通所介護の同一建物減算94単位と送迎減算47単位|重複しない判定の順番を解説

通所介護には、送迎にまつわる減算が2つあります。同一建物減算94単位/日と送迎減算 片道47単位。名前も金額も違いますが、混同されがちです。
結論から言うと、この2つは重ねて減算されません。通知が「注23の減算の対象となっている場合には、当該減算の対象とはならない」と明記しています。同一建物減算が適用されている利用者に、さらに片道47単位×2を引く——という処理は誤りです。
そしてもうひとつ、同一建物減算には例外があります。ただし「傷病により送迎が必要」というだけでは足りず、2人以上の従業者が往復の移動を介助した場合に限られるという、かなり厳しい条件が通知に置かれています。
この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(厚生省告示第19号)通所介護費 注23・注24、老企第36号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 同一建物減算は94単位/日、送迎減算は片道47単位であること
- 2つの減算は重複しないこと
- 「同一建物」の定義(一体的な建築物・渡り廊下)
- 同一敷地内の別棟や道路を挟んだ隣接は該当しないこと
- 建物の管理・運営法人が違っても該当すること
- 同一建物減算の例外と、その厳しい条件(2人以上の従業者による移動介助)
- 例外を使うにはサービス担当者会議での検討と計画への記載が必要なこと
- 送迎減算は「片道ごと」に判定すること
- 家族が送ってきた場合・自分で通ってきた場合の扱い
- 通所リハビリの同じ減算との比較
2つの減算の全体像
| 減算 | 単位数 | 単位 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 同一建物減算(注23) | 94単位 | 1日につき | 事業所と同一建物に居住/同一建物から通う者 |
| 送迎減算(注24) | 47単位 | 片道につき | 居宅と事業所の間の送迎を行わない場合 |
送迎減算の通知にただし書きがあります。「ただし、注23の減算の対象となっている場合には、当該減算の対象とはならない。」
同一建物減算94単位が引かれている利用者について、さらに送迎減算を引くことはありません。同一建物の人は事業所の従業者が送迎していないのが通常なので、二重に減算しないよう整理されています。
判定の順番は①同一建物減算に該当するか → ②該当しないなら送迎の有無を見る、です。
同一建物減算94単位/日
告示 通所介護費 注23です。
指定通所介護事業所と同一建物に居住する者又は指定通所介護事業所と同一建物から当該指定通所介護事業所に通う者に対し、指定通所介護を行った場合は、1日につき94単位を所定単位数から減算する。ただし、傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要であると認められる利用者に対して送迎を行った場合は、この限りでない。
- 対象は「同一建物に居住する者」と「同一建物から通う者」の2類型
- 減算は1日につき94単位
- ただし書きに例外がある(後述)
「同一建物」の定義——渡り廊下は該当、別棟は非該当
老企第36号 通所介護費(22)①が、判断基準を具体的に示しています。
注23における「同一建物」とは、当該指定通所介護事業所と構造上又は外形上、一体的な建築物を指すものであり、具体的には、当該建物の一階部分に指定通所介護事業所がある場合や、当該建物と渡り廊下等で繋がっている場合が該当し、同一敷地内にある別棟の建築物や道路を挟んで隣接する場合は該当しない。
また、ここでいう同一建物については、当該建築物の管理、運営法人が当該指定通所介護事業所の指定通所介護事業者と異なる場合であっても該当するものであること。
| 状況 | 同一建物に該当するか |
|---|---|
| 建物の1階に事業所、上階が住宅 | 該当する |
| 渡り廊下等でつながっている | 該当する |
| 同一敷地内にある別棟 | 該当しない |
| 道路を挟んで隣接 | 該当しない |
| 建物の管理・運営法人が別法人 | 該当する(法人の別は関係ない) |
ちびウルフ敷地が同じでも建物が別なら減算されない、というのは少し意外です。
リハウルフそこが訪問系の同一建物減算と発想が違うところ。通所介護の同一建物減算が減らしているのは「送迎にかかるコスト」だからね。
同じ屋根の下や渡り廊下でつながっていれば、車を出さずに歩いて来られる。だから送迎分を引く。別棟なら、敷地内でも車で回る必要が出てくる場合があるから外している、という整理だと理解している。
逆にいえば、「渡り廊下でつながっているか」は現場で意外と判断が割れる。屋根付きの通路なのか、単なる敷地内通路なのか。ここは自己判断せず、指定権者に図面を見せて確認したほうが早い。
同一建物減算の例外——2人以上の従業者による移動介助が条件
告示のただし書き「傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要であると認められる利用者に対して送迎を行った場合」の中身を、通知②が具体的に絞り込んでいます。
