通所介護の定員超過・人員欠如減算とは?

通所介護の定員超過利用減算・人員基準欠如減算は、いずれも所定単位数の100分の70で算定するものです。3割減という重い内容です。
判定の考え方で最も重要なのは、定員超過が「月平均の利用者数」で判定される点です。
1日だけ定員を超えたからといって即座に該当するわけではありません。逆に、毎日わずかずつ超過していれば月平均で該当します。
もうひとつ、総合事業(第1号通所事業)と一体的に運営している場合は、両方の利用者数を合計して判定します。介護給付だけで数えて定員内でも、合計すると超過するケースがあります。
この記事では、厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成27年厚生労働省告示第27号)一と、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生労働省告示第19号)通所介護費の注1を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 定員超過・人員欠如はいずれも70%算定
- 定員超過は「月平均の利用者数」で判定すること
- 総合事業と一体運営の場合は合計数で判定すること
- 人員欠如は共生型かどうかで参照条文が変わること
- 2つが重なった場合の考え方
- 加算にも影響が及ぶこと
ちびウルフ1日だけ定員オーバーしちゃったんですけど、その日だけ70%になるんですか?
リハウルフ告示が定めているのは「月平均の利用者の数」が運営規程の利用定員を超えることです。1日単位の判定ではありません。ただし1日でも超えれば運営基準違反という問題は別に残ります。報酬上の減算に該当しないことと、指導を受けないことは別の話です。
通所介護の定員超過・人員欠如減算とは?
通所介護の定員超過利用減算・人員基準欠如減算は、定員や職員配置という運営の土台が守られていない場合に、基本報酬を70%で算定する仕組みです。
加算のように「取りに行く」ものではなく、基準を満たしていない状態が続けば自動的に該当します。
通所介護は1日あたりの受け入れ人数と職員配置が直結するサービスです。利用者が増えれば必要な職員も増え、職員が欠ければ受け入れられる人数も減ります。この2つの減算は、その両側から歯止めをかける構造になっています。
通所介護の定員超過・人員欠如減算の減算率
| 減算 | 算定方法 | 判定の対象 |
|---|---|---|
| 定員超過利用減算 | 所定単位数の100分の70 | 月平均の利用者の数 |
| 人員基準欠如減算 | 所定単位数の100分の70 | 看護職員・介護職員の員数 |
(定員超過)介護保険法施行規則第119条の規定に基づき都道府県知事に提出した運営規程に定められている利用定員を超えること。
→ 指定居宅サービス介護給付費単位数表の所定単位数に百分の七十を乗じて得た単位数を用いて算定する。
(人員欠如)指定居宅サービス基準第105条の2の規定の適用を受けない指定通所介護事業所にあっては、指定居宅サービス基準第93条に定める員数を置いていないこと。
→ 所定単位数に百分の七十を乗じて得た単位数を用いて算定する。
条文は「減算する」ではなく「70%を乗じて得た単位数を用いて算定する」という書き方です。基本報酬そのものを置き換える形になります。
通所介護の定員超過・人員欠如減算の算定要件
定員超過の判定
- 判定の対象は月平均の利用者の数
- 基準となるのは運営規程に定められている利用定員
- 運営規程は施行規則第119条に基づき都道府県知事に提出したもの
指定通所介護事業者が第1号通所事業(総合事業の通所型サービス)の指定を併せて受け、同一の事業所で一体的に運営している場合は、次の合計数で判定します。
- 指定通所介護の利用者の数
- 第1号通所事業の利用者の数
介護給付の利用者だけを数えていると、判定を誤ります。
人員欠如の判定
参照する条文が、共生型通所介護の規定の適用を受けるかどうかで変わります。
| 事業所の区分 | 参照する員数の基準 |
|---|---|
| 第105条の2の適用を受けない事業所 | 指定居宅サービス基準第93条に定める員数 |
| 第105条の2の適用を受ける事業所(共生型) | 同条第1号に定める員数 |
共生型通所介護を行う事業所は、通常の通所介護とは別の員数基準で判定されます。自事業所がどちらに当たるかを確認してください。
基本報酬の注1にも同じただし書きがある
通所介護費の注1は、標準的な時間で所定単位数を算定すると定めたうえで、「ただし、利用者の数又は看護職員若しくは介護職員の員数が別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合は、別に厚生労働大臣が定めるところにより算定する」としています。
