「訪問看護を起業すると儲かるのか?」「訪問看護ステーションを立ち上げれば安定して稼げるのか?」——独立や開業を考える看護師さんから、いちばん多く聞かれる質問です。周りで新しいステーションが次々と立ち上がっていると、つい「やっぱり儲かるのかな」と気になりますよね。

結論からお伝えすると、訪問看護ステーションは正しく運営すれば十分に黒字化できる事業です。ただし、開業数と同じくらい廃止・休止も増えているのが現実。この記事では、最新の統計データをもとに「本当に儲かるのか」「黒字にするために何をすべきか」を、現場と制度の両面から具体的に解説します。

この記事でわかること
  • 訪問看護ステーションは年間どのくらい開業・廃止されているのか(最新データ)
  • 訪問看護の起業は本当に儲かるのか、黒字と赤字を分ける要因
  • 儲かる訪問看護ステーションを作るために実践すべき4つのこと
  • 開業に必要な人員基準(看護師2.5人)など制度の基本

訪問看護の起業は儲かるのか?

まず結論です。訪問看護の起業は、上手く運営すれば儲かります。在宅医療のニーズは高齢化とともに伸び続けており、事業としての将来性は高い分野です。

ただし、誰がやっても自動的に儲かるわけではありません。高額なコンサル料に頼ったり、人材や利用者を確保できなかったりすると、売上が立たずに赤字が続き、最終的に倒産してしまうステーションも一定数あります。

ちびウルフちびウルフ

需要があるなら、開業すればみんな儲かるんじゃないの?

リハウルフリハウルフ

需要が大きいのは事実だよ。でも「需要がある=必ず黒字」ではないんだ。赤字になる事業所には共通したパターンがあってね。そこを避けることが何より大事なんだよ。

倒産してしまう訪問看護ステーションには、次のような共通点があります。

倒産しやすい訪問看護ステーションの特徴
  • 高額なコンサル料金を取られている
  • 看護師などの人材が確保できない
  • 利用者が確保できない
  • 実地指導・監査で繰り返し指摘を受ける

逆に言えば、これらを一つずつクリアしていけば、黒字の訪問看護ステーションは決して難しくありません。儲かるステーションを作る基本方針は、シンプルに次の4つです。

やることねらい
高いコンサル料金を払わない固定費・初期費用を抑え、利益が残る体質にする
看護師を正しく集める採用コストと離職を減らし、訪問件数を確保する
利用者を正しく確保する稼働率を上げ、安定した売上をつくる
制度の基本を守る返戻・指導・指定取消のリスクを避ける

それぞれの中身は後ほど詳しく解説します。まずは「どのくらいのステーションが開業・廃業しているのか」を、最新データで見ていきましょう。

訪問看護ステーションはどのくらい開業・廃業されているのか?

訪問看護ステーションの数は、年々増え続けています。全国訪問看護事業協会の調査によると、2024年(令和6年)4月1日時点の稼働数は全国で17,329件にのぼり、前年から1,632件増と過去最高の増加数を記録しました。

一方で、見落としてはいけないのが「廃止・休止」の数です。同じ調査では、前年度中の動きとして次のような数字が出ています。

区分件数(令和6年調査)
新規開設数2,437件(過去最高)
廃止数701件(過去最多)
休止数291件(過去最多)

開設数が過去最高である一方、廃止・休止もいずれも過去最多になっています。つまり「たくさん生まれて、たくさん退場している」のが今の訪問看護業界の実態です。

ポイント「ステーションが増えている=儲かる」とだけ捉えるのは危険です。参入も多いが撤退も多い。この事実を踏まえ、退場する側に回らないための準備こそが、起業を成功させる鍵になります。

儲かるために訪問看護ステーションがすべきこと

ここからは、黒字化しているステーションと赤字のステーションの違い、そして具体的な対策を解説します。先ほど挙げた「倒産しやすい特徴」を裏返せば、そのまま「儲かるためにすべきこと」になります。

ちびウルフちびウルフ

何から手をつければいいのか分からなくて不安です…

リハウルフリハウルフ

大丈夫。やることは「コンサル費」「人材」「利用者」「制度」の4つだけ。一つずつ整理すれば必ず見えてくるよ。

① 訪問看護のコンサル費は抑える

儲からないステーションに多いのが、開業や運営のコンサルにお金をかけすぎているケースです。たとえば次のような支払いは要注意です。

注意したい支出の例
  • 起業・立ち上げのコンサルに100万円以上を支払っている
  • 運営コンサルに年間200万円以上を支払い続けている

訪問看護ステーションの運営に、そこまで高額なコンサル費は必要ありません。もちろん、開業当初は不安がつきものですから、月10万円以下(年間120万円以下)程度で信頼できる伴走先を選ぶのは選択肢としてアリです。ただし「言い値で高額契約」は避けましょう。ステーション数の増加に伴ってコンサルも乱立しているため、費用対効果を冷静に見極めることが大切です。