なお、傷病により一時的に送迎が必要であると認められる利用者その他やむを得ない事情により送迎が必要と認められる利用者に対して送迎を行った場合は、例外的に減算対象とならない。具体的には、傷病により一時的に歩行困難となった者又は歩行困難な要介護者であって、かつ建物の構造上自力での通所が困難である者に対し、2人以上の従業者が、当該利用者の居住する場所と当該指定通所介護事業所の間の往復の移動を介助した場合に限られること。
ただし、この場合、2人以上の従業者による移動介助を必要とする理由や移動介助の方法及び期間について、介護支援専門員とサービス担当者会議等で慎重に検討し、その内容及び結果について通所介護計画に記載すること。また、移動介助者及び移動介助時の利用者の様子等について、記録しなければならない。
例外を使うには、次のすべてが必要です。
- ①対象者が傷病により一時的に歩行困難、または歩行困難な要介護者かつ建物の構造上自力での通所が困難
- ②2人以上の従業者が
- ③往復の移動を介助した
- ④理由・方法・期間をサービス担当者会議等で検討し、通所介護計画に記載、さらに介助者と利用者の様子を記録
1人の職員が付き添っただけでは例外になりません。片道だけでも足りません。ここを緩く運用していると、返還対象になります。
実務上は、「例外を使う=職員2名を送り出す」ということです。94単位(1単位10円換算で940円)を守るために職員2名の時間を使う価値があるかは、ケースごとに判断してください。
送迎減算 片道47単位
告示 通所介護費 注24は、きわめて短い規定です。
利用者に対して、その居宅と指定通所介護事業所との間の送迎を行わない場合は、片道につき47単位を所定単位数から減算する。
通知(23)が、具体的な場面を挙げています。
利用者が自ら指定通所介護事業所に通う場合、利用者の家族等が指定通所介護事業所への送迎を行う場合など、当該指定通所介護事業所の従業者が利用者の居宅と指定通所介護事業所との間の送迎を実施していない場合は、片道につき減算の対象となる。ただし、注23の減算の対象となっている場合には、当該減算の対象とはならない。
| 状況 | 減算 |
|---|---|
| 往復とも事業所が送迎 | 減算なし |
| 行きだけ家族が送ってきた | 片道47単位 |
| 帰りだけ家族が迎えに来た | 片道47単位 |
| 往復とも自分で通う/家族が送迎 | 94単位(47×2) |
| 同一建物減算の対象 | 送迎減算は適用しない |
送迎減算は1日単位ではなく片道ごとの判定です。行きは事業所の車、帰りは家族——というケースは実際によくあります。この日は片道分47単位だけの減算です。
往復とも事業所が送迎しない日は47×2=94単位。結果として同一建物減算と同額になりますが、根拠条文は別です。
判定の基準は「事業所の従業者が送迎したか」
通知の書きぶりは「当該指定通所介護事業所の従業者が…送迎を実施していない場合」です。理由は問われません。
- 利用者が自分で歩いて/自転車で来た → 減算
- 家族が車で送ってきた → 減算
- 他のサービス事業所の車で来た → 減算(事業所の従業者による送迎ではない)
- 事業所が委託した事業者が送迎した → 事業所の送迎として整理されるのが通常(取扱いは指定権者に確認)
「利用者が希望して自分で来ている」「家族が送りたいと言っている」といった事情があっても、減算は適用されます。納得を得るには、契約時の重要事項説明で送迎の有無と減算の関係を説明しておくのが確実です。
通所リハビリの同じ減算との比較
| 項目 | 通所介護 | 通所リハビリ |
|---|---|---|
| 同一建物減算 | 94単位/日 | 94単位/日 |
| 送迎減算 | 片道47単位 | 片道47単位 |
| 同一建物減算の例外 | 傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要と認められる場合 | |
| 二重減算 | しない(同一建物減算が優先) | |
単位数も構造も同じです。老企第36号も、通所リハビリの項で「通所介護と同様であるので、7(22)を参照されたい」としています。通所介護の解釈がそのまま通所リハビリにも当てはまります。
実務での確認ステップ
- 事業所と利用者の住まいの位置関係を図面で確認し、同一建物に該当するかを判定する
- 渡り廊下の有無など判断が微妙なケースは、図面を持って指定権者に確認する
- 同一建物に該当する利用者をリスト化し、94単位/日の減算を請求ソフトに設定する
- 同一建物の利用者について例外を使う場合は、2人以上の従業者による往復の移動介助が可能かを検討する
- 例外を使うなら、理由・方法・期間をサービス担当者会議で検討し、通所介護計画に記載する
- 移動介助者と介助時の利用者の様子を毎回記録する
- 同一建物に該当しない利用者について、日々の送迎実績を片道単位で記録する
- 家族送迎・自力通所があった日は、片道ごとに47単位の減算を反映する
- 契約時に、送迎の有無と減算の関係を利用者・家族に説明しておく
7つ目の「片道単位の送迎記録」が実務の要です。往復セットでしか記録していないと、片道だけ家族が迎えに来た日を拾えません。送迎記録の様式を、行き・帰りで分けておいてください。
よくある質問
同一建物減算と送迎減算は両方引かれますか?