つまりこの70%算定は、加算・減算の一覧の外側にある、基本報酬そのものの算定方法として位置づけられています。
通所介護の定員超過・人員欠如減算の注意点
告示は「所定単位数に百分の七十を乗じて得た単位数を用いて、算定に関する基準の例により算定する」としています。
70%にした単位数を基礎として、その後の算定を行うという構造です。基本報酬を基礎に計算される部分は連動して影響を受けます。具体的にどの加算がどう影響するかは、請求システムの取扱いと指定権者の解釈を確認してください。
2つが同時に該当した場合
定員超過と人員欠如が同時に生じた場合の取扱いについて、告示本文に「両方を重ねて適用する」「一方のみ適用する」といった明記はありません。いずれも「70%を乗じた単位数を用いて算定する」という同じ結論になる規定です。取扱いは指定権者に確認してください。
1日単位の定員超過は運営基準の問題
報酬上の判定は月平均ですが、運営規程に定めた利用定員を1日でも超えることは、指定居宅サービス基準上の問題です。
実地指導では日々の利用実績が確認されます。「月平均では定員内だから問題ない」という説明は、運営基準の観点では通りません。(実地指導の運用に関する記述は筆者の実務経験にもとづく整理です)
予防的な管理
- 運営規程の利用定員を確認する(変更しているなら届出済みか)
- 総合事業を一体運営しているなら、合計での日々の実績を集計する
- 月平均利用者数を月次で算出する
- 看護職員・介護職員の配置を提供時間帯ごとに確認する
- 共生型の適用の有無に応じた員数基準を確認する
- 定員に余裕がないなら、運営規程の変更届出を検討する
通所介護の定員超過・人員欠如減算のQ&A
減算率は何%ですか?
いずれも所定単位数に100分の70を乗じた単位数を用いて算定します。3割減にあたります。
1日だけ定員を超えた場合も該当しますか?
告示は月平均の利用者の数で判定するとしています。ただし運営基準上は別の問題です。
総合事業の利用者も数えますか?
第1号通所事業の指定を併せて受け、同一事業所で一体的に運営している場合は合計数で判定します。
基準となる定員はどこに書いてあるものですか?
都道府県知事に提出した運営規程に定められている利用定員です。
共生型の場合も同じ員数基準ですか?
異なります。第105条の2の適用を受ける事業所は同条第1号に定める員数で判定します。
両方に該当したら70%を2回掛けますか?
告示本文に明記はありません。指定権者に確認してください。
加算も70%になりますか?
70%を乗じた単位数を用いて算定に関する基準の例により算定する、という構造です。具体的な影響範囲は請求システムと指定権者の解釈を確認してください。
定員を増やしたい場合はどうしますか?
運営規程の変更と届出が必要です。設備・人員の基準を満たすことが前提になります。
- 定員超過利用減算・人員基準欠如減算はいずれも所定単位数の70%で算定
- 条文は「減算する」ではなく「70%を乗じた単位数を用いて算定する」
- 定員超過は月平均の利用者の数で判定する
- 基準は運営規程に定められている利用定員
- 総合事業と一体運営なら両方の利用者数の合計で判定
- 人員欠如は共生型かどうかで参照条文が変わる
- 共生型でない場合は指定居宅サービス基準第93条の員数
- 基本報酬の注1のただし書きに位置づけられている
- 1日単位の定員超過は運営基準上の問題として別に残る
- 厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成27年厚生労働省告示第27号)一(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生労働省告示第19号)別表 通所介護費の注1(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条、第105条の2
- 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第119条
※本記事の算定方法・要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・政令市・中核市)の解釈をご確認ください。解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに月平均利用者数の具体的な算出方法、定員超過と人員欠如が同時に該当した場合の取扱い、70%算定が各加算に及ぼす影響の範囲、減算の開始・終了時期については告示本文に明記がなく、解釈通知および指定権者の取扱いによります。所在自治体に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




