特養には、栄養の情報を施設の外とやりとりすることを評価する加算が2つあります。退所時栄養情報連携加算70単位再入所時栄養連携加算200単位。名前が似ていますが、情報が流れる向きが逆です。

退所時は施設から外へ、再入所時は医療機関から施設へ。前者は管理栄養士が情報を「提供する」加算、後者は管理栄養士が病院まで「出向く」加算です。

そして実務でいちばん効くのが、退所時栄養情報連携加算の但し書き。栄養マネジメント強化加算を算定している月は、退所時栄養情報連携加算を算定できません。一方、再入所時栄養連携加算にはこの制限がありません。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(厚生省告示第21号)、老企第40号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 2つの加算の単位数と、情報が流れる向きの違い
  • 退所時は栄養マネジメント強化加算と併算定できないこと
  • 再入所時は栄養マネジメント強化加算と併算定できること
  • 退所時の情報提供先が「居宅の場合」と「入院・入所の場合」で違うこと
  • 提供する栄養管理に関する情報の中身
  • 療養食加算とは対象となる特別食の範囲が違うこと
  • 再入所時は管理栄養士が医療機関を訪問する必要があること
  • カンファレンスにテレビ電話装置等を活用できること
  • 再入所時は「二次入所後の同意」が算定の条件であること
  • それぞれの算定回数の上限

2つの加算を並べて整理する

項目退所時栄養情報連携加算再入所時栄養連携加算
単位数70単位200単位
回数1月に1回を限度入所者1人につき1回を限度
場面施設から退所するとき入院を経て再入所するとき
情報の向き施設 → 外部医療機関 → 施設
管理栄養士の動き情報を提供する医療機関を訪問する
栄養マネジメント強化加算との併算定不可
新設令和6年度改定既存
最初に確認すべきは栄養マネジメント強化加算

特養の多くは栄養マネジメント強化加算(11単位/日)を算定しています。11単位×30日=月330単位ですから、70単位の退所時栄養情報連携加算より大きい。

退所時栄養情報連携加算を検討する意味があるのは、栄養マネジメント強化加算を算定していない施設です。まずここを確認してください。

一方、再入所時栄養連携加算200単位は併算定できます。栄養マネジメント強化加算を算定している施設でも取りにいける加算です。

退所時栄養情報連携加算70単位

ニ 退所時栄養情報連携加算 70単位

注 別に厚生労働大臣が定める特別食を必要とする入所者又は低栄養状態にあると医師が判断した入所者が、指定介護老人福祉施設から退所する際に、その居宅に退所する場合は当該入所者の主治の医師の属する病院又は診療所及び介護支援専門員に対して病院、診療所又は他の介護保険施設に入院又は入所する場合は当該医療機関等に対して、当該入所者の同意を得て、管理栄養士が当該入所者の栄養管理に関する情報を提供したときは、1月につき1回を限度として所定単位数を加算する。ただし、イ及びロの注8又は栄養マネジメント強化加算を算定している場合は算定しない。

対象者は2種類

  • 厚生労働大臣が定める特別食を必要とする入所者
  • 低栄養状態にあると医師が判断した入所者

情報提供先は退所先で変わる

退所先情報提供先
居宅に退所する場合①主治の医師の属する病院・診療所 ②介護支援専門員(両方)
病院・診療所・他の介護保険施設に入院・入所する場合当該医療機関等
居宅退所の場合はケアマネにも必要

在宅に戻る場合、情報提供先は主治医の医療機関「及び」介護支援専門員です。どちらか一方ではありません。

在宅に戻れば、食事を組み立てるのはケアマネジャーが調整するサービスです。配食サービスや訪問介護の調理支援につなぐには、ケアマネに栄養情報が渡っていることが前提になります。

提供する「栄養管理に関する情報」の中身

栄養管理に関する情報とは、提供栄養量、必要栄養量、食事形態(嚥下食コード含む。)、禁止食品、栄養管理に係る経過等をいう。

項目内容
提供栄養量実際に提供していた量
必要栄養量算定された必要量
食事形態嚥下食コードを含む
禁止食品アレルギー・禁忌
栄養管理に係る経過これまでの推移

通知は、情報提供の方法について「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」を参照するよう求めています。標準様式に沿って提供するのが確実です。

算定は「退所した日の属する月」に1回

なお、当該加算は、当該入所者が退所した日の属する月において、1月に1回を限度として算定できる。

療養食加算とは特別食の範囲が違う

見落とされやすい論点です。通知⑤が、対象となる特別食の範囲を広げています。

退所時栄養情報連携加算の対象となる特別食は、別に厚生労働大臣が定める特別食に加え、心臓疾患等の入所者に対する減塩食、十二指腸潰瘍の入所者に対する潰瘍食、侵襲の大きな消化管手術後の入所者に対する潰瘍食、クローン病及び潰瘍性大腸炎等により腸管の機能が低下している入所者に対する低残渣食並びに高度肥満症(肥満度がプラス40%以上又はBMIが30以上)の入所者に対する治療食をいう。

