訪問看護の長時間訪問看護加算とは?

訪問看護の長時間訪問看護加算は、1回につき300単位です。1時間以上1時間30分未満の訪問看護を行った後に引き続き訪問看護を行い、通算1時間30分以上になったときに算定します。
ただし誰にでも算定できる加算ではありません。対象は「特別な管理を必要とする利用者」に限られ、その範囲は特別管理加算とまったく同じ状態です。長く訪問したから算定できる、という加算ではないところが最大のつまずきどころです。この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問看護費の注7、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第6号、老企第36号 第2の4(13)の原文を確認して整理しました。
- 長時間訪問看護加算は1回につき300単位であること
- 算定できるのは1時間以上1時間30分未満の区分を算定した場合だけであること
- 対象者は特別管理加算と同じ「特別な管理を必要とする状態」であること
- 通算1時間30分以上という条件の意味
- 准看護師が行っても単位数は同じであること
- 要支援(介護予防訪問看護)でも同額で算定できること
- 特別地域訪問看護加算の計算では所定単位数に含まれること
- 2時間ルール(前回訪問からおおむね2時間未満は合算)との関係
ちびウルフ2時間かかった訪問なら、長時間訪問看護加算を取っていいんですよね?
リハウルフ時間だけでは決まりません。対象は「特別な管理を必要とする利用者」だけです。気管カニューレ、留置カテーテル、在宅酸素、真皮を越える褥瘡、週3日以上の点滴注射など、告示94号第6号の状態に当てはまらないと、何時間かかっても算定できません。ここを取り違えている事業所を、実際に何度か見ています。
訪問看護の長時間訪問看護加算とは?
長時間訪問看護加算は、医療依存度が高い利用者に対して、1回の訪問が長時間にわたらざるを得ない場合を評価する加算です。告示19号 訪問看護費の注7に規定されています。
訪問看護費の時間区分は、1時間以上1時間30分未満が上限です。それより長く訪問しても、時間区分の単位数は増えません。この上限を超える訪問が必要になる利用者を、別枠で評価する仕組みが長時間訪問看護加算です。
ポイントは、時間の長さと対象者の状態の両方が条件になっていることです。人工呼吸器の管理、複数の医療処置の同時実施、家族への手技指導など、そもそも短時間では終わらない看護が必要な人を想定した加算だと読めます。
令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。
長時間訪問看護加算の単位数
7 イ(4)及びロ(4)について、指定訪問看護に関し特別な管理を必要とする利用者(別に厚生労働大臣が定める状態にあるものに限る。以下同じ。)に対して、所要時間1時間以上1時間30分未満の指定訪問看護を行った後に引き続き指定訪問看護を行う場合であって、当該指定訪問看護の所要時間を通算した時間が1時間30分以上となるときは、1回につき300単位を所定単位数に加算する。
| 区分 | 単位数 | 算定頻度 | 要支援 |
|---|---|---|---|
| 長時間訪問看護加算 | 300単位 | 1回につき | ○(同額300単位) |
介護予防訪問看護費でも、注6に同じ規定が置かれています。要支援の方でも300単位で同額です。
基本の訪問看護費と合わせるといくらか
| 事業所の種類 | 1時間以上1時間30分未満 | +長時間訪問看護加算 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護ステーション | 1,128単位 | 300単位 | 1,428単位 |
| 病院・診療所 | 844単位 | 300単位 | 1,144単位 |
| 介護予防(ステーション) | 1,090単位 | 300単位 | 1,390単位 |
| 介護予防(病院・診療所) | 814単位 | 300単位 | 1,114単位 |
1回あたり300単位は、20分未満の訪問(314単位)とほぼ同じ規模です。月4回の長時間訪問があれば1,200単位になります。区分支給限度基準額への影響も小さくありません。
長時間訪問看護加算の算定要件
要件は3つあり、すべて満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①対象者 | 指定訪問看護に関し特別な管理を必要とする利用者(告示94号第6号の状態にある者) |
| ②算定した時間区分 | イ(4)またはロ(4)=所要時間1時間以上1時間30分未満の場合を算定していること |
| ③通算時間 | その訪問の後に引き続き訪問看護を行い、所要時間を通算して1時間30分以上となること |
対象となる「特別な管理を必要とする状態」(告示94号第6号)
特別管理加算の対象状態と同一です。次のいずれかに該当する状態です。
| 区分 | 状態 |
|---|---|
| イ | 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、在宅強心剤持続投与指導管理、在宅気管切開患者指導管理を受けている状態/気管カニューレまたは留置カテーテルを使用している状態 |
