介護医療院とは?Ⅰ型Ⅱ型の違いをわかりやすく解説【2026】
「介護医療院(かいごいりょういん)」は、2018年に新しくつくられた、比較的あたらしい介護保険施設です。医療と介護、そして生活の場(住まい)の機能を併せ持つのが特徴ですが、「老健や特養とどう違うの?」「Ⅰ型・Ⅱ型って何?」と疑問に思う方も多いはずです。
この記事では、介護医療院とは何かを、できるだけやさしい言葉で解説します。長期の療養先を探しているご家族が判断に使えるよう平易にまとめつつ、ケアマネ・相談員・看護・リハ職など専門職が説明や調整に使えるよう、Ⅰ型・Ⅱ型の違いや人員基準、介護療養病床からの移行といった背景にも触れます。
- 介護医療院とは何か、その役割をひと言で
- Ⅰ型・Ⅱ型の違い(利用者像・人員基準)
- 介護医療院が生まれた背景(介護療養病床の廃止と移行)
- 入所条件・費用・他施設(老健・特養)との違い
- 専門職が押さえる調整・連携のポイント
介護医療院とは?「医療・介護・住まいを兼ねた長期療養の施設」
介護医療院とは、長期にわたって療養が必要な要介護者に対し、医療的なケア・介護・生活の場(住まい)をまとめて提供する介護保険施設です。たんの吸引や経管栄養、点滴などの医療的ケアを日常的に必要とする方が、医療を受けながら暮らし続けられる場所、と考えると分かりやすいです。
介護保険法では「主として長期にわたり療養が必要である者」を対象とする施設と定義されています。「医療の必要性が高い人の、生活の場としての療養先」という、医療と生活の両方を支える役割を担っています。
ちびウルフ「病院」と「介護施設」、どっちなの?なんだか中間みたいで分かりにくいよ…
リハウルフいいところに気づいたね。介護医療院は「医療を受けながら長く暮らせる介護施設」なんだ。治療がメインの病院とも、在宅復帰をめざす老健とも違って、医療的ケアが必要な人の“生活の場”として作られたんだよ。
介護医療院が生まれた背景|介護療養病床の廃止
介護医療院は2018年4月に創設されました。背景にあるのが「介護療養型医療施設(介護療養病床)」の廃止です。介護療養病床は医療療養病床と利用者の状態に大きな差がなく、役割の線引きが難しいという課題が指摘されていました。
そこで、長期療養と生活機能を兼ね備えた新しい受け皿として介護医療院がつくられ、介護療養病床は2024年3月末をもって完全に廃止されました。多くの介護療養病床が介護医療院へ移行しており、現在、長期療養を担う介護保険施設の中心的な存在になっています。
介護医療院のⅠ型・Ⅱ型の違い
介護医療院は、人員基準と主な利用者像によってⅠ型とⅡ型に分かれます。
| 項目 | Ⅰ型 | Ⅱ型 |
|---|---|---|
| もとになる基準 | 介護療養病床相当 | 老人保健施設相当以上 |
| 主な利用者像 | 重篤な身体疾患・身体合併症のある認知症高齢者など、医療必要度が高い方 | Ⅰ型より比較的容体が安定した方 |
| 医師の配置 | 48対1(施設で3名以上) | 100対1(施設で1名以上) |
| 看護職員 | 6対1 | 6対1 |
| 介護職員 | 5対1 | 6対1 |
ざっくり言うと、Ⅰ型のほうが医療体制が手厚く、医療必要度の高い方が対象です。Ⅱ型はそれより容体が安定した方を主な対象としています。なお1つの施設にⅠ型とⅡ型を併設することも可能です。
ちびウルフⅠ型とⅡ型は、家族が自分で選べるものなの?
