令和6年度の介護報酬改定で、訪問看護ステーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下、リハ職)による訪問に、新たな「8単位減算」が設けられました。「うちのステーションは対象になるの?」「どう計算するの?」と不安に感じている管理者や、訪問に入っているリハ職も多いのではないでしょうか。

この記事では、訪問看護(要介護)と介護予防訪問看護(要支援)のリハビリ減算について、基本報酬・減算の要件・回数の数え方を、厚生労働省の資料とQ&Aをもとにわかりやすく整理します。本記事は制度解説の入り口です。実際の算定は必ず最新の告示・通知・自治体の指示をご確認ください。

この記事でわかること
  • 令和6年度改定で新設された訪問看護のリハビリ減算の概要
  • 訪問看護(要介護)の基本報酬と8単位減算の要件
  • 介護予防訪問看護(要支援)の基本報酬と減算の要件
  • 「訪問回数」の数え方に関する厚生労働省Q&Aのポイント
  • ステーションが減算を回避・管理するための実務上の注意

訪問看護におけるリハビリ減算とは(令和6年度改定の概要)

令和6年度介護報酬改定では、訪問看護ステーションからのリハ職による訪問について、「看護職員による訪問よりもリハ職の訪問が多い」状態などに対して評価を見直す形で、新たな減算が導入されました。背景には、訪問看護はあくまで「看護」が中心であるべきという考え方があります。

あわせて、リハ職による訪問の基本報酬は1単位引き上げられました(要介護で293単位→294単位、要支援で283単位→284単位)。基本報酬は上がったものの、要件に該当すると1回あたり8単位が減算される——この組み合わせを正しく理解しておくことが重要です。

ちびウルフちびウルフ

基本報酬は上がったのに、減算もあるんですか?プラスなのかマイナスなのか、よくわからないです…

リハウルフリハウルフ

いい質問だね。基本報酬は1単位アップ。でも減算の要件に当てはまると8単位引かれるから、結果的に大きくマイナスになるんだ。だから「減算の要件に該当しないこと」がとても大事になるんだよ。

訪問看護(要介護)のリハビリ減算と基本報酬

リハ職による訪問の基本報酬

訪問看護ステーションのリハ職(PT・OT・ST)による訪問看護費は、1回につき294単位です(令和6年度改定後)。

8単位減算の2つの要件

次のいずれかに該当する場合、リハ職による訪問看護費から1回につき8単位を減算します。

要件内容
① 訪問回数要件前年4月〜当年3月の期間で、リハ職の訪問回数が看護職員の訪問回数を超えている場合
② 加算未算定要件①に該当しなくても、算定日が属する月の前6か月間に、緊急時訪問看護加算(I)(II)・特別管理加算(I)(II)・看護体制強化加算(I)(II)のいずれも算定していない場合

つまり、「看護職員より訪問が多い」または「対象の加算をまったく取っていない」ステーションが減算の対象になります。看護中心の体制であり、かつ一定の加算を算定していれば、減算を避けられる設計です。

適用時期のポイント 令和6年度については、令和5年度の訪問回数の実績に応じて、令和6年6月1日〜令和7年3月31日の間で減算します。令和7年度以降は、前年度の訪問回数の実績に応じて、翌年度の4月から減算となります。

介護予防訪問看護(要支援)のリハビリ減算と基本報酬

リハ職による訪問の基本報酬

介護予防訪問看護におけるリハ職による訪問看護費は、1回につき284単位です(令和6年度改定後)。

減算の要件

考え方は要介護の場合とほぼ同じです。前年4月〜当年3月でリハ職の訪問回数が看護職員の訪問回数を超えている場合、または、前6か月間に緊急時介護予防訪問看護加算(I)(II)・特別管理加算(I)(II)・看護体制強化加算のいずれも算定していない場合に、1回につき8単位を減算します。

