訪問リハビリの対象者とは?介護保険・医療保険の優先度を現役PTが解説
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「訪問リハビリテーションの対象者って、結局どんな人が使えるの?」「介護保険と医療保険のどちらを使えばいいのか、優先度がよくわからない」——訪問リハビリの利用を考えるとき、まず迷うのがこの“対象者”と“保険の使い分け”です。仕組みを正しく理解しておかないと、本来使えるサービスを取りこぼしたり、算定でつまずいたりすることもあります。
この記事では、現役の訪問理学療法士の視点で、介護保険の訪問リハビリの対象者・医療保険の訪問リハビリの対象者・そして介護保険と医療保険の優先度(使い分け)を、厚生労働省の根拠もふまえてやさしく整理します。利用者さんやご家族はもちろん、ケアマネジャーやリハビリ職・看護職など、介護保険にかかわる専門職の方にも実務で使える内容です。
- 訪問リハビリテーションの「対象者」の全体像(介護保険/医療保険)
- 介護保険の訪問リハビリの対象者と「通院が困難な利用者」の本当の意味
- 医療保険の訪問リハビリ(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)の対象者と点数
- 介護保険と医療保険の優先度・急性増悪時の切り替えルール
- ケアマネ・リハ職が現場で押さえるべき実務ポイント
訪問リハビリテーションの対象者とは?
結論から言うと、訪問リハビリテーションの対象者は「介護保険」と「医療保険」で異なります。同じ“訪問リハビリ”という言葉でも、どちらの保険で提供するかによって、対象となる人・条件・呼び方(正式名称)まで変わってくるのがポイントです。
大まかには、要支援・要介護の認定を受けている人は介護保険の訪問リハビリ、介護認定を受けていない在宅療養者は医療保険の訪問リハビリが対象になります。まずは全体像を表で押さえましょう。
| 区分 | 正式名称 | 主な対象者 |
|---|---|---|
| 介護保険 | 訪問リハビリテーション(1・2・3) | 要支援1・2/要介護1〜5の認定を受け、通院が困難な人 |
| 医療保険 | 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料(1・2) | 在宅療養中で、原則として介護保険の認定を受けていない人 |
ちびウルフ同じ訪問リハビリなのに、保険で対象者が変わるんだね?
リハウルフそうなんだ。まずは「介護認定を受けているかどうか」で大きく分かれる、と覚えておくといいよ。次から1つずつ見ていこう。
介護保険の訪問リハビリの対象者
介護保険の訪問リハビリテーションは、正式には「訪問リハビリテーション1・2・3」と呼ばれます。対象になるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
要支援・要介護の認定が絶対条件
介護保険の訪問リハビリを利用するには、要支援1・2、または要介護1〜5のいずれかの認定を受けていることが大前提です。認定を受けていない人は、そもそも介護保険のサービスを使えないため、訪問リハビリの対象にもなりません。
原則は「通院が困難な利用者」
もう一つ大切なのが、訪問リハビリは原則として「通院が困難な利用者」に対して行うサービスだということです。通院ができる人は、まず通所リハビリテーション(デイケア)などを優先しなければならない、というルールがあります。
厚生労働省の解釈通知でも、訪問リハビリ費は通院が困難な利用者に給付するものであり、「通院により同様のサービスが担保されるのであれば、通所系サービスを優先すべき」という趣旨が示されています。
通院できる人でも訪問リハが認められるケース
では、通院ができる人は絶対に訪問リハビリを使えないのかというと、そうではありません。通所リハビリだけでは家屋内のADL(日常生活動作)の自立が困難で、家屋状況の確認を含めた訪問リハビリが必要とケアマネジメントの結果判断された場合は、算定が認められます。
カギになるのは「その人の家でしかできないリハビリ」をケアプランに位置づけられるかです。家でしかできない練習と、どこでもできる内容を整理すると次のようになります。
| 家でしかできないこと(訪問リハ向き) | 家以外でもできること |
|---|---|
| 実際の生活環境での移動・歩行練習 | マッサージ |
| 実際の浴室での入浴動作練習 | 筋力トレーニング |
| 自宅トイレでの排泄動作練習 | 平地での歩行練習 |
| 自宅玄関・段差の昇降練習 | — |
| 自宅からスーパーまでの買い物練習 | — |
ちびウルフ通院できる人でも、家でしかできない練習が必要なら使えることがあるんだね!
