「訪問リハビリが行ける施設と行けない施設を教えてください」「この高齢者住宅には訪問リハを呼べるの?」——訪問リハビリの現場では、こうした質問が本当によく出ます。利用者さんの住まいによって、訪問リハが提供できるかどうかが変わるからです。

この記事では、訪問歴10年以上の理学療法士が、介護保険・医療保険それぞれで訪問リハビリが行ける施設・行けない施設を、厚生労働省の資料をもとに整理します。「無条件で行ける」「条件付きで行ける」「行けない」の3段階で見れば、判断に迷いません。

この記事でわかること
  • 介護保険の訪問リハビリが行ける施設・行けない施設
  • 医療保険の訪問リハビリが行ける施設・行けない施設
  • 「無条件OK」「条件付きOK」「NG」の見分け方
  • グループホームや特定施設など、迷いやすい場所の取扱い
ちびウルフちびウルフ

訪問リハって、どこにでも行けるわけじゃないんですか?

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。住まいの種類と保険の種類で変わるよ。一つずつ整理しよう。

訪問リハビリが行ける施設と行けない施設の前提

訪問リハビリには「介護保険の訪問リハビリテーション」「医療保険の訪問リハビリテーション(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)」の2種類があります。どちらの保険かによって、行ける施設・行けない施設が異なります。

ポイント大きな考え方は「自宅は基本OK」「介護保険施設はNG」。その間にある“条件付きOK”の施設を押さえることが、迷わないコツです。

介護保険の訪問リハビリが行ける施設(場所)

無条件で利用できる

  • 自宅(サービス付き高齢者向け住宅を含む)
  • 特定施設入居者生活介護以外の福祉施設・高齢者住宅

条件付きで利用できる

施設条件
小規模多機能型居宅介護利用者が自宅にいるときは可能。小規模多機能の利用中は不可。
特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型)必要時に事業者の費用負担で居宅サービスを利用させるのは差し支えない。事業者が指定居宅サービス事業所に委託し委託料を支払って提供した場合、訪問リハ費の90/100を算定可(加算は算定不可。委託料は個々の契約による)。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)必要時に事業者の費用負担で居宅サービスを利用させるのは差し支えない。
特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型以外)必要時に事業者の費用負担で居宅サービスを利用させるのは差し支えない。
ちびウルフちびウルフ

グループホームは行けるんですね!

リハウルフリハウルフ

“条件付き”でね。施設側の費用負担という前提があるから、必ず施設・ケアマネと取り決めを確認しよう。

医療保険の訪問リハビリが行ける施設(場所)

無条件で利用できる

  • 自宅(サービス付き高齢者向け住宅を含む)

条件付きで利用できる

  • 社会福祉施設・身体障害者施設等(短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護、短期入所療養介護、介護予防短期入所療養介護を受けている者を除く)
  • 認知症対応型グループホーム(認知症対応型共同生活介護・介護予防認知症対応型共同生活介護)
  • 特定施設(指定特定施設、指定地域密着型特定施設、指定介護予防特定施設に限る)
注意社会福祉施設・身体障害者施設等、養護老人ホーム・特別養護老人ホームに入居・入所する方の診療報酬の算定は、別途定めがある場合はその規定が適用されます。また、医療保険の頻回な訪問リハは「急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハが必要な患者」に限られます。

訪問リハビリが行けない施設(場所)

介護保険・医療保険のいずれも、上で挙げた「行ける施設」以外は対象外です。代表的に行けない施設は、すでに施設内でリハビリ等が提供される介護保険施設・医療施設です。

訪問リハビリが行けない主な施設
介護老人保健施設(老健)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム/特養)
介護療養型医療施設
介護医療院 …等

これらは施設の基準内でリハビリや医療・介護が提供される前提のため、外部から訪問リハビリを入れることは原則できません。

行ける・行けないの見分け方

判断に迷ったら、次の順番で確認すると整理しやすいです。

  1. 利用者さんの住まい(施設)の種類を正確に確認する
  2. 介護保険・医療保険のどちらの訪問リハかを確認する
  3. 「自宅・サ高住」なら基本OK、「介護保険施設」なら基本NGと押さえる
  4. グループホーム・特定施設など“条件付き”は、費用負担や委託の取り決めを施設・ケアマネと確認する
  5. 判断が難しい場合は保険者(市町村)や厚労省の通知で裏取りする
ポイント制度は介護報酬・診療報酬の改定で見直されることがあります。迷ったら最新の厚労省資料や保険者の見解を確認するのが確実です。

