「グループホームに訪問リハビリは行けるの?」——訪問リハの業務にあたっていると、ケアマネジャーやご家族からこう聞かれることがあります。結論を先にお伝えすると、グループホームに訪問リハビリは原則として行けません。ただし、いくつか例外的にリハビリを受ける方法はあります(多くは現実的にはハードルが高いものです)。

この記事では、そもそもグループホームとはどんな施設かを整理したうえで、なぜ訪問リハが行けないのかを制度の根拠とともに解説し、さらに入居中にリハビリを受けるための5つの方法を、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)目線でまとめました。

この記事でわかること
  • グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の基本と対象者
  • 訪問リハビリがグループホームに行けない制度上の理由
  • 入居中にリハビリを受けるための5つの方法
  • 医療保険の訪問リハ・訪問看護が例外的に入れる条件

グループホームとは?対象者とサービス内容

グループホームとは、正式名称を「認知症対応型共同生活介護」といい、認知症の高齢者が少人数(1ユニット9人以下)の家庭的な環境で共同生活を送りながら介護を受ける、地域密着型の介護保険サービスです。

ちびウルフちびウルフ

グループホームってどんな人が入れるの?

リハウルフリハウルフ

対象は、原則65歳以上で認知症の症状があり、自宅で日常生活を営むことに支障がある方なんだ。少人数で共同生活をしながら、入浴・排泄・食事などの介護や、機能訓練を受けられる仕組みだよ。

項目内容
正式名称認知症対応型共同生活介護(地域密着型サービス)
対象者原則65歳以上・認知症があり、自宅での生活に支障がある方
主なサービス入浴・排泄・食事等の介護、機能訓練(リハビリ)など
生活単位少人数のユニット(家庭的な共同生活)

グループホームに訪問リハビリは行けるのか?

結論です。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)に、介護保険の訪問リハビリテーションは原則行けません。ここでいう「訪問リハビリ」とは、病院・診療所、介護老人保健施設、介護医療院から提供される介護保険の訪問リハビリテーション(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)を指します。

行けない理由:介護保険サービスの重複になるから

グループホーム自体が介護保険のサービスであり、サービス内容に機能訓練(リハビリ)が含まれています。ここに介護保険の訪問リハビリを重ねて提供すると、同じ目的のサービスを二重に給付する(重複算定)ことになってしまいます。これが「原則行けない」根本的な理由です。

ポイント:「介護保険サービスを受けている場所」は重複できないグループホームに限らず、特養・老健・介護付き有料老人ホームなど、すでに介護保険のサービス(または特定施設サービス)を受けている場所には、介護保険の訪問リハを重ねられません。判断の軸は「居宅扱いか/介護保険サービス内か」です。

グループホームでリハビリを受ける5つの方法

「訪問リハは行けない」と分かっても、入居中にリハビリ的な関わりを受ける手段はあります。リハウルフが5つの方法を順に解説します。

  1. グループホームの職員による機能訓練。サービス内容にもともと機能訓練が含まれるため、職員による機能訓練を受けられます(専門のPT等とは限りません)。
  2. 医療保険の訪問リハビリ(条件が非常に厳しい)。病院・診療所からの在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料による訪問が、条件を満たせば可能な場合があります。
  3. 生活機能向上連携加算による外部専門職の関与。施設が加算を算定していれば、外部のPT・OT等が計画作成に関わります。
  4. 医療保険の訪問看護からのリハビリ。末期がん等の条件を満たせば、医療保険の訪問看護として看護師等が関われます。
  5. 医療連携体制加算による訪問看護の委託。施設が訪問看護ステーションに委託金を支払い、職員が関わる方法です。

① グループホームの職員による機能訓練

グループホームのサービス内容には、そもそも機能訓練という項目が含まれます。専門の理学療法士等ではない場合がほとんどですが、職員による機能訓練を日常的に受けることは可能です。まずはここが基本になります。

② 医療保険の訪問リハビリ(条件が非常に厳しい)

病院・診療所からの医療保険の訪問リハビリ(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)であれば、グループホームでも提供できる場合があります。ただし要件が非常に厳しく、現実にはなかなか使えない制度です。

医療保険の訪問リハでグループホームに行ける条件
  • 月に1回(訪問)診療を受けている
  • 1か月でFIMまたはバーセル指数が5点以上悪化している
  • 頻回なリハビリが必要と医師が判断している
上記をすべて満たした場合に、14日間のみ訪問可能。しかも6か月に1回に限られます。

③ 生活機能向上連携加算による外部専門職の関与

グループホーム側が生活機能向上連携加算を算定している場合は、外部の医療機関や事業所のPT・OT等が関わります。専門職が直接マンツーマンでリハビリを行うわけではありませんが、外部の専門職とグループホーム職員が共同で立てた計画に基づき、職員による機能訓練を受けられます。

