「新卒で訪問リハビリをやってみたいけど、注意点ってあるの?」

「そもそも、新卒で訪問リハビリってできるの?」

理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の学生や新卒の方で、こうした疑問を持つ人は少なくありません。臨床実習で訪問リハの魅力を感じたり、生活の場でリハビリをしてみたいと考えたりする気持ちは、とても素敵なものです。

この記事では、訪問リハビリ歴10年以上の現役理学療法士の視点から、新卒で訪問リハビリに挑戦する前に知っておきたい注意点5つと、新卒のPT・OT・STへのアドバイスをまとめました。結論からいえば、新卒でも訪問リハビリは可能です。ただし、押さえておくべき大事なポイントがあります。

この記事でわかること
  • 新卒で訪問リハビリはできるのか(結論)
  • 新卒で訪問リハビリに就職するときの注意点5つ
  • 避けたほうがよい事業所の特徴
  • 新卒で働くPT・OT・STへの現役セラピストからのアドバイス

新卒で訪問リハビリはできるのか?

ちびウルフちびウルフ

そもそも、新卒で訪問リハビリってできるの?

リハウルフリハウルフ

結論から言うと、できるよ。資格があればね。ただ、注意すべきことがいくつもあるんだ。

結論として、新卒でも訪問リハビリはできます。なぜなら、利用者さんのお宅に訪問してリハビリを行うこと自体は、資格があれば可能だからです。

ただし、「質」まで考えると話は変わります。「1年目ならできる?」「3年目なら?」「10年目なら?」と問い始めると、いつになったら十分かは一概には言えません。だからこそ、新卒で挑戦するなら、最低限の準備と心構えが欠かせない、というのが現役セラピストとしての本音です。

ポイント 新卒で訪問リハビリは「できる/できない」ではなく、「どう準備して臨むか」が大切です。次の注意点5つを押さえておきましょう。

新卒で訪問リハビリに就職するときの注意点5つ

新卒で訪問リハビリに就職するときに注意すべきことは、次の5つです。

注意点内容
①技術・知識1対1の空間で関わるため、最低限の知識・技術・引き出しが必要
②リスク管理感染・転倒・服薬など、最低限のリスク管理能力が必要
③社会人能力多職種・家族と関わるため、接遇・ビジネスマナーが必要
④事業所選び1日8件以上訪問するようなブラック事業所は避ける
⑤先輩の存在指導してくれる優しい先輩がいる職場を選ぶ

①最低限の技術や知識が必要

病院や施設でのリハビリと一番違うのは、原則として1人で訪問するという点です。最初は同行訪問やフォローがあっても、最終的には1人で利用者さん宅に伺います。

リハビリをする空間には専門職が自分1人だけ。間違った方法でリハビリをしていても、誰も気づいてくれないという状況になりがちです。病院なら同じ空間の先輩が助言してくれる場面でも、訪問リハビリでは自分で判断しなければなりません。だからこそ、最低限の知識・技術は身につけておきたいところです。

②最低限のリスク管理が必要

訪問リハビリでは、次のようなリスク管理能力が求められます。

訪問リハビリで必要なリスク管理
  • 感染/転倒・転落/服薬
  • フィジカルアセスメント
  • ハラスメント/交通事故/対人関係

リスク管理というと緊急時の対応を思い浮かべがちですが、「何かが起こらないようにする」ことのほうが大切です。たとえば、排便がない状態が続いているのに聴取しておらず気づけなかった、血圧が高い状態が続いていたが実は降圧薬を飲んでいなかった——こうした事態は、生活をしっかり見てアセスメントしなければ気づけません。早期発見に努めることも、リハビリ専門職の大事なスキルです。

③最低限の社会人能力が必要

訪問リハビリでは、多くの人とやり取りをします。

関わる相手
利用者さんとそのご家族
ケアマネジャー
医師・訪問看護師・訪問介護員
福祉用具業者
デイケア・デイサービスの職員

名刺の渡し方、挨拶、電話のかけ方、話し方など、社会人としての接遇も求められます。どんなにリハビリの知識・技術があっても、マナーや接遇ができていないと、それだけで拒否されてしまうこともあります。医療人としてのビジネスマナーを大切にしましょう。

④ブラックな訪問リハビリ事業所は避けよう

ちびウルフちびウルフ

ブラックな訪問リハビリ事業所って、どう見分けるの?

リハウルフリハウルフ

件数や働き方に無理がある事業所は要注意だよ。特に新卒には負担が大きいんだ。

残念ながら、利益優先で働き手に無理をさせる事業所も存在します。次のような特徴がある事業所は、特に新卒には負担が大きいので慎重に判断しましょう。

避けたほうがよい事業所の例
  • 1日に8件以上訪問する事業所
  • 直行直帰で、相談相手がいない事業所
  • 「卒業」という概念がなく、漫然と続ける事業所
  • 歩合制で件数を求められる事業所
  • サポート体制が整っていない事業所

