訪問介護の生活機能向上連携加算は(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位。単位数は2倍差ですが、算定できる月数まで含めると差は6倍になります。(Ⅰ)は初回月の1回きり、(Ⅱ)は初回月以降3月の間、毎月200単位。合計100単位対600単位です。

違いを生むのはリハ職が利用者の自宅を訪問するかどうか。(Ⅰ)は理学療法士等が自宅を訪問せず、ICTを活用した動画やテレビ電話で状況を把握して助言する形でも算定できます。(Ⅱ)はリハ職の居宅訪問にサ責が同行し、共同で評価します。

そして(Ⅱ)には見落とされやすい規定があります。3月の間に訪問リハ・通所リハの提供が終了しても、3月間は算定を続けられます。

この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(厚生省告示第19号)訪問介護費 ホ、老企第36号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • (Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位という単位数と、算定できる月数の違い
  • (Ⅰ)はリハ職が自宅を訪問しなくてよいこと
  • ICTを活用した動画・テレビ電話での状況把握が認められていること
  • (Ⅱ)はリハ職の居宅訪問にサ責が同行し、共同で評価すること
  • 連携先の病院に200床未満などの条件があること
  • 訪問介護計画に記載すべき4項目
  • 達成目標は数値等の具体的・客観的指標にすること
  • (Ⅱ)は3月の間にリハの提供が終了しても算定を続けられること
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できないこと
  • 3月経過後に再算定する方法

単位数と算定できる月数——実質6倍の差

区分単位数算定できる期間合計
生活機能向上連携加算(Ⅰ)100単位初回の訪問介護を行った日の属する月のみ100単位
生活機能向上連携加算(Ⅱ)200単位初回月以降3月の間、1月につき最大600単位
単位数の差は2倍、実質の差は6倍

(Ⅰ)は「初回の当該指定訪問介護が行われた日の属する月に」算定する一回限りの加算。(Ⅱ)は「初回の当該指定訪問介護が行われた日の属する月以降3月の間、1月につき」算定する月額の加算です。

そして告示は「ただし、(1)を算定している場合は、算定しない」——(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できません。どちらを取りにいくかは、リハ職に居宅訪問へ同行してもらえるかで決まります。

告示の原文で2つの区分を確認する

(Ⅰ)100単位——助言に基づいて計画を作る

(1)について、サービス提供責任者が、指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設(病院にあっては、許可病床数が200床未満のもの又は当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものに限る。)の医師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の助言に基づき、生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成し、当該訪問介護計画に基づく指定訪問介護を行ったときは、初回の当該指定訪問介護が行われた日の属する月に、所定単位数を加算する。

(Ⅱ)200単位——共同して評価する

(2)について、利用者に対して、(中略)医師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、指定訪問リハビリテーション、指定通所リハビリテーション等の一環として当該利用者の居宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する等により、当該医師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と利用者の身体の状況等の評価を共同して行い、かつ、生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成した場合であって、(中略)当該訪問介護計画に基づく指定訪問介護を行ったときは、初回の当該指定訪問介護が行われた日の属する月以降3月の間、1月につき所定単位数を加算する。ただし、(1)を算定している場合は、算定しない。

論点(Ⅰ)(Ⅱ)
リハ職の居宅訪問不要必要(サ責が同行等)
評価の方法リハ職が把握し、サ責に助言リハ職とサ責が共同して評価
算定初回月のみ初回月以降3月、毎月

(Ⅰ)の要——リハ職は自宅に行かなくてよい

老企第36号が、(Ⅰ)の性格をはっきり書いています。

本加算は、理学療法士等が自宅を訪問せずにADL及びIADLに関する利用者の状況について適切に把握した上でサービス提供責任者に助言を行い、サービス提供責任者が、助言に基づき(中略)訪問介護計画を作成(変更)するとともに、計画作成から3月経過後、目標の達成度合いにつき、利用者及び理学療法士等に報告することを定期的に実施することを評価するものである。

把握の方法も具体的です。

理学療法士等は、当該利用者のADL及びIADLに関する状況について、指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設の場において把握し、又は、指定訪問介護事業所のサービス提供責任者と連携してICTを活用した動画やテレビ電話装置等を用いて把握した上で、当該指定訪問介護事業所のサービス提供責任者に助言を行うこと。なお、ICTを活用した動画やテレビ電話装置等を用いる場合においては、理学療法士等がADL及びIADLに関する利用者の状況について適切に把握することができるよう、理学療法士等とサービス提供責任者で事前に方法等を調整するものとする。

  • リハ事業所・医療提供施設のその場で把握する(通所リハに来ているときに見る)
  • またはICTを活用した動画やテレビ電話装置等で把握する
  • ICTを使う場合は事前に方法等を調整する
ちびウルフちびウルフ

動画を撮って送るだけでもいいんですか?