区分リハ職の基本報酬減算額
訪問看護(要介護)294単位/回該当時 −8単位/回
介護予防訪問看護(要支援)284単位/回該当時 −8単位/回
注意 要支援の方には、別途「12か月を超える長期利用の減算」など他の減算ルールも関係します。リハビリ減算と混同しないよう、それぞれの要件を分けて確認しましょう。

厚生労働省Q&Aで確認する「訪問回数」の数え方

減算の判定で最も迷いやすいのが「訪問回数の数え方」です。厚生労働省のQ&Aで示された考え方を整理します。

連続して2回訪問した場合は「1回」

リハ職が連続して2回の訪問を行った場合、訪問回数は「1回」と数えます。たとえば、理学療法士が3月1日と3月3日にそれぞれ2回ずつ訪問した場合、算定回数は4回ですが、訪問回数は2回となります。午前に1回、午後に連続して2回訪問した場合は、算定回数3回・訪問回数2回です。

訪問回数はどう算出する?

前年度のリハ職による訪問回数は、居宅サービス計画書・訪問看護報告書・訪問看護記録書などを参照して確認します。

定期巡回・随時対応型の訪問は含まれる?

連携型の定期巡回・随時対応型訪問介護看護による訪問回数は、含まれます

ちびウルフちびウルフ

「算定回数」と「訪問回数」が別ものなんですね。ここを間違えると、減算の判定もズレちゃいそう…

リハウルフリハウルフ

その通り。減算の判定に使うのは「訪問回数」。連続訪問は1回とカウントするから、レセプトの算定回数とは分けて集計する必要があるんだ。記録の整理がとても大事になるね。

ステーションが減算を管理するための実務ポイント

管理者・リハ職が押さえておきたいのは、「自ステーションが減算対象になるかを、前年度実績で先に把握しておく」ことです。減算は前年度の実績に基づいて翌年度に適用されるため、年度の途中で気づいても遅い、という事態を避けたいところです。

具体的には、看護職員とリハ職それぞれの訪問回数(連続訪問は1回換算)を月次で集計し、年間の見込みを把握します。あわせて、緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算の算定状況を確認します。リハ偏重になっていないか、対象加算を1つでも算定できているかが、減算回避の分かれ目です。看護とリハの訪問バランスや、加算算定に向けた体制づくりを、チームで早めに検討しましょう。

よくある質問(FAQ)

リハ職の訪問が看護より多くても、加算を算定していれば減算されない?
いいえ。要件①(訪問回数)に該当すると、加算の算定有無にかかわらず減算対象です。要件②は「①に該当しない場合でも、対象加算をまったく算定していなければ減算」というものです。両要件を分けて理解しましょう。
減算額の8単位は、いつの実績で決まる?
前年度(前年4月〜当年3月)の訪問回数の実績で判定します。令和6年度は令和5年度実績に基づき令和6年6月〜令和7年3月で減算、令和7年度以降は前年度実績で翌年4月から減算です。
看護師とリハ職が同時に訪問した場合の回数は?
同時訪問の際、看護職員の訪問看護費を算定する場合は看護職員の訪問回数として、リハ職の訪問看護費を算定する場合はリハ職の訪問回数として積算します。どちらの費用を算定したかで数え方が変わります。
連続2回訪問は算定も1回になる?
いいえ。算定回数は実施した回数どおりです(連続2回なら算定は2回)。一方で、減算判定に使う「訪問回数」は1回と数えます。両者は別物として集計してください。
まとめ
  • 令和6年度改定で、訪問看護のリハ職による訪問に1回8単位の減算が新設
  • 基本報酬はリハ職で要介護294単位・要支援284単位(いずれも1単位アップ)
  • 減算要件は①リハ職の訪問回数が看護職員を超える、②前6か月で緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算のいずれも未算定
  • 判定に使う「訪問回数」は連続2回訪問を1回と数える(算定回数とは別)
  • 前年度実績で翌年度に適用。看護とリハのバランス・加算算定を早めに点検しよう

報酬改定の解釈は、告示・通知・Q&Aの追加によって更新されることがあります。算定にあたっては、必ず厚生労働省の最新資料と、保険者(自治体)の指示をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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