⑤親切な先輩がいる職場を選ぼう

新卒で訪問リハビリをすることは、努力すれば可能です。しかし、社会人としてもリハビリ専門職としてもまだ一人前ではないため、他の職員のフォローが欠かせません。指導してくれる優しい先輩がいる職場を選ぶことを強くおすすめします。どんなに優秀でも、新卒1人では解決できないことがあります。仲間にフォローしてもらえる環境を選びましょう。

後悔しない事業所選びのステップ

新卒で訪問リハビリに挑戦するなら、事業所選びが何より重要です。次のステップで確認していきましょう。

  1. 1日の訪問件数と、移動・記録の時間に無理がないか確認する
  2. 新人教育・同行訪問・OJTの仕組みがあるかを聞く
  3. 相談できる先輩や管理者が常にいる体制かを確認する
  4. 給与の内訳(固定か歩合か)と残業の実態を確認する
  5. 見学・面接で、職場の雰囲気やスタッフの表情を自分の目で見る
ポイント 求人票の数字だけで決めず、必ず見学して自分の目で確かめることが、後悔しない事業所選びの近道です。

それでも新卒で訪問リハを選ぶメリット

ちびウルフちびウルフ

注意点が多いけど、新卒で訪問リハを選ぶメリットもあるの?

リハウルフリハウルフ

もちろんあるよ。生活の場で学べることは、病院では得にくい大きな財産になるんだ。

注意点を強調してきましたが、新卒で訪問リハビリに飛び込むメリットも確かにあります。

新卒で訪問リハを選ぶメリット
  • 生活の場でリハビリを学べ、「暮らしを支える視点」が早くから身につく
  • 多職種・家族と関わるため、コミュニケーション力が鍛えられる
  • 自分で考えて判断する力(自律性)が育ちやすい
  • 利用者さんの生活全体を見る経験が、その後のキャリアの土台になる

一方で、こうしたメリットはサポート体制の整った職場で、努力を重ねてこそ活きるものです。環境次第で、成長の機会にも、つらいだけの経験にもなり得ます。だからこそ、ここまで述べてきた「事業所選び」が決定的に重要になります。

訪問リハが向いている人・慎重に考えたい人

向いている人慎重に考えたい人
自分で学び続けられる人すぐに先輩に相談したい人
人と関わるのが好きな人1人での判断に強い不安がある人
生活を支える視点に魅力を感じる人まず幅広い症例を経験したい人

どちらが良い・悪いということではありません。自分の性格や学び方に合った道を選ぶことが、長く活躍するセラピストになる近道です。

新卒のPT・OT・STへのアドバイス

ここまで「新卒で訪問リハビリは可能だが、利用者さんのことを考えると簡単ではない」とお伝えしてきました。正直、その通りだと思います。

ただし、新卒での挑戦を全て否定しているわけではありません。新しいことに挑戦する人を、私は心から応援したいと思っています。もし「どうしても新卒で訪問リハビリをやりたい」という強い気持ちがあるなら、人の何倍も努力してください。すべては利用者さんのためです。

一方で、そこまでの執着がないのであれば、最初の1年は回復期や急性期で経験を積むのも有力な選択肢です。基礎をしっかり固めたほうが、3年後にはより良いセラピストになっているはずです。どちらの道を選ぶにせよ、利用者さんのためにという軸を忘れないでください。

よくある質問(FAQ)

新卒で訪問リハビリに行くと、給料は本当に高い?
訪問リハは比較的給与水準が高めの傾向はありますが、歩合制や訪問件数に連動する場合もあり、事業所によって大きく異なります。金額だけでなく、固定給か歩合か、移動・記録の時間が労働時間に含まれるかまで確認しましょう。
新卒で訪問リハビリは1人で大丈夫?
最初は同行訪問やフォローがあるのが一般的です。ただし最終的には1人で訪問するため、相談できる先輩や管理者がいる体制かどうかが重要です。サポート体制のない事業所は避けましょう。
まずは病院で経験を積むべき?
どうしても訪問がやりたいなら新卒でも挑戦できますが、強いこだわりがなければ最初の1年は回復期・急性期で基礎を固めるのも良い選択です。基礎力が、その後の訪問リハの質を支えます。
新卒で訪問リハに必要な準備は?
最低限の技術・知識、リスク管理能力、社会人としての接遇の3つです。加えて、フィジカルアセスメントや生活を見る視点を学んでおくと、現場で役立ちます。
訪問リハに就職後、後悔しないためにできることは?
入職前に必ず職場を見学し、1日の訪問件数・教育体制・相談できる先輩の有無を自分の目で確認しておくことです。入職後は、わからないことを抱え込まず早めに先輩へ相談する習慣をつけましょう。利用者さんのためにという軸を持ち、学び続ける姿勢があれば、訪問リハはやりがいの大きい仕事になります。
まとめ
  • 新卒でも訪問リハビリはできるが、最低限の準備と心構えが必要
  • 注意点は「技術・知識」「リスク管理」「社会人能力」「事業所選び」「先輩の存在」の5つ
  • 1日8件以上・サポートのない事業所は新卒には負担が大きいので避ける
  • 求人の数字だけで決めず、必ず見学して体制を確認する
  • 強いこだわりがなければ、最初の1年は回復期・急性期で基礎を固めるのも良い選択
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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