「今の訪問看護ステーション、なんだかしんどい…これってブラックなのかな?」「これから訪問看護で働きたいけど、ブラックな職場を選びたくない」——そんな不安を抱えていませんか。

訪問看護ステーションは全国で17,000事業所を超えるほど増え続けており、その分だけ職場の質にも大きな差が生まれています。この記事では、現役の理学療法士の視点からブラックな訪問看護ステーションに共通する8つの特徴と、入職前に見抜くチェックポイント、そして「合わない」と感じたときの動き方までを具体的に解説します。1つでも当てはまったら要注意。自分の働く環境を見直すきっかけにしてください。

この記事でわかること
  • ブラックな訪問看護ステーションに共通する8つの特徴
  • 私有車の使用や持ち帰り仕事が「なぜブラックなのか」の根拠
  • 求人票・面接でブラック職場を見抜くチェックポイント
  • ホワイトな訪問看護ステーションの見分け方
  • 「おかしい」と感じたときの転職・相談の進め方

訪問看護のブラック企業とは?まず全体像を知ろう

そもそも「ブラックな訪問看護ステーション」とは、労働環境や利用者へのサービスの質を犠牲にして、利益や効率だけを優先する事業所のことです。看護師・保健師・助産師に加え、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)など多くの専門職が働く現場だからこそ、運営姿勢の差がそのまま働きやすさに直結します。

厚生労働省や全国訪問看護事業協会の調査では、訪問看護ステーションの稼働数は令和6年(2024年)時点で17,000事業所を超え、過去最高の増加を続けています。事業所が急増しているということは、それだけ運営体制が整っていない事業所も混ざっているということ。だからこそ、働く側が「見極める目」を持つことが大切です。

ちびウルフちびウルフ

訪問看護ってどこもブラックなイメージがあるんだけど、本当にそうなの?

リハウルフリハウルフ

それは誤解だよ。ブラックはごく一部で、ホワイトなステーションのほうがずっと多いんだ。大事なのは「見分け方」を知ること。これから紹介する8つの特徴をチェックしてみてね。

この記事のチェックの使い方これから挙げる8つの特徴は、1つでも当てはまればブラックの可能性が高いサインです。今の職場や、気になっている求人と照らし合わせながら読み進めてください。

ブラックな訪問看護ステーションの8つの特徴

ここからは、現場で多くの相談を受けてきた経験から、ブラックな訪問看護ステーションに共通する8つの特徴を一つずつ解説します。

No.ブラックな訪問看護の特徴
1有休などを好きな時に取得できない
2私有車を使わされる
3最初から残業時間が給与に含まれている
4リハビリ職員が8割以上を占める
5他職種を否定する雰囲気がある
6家に帰って記録や書類をやらされる
71日の訪問件数が8件以上
8「卒業」や「修了」をさせると怒られる

① 有休などを好きな時に取得できない

「訪問看護ステーションだから休めない」というのは大きな誤解です。優良なステーションでは有休取得率がほぼ100%のところも珍しくありません。好きな時に休みを取れる仕組みがあるかどうかは、職場の健全さを測るわかりやすい指標です。

そもそも有休を取りにくい環境は、訪問看護うんぬん以前に会社として人員配置や労務管理ができていないサインです。希望の休みが通りにくい職場は避けたほうが無難でしょう。

② 私有車を使わされる

訪問の移動に自分の車を使わされている場合、かなりブラックの可能性が高いです。理由は次の4つに整理できます。

リスク具体的な問題
感染対策の軽視自宅や訪問先からの感染源を、個人の車で運ぶことになりかねない。感染管理の意識が低い表れ。
車の価値が下がる1日30km走れば月600km、年7,200km。走行距離の増加で車の資産価値が低下する。
消耗・維持費の自己負担タイヤ・ブレーキパッド・各種フィルター・オイルなどの維持費を個人がかぶることになる。
事故時の責任があいまい業務中の事故でも個人の自動車保険で対応すれば等級が下がり、保険料は数年で十数万円増えることも。
目安どうしても私有車を使う場合でも、最低1kmあたり70円以上の手当がなければ割に合いません。手当の有無と金額は、求人や面接で必ず確認しましょう。事業所が車を用意できないのは、経営に余裕がないサインの場合もあります。

③ 最初から残業時間が給与に含まれている

求人票に「(月の残業20時間を含む)」といった記載があるケースです。たとえば月収30万円・9:00〜18:00勤務に見えても、固定残業20時間込みだと実質的に毎日1時間多く働く前提になっています。

「年収400万円で1日8時間労働」と思って入ったら、実は「年収400万円で1日9時間労働」だった——というすり替えが起きやすい条件です。みなし残業(固定残業)自体が違法ではありませんが、条件が分かりにくく提示されている時点で要注意。時間あたりの実質賃金を計算して判断しましょう。

④ リハビリ職員が8割以上を占める

訪問看護ステーションは本来、看護職員が訪問看護を提供するサービスです。近年はリハビリ専門職による訪問看護が増えていますが、職員の8割以上がリハ職という構成になると、本来の訪問看護の機能を十分に果たせていない可能性があります。

看護とリハのバランスが極端に偏っている事業所は、運営方針が「制度の趣旨」より「収益」に寄っていないか、一度立ち止まって見たほうがよいでしょう。

⑤ 他職種を否定する雰囲気がある

看護職員がリハ職の考えを否定したり、その逆だったりする事業所はおすすめできません。在宅医療・介護は、多職種が協働して利用者一人ひとりの生活を支える仕事です。互いの専門性を尊重し、領域に踏み込みすぎない雰囲気があるかどうかは、長く働くうえでとても重要です。