リハウルフそう。ケアマネジャーがケアマネジメントの結果として「自宅環境での必要性」を判断し、ケアプランに位置づけることがポイントだよ。
医療保険の訪問リハビリの対象者
医療保険の訪問リハビリは、正式には「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料1・2」といいます。診療報酬の項目で、医師の診療に基づいて理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問して指導を行うものです。
在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の対象
対象になるのは、おおむね次の条件を満たす人です。
- 在宅で療養を行っている患者
- 原則として介護保険の認定を受けていない人(例外あり)
- 疾病・傷病のために通院してリハビリを受けることが困難な人
- 医師の診療に基づき指導が行われること
基本的には介護認定を受けていない在宅療養者が対象です。介護保険の認定を受けている人は、原則として医療保険の訪問リハビリは算定できません(例外は後述の急性増悪時)。
点数・単位数(令和6年度)
令和6年度診療報酬での在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、おおむね次のとおりです(最新の告示・解釈通知をご確認ください)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1単位あたりの点数 | 同一建物居住者以外:300点/同一建物居住者:255点 |
| 1単位の時間 | 20分以上の指導で1単位 |
| 算定上限 | 原則 週6単位まで |
| 退院後3か月以内の例外 | 入院先医師の指示に基づき継続する場合は週12単位まで |
より詳しい要件は、別記事で現役PTが解説しています。
訪問リハビリの介護保険と医療保険の優先度
ここが多くの人がつまずくポイントです。結論はシンプルで、介護認定を受けている人は、原則として介護保険が優先になります。
原則は介護保険が優先
訪問リハビリの場合、疾患名にかかわらず、要介護・要支援認定を受けていれば介護保険が優先です。「この病気だから医療保険」という考え方ではなく、まず介護認定の有無で判断する点に注意しましょう。
急性増悪時は医療保険に切り替え可能
例外として、急性増悪などにより一時的に頻回のリハビリが必要になった場合は、要介護被保険者であっても医療保険の在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料に切り替えて算定できます。条件は次のとおりです。
- 主治医が「一時的に頻回の訪問リハビリ指導が必要」と判断する(急性増悪等)
- 医療保険の訪問リハビリへ切り替え、6か月に1回・14日間に限り算定する
- この期間は1日4単位まで算定が可能
状態悪化の目安としては、バーセル指数(BI)やFIMといったADL評価が大きく低下したケースが想定されます。ただし、実務ではこの切り替えは事業所・利用者・ケアマネのいずれにも手続きの負担があり、頻繁には行われません。「本当に頻回のリハビリが必要なときの選択肢」として覚えておくとよいでしょう。
ケアマネ・リハ職が現場で押さえるべき実務ポイント
制度を“知っている”だけでなく、現場で使いこなすために、専門職が押さえておきたいポイントを整理します。
- ケアマネジャー:通院困難でない利用者に訪問リハを入れる場合、「自宅でしかできない理由」をアセスメントとケアプランに明記する
- リハ職(PT・OT・ST):訪問リハの必要性を、家屋環境・ADLの具体的な課題として記録に残す
- 事業所・管理者:介護/医療どちらの保険か、医師の指示書の有効期間と整合しているかを確認する
- 急性増悪時:切り替えの可否と算定上限(6か月に1回・14日・1日4単位)を主治医・厚生局に確認する
特に「通院が困難」かどうかの判断は、自治体や保険者によって解釈の幅があります。迷うケースでは、断定せず保険者(市町村)や厚生局に確認するのが安全です。
よくある質問(FAQ)
通院できる人は訪問リハビリを絶対に使えませんか?
介護認定を受けていても医療保険の訪問リハビリを使えますか?
疾患名によって医療保険優先になりますか?
要支援でも訪問リハビリは使えますか?
- 訪問リハビリの対象者は「介護保険」と「医療保険」で異なる
- 介護保険は要支援・要介護認定が絶対条件で、原則「通院が困難な人」が対象
- 通院できる人でも、自宅でしかできないリハをケアプランに位置づければ利用可能
- 医療保険(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)は原則、介護認定のない在宅療養者が対象
- 介護認定があれば原則 介護保険優先。急性増悪時のみ6か月に1回・14日・1日4単位で医療保険に切り替え可
出典:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問リハビリテーション)解釈通知」、令和6年度診療報酬(C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)告示・通知




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