一覧で整理:行ける・行けないまとめ表

これまでの内容を、住まいの種類ごとに一覧にしました。迷ったときの早見表として使ってください。

住まい・施設介護保険の訪問リハ医療保険の訪問リハ
自宅○(無条件)○(無条件)
サービス付き高齢者向け住宅○(無条件)○(無条件)
認知症グループホーム△(条件付き)△(条件付き)
特定施設入居者生活介護△(条件付き)△(条件付き)
小規模多機能型居宅介護△(自宅にいるときのみ)
介護老人保健施設(老健)××
特別養護老人ホーム(特養)××
介護療養型医療施設・介護医療院××

○=無条件で可、△=条件付きで可、×=原則不可、-=制度上の対象外。条件付きの施設は、費用負担や委託の取り決めが前提となります。

同一建物減算との関係も押さえる

施設や集合住宅へ訪問リハビリを提供する場合、「同一建物減算」が関係することがあります。同じ建物に住む複数の利用者へ訪問する場合などに、単位数が減算されるしくみです。サ高住や高齢者向け集合住宅では特に確認が必要です。

注意「行けるかどうか(算定の可否)」と「いくら算定できるか(減算の有無)」は別の論点です。提供前に、対象可否と減算の両方を確認しましょう。詳しくは関連記事の同一建物減算の解説も参考にしてください。
ちびウルフちびウルフ

行けても、料金が変わることがあるんですね。

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。だから「行ける」と「減算」はセットで確認する習慣をつけよう。

実務で迷いやすいポイントの補足

現場で特に問い合わせが多い、判断に迷うポイントを補足します。

サ高住・有料老人ホームは「種類」を必ず確認

「サービス付き高齢者向け住宅」は自宅扱いで訪問リハを提供できますが、同じ建物でも「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているかで取扱いが変わります。有料老人ホームも、特定施設の指定の有無によって“無条件”か“条件付き”かが分かれます。建物の名称だけで判断せず、施設の指定区分を確認しましょう。

ショートステイ利用中は対象外

短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)を利用している期間中は、訪問リハビリの対象外です。普段は自宅で訪問リハを受けている方でも、ショート利用中は提供できない点に注意してください。

急性増悪時の頻回訪問は医療保険

状態が急に悪化し、一時的に頻回の訪問リハが必要になった場合は、医療保険の対象となるケースがあります。施設区分とあわせて、保険の切り替えの可否も確認しておくと安心です。

実務のコツ判断に迷ったら「施設の正式な指定区分」「利用中の他サービス」「保険の種類」の3点をセットで確認すると、ほとんどのケースで結論が出せます。

よくある質問(FAQ)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)には訪問リハは行けますか?
行けます。サ高住は自宅扱いとなるため、介護保険・医療保険ともに無条件で訪問リハビリを提供できます。
特別養護老人ホーム(特養)には行けますか?
原則行けません。特養は介護保険施設のため、施設の基準内でケアが提供される前提です。
グループホームには訪問リハは行けますか?
条件付きで可能です。事業者の費用負担で居宅サービスを利用させる取扱いがあり、施設・ケアマネとの取り決めが必要です。
老健(介護老人保健施設)はどうですか?
行けません。老健は施設内でリハビリが提供されるため、外部からの訪問リハビリは原則対象外です。
まとめ
  • 訪問リハビリは「自宅・サ高住」は基本OK、「介護保険施設」は基本NG
  • グループホームや特定施設は“条件付きOK”(費用負担・委託の取り決めが前提)
  • 介護保険と医療保険で行ける施設の範囲が異なる
  • 老健・特養・介護療養型・介護医療院は原則行けない
  • 迷ったら住まいの種類→保険の種類→厚労省資料・保険者で確認

出典:厚生労働省 介護報酬・診療報酬関連資料(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料 関連 ほか)。制度は報酬改定で見直される場合があるため、最新の取扱いは厚生労働省の資料および保険者(市町村)でご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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