引かれません。通知は「注23の減算の対象となっている場合には、当該減算(送迎減算)の対象とはならない」としています。
同一建物減算はいくらですか?
1日につき94単位です。
同一敷地内の別棟に住んでいる場合は減算されますか?
されません。通知は「同一敷地内にある別棟の建築物や道路を挟んで隣接する場合は該当しない」としています。
建物の運営法人が別なら減算されませんか?
されます。通知は「当該建築物の管理、運営法人が当該指定通所介護事業所の指定通所介護事業者と異なる場合であっても該当する」としています。
渡り廊下でつながっている建物は該当しますか?
該当します。通知が「当該建物と渡り廊下等で繋がっている場合が該当し」と明記しています。
同一建物でも送迎すれば減算されませんか?
送迎すれば必ず外れるわけではありません。傷病により一時的に歩行困難となった者等に対し、2人以上の従業者が往復の移動を介助した場合に限られます。
職員1人で付き添った場合は例外になりますか?
なりません。通知は「2人以上の従業者が、当該利用者の居住する場所と当該指定通所介護事業所の間の往復の移動を介助した場合に限られる」としています。
例外を使うときに必要な手続きは?
2人以上の従業者による移動介助を必要とする理由・方法・期間について、介護支援専門員とサービス担当者会議等で慎重に検討し、その内容と結果を通所介護計画に記載します。あわせて移動介助者と介助時の利用者の様子を記録します。
送迎減算は1日いくらですか?
片道につき47単位です。往復とも送迎しない場合は94単位の減算になります。
家族が送ってきた場合も減算されますか?
されます。通知は「利用者の家族等が指定通所介護事業所への送迎を行う場合など」を減算対象として挙げています。
行きだけ家族、帰りは事業所の場合は?
片道分の47単位が減算されます。片道ごとに判定します。
利用者が希望して自分で通っている場合も減算ですか?
減算されます。判定の基準は「事業所の従業者が送迎を実施したかどうか」であり、理由は問われません。
通所リハビリでも同じですか?
同じです。単位数も構造も共通で、老企第36号も通所リハビリの項で通所介護と同様の取扱いとしています。
- 通所介護の同一建物減算は1日につき94単位
- 送迎減算は片道につき47単位
- 2つの減算は重複せず、同一建物減算が適用される場合は送迎減算を適用しない
- 判定は「同一建物に該当するか」を先に見る
- 同一建物とは構造上または外形上、一体的な建築物
- 建物の1階に事業所がある場合や渡り廊下等でつながっている場合が該当する
- 同一敷地内の別棟や道路を挟んだ隣接は該当しない
- 建物の管理・運営法人が異なっていても該当する
- 同一建物減算には例外がある
- 例外の対象は傷病により一時的に歩行困難な者等
- 例外は2人以上の従業者が往復の移動を介助した場合に限られる
- 職員1人の付き添いや片道のみでは例外にならない
- 例外を使うには担当者会議での検討と通所介護計画への記載が必要
- 移動介助者と介助時の利用者の様子の記録も必要
- 送迎減算は片道ごとに判定する
- 家族が送迎した場合も自力通所も減算対象
- 利用者や家族の希望であっても減算は適用される
- 往復とも送迎しない日は47×2=94単位の減算
- 送迎記録は行き・帰りを分けて残す
- 通所リハビリの同減算も単位数・構造とも同じ
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号) 通所介護費 注23・注24、通所リハビリテーション費 注23・注24(全国老人保健施設協会 法令Q&A検索システム)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス等に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号) 通所介護費(22)事業所と同一建物に居住する利用者又は同一建物から通う利用者に通所介護を行う場合について、(23)送迎を行わない場合の減算について、通所リハビリテーション費(25)(26)
※本記事の単位数・減算の要件は、厚生労働省の告示および老企第36号の留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の請求にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。「構造上又は外形上、一体的な建築物」「渡り廊下等で繋がっている」に当たるかの判断、送迎を外部に委託している場合の取扱いは、個別の状況により指定権者の判断が分かれる可能性があります。判断に迷う場合は図面等を示して事前にご確認ください。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の減算額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。記録の残し方や利用者への説明に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




