先に結論をお伝えします。胃ろうやたん吸引が必要な親でも入れる施設はあります。医療の必要度が高いほど、介護医療院や老健、看護体制が厚い介護付き有料老人ホームが候補になります。特養やグループホームでも受け入れているところはありますが、夜間の対応や人数の上限など、施設ごとの差が大きいのが実情です。

この記事では、医療的ケアが必要な人が入れる施設の種類と、受け入れの可否を左右するポイントを、介護保険法、指定介護老人福祉施設の基準、社会福祉士及び介護福祉士法を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 胃ろう・たん吸引が必要な人が入れる施設の種類
  • 施設ごとに受け入れが違う理由
  • 介護職員がたん吸引をできる条件
  • 問い合わせ・見学で確認したいこと
  • 施設が見つからないときの選択肢

胃ろう・たん吸引が必要な親が入れる施設

医療的ケアの必要度と、施設の種類ごとの目安は次のとおりです。

施設医療的ケアへの対応の目安確認したいこと
介護医療院長期の療養が必要な人のための施設。医療的ケアが多い人の受け皿になりやすい空き状況、費用
介護老人保健施設(老健)医師・看護職員が配置され、医療的ケアに対応しているところが多い在宅復帰を目指す施設のため、長期入所の扱い
介護付き有料老人ホーム看護職員の配置が手厚いところや、24時間看護のところもある夜間の看護職員の有無、医療的ケアの追加費用
特別養護老人ホーム受け入れているところはあるが、人数に上限を設けている施設も多い夜間のたん吸引の対応、受け入れ人数の枠
サ高住・住宅型有料老人ホーム外部の訪問看護などを使って対応する訪問看護の利用のしやすさ、夜間の対応
グループホーム認知症の人が共同生活する場で、医療的ケアへの対応は限られることが多い医療連携の体制

介護保険法では、介護医療院を「主として長期にわたり療養が必要である者」に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護などを行う施設と定めています(第8条第29項)。医療的ケアが日常的に必要な人にとって、もっとも目的に合った施設といえます。介護医療院の体制は介護医療院の人員基準をわかりやすく解説で解説しています。

施設ごとに受け入れが違う理由

看護職員の人数と夜間の体制

たとえば特養の基準では、看護職員の数は入所者30人以下で1人以上、30人超〜50人以下で2人以上、50人超〜130人以下で3人以上(いずれも常勤換算)とされています(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第2条)。入所者の人数に対して看護職員は多くないため、夜間に看護職員がいない施設もあります。夜間にたん吸引が必要な人を受け入れられるかは、夜の体制しだいです。

介護職員がたん吸引などをできるか

たん吸引や経管栄養は医療行為ですが、一定の条件を満たせば介護職員も行えます。社会福祉士及び介護福祉士法では、介護福祉士は「診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とすることができる」とされています(第48条の2)。介護福祉士以外の介護職員も、研修を修了して認定を受けた「認定特定行為業務従事者」であれば、医師の指示の下で行えます(同法附則第10条)。また、事業所として都道府県知事の登録を受ける必要があります(第48条の3)。

つまり、研修を受けた介護職員がどれだけいるか、事業所が登録を受けているかで、受け入れの幅が変わります。

ちびウルフちびウルフ

胃ろうだと、どこの施設にも断られるって聞いたけど…

リハウルフリハウルフ

「どこも無理」ということはありません。ただ、特養では医療的ケアが必要な人の受け入れ人数に枠を決めているところもあって、空きが出るまで待つこともあります。複数の施設に同時に問い合わせて、受け入れの条件を比べるのが現実的です。

問い合わせ・見学で確認したいこと

  • 対応できる医療的ケアの種類:胃ろう、経鼻経管栄養、たん吸引(口・鼻・気管カニューレ)、インスリン注射、在宅酸素など
  • 夜間の対応:夜間に看護職員がいるか。いない場合、夜のたん吸引を誰が行うか
  • 受け入れ人数の枠:医療的ケアが必要な人を何人まで受け入れているか、空き待ちはあるか
  • 協力医療機関と緊急時の対応:状態が悪くなったときの受診・入院の流れ
  • 追加の費用:医療的ケアや衛生材料の費用が別にかかるか
  • 状態が変わったときの扱い:医療的ケアが増えた場合に住み続けられるか

医療的ケアの内容は、主治医や病院の医療ソーシャルワーカーに「必要なケアの一覧」を書き出してもらうと、施設への問い合わせが正確になります。施設見学のポイントは、施設の種類ごとの特徴とあわせて【一覧表】老人ホームの種類と選び方で確認できます。

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施設が見つからないときの選択肢

  • 老健を経由する:病院から老健に移り、そのあいだに長期で暮らせる施設を探す
  • サ高住・住宅型有料老人ホーム+訪問看護:住まいは施設、医療的ケアは外部の訪問看護で対応する
  • 在宅で訪問看護・訪問診療を使う:家族の負担は大きくなるため、ショートステイなどで休息をとる

特養に入所している人が訪問看護を使えるのは、末期がんなど一部の場合に限られます。詳しくは特養に訪問看護は入れる?で解説しています。老健と特養の違いは老健と特養の違いとは?を参考にしてください。

よくある質問

胃ろうがあると特養には入れませんか?

入れる特養もあります。ただし、医療的ケアが必要な人の受け入れ人数に枠を設けている施設や、夜間の対応が難しい施設もあるため、個別に確認が必要です。

介護職員はたん吸引をしてもいいのですか?

介護福祉士や、研修を修了して認定を受けた介護職員は、医師の指示の下でたん吸引や経管栄養を行えます。事業所として都道府県知事の登録を受けていることも必要です。

医療的ケアが必要な人に一番向いている施設はどこですか?

長期の療養が必要な人のための介護医療院は、医療的ケアが多い人の受け皿になりやすい施設です。費用や空き状況、地域の施設の数もふまえて検討してください。

医療的ケアがあると費用は高くなりますか?

施設によっては、医療的ケアや衛生材料の費用が別にかかることがあります。介護付き有料老人ホームなどでは、看護体制に応じて月額が高めに設定されていることもあるため、総額で比べてください。

入院中から施設探しを始めてもいいですか?

始めてかまいません。病院の医療ソーシャルワーカーに相談すると、必要な医療的ケアの情報をまとめてもらえたり、受け入れ先の候補を紹介してもらえたりします。

まとめ
  • 胃ろう・たん吸引が必要でも入れる施設はある
  • 医療の必要度が高いなら、介護医療院・老健・看護の手厚い介護付き有料が候補
  • 受け入れは、看護職員の夜間体制と、研修を受けた介護職員の有無で変わる
  • 対応できるケアの種類・夜間の対応・受け入れ枠・追加費用を必ず確認する
  • 見つからないときは、老健を経由する、サ高住+訪問看護などの方法もある
参考にした情報

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。施設の定義・人員基準・喀痰吸引等に関する記述は、介護保険法、指定介護老人福祉施設の基準、社会福祉士及び介護福祉士法の条文にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。実際の受け入れの可否は施設ごとに異なるため、必ず個別にご確認ください。施設ごとの対応の目安と探し方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味