介護医療院の人員基準をわかりやすく解説|Ⅰ型・Ⅱ型の違い一覧
介護医療院の開設や運営を検討するとき、まず正確に押さえておきたいのが人員基準(人員配置基準)です。介護医療院はⅠ型・Ⅱ型で配置基準が異なり、医師の宿直の有無まで変わります。「Ⅰ型とⅡ型で何がどう違うのか」「リハビリ職や介護支援専門員は何人必要か」を整理できていないと、指定申請や運営の設計でつまずきがちです。
この記事では、介護医療院の人員基準を、厚生労働省令(平成30年厚生労働省令第5号)をもとに、Ⅰ型・Ⅱ型の職種別配置を一覧表でわかりやすく解説します。管理者・事務職はもちろん、これから介護医療院で働くPT・OT・ST・看護師・ケアマネの方にも役立つ内容です。
- 介護医療院のⅠ型・Ⅱ型とは何が違うのか
- 医師・看護職員・介護職員などの職種別の人員基準
- 薬剤師・栄養士・介護支援専門員・リハビリ職の配置ルール
- 医師の宿直がⅠ型のみに求められる理由
- 老健・特養との人員基準の違い
介護医療院とは?Ⅰ型・Ⅱ型の違い
介護医療院は、長期にわたり療養が必要な要介護者に対し、「日常的な医学管理」「看取り・ターミナルケア」といった医療機能と、「生活施設」としての機能を併せ持つ介護保険施設です。2018年(平成30年)に創設され、介護療養病床の受け皿としての役割も担っています。
療養床は、利用者の状態像に応じてⅠ型とⅡ型に分かれます。
| 区分 | 想定される利用者像 |
|---|---|
| Ⅰ型療養床 | 重篤な身体疾患を有する方や、身体合併症を有する認知症高齢者など、比較的医療の必要度が高い方 |
| Ⅱ型療養床 | Ⅰ型に比べて容体が比較的安定している方 |
ちびウルフⅠ型のほうが医療の必要度が高い方向けなんですね。じゃあ人員基準も違うんですか?
リハウルフそのとおり。Ⅰ型のほうが手厚い配置が求められて、Ⅱ型は少し緩やかになるんだ。医師や介護職員の配置数、宿直の有無まで変わってくるよ。
介護医療院の人員基準【職種別一覧】
介護医療院の主な人員基準は次のとおりです(入所者数に対する配置比率)。「48:1」は入所者48人に対して1人という意味です。
| 職種 | Ⅰ型 | Ⅱ型 |
|---|---|---|
| 医師 | 48:1(施設で3人以上) | 100:1(施設で1人以上) |
| 薬剤師 | 150:1 | 300:1 |
| 看護職員 | 6:1 | 6:1 |
| 介護職員 | 5:1 | 6:1 |
| リハビリ専門職(PT・OT・ST) | 実情に応じた適当数 | |
| 栄養士または管理栄養士 | 入所定員100以上で1人以上 | |
| 介護支援専門員 | 1人以上(100:1を標準) | |
| 診療放射線技師・その他の従業者 | 実情に応じた適当数 | |
医師の配置と「宿直」はⅠ型のみ
医師の人員基準は、Ⅰ型が48:1(施設として3人以上)、Ⅱ型が100:1(施設として1人以上)です。加えて重要なのが宿直で、医師の宿直が求められるのはⅠ型のみです。医療の必要度が高い利用者を受け入れるⅠ型では、夜間の急変にも対応できる体制が前提とされているためです。
リハビリ職・介護支援専門員・栄養士の配置
リハビリ専門職(PT・OT・ST)
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、「介護医療院の実情に応じた適当数」とされ、明確な人数比の基準は定められていません。ただし、実際にリハビリ(特別診療費の理学療法など)を算定するには、療法ごとに施設基準(療法士の配置・専用施設・器械器具)を満たす必要があるため、算定を見据えた配置設計が欠かせません。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護支援専門員は1人以上(入所者100人ごとに1人を標準)配置します。施設サービス計画の作成を担う中心的な職種です。
栄養士・管理栄養士
栄養士または管理栄養士は、入所定員100人以上の介護医療院で1人以上の配置が必要です。療養食の提供や栄養マネジメントの観点から重要な役割を担います。