| ロ | 在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理、在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態 |
| ハ | 人工肛門または人工膀胱を設置している状態 |
| ニ | 真皮を越える褥瘡の状態 |
| ホ | 点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態 |
特別管理加算(Ⅰ)500単位はイのみ、(Ⅱ)250単位はロ〜ホですが、長時間訪問看護加算はイ〜ホのどれでも対象になります。区分による差はありません。
注7には「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして……届出を行った」という文言がありません。長時間訪問看護加算は体制加算ではないため、事前の届出は不要です。緊急時訪問看護加算や特別管理加算のように届け出てから算定する加算とは、性格が違います。
准看護師が行っても単位数は変わらない
老企第36号 第2の4(13)②に明記があります。
② 当該加算については、保健師又は看護師が行う場合であっても、准看護師が行う場合であっても、同じ単位を算定するものとする。
基本の訪問看護費は准看護師だと100分の90になりますが、長時間訪問看護加算の300単位は減りません。減算されるのは所定単位数(時間区分の部分)だけです。
長時間訪問看護加算の注意点
「引き続き」の意味を取り違えない
注7は「所要時間1時間以上1時間30分未満の指定訪問看護を行った後に引き続き指定訪問看護を行う場合」と書いています。別の日の訪問を足し合わせるものではありません。いったん退室して別の時間帯に再訪問した分を通算する、という読み方もできません。
1時間30分未満の区分を算定していなければ対象外
注7は「イ(4)及びロ(4)について」と限定しています。30分以上1時間未満(823単位)を算定した訪問に、長時間訪問看護加算を付けることはできません。1時間20分の訪問が続いて合計1時間50分になった、というケースは対象ですが、50分の訪問が2回で1時間40分、というケースは対象外です。
理学療法士等による訪問では算定できない
イ(5)(PT・OT・STによる訪問/294単位)は、注7の対象に入っていません。リハビリ職の訪問看護に長時間訪問看護加算は付きません。そもそも1回20分の積み上げで算定する区分なので、時間区分の考え方自体が異なります。
2時間ルールとの関係
老企第36号は、前回提供した訪問看護からおおむね2時間未満の間隔で訪問看護を行う場合、それぞれの所要時間を合算するとしています(20分未満の訪問看護を算定する場合と緊急訪問を除く)。長時間訪問看護加算は、この合算ルールとは別の話です。合算した結果として1時間以上1時間30分未満の区分になり、さらに引き続く訪問で通算1時間30分以上になった場合に加算する、という順序で考えます。
特別地域訪問看護加算などの計算には含まれる
老企第36号 第2の4(15)〜(17)は、特別地域訪問看護加算(15%)、中山間地域等における小規模事業所加算(10%)、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(5%)について、「所定単位数には緊急時訪問看護加算、特別管理加算及びターミナルケア加算を含まないこと」としています。
ここに長時間訪問看護加算は挙がっていません。つまり除外されていないと読めます。ただし「所定単位数」の範囲について解釈が分かれる部分でもあるため、実際の請求前に指定権者に確認してください。
記録の残し方
- 訪問開始時刻・終了時刻が訪問看護記録書に残っているか
- 通算1時間30分以上であることが記録から読み取れるか
- 特別な管理を必要とする状態(告示94号第6号のどれか)が記録・計画書に明示されているか
- 長時間の訪問が必要だった理由が訪問看護計画書に位置づけられているか
- 訪問看護指示書の内容と、行った医療処置が整合しているか
担当したケースでも、「時間は残っているが、対象状態の根拠が記録にない」というパターンが一番多いと感じています。時間の記録は自然に残りますが、状態の根拠は意識して書かないと残りません。
特別管理加算・複数名訪問加算との違い
| 加算 | 単位数 | 頻度 | 着目点 |
|---|---|---|---|
| 長時間訪問看護加算 | 300単位 | 1回 | その訪問の所要時間 |
| 特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 500単位/250単位 | 1月 | 計画的な管理(届出が必要) |
| 複数名訪問加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 254〜402単位/201〜317単位 | 1回 | 同時に訪問した人数 |
3つとも併算定できます。対象状態は長時間訪問看護加算と特別管理加算で共通ですが、特別管理加算は月1回・届出が必要、長時間訪問看護加算は訪問ごと・届出不要という違いがあります。
よくある質問
訪問看護の長時間訪問看護加算はいくらですか?