リハウルフ基本的には本人の医療必要度や状態に応じて決まるんだ。医療的ケアが多い方はⅠ型、状態が比較的安定している方はⅡ型が目安になる。気になるときは施設の相談員に「うちの家族はどちらの対象になりますか」と聞いてみるといいよ。
介護医療院の入所条件と費用
入所条件
- 要介護1〜5の認定を受けている方(要支援は対象外)
- 主として長期にわたる療養が必要な方
- たんの吸引・経管栄養・点滴など、日常的な医療的ケアが必要な方も対象になりやすい
費用のめやす
費用は①施設サービス費(介護保険対象)+②居住費+③食費+④日常生活費で構成されます。施設サービス費は要介護度・Ⅰ型/Ⅱ型・居室タイプによって変わり、自己負担は原則1割(所得に応じて2割・3割)です。
介護医療院と老健・特養の違い
長期療養先を検討する際は、老健・特養との違いを目的で整理すると分かりやすくなります。
| 項目 | 介護医療院 | 老健 | 特養 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 長期療養+生活(医療が中心) | 在宅復帰・リハビリ | 長期の生活の場 |
| 医療体制 | 手厚い(医師・看護常駐) | 医師常勤・看護あり | 必要に応じて |
| 入所期間 | 長期 | 基本3か月(一時的) | 長期(終身も可) |
| 医療的ケア | 日常的なケアに強い | 対応可 | 施設により差 |
| みとり(看取り) | 対応する施設が多い | 施設による | 対応する施設が多い |
介護医療院でできること・メリットと注意点
介護医療院は、医療と生活の両方を支える施設です。具体的にどんなことができるのか、利用する際のメリットと注意点を整理します。
介護医療院でできること
- たんの吸引・経管栄養・点滴・酸素・じょくそう(褥瘡)処置などの医療的ケア
- 食事・入浴・排せつなど日常生活の介護
- 生活機能を維持するためのリハビリ
- 看取り(ターミナルケア)に対応する施設も多い
- レクリエーションや行事など、生活の場としての楽しみ
メリットと注意点
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 医療的ケアを受けながら長く暮らせる | 在宅復帰を集中的にめざす施設ではない |
| 医師・看護職が常駐し急変にも対応しやすい | 居室タイプによって費用が変わる |
| 看取りまで対応できる施設が多い | 人気施設は空きが出にくいことがある |
| 生活の場としての環境が整えられている | 要支援の方は対象外 |
介護医療院は、医療が必要な状態が続く方の「暮らしの場」として設計されています。病院のように治療を最優先にするのではなく、尊厳ある生活を医療が支える、という考え方が根底にあります。
居室の環境にも配慮
介護医療院は「生活の場」であることを重視しているため、居室の環境にも基準が設けられています。多床室であっても、家具やパーテーションなどで一定のプライバシーを確保すること、療養室の床面積を一定以上とすることなどが求められています。長期に暮らす場所として、できるだけ落ち着いて過ごせるよう配慮されている点も、従来の病床との違いです。実際の居室タイプ(多床室・個室など)や設備は施設ごとに異なるため、見学のときに確認するとよいでしょう。
【専門職向け】介護医療院への移行・連携のポイント
ケアマネ・相談員・看護職の視点では、介護医療院は「医療必要度が高く、在宅や特養では支えきれない方の長期療養先」として重要な選択肢です。調整時に意識したいポイントを整理します。
- 医療必要度を見極める:たんの吸引・経管栄養・点滴・酸素などの頻度や、状態の安定度から、Ⅰ型・Ⅱ型のどちらの対象になりそうかを把握する。
- 本人・家族と療養方針を共有する:在宅復帰を目的とする老健と違い、長期療養・看取りも視野に入る点を丁寧に説明する。
- 医療機関・病床からの移行を支援する:介護療養病床からの移行先として、また退院後の長期療養先として、医療ソーシャルワーカーと連携する。
- 看取り・ACPの方針を確認する:人生の最終段階における医療・ケアの希望(ACP)を本人・家族と共有し、施設と連携する。
よくある質問(FAQ)
介護医療院は「ずっと」いられますか?
たんの吸引や経管栄養が必要でも入れますか?
要支援でも入所できますか?
介護療養病床がなくなった今、療養先はどうなりますか?
リハビリは受けられますか?
- 介護医療院は医療・介護・住まいを兼ねた長期療養の介護保険施設(2018年創設)
- 医療必要度に応じてⅠ型(医療が手厚い)・Ⅱ型(比較的安定した方)に分かれる
- 介護療養病床は2024年3月末で廃止され、多くが介護医療院へ移行した
- 対象は要介護1〜5。たんの吸引・経管栄養など日常的な医療的ケアに対応
- 「医療を受けながら長く療養=介護医療院」「在宅復帰=老健」「長く暮らす=特養」で整理すると分かりやすい
- 費用や最新の基準は施設・市区町村で確認するのが確実
参考:厚生労働省「介護医療院」関連資料、介護保険法第8条第29項(介護医療院の定義)、令和6年度介護報酬改定資料。人員基準・費用の詳細や最新の制度は、各施設・市区町村の介護保険窓口でご確認ください。