ポイント職場の雰囲気は管理者の考え方に大きく左右されます。面接の際に、管理者が多職種連携をどう語るかをよく観察しましょう。

⑥ 家に帰って記録や書類をやらされる

持ち帰り仕事が常態化している職場は、労働時間の管理ができていないうえに、個人情報の管理もずさんになりがちです。利用者の記録を自宅に持ち帰ること自体、情報漏えいのリスクが高い行為。「お持ち帰り残業」が当たり前になっている事業所は避けましょう。自分自身の個人情報すら、適切に守られない恐れがあります。

⑦ 1日の訪問件数が8件以上

看護職員は30分・60分・90分未満、リハ職は40分・60分といった単位で訪問します。件数は事業所によりさまざまですが、1日8件以上が常態化している場合は注意が必要です。件数をこなせても、1件あたりのケアの質が著しく低下しやすいからです。

歩合制で件数を増やし、事業所と働く側がWIN-WINを目指す形もありますが、訪問看護で最も大切にすべきは利用者(患者)さんです。利用者・事業所・働く側の三者がWIN-WIN-WINになる運営を行うステーションを選びましょう。

⑧ 「卒業」や「修了」をさせると怒られる

訪問看護をはじめ、医療保険・介護保険のサービスは「必要な人に必要なだけ」が原則です。ところが、それを理解していない経営者・管理者の中には、利用者を「卒業」「修了」させようとすると怒る人がいます。利益ばかりを追い、医療・介護本来の目的を見失っているサインです。実際、大手ステーションで働く職員からも同様の相談は少なくありません。

ホワイトな訪問看護ステーションを見抜くチェックポイント

ブラックの特徴の裏返しが、そのままホワイトな職場の条件になります。入職前に確認すべきポイントを一覧にまとめました。

確認する項目ホワイトな職場の目安
有休取得取得率が高く、希望日に休みやすい仕組みがある
移動手段社用車・リース車を用意、または十分なガソリン手当・車両手当がある
給与の内訳基本給と残業代が明確に分かれて提示されている
職種バランス看護職とリハ職のバランスが取れ、多職種連携が機能している
記録・書類勤務時間内に記録できる体制・ICT環境が整っている
訪問件数1日の件数に無理がなく、質を担保できる設定
運営方針「卒業・修了」を前向きに捉え、自立支援を大切にしている
ちびウルフちびウルフ

面接のときって、こういうこと聞いても大丈夫なの?

リハウルフリハウルフ

むしろ聞くべきだよ。有休の取りやすさや車・手当のことを質問して、はぐらかす職場は要注意。誠実に答えてくれるかどうかも、いい判断材料になるんだ。

「おかしい」と感じたら?転職・相談の進め方

もし今の職場が当てはまっていても、我慢し続ける必要はありません。全国には17,000を超える訪問看護ステーションがあり、ホワイトな職場はたくさんあります。動き方を順番に整理しましょう。

  1. この記事のチェック項目で、自分の職場の問題点を書き出して整理する。
  2. 改善できそうなら、管理者に労働環境(有休・残業・車両手当など)の相談をしてみる。
  3. 改善が見込めない場合は、求人を比較しながら転職先の候補を探す。
  4. 面接で「ホワイトの見分け方」を確認し、納得できる事業所を選ぶ。
ポイント転職を考えるときは、リハ職・看護職向けの求人サービスを使うと、条件面(手当・残業・訪問件数)を事前に比較しやすくなります。1人で抱え込まず、信頼できる人や専門のサービスに相談してみましょう。

よくある質問(FAQ)

特徴が1つだけ当てはまる場合もブラックですか?
1つでも当てはまれば「注意すべきサイン」です。ただし背景や程度はさまざまなので、まずは改善の余地があるか(管理者に相談できるか)を確認しましょう。複数当てはまる場合は、転職も視野に入れることをおすすめします。
みなし残業(固定残業代)がある会社は全部ブラックですか?
固定残業代の制度自体は違法ではありません。問題は「条件が分かりにくく提示されていること」「実態が固定時間を超えても追加の残業代が出ないこと」です。基本給と残業代の内訳が明確かどうかを確認しましょう。
私有車の使用は必ず断るべきですか?
感染対策・維持費・事故時の責任などのリスクがあります。やむを得ず使う場合でも、1kmあたり70円以上を目安に十分な手当があるか、事故時の補償はどうなるかを必ず確認してください。
リハ職が多い訪問看護ステーションは避けるべきですか?
リハ職が多いこと自体が悪いわけではありません。ただし8割以上など極端に偏ると、訪問看護本来の機能を果たしにくくなります。看護とリハのバランスや運営方針を確認しましょう。
今の職場がブラックでも、すぐ辞めるべきですか?
まずは改善できるか管理者に相談するのが第一歩です。改善が見込めない、心身に支障が出ているといった場合は、無理をせず転職を検討してください。ホワイトな職場は数多くあります。
まとめ
  • ブラックな訪問看護ステーションには、有休が取りにくい/私有車使用/固定残業/リハ職8割以上/他職種否定/持ち帰り仕事/1日8件以上/卒業を嫌がる、の8つの特徴がある。
  • 1つでも当てはまれば注意のサイン。複数当てはまるなら環境の見直しを。
  • 私有車使用は感染・維持費・事故責任のリスク大。手当(1kmあたり70円以上が目安)と補償を必ず確認。
  • 訪問看護ステーションは全国17,000事業所超。ブラックはごく一部で、ホワイトな職場はたくさんある。
  • 「おかしい」と感じたら我慢せず、相談・比較・転職で自分に合った職場を選ぼう。

出典:一般社団法人全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数 調査結果」、厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」等の公的統計を参照(令和6年/2024年時点)。最新の数値は各調査の公表値をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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