1回につき300単位です。要支援の方(介護予防訪問看護)でも同額の300単位です。
2時間かかった訪問なら必ず算定できますか?
できません。利用者が告示94号第6号に定める「特別な管理を必要とする状態」にあることが前提です。時間だけでは要件を満たしません。
対象になる状態を教えてください。
気管カニューレや留置カテーテルの使用、在宅酸素療法などの指導管理を受けている状態、人工肛門・人工膀胱の設置、真皮を越える褥瘡、週3日以上の点滴注射などです。特別管理加算の対象状態と同じです。
30分の訪問を3回して1時間30分になった場合は?
算定できません。注7は「1時間以上1時間30分未満の訪問看護を行った後に引き続き」と限定しているため、その時間区分を算定していることが前提です。
届出は必要ですか?
不要です。注7には届出に関する文言がありません。体制加算ではなく、訪問ごとに算定する加算です。
准看護師が訪問した場合も300単位ですか?
300単位です。老企第36号に「准看護師が行う場合であっても、同じ単位を算定する」と明記されています。減算されるのは所定単位数(時間区分)の部分だけです。
理学療法士の訪問でも算定できますか?
できません。注7の対象はイ(4)およびロ(4)であり、PT・OT・STによる訪問(イ(5))は含まれていません。
特別管理加算と一緒に算定できますか?
できます。対象状態は共通ですが、特別管理加算は1月につき・届出が必要、長時間訪問看護加算は1回につき・届出不要という違いがあります。
1日に2回長時間の訪問をした場合は2回算定できますか?
注7は「1回につき」と規定しているため、要件を満たす訪問ごとに算定できると読めます。ただし1日複数回訪問の取扱いは2時間ルールとも関係するため、指定権者にご確認ください。
医療保険の訪問看護にも同じ加算がありますか?
医療保険には長時間訪問看護加算(訪問看護基本療養費への加算)が別に定められています。要件・金額・週の回数制限が介護保険とは異なるため、混同しないでください。
区分支給限度基準額に含まれますか?
含まれます。訪問看護費への加算であり、限度額管理の対象です。
令和6年度改定で変更はありましたか?
単位数・要件ともに変更はありません。
- 訪問看護の長時間訪問看護加算は1回につき300単位
- 介護予防訪問看護でも同額の300単位
- 算定要件は「対象状態」「1時間以上1時間30分未満の区分」「通算1時間30分以上」の3つ
- 時間の長さだけでは算定できない。対象者の状態が必須
- 対象状態は告示94号第6号=特別管理加算と同じ範囲
- 特別管理加算の(Ⅰ)(Ⅱ)の区分にかかわらず、イ〜ホのどれでも対象
- 30分以上1時間未満の区分を算定した訪問には付けられない
- PT・OT・STによる訪問(イ(5))は対象外
- 届出は不要。体制加算ではない
- 准看護師が行っても300単位は減らない
- 特別管理加算・複数名訪問加算とは併算定できる
- 特別地域訪問看護加算等の除外リストには挙がっていない
- 記録では「時間」より「対象状態の根拠」が抜けやすい
- 医療保険の長時間訪問看護加算とは別の制度
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日厚生省告示第19号)別表「訪問看護費」注7(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年3月23日厚生労働省告示第94号)第6号(訪問看護費の注7の厚生労働大臣が定める状態)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号)第2の4(13)(全国老人保健施設協会 法令データベース)
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)別表「介護予防訪問看護費」注6(全国老人保健施設協会 法令データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに「引き続き」の範囲、1日に複数回算定できるかどうか、特別地域訪問看護加算等の計算基礎に含めるかどうかについては解釈が分かれることがあり、指定権者の取扱いによります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




