の注9に規定されています。
中山間地域では、通所介護の事業所そのものが少なく、あっても遠い。通いたくても通える範囲に事業所がない、という状況が生じます。
事業所の側から見れば、実施地域の外まで送迎に出るのは大きな負担です。往復の時間が長く、その分だけ他の利用者の送迎が組みにくくなる。この加算は、その負担を引き受けて広く利用者を受け入れる事業所を評価するものです。
令和6年度介護報酬改定では、この加算の加算率・要件に変更はありませんでした。
中山間地域等サービス提供加算の加算率
9 指定通所介護事業所の従業者(略)が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域(指定居宅サービス基準第100条第6号に規定する通常の事業の実施地域をいう。)を越えて、指定通所介護を行った場合は、1日につき所定単位数の100分の5に相当する単位数を所定単位数に加算する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算率 | 所定単位数の100分の5 |
| 算定の単位 | 1日につき |
| 判定するもの | 利用者の居住地(事業所の所在地ではない) |
| 要件 | 通常の事業の実施地域を越えてサービスを行うこと |
| 届出 | 条文上、届出の定めはない |
金額のイメージ
| 基本報酬(通常規模型・7〜8時間) | 5%加算 | 週2回・月8回の場合 |
|---|---|---|
| 要介護1:658単位 | 約33単位 | 約264単位 |
| 要介護3:900単位 | 45単位 | 360単位 |
| 要介護5:1,148単位 | 約57単位 | 約456単位 |
※概算です。実際は所定単位数に乗じます。
中山間地域等サービス提供加算の算定要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①利用者の居住地 | 別に厚生労働大臣が定める地域(告示83号 第2号)に居住していること |
| ②実施地域外 | 通常の事業の実施地域を越えてサービスを行うこと |
| ③提供主体 | 指定通所介護事業所の従業者がサービスを行うこと |
対象となる地域(告示83号 第2号)
| 区分 | 地域 |
|---|---|
| イ | 離島振興法により指定された離島振興対策実施地域 |
| ロ | 奄美群島 |
| ハ | 豪雪地帯および特別豪雪地帯 |
| ニ | 辺地 |
| ホ | 山村振興法により指定された振興山村 |
| ヘ | 小笠原諸島 |
| ト | 半島振興法により指定された半島振興対策実施地域 |
| チ | 特定農山村地域 |
| リ | 過疎地域 |
| ヌ | 沖縄振興特別措置法に規定する離島 |
10区分と幅広く、豪雪地帯・辺地・過疎地域など、離島や山村に限らない地域が含まれます。自事業所の周辺に該当地域がないか、一度確認してみる価値があります。
「通常の事業の実施地域」とは
指定居宅サービス等基準第100条第6号に規定するもので、運営規程に定め、重要事項説明書に記載している事業の実施地域です。
- 実施地域を広く設定している → 実施地域内となり算定できない
- 実施地域を実態に合わせて設定している → 地域外の利用者に算定できる
実施地域を広めに設定していると、この加算を算定できません。「たくさん受け入れたいから広く書いておこう」という運営規程の作り方が、結果として加算を落とすことになります。
担当したケースでも、市内全域を実施地域にしている事業所がありました。市の一部が過疎地域に指定されていたのに、実施地域内であるため算定できない。運営規程の見直しとあわせて検討する価値があります。
通所介護には5%しかない
| 加算 | 訪問介護・訪問看護等 | 小多機・看多機 | 通所介護 |
|---|---|---|---|
| 特別地域加算(15%) | あり | あり | なし |
| 中山間地域等における小規模事業所加算(10%) | あり | あり | なし |
| 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(5%) | あり | あり | あり |
訪問系や多機能系のサービスには3種類の地域加算がありますが、通所介護費には注9の5%だけです。
訪問系は事業所が条件不利地域にあること自体が運営上の負担になるため、事業所の所在地で判定する15%・10%が設けられています。通所介護は利用者が通ってくる形態のため、負担は「遠方への送迎」という形で出る。だから利用者の居住地で判定する5%のみ、という整理と読めます。
中山間地域等サービス提供加算の注意点
届出の定めがない
注9には、他の加算にある「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届出を行った事業所」という文言がありません。条文上、届出を要件としていない加算です。ただし実際の取扱いは指定権者に確認してください。
1日につき算定する
注9は「1日につき」です。通所介護の基本報酬が「1回につき」であるのと表現が異なりますが、実務上は利用日ごとに算定することになります。