④ 医療保険の訪問看護からのリハビリ

介護保険の訪問看護はグループホームに訪問できませんが、医療保険の訪問看護であれば、条件を満たすことで関われる場合があります。看護師のほかPT・OT・STが訪問看護として関わるケースも含みます。

医療保険の訪問看護でグループホームに訪問できる主な対象
末期の悪性腫瘍等の患者
急性増悪等により一時的に頻回の訪問看護が必要な者
精神科訪問看護基本療養費を算定する者(一部除く)
厚労省Q&A:急性増悪時の取り扱い認知症対応型共同生活介護の利用者が急性増悪等で訪問看護が必要となり、医師の指示書および特別訪問看護指示書の交付を受けて訪問看護ステーションが訪問した場合は、指示の日から14日間を上限に医療保険の訪問看護療養費を算定できます。医療機関は在宅患者訪問看護・指導料を算定できます。

⑤ 医療連携体制加算による訪問看護の委託

グループホーム側が医療連携体制加算を算定し、施設が訪問看護ステーションに委託金を支払うことで、訪問看護ステーションの職員が関わるという方法もあります。施設の医療・看護体制を補強する仕組みです。

リハウルフリハウルフ

整理すると、グループホームで「介護保険の訪問リハ」は使えない。でも、職員の機能訓練・生活機能向上連携加算・医療保険ルート(訪問リハ/訪問看護)・医療連携体制加算と、状態に応じた選択肢はあるんだ。利用者の状態と施設の算定状況を見ながら、現実的な方法を選ぼう。

なぜグループホームでリハビリが重視されるのか

「認知症の人にリハビリは必要なの?」と思われがちですが、グループホームでこそ生活リハビリ(生活そのものをリハビリにする関わり)が大切になります。歩く・着替える・食器を運ぶといった日常動作を職員が先回りして奪わず、本人の残った力を使ってもらうことが、身体機能だけでなく認知機能の維持にもつながるからです。

専門のPT・OT・STが毎日入れない環境だからこそ、外部専門職の評価・助言を職員の日々のケアに落とし込む仕組み(生活機能向上連携加算など)が効いてきます。リハ職がグループホームに関わるときは、「自分が訓練する」より「職員が継続できる関わり方を設計する」視点が重要です。

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専門職が毎日いなくても、リハビリってできるんだね。

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。大事なのは「特別な訓練の時間」より「24時間の生活の質」。専門職が立てた方針を職員が毎日のケアで実践できれば、それが一番のリハビリになるんだよ。

ケアマネ・ご家族に説明するときのポイント

「訪問リハを呼びたい」という相談を受けたときは、いきなり「できません」と返すのではなく、理由と代替案をセットで伝えると納得を得やすくなります。「グループホームは介護保険サービスなので訪問リハは重ねられませんが、施設の機能訓練や外部専門職と連携する加算があります」という説明が基本形です。状態によっては医療保険ルートの可能性もあるため、まずは施設の算定状況と本人の状態を確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

グループホームに介護保険の訪問リハビリは入れますか?
入れません。グループホーム自体が介護保険サービスで機能訓練を含むため、介護保険の訪問リハを重ねると給付の重複になります。
医療保険の訪問リハならグループホームに行けますか?
在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の要件(月1回の訪問診療、FIM/バーセル指数が5点以上悪化、頻回リハが必要との医師判断)をすべて満たせば、14日間・6か月に1回に限り可能です。条件が厳しく現実的には限定的です。
グループホームに訪問看護は入れますか?
介護保険の訪問看護は入れませんが、末期の悪性腫瘍、急性増悪による頻回訪問が必要な場合、精神科訪問看護の対象などでは医療保険の訪問看護として関われる場合があります。急性増悪では特別訪問看護指示書により14日を上限に算定できます。
入居中、専門職のリハビリを受ける一番現実的な方法は?
多くの場合、施設の機能訓練に加えて、生活機能向上連携加算による外部専門職の助言を活用する形が現実的です。施設がどの加算を算定しているかをまず確認しましょう。
まとめ
  • グループホーム(認知症対応型共同生活介護)に介護保険の訪問リハビリは原則行けない。介護保険サービスの重複になるため。
  • 入居中にリハビリを受ける方法は5つ:職員の機能訓練/医療保険の訪問リハ(厳しい条件)/生活機能向上連携加算/医療保険の訪問看護/医療連携体制加算。
  • 医療保険の訪問リハは「月1回診療・FIM/BI 5点以上悪化・頻回リハ必要」を満たし14日間・6か月に1回のみ。
  • 医療保険の訪問看護は末期がん・急性増悪・精神科などで可。急性増悪は特別訪問看護指示書で14日上限。

出典・参考:厚生労働省「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(認知症対応型共同生活介護)」、訪問看護療養費・在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定基準・解釈通知、厚生労働省Q&A。要件・点数は改定で変わるため、算定時は最新年度の通知をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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