ちびウルフ介護医療院にも「支援相談員」っているんですか?老健にはいますよね。
リハウルフいい質問だね。支援相談員は介護老人保健施設(老健)の基準で、介護医療院の人員基準には位置づけられていないんだ。ここは混同しやすいポイントだよ。
老健・特養との人員基準の違い
同じ介護保険施設でも、人員基準はサービスの目的によって異なります。介護医療院は「長期療養+生活」の場であり、医師・看護配置が手厚いのが特徴です。
| 施設 | 医師 | 特徴的な職種 |
|---|---|---|
| 介護医療院(Ⅰ型) | 48:1(3人以上・宿直あり) | 薬剤師・リハビリ職・介護支援専門員 |
| 介護老人保健施設(老健) | 常勤1以上(100:1) | 支援相談員・リハビリ職 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 健康管理等に必要な数(非常勤可) | 生活相談員 |
介護医療院は医師の配置・宿直が手厚く、「医療が必要な方の長期療養の場」という位置づけが人員基準にも表れています。転職や配置転換を検討する際も、この違いを理解しておくと役立ちます。
介護療養病床からの転換と人員基準
介護医療院は、廃止が進められてきた介護療養型医療施設(介護療養病床)などの受け皿として創設された経緯があります。そのため、これらの施設から介護医療院へ転換する場合には、施設・設備面を中心に一定の経過措置が設けられてきました。
人員基準そのものはⅠ型・Ⅱ型の配置比率が基本ですが、転換元の体制や地域の実情に応じて、兼務や配置の取扱いが緩和・調整されることがあります。既存施設からの転換を検討する場合は、どの経過措置が使えるかで必要人員が変わるため、早い段階で自治体・関係団体に相談するのが安全です。
ちびウルフ転換のときは基準がちょっと緩くなることがあるんですね。
リハウルフそうなんだ。ただ経過措置は期限や条件があって、年度で見直されることもある。「今も使えるのか」を最新の情報で確認するのがいちばん大事だよ。
「常勤換算」で人数を数える考え方
人員基準の人数は、頭数ではなく常勤換算方法で計算します。常勤換算とは、非常勤職員の勤務時間を「その事業所で定めた常勤職員の勤務すべき時間数」で割り、常勤何人分に相当するかを算出する方法です。
薬剤師の「Ⅰ型入所者数÷150+Ⅱ型入所者数÷300」も常勤換算で満たします。併設医療機関がある場合は、必要数の調整や兼務が認められることがあり、実際の必要人数は施設の構成によって変わります。
設備・施設基準もあわせて確認
介護医療院は人員基準だけでなく、療養室などの施設・設備基準も満たす必要があります。人員と設備は指定申請でセットで審査されるため、両方を早めに確認しておきましょう。
| 項目 | 主な基準の考え方 |
|---|---|
| 療養室 | 定員4人以下・入所者1人あたり床面積8.0㎡以上 |
| 多床室 | 家具・パーテーション等でプライバシーに配慮した療養環境 |
| 診察室・処置室 | 医療を提供するために必要な室を設ける |
| 機能訓練室・食堂・浴室 | リハビリや日常生活の支援に必要な設備を確保 |
よくある質問(FAQ)
介護医療院のⅠ型とⅡ型で、看護職員の配置は違いますか?
医師の宿直はどちらの型で必要ですか?
リハビリ職(PT・OT・ST)の人数は何人と決まっていますか?
栄養士・管理栄養士は必ず配置しなければなりませんか?
介護医療院に支援相談員は必要ですか?
- 介護医療院はⅠ型・Ⅱ型で人員基準が異なり、Ⅰ型のほうが手厚い配置。
- 医師:Ⅰ型48:1(3人以上・宿直あり)/Ⅱ型100:1(1人以上)。
- 看護職員は6:1で共通、介護職員はⅠ型5:1・Ⅱ型6:1。薬剤師はⅠ型150:1・Ⅱ型300:1。
- リハビリ職は適当数、介護支援専門員は1人以上、栄養士等は定員100以上で1人以上。
- 支援相談員は老健の基準で、介護医療院には位置づけられていない。細かな運用は自治体に確認を。
出典:介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)、厚生労働省「介護医療院の概要」ほか