なお、高血圧の入所者に対する減塩食(食塩相当量の総量が6.0グラム未満のものに限る。)及び嚥下困難者(そのために摂食不良となった者も含む。)のための流動食は、(中略)療養食加算の場合と異なり、退所時栄養情報連携加算の対象となる特別食に含まれる。

高血圧の減塩食・嚥下困難者の流動食が含まれる

療養食加算では対象外となる高血圧の減塩食(食塩6.0g未満)と嚥下困難者のための流動食が、この加算では特別食に含まれます。

「療養食加算を算定していないから対象外」と判断するのは誤りです。療養食加算より広い範囲が対象になります。

なお同じ扱いは再入所時栄養連携加算にもあります。

再入所時栄養連携加算200単位

ホ 再入所時栄養連携加算 200単位

注 別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定介護老人福祉施設に入所している者が退所し、当該者が病院又は診療所に入院した場合であって、当該者が退院した後に再度当該指定介護老人福祉施設に入所する際、当該者が別に厚生労働大臣が定める特別食等を必要とする者であり、当該指定介護老人福祉施設の管理栄養士が当該病院又は診療所の管理栄養士と連携し当該者に関する栄養ケア計画を策定したときに、入所者1人につき1回を限度として所定単位数を加算する。ただし、イ及びロの注8を算定している場合は、算定しない。

算定できる場面

指定介護老人福祉施設に入所していた者が、医療機関に入院し、当該者について、医師が特別食又は嚥下調整食を提供する必要性を認めた場合であって、当該者が退院した後、直ちに再度当該指定介護老人福祉施設に入所(二次入所)した場合を対象とすること。

  • もともと自施設の入所者だった人が入院したこと
  • 入院中に医師が特別食または嚥下調整食の必要性を認めたこと
  • 退院後直ちに自施設へ再入所(二次入所)すること

「入院を機に食事の形態や内容が変わった」ケースが想定されています。嚥下調整食は、通知が「硬さ、付着性、凝集性などに配慮した食事であって、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づくもの」と定義しています。

管理栄養士が病院を訪問する

当該指定介護老人福祉施設の管理栄養士が当該者の入院する医療機関を訪問の上、当該医療機関での栄養に関する指導又はカンファレンスに同席し、当該医療機関の管理栄養士と連携して、二次入所後の栄養ケア計画を作成すること。

指導又はカンファレンスへの同席は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、当該者又はその家族が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該者等の同意を得なければならない。

ちびウルフちびウルフ

管理栄養士が病院まで行くのは、けっこう大変ですよね。

リハウルフリハウルフ

そこで効くのがテレビ電話装置等の活用が認められていることなんだ。カンファレンスへの同席はオンラインでよい。

ただし条文をよく読んでほしい。「訪問の上、指導又はカンファレンスに同席し」という構造になっている。オンラインで認められているのは「指導又はカンファレンスへの同席」の部分だと読める。

訪問そのものを完全に省略できるかは、通知の文言だけでは判断しきれない。200単位が絡む話なので、運用の前に指定権者に確認したほうがいい。そこは正直に言っておく。

算定は「二次入所後の同意」がそろってから

当該栄養ケア計画について、二次入所後に入所者又はその家族の同意が得られた場合に算定すること。

同意のタイミングが決まっている

栄養ケア計画は入院中に作成しますが、同意を得るのは二次入所後です。入院中に家族から同意を取っておいた、という形では要件の順序が合いません。

再入所してから、あらためて本人または家族に説明して同意を得る。その日付を記録に残してください。

2つの加算の併算定関係を整理する

加算退所時栄養情報連携加算再入所時栄養連携加算
栄養管理の基準未達による減算(1日14単位減算)算定不可算定不可
栄養マネジメント強化加算算定不可算定可
経口移行加算・経口維持加算規定なし規定なし
療養食加算規定なし規定なし