所定単位数に乗じる
「所定単位数の100分の5」なので、基本報酬だけでなく、その日に算定した加算を含めた所定単位数に乗じます。入浴介助加算や個別機能訓練加算を算定していれば、その分にも5%が乗ります。
自地域が該当するかは確認が必要
豪雪地帯・辺地・過疎地域などは法律ごとに指定範囲が異なり、市町村内でも一部の区域だけが該当する場合があります。思い込みで判断せず、指定権者に確認してください。
送迎減算との関係
通所介護には、送迎を行わない場合の減算(片道47単位)があります。実施地域外の利用者について、家族が送迎する形にしている場合は送迎減算の対象になり得ます。この加算とは別の規定なので、それぞれ確認してください。
- 利用者の居住地が告示83号第2号の地域に該当するか(指定権者に確認)
- 運営規程の通常の事業の実施地域を確認したか
- その利用者が実施地域の外に住んでいるか
- 実施地域の設定が実態に合っているか
- 所定単位数(加算を含む)に5%を乗じているか
- 送迎減算の対象になっていないか
よくある質問
通所介護の中山間地域等サービス提供加算は何%ですか?
1日につき所定単位数の100分の5です。
事業所の所在地で判定しますか?
しません。利用者の居住地で判定します。
実施地域内の利用者にも算定できますか?
できません。条文は「通常の事業の実施地域を越えて」と明記しています。
対象となる地域は?
離島振興対策実施地域、奄美群島、豪雪地帯・特別豪雪地帯、辺地、振興山村、小笠原諸島、半島振興対策実施地域、特定農山村地域、過疎地域、沖縄の離島の10区分です。
「通常の事業の実施地域」はどこで決まりますか?
運営規程に定め、重要事項説明書に記載している実施地域です。指定居宅サービス等基準第100条第6号に規定されています。
実施地域を広く設定していると不利ですか?
この加算に関しては不利になります。実施地域内となり算定できません。
通所介護に15%や10%の加算はありますか?
ありません。通所介護費に規定されている地域加算は注9の5%のみです。
届出は必要ですか?
注9に届出を求める文言はありません。ただし実際の取扱いは指定権者に確認してください。
何に対して5%を計算しますか?
所定単位数です。基本報酬だけでなく、その日に算定した加算も含まれます。
過疎地域なら必ず対象ですか?
市町村内でも一部の区域だけが該当する場合があります。指定権者に確認してください。
家族が送迎している場合は?
この加算とは別に、送迎を行わない場合の減算(片道47単位)の対象になり得ます。それぞれ確認してください。
誰がサービスを行う必要がありますか?
指定通所介護事業所の従業者です。
- 通所介護の中山間地域等サービス提供加算は1日につき所定単位数の5%
- 判定するのは事業所の所在地ではなく利用者の居住地
- 「通常の事業の実施地域を越えて」サービスを行うことが要件
- 対象地域は告示83号第2号の10区分
- 離島・奄美群島・豪雪地帯・辺地・振興山村・小笠原諸島・半島振興地域・特定農山村地域・過疎地域・沖縄の離島
- 豪雪地帯や過疎地域など、離島や山村に限らない地域も含まれる
- 実施地域を広く設定していると算定できない
- 運営規程の実施地域の設定が算定可否を左右する
- 通所介護費に特別地域加算15%・小規模事業所加算10%はない
- 訪問系は事業所の所在地で判定する加算があるが、通所介護は利用者の居住地のみ
- 注9には届出を求める文言がない
- 所定単位数に乗じるため、その日に算定した加算にも5%が乗る
- 市町村内でも一部の区域だけが該当する場合がある
- 家族送迎の場合は送迎減算(片道47単位)の対象になり得る
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日厚生省告示第19号)別表「通所介護費」注9(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域(平成21年3月13日厚生労働省告示第83号)第2号(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条第1項・第100条第6号(通常の事業の実施地域)(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の加算率・対象地域は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに自地域が告示83号第2号の地域に該当するか、届出の要否、「通常の事業の実施地域を越えて」の判断、送迎減算との関係については告示本文だけでは確定できず、留意事項通知および指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。記事中の金額は概算です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。
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