② 訪問看護の人材を正しく集める

訪問看護ステーションを開設するには、看護職員(保健師・看護師・准看護師)を常勤換算で2.5人以上配置する必要があります(うち1人は常勤、管理者は保健師または看護師の常勤)。つまり人材確保は「儲かる/儲からない」以前に、事業を始める前提条件です。

ここでコストを大きく左右するのが、採用方法です。人材紹介会社に頼りきると、次のようなデメリットがあります。

採用方法特徴
人材紹介会社紹介料が高い(1人あたり50〜80万円程度)。早期離職も起こりやすく、費用が無駄になりやすい
自社採用サイト+求人SEO制作費30〜50万円程度。理念に共感した人が応募しやすく、定着率が高くなりやすい

1人を紹介料80万円で採用してすぐ辞められるより、採用に強い自社ホームページに30〜50万円を投資した方が、長期的にははるかに割安です。人材が安定すれば訪問件数も安定し、黒字化に直結します。

ポイント採用は「集めて終わり」ではなく「定着して初めて成功」。離職率を下げる職場づくり(オンコール体制・教育・働き方)まで含めて設計しましょう。

③ 利用者の確保をしっかりする

利用者の確保には、正しいやり方があります。やみくもに営業に回るだけのステーションは、意外と利用者が集まりません。医療・介護の現場を知らないまま間違った集客方法を指導するコンサルも少なくないので、注意が必要です。

訪問看護の利用者は、多くがケアマネジャーや医療機関からの紹介でつながります。居宅介護支援事業所・病院の地域連携室・主治医との関係づくりを地道に重ね、「この事業所なら安心して任せられる」と思ってもらうことが、結局いちばんの近道です。

④ 実地指導・監査で指摘されない(制度を守る)

「実地指導や監査が怖い」という声もよく聞きますが、データ上、重い処分に至るケースはごく僅かです。基本的な記録・算定ルールを守って運営していれば、過度に恐れる必要はありません。

わからない点は、指定権者である自治体(都道府県・市区町村)の介護保険担当に確認すれば教えてもらえます。ただし、人員基準違反に不正請求や虚偽報告が重なって悪質と判断されると、指定取消という最も重い処分につながる可能性があります。制度の基本を守ることは、事業を続けるための土台です。

訪問看護ステーションを立ち上げて儲けたい人へ

ここまでの内容を、これから起業する人向けにまとめます。儲かる訪問看護ステーションを作るために実践すべきことは、次の流れです。

  1. 高額なコンサルに頼らず、固定費を抑える体制をつくる
  2. 適正な費用で、採用に強い自社ホームページを用意する
  3. ケアマネ・医療機関との連携で利用者を正しく集める
  4. 人員基準など制度の基本を理解し、守って運営する

訪問看護ステーション経営の最大のテーマは、人件費(コンサル費を含む)をいかに適正にコントロールするかです。ここを押さえられれば、黒字化はぐっと現実的になります。理念を持って正しく運営すれば、訪問看護は地域に貢献しながらしっかり利益を出せる、やりがいの大きな事業です。

訪問看護の起業に関するよくある質問

訪問看護ステーションの開業にはいくらかかりますか?
物件・備品・車両・人件費・運転資金などを含め、地域や規模によって幅があります。一般的には数百万円規模が目安で、加えて売上が安定するまでの数か月分の運転資金を確保しておくと安心です。高額なコンサル契約に初期費用が引っ張られないよう注意しましょう。
看護師は最低何人必要ですか?
看護職員(保健師・看護師・准看護師)を常勤換算で2.5人以上配置することが必要です。このうち1人は常勤で、管理者は保健師または看護師の常勤者を置く必要があります。
黒字化までどのくらいかかりますか?
利用者数の伸び方や訪問件数によりますが、稼働率が上がるまでには一定の時間がかかります。だからこそ、数か月分の運転資金を準備し、初月から固定費を膨らませない設計が重要です。
コンサルは使わない方がいいですか?
必ずしも不要ではありません。制度や開業手続きが不安なら、月10万円以下程度で信頼できる伴走先を選ぶのは有効です。問題は「高額すぎる契約」。費用対効果を冷静に見極めましょう。
未経験でも訪問看護ステーションを開業できますか?
人員基準を満たし制度を理解すれば開業自体は可能です。ただし在宅特有のマネジメントや連携が必要になるため、訪問看護の現場経験や、経験者を管理者に迎えるなどの準備があると安心です。
まとめ
  • 訪問看護の起業は、正しく運営すれば十分に儲かる将来性の高い事業
  • 令和6年4月時点の稼働数は全国17,329件で過去最高。一方で廃止・休止も過去最多
  • 赤字の主因は「高額コンサル・人材不足・利用者不足・制度違反」の4つ
  • 対策は「コンサル費を抑える・自社採用を強化・正しく集客・制度を守る」
  • 開業には看護職員を常勤換算2.5人以上(うち1人常勤・管理者は保健師か看護師)配置が必要
  • 人件費(コンサル費含む)の適正化が、黒字化の最大のポイント

参考:全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数 調査」、厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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