介護医療院の認知症行動・心理症状緊急対応加算は、1日につき200単位、入所した日から起算して7日を限度に算定します。7日フルで1,400単位です。

要件の中心は「医師が判断した者」であること。ケアマネジャーや家族、施設の相談員の判断では算定できません。医師が、BPSDが認められるため在宅生活が困難で、緊急に入所することが適当と判断していることが前提です。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのラ、注11の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 認知症行動・心理症状緊急対応加算の単位数(200単位/日、7日限度)
  • 「医師が判断した者」という要件の意味
  • 若年性認知症患者受入加算とは併算定できないこと
  • 届出が必要であること
  • 他サービスの同名加算との違い
  • 緊急受入れの記録として残すべきこと
ちびウルフちびウルフ

介護医療院には医師がいるので、施設の医師が判断すればいいんですか?

リハウルフリハウルフ

条文は「医師が」としか書いていません。ただし判断の対象は「在宅での生活が困難であり、緊急に入所することが適当か」です。入所前の状態を診ていない医師が判断できるかという問題が残ります。実務では、かかりつけ医や受診先の医師の判断を書面で得ておくのが確実です。取扱いは都道府県に確認してください。

介護医療院の認知症行動・心理症状緊急対応加算とは?

介護医療院の認知症行動・心理症状緊急対応加算は、BPSDによって在宅生活が続けられなくなった人を、緊急に受け入れたことを評価する加算です。

BPSDが激しくなったとき、家族が最初に直面するのは「今夜どうするか」という問題です。夜通し歩き回る、暴言や暴力が出る、火を使おうとする。介護保険の通常の手続きを踏む余裕はありません。

この加算は、計画的な入所ではない、急な受け入れにかかる負担を評価するものです。受け入れ側は情報が少ないまま、当日の環境調整と対応方針の組み立てを迫られます。7日という限度は、その立ち上げ期間を想定しています。

認知症行動・心理症状緊急対応加算の単位数

項目内容
単位数1日につき200単位
限度入所した日から起算して7日
最大1,400単位
届出必要(都道府県知事)

認知症行動・心理症状緊急対応加算の算定要件

(略)都道府県知事に対し届出を行った介護医療院において、医師が、認知症の行動・心理症状が認められるため、在宅での生活が困難であり、緊急に入所することが適当であると判断した者に対し、介護医療院サービスを行った場合は、入所した日から起算して7日を限度として、1日につき所定単位数を加算する。

  • 認知症の行動・心理症状(BPSD)が認められること
  • そのため在宅での生活が困難であること
  • 緊急に入所することが適当であること
  • 上記を医師が判断していること
  • 施設が届出を行っていること
緊急受入れは記録が後回しになりやすい

BPSDの緊急対応は、家族が限界に達している場面で動きます。受け入れ調整と本人の対応に人手を取られ、医師の判断を示す書面や、緊急性を裏づける記録が後回しになりがちです。

受入れ当日に何を残すかを、あらかじめ様式化しておくことをおすすめします。医師の判断日・判断者・判断の内容、在宅生活が困難と考えた具体的な状況、家族の状況。これらが揃っていれば、算定根拠として説明できます。(運用に関する記述は筆者の実務経験にもとづく整理です)

認知症行動・心理症状緊急対応加算の注意点

若年性認知症患者受入加算とは併算定できない

介護医療院サービスの注11(若年性認知症患者受入加算・1日120単位)には、「ただし、ラを算定している場合は、算定しない」というただし書きがあります。ラがこの緊急対応加算です。

単位数は200単位>120単位なので、重なる7日間は緊急対応加算を算定するほうが有利です。8日目以降、若年性認知症患者受入加算の要件を満たしていれば、そちらへ切り替えることになります。

7日を超えた場合

算定できるのは入所日から7日までです。8日目以降は、通常の基本報酬と、要件を満たす他の加算での算定になります。入所そのものは継続できます。

他サービスの同名加算との違い

サービス単位数限度
介護医療院200単位/日入所日から7日
特養200単位/日入所日から7日
ショートステイ200単位/日7日
グループホーム200単位/日7日(短期利用に限る)

単位数と日数の枠組みは共通です。グループホームは短期利用でのみ算定できるなど、サービスごとに前提が異なります。

特別介護医療院サービス費との関係

注16が列挙する「算定しない加算」の範囲に、認知症行動・心理症状緊急対応加算(ラ)は含まれていません。ただし請求上の取扱いは都道府県に確認してください。

認知症行動・心理症状緊急対応加算のQ&A

ケアマネジャーの判断でも算定できますか?

できません。条文は「医師が……判断した者」と定めています。

施設の配置医師の判断でもよいですか?

条文は医師とのみ定めており、限定はありません。ただし入所前の状態に関する判断であるため、実務ではかかりつけ医等の判断を書面で得る運用が確実です。取扱いは都道府県に確認してください。

7日を超えて算定できますか?

できません。入所した日から起算して7日が限度です。

若年性認知症患者受入加算と両方算定できますか?

できません。注11のただし書きにより、この加算を算定している場合は若年性認知症患者受入加算を算定できません。

届出は必要ですか?

必要です。都道府県知事に対して届出を行います。

入所日は算定できますか?

「入所した日から起算して7日を限度」とされています。日数の数え方の詳細は都道府県に確認してください。

認知症専門ケア加算と併算定できますか?

条文に併算定を禁じる規定はありません。それぞれの要件を満たせば算定できると読めますが、確認をおすすめします。

どんな記録を残せばよいですか?

様式の定めはありません。医師の判断の日時・内容、在宅生活が困難と判断した具体的な状況を記録に残してください。

まとめ
  • 認知症行動・心理症状緊急対応加算は1日200単位、入所日から7日が限度
  • 7日フルで1,400単位
  • 要件は、医師がBPSDのため在宅生活が困難で緊急入所が適当と判断していること
  • ケアマネジャーや家族の判断では算定できない
  • 若年性認知症患者受入加算(120単位)とは併算定できない
  • 重なる期間は単位数の大きい緊急対応加算が有利
  • 届出先は都道府県知事
  • 医師の判断を示す記録が算定根拠になる
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのラ(認知症行動・心理症状緊急対応加算)、注11(若年性認知症患者受入加算)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 同 別表 介護福祉施設サービス、指定居宅サービス介護給付費単位数表 短期入所生活介護費(同名加算の比較のため)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。判断を行う医師の範囲、日数の数え方、他の加算との併算定については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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