両加算に共通するのは、栄養管理の基準を満たさない場合の減算を受けている施設では算定できないことです。栄養管理の土台が整っていることが前提になっています。

算定にあたっての実務ステップ

  • 自施設が栄養マネジメント強化加算を算定しているかを確認する
  • 算定している場合、退所時栄養情報連携加算は算定できないと整理する
  • 栄養管理の基準を満たさない場合の減算を受けていないか確認する
  • 退所予定者について、特別食の必要性または低栄養状態の医師の判断を確認する
  • 退所先が居宅なら、主治医の医療機関とケアマネジャーの両方へ情報提供する
  • 提供栄養量・必要栄養量・食事形態(嚥下食コード含む)・禁止食品・経過を様式にまとめる
  • 入院した入所者については、医師が特別食・嚥下調整食の必要性を認めたかを把握する
  • 管理栄養士が入院先を訪問し、指導またはカンファレンスに同席する(オンライン活用の可否は事前確認)
  • 病院の管理栄養士と連携して二次入所後の栄養ケア計画を作成する
  • 二次入所後に本人または家族の同意を得て、日付を記録する

1つ目で退所時の可否が決まります。栄養マネジメント強化加算を算定している施設は、再入所時栄養連携加算に絞って体制を組むのが実務的です。

よくある質問

2つの加算の単位数は?

退所時栄養情報連携加算は70単位、再入所時栄養連携加算は200単位です。

栄養マネジメント強化加算と併算定できますか?

退所時栄養情報連携加算はできません。再入所時栄養連携加算はできます。

退所時の情報提供先はどこですか?

居宅に退所する場合は主治の医師の属する病院・診療所および介護支援専門員、病院・診療所・他の介護保険施設に入院・入所する場合は当該医療機関等です。

居宅退所の場合、ケアマネだけへの提供でよいですか?

いいえ。条文は主治の医師の属する病院・診療所「及び」介護支援専門員としています。

提供する情報の内容は?

提供栄養量、必要栄養量、食事形態(嚥下食コードを含む)、禁止食品、栄養管理に係る経過等です。

療養食加算の対象と同じ特別食ですか?

違います。高血圧の入所者に対する減塩食(食塩相当量6.0グラム未満)や嚥下困難者のための流動食は、療養食加算では対象外ですが、この加算では特別食に含まれます。

退所時の算定回数は?

退所した日の属する月において、1月に1回を限度として算定します。

再入所時はどんな場面で算定できますか?

入所者が医療機関に入院し、医師が特別食または嚥下調整食の必要性を認めた場合で、退院後直ちに再度当該施設に入所したときです。

嚥下調整食とは何ですか?

硬さ、付着性、凝集性などに配慮した食事であって、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づくものをいうとされています。

管理栄養士は必ず病院へ行く必要がありますか?

通知は「医療機関を訪問の上、指導又はカンファレンスに同席し」としたうえで、指導・カンファレンスへの同席にテレビ電話装置等を活用できるとしています。運用の可否は指定権者にご確認ください。

本人・家族がオンラインで参加する場合は?

テレビ電話装置等の活用について、本人またはその家族の同意を得なければならないとされています。

栄養ケア計画の同意はいつ得ますか?

二次入所後です。通知は「二次入所後に入所者又はその家族の同意が得られた場合に算定する」としています。

まとめ
  • 特養の栄養連携加算は退所時70単位・再入所時200単位の2つ
  • 退所時は施設から外へ、再入所時は医療機関から施設へと情報の向きが逆
  • 退所時栄養情報連携加算は令和6年度改定で新設された
  • 退所時は栄養マネジメント強化加算と併算定できない
  • 再入所時は栄養マネジメント強化加算と併算定できる
  • 両加算とも栄養管理の基準未達による減算を受けていると算定できない
  • 退所時の対象は特別食が必要な者、または低栄養状態と医師が判断した者
  • 居宅退所なら主治医の医療機関と介護支援専門員の両方へ情報提供する
  • 入院・入所なら当該医療機関等へ提供する
  • 情報は提供栄養量・必要栄養量・食事形態・禁止食品・経過
  • 食事形態には嚥下食コードを含める
  • 療養食加算より広い範囲の特別食が対象になる
  • 高血圧の減塩食・嚥下困難者の流動食も対象に含まれる
  • 退所時は退所した日の属する月に1回が限度
  • 再入所時は入院中に医師が特別食・嚥下調整食の必要性を認めた場合が対象
  • 退院後直ちに再入所(二次入所)することが要件
  • 管理栄養士が医療機関を訪問し、病院の管理栄養士と連携して栄養ケア計画を作る
  • 指導・カンファレンスへの同席はテレビ電話装置等を活用できる
  • 本人・家族が参加する場合はオンライン活用への同意が必要
  • 栄養ケア計画の同意は二次入所後に得る
  • 再入所時は入所者1人につき1回が限度
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および老企第40号の留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。再入所時栄養連携加算における管理栄養士の医療機関訪問について、テレビ電話装置等の活用がどこまで認められるかは通知の文言から一義的に読み取れない部分があります。運用の前に必ず指定権者へご確認ください。「厚生労働大臣が定める特別食」の具体的な範囲、情報提供の様式についても指定権者によって取扱いが異なる場合があります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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