リハウルフリハウルフ

条文上は認められている。ただし「適切に把握することができるよう、事前に方法等を調整する」という条件が付いている。

リハ職の側から言うと、「立ち上がりを撮ってきて」だけでは判断できないんだ。どの位置から、どの動作を、どこまで映すか。手すりや床の状態も見たい。そこを事前に詰めておけ、という意味だと理解している。

逆にいえば、連携先のリハ職と1回打ち合わせておけば、以降の運用はかなり軽くなる。訪問リハ・通所リハを併用している利用者なら、そちらの担当PT・OT・STに相談してみる価値は大きい。

(Ⅰ)は初回月のみ——翌月・翌々月は算定しない

本加算は、(中略)訪問介護計画に基づき指定訪問介護を提供した初回の月に限り、算定されるものである。なお、助言に基づき訪問介護計画を見直した場合には、本加算を算定することは可能であるが、利用者の急性増悪等により訪問介護計画を見直した場合を除き、(中略)訪問介護計画に基づき指定訪問介護を提供した翌月及び翌々月は本加算を算定しない。

計画作成から3月経過後、目標の達成度合いにつき、利用者及び理学療法士等に報告すること。なお、再度助言に基づき訪問介護計画を見直した場合には、本加算の算定が可能である。

3月ごとに1回、というリズム

(Ⅰ)は初回月に100単位。翌月・翌々月は算定しません。そして計画作成から3月経過後に達成度合いを報告し、再度助言に基づいて計画を見直せば、また算定できます。

つまり3か月に1回のサイクルで100単位を積み上げられる設計です。年4回で400単位。(Ⅱ)の600単位には届きませんが、リハ職の居宅訪問を段取りできない場合の現実的な選択肢になります。

なお急性増悪等で計画を見直した場合は、翌月・翌々月であっても算定できます。

(Ⅱ)の要——同行して共同評価、カンファレンスはテレビ電話可

(Ⅱ)は、リハ職が訪問リハ・通所リハ等の一環で居宅を訪問する際にサ責が同行するのが基本形です。通知は、もうひとつの形も認めています。

理学療法士等が利用者の居宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する又は当該理学療法士等及びサービス提供責任者が利用者の居宅を訪問した後に共同してカンファレンスを行い、当該利用者のADL(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)及びIADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する利用者の状況につき、理学療法士等とサービス提供責任者が共同して、現在の状況及びその改善可能性の評価(生活機能アセスメント)を行うものとする。

カンファレンスは、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。(中略)また、この場合の「カンファレンス」は、サービス担当者会議の前後に時間を明確に区分した上で、サービス提供責任者及び理学療法士等により実施されるもので差し支えない。

  • 基本形はリハ職の居宅訪問にサ責が同行
  • 別々に訪問した後に共同してカンファレンスでもよい
  • カンファレンスはテレビ電話装置等で可
  • サービス担当者会議の前後に時間を区分して実施してもよい

4つ目は実務上とても使えます。担当者会議に集まったその場で、前後に時間を区切ってサ責とリハ職だけのカンファレンスを行う——別日に集まる必要はありません。ただし「時間を明確に区分」することが条件です。

訪問介護計画に書くべき4項目

通知は、計画の記載事項を具体的に列挙しています。

項目内容
a利用者が日々の暮らしの中で可能な限り自立して行おうとする行為の内容
b生活機能アセスメントの結果に基づく、aについての3月を目途とする達成目標
cbの目標を達成するために経過的に達成すべき各月の目標
db・cの目標を達成するために訪問介護員等が行う介助等の内容

あわせて、生活機能アセスメントの結果も記載します。

b及びcの達成目標については、利用者の意向及び利用者を担当する介護支援専門員の意見も踏まえ策定するとともに、利用者自身がその達成度合いを客観視でき、当該利用者の意欲の向上につながるよう、例えば当該目標に係る生活行為の回数や当該生活行為を行うために必要となる基本的な動作(立位又は座位の保持等)の時間数といった数値を用いる等、可能な限り具体的かつ客観的な指標を用いて設定すること。

「自立支援を目指す」では要件を満たさない

通知が求めているのは回数や時間数といった数値です。「歩行の安定を図る」「できることを増やす」といった抽象的な目標では、各月の経過目標も立てられません。

通知が挙げる記載例は具体的です。達成目標「自宅のポータブルトイレを1日1回以上利用する」に対し、1月目は座位保持5分間の見守り、2月目はポータブルトイレへの移動介助と排泄介助、3月目は転倒に注意しながら——という段階設定になっています。

(Ⅱ)で見落としやすい2つの規定

リハの提供が終了しても3月間は算定できる

初回の指定訪問介護の提供日が属する月以降3月を限度として算定されるものであり、3月を超えて本加算を算定しようとする場合は、再度(生活機能アセスメント)に基づき訪問介護計画を見直す必要があること。なお、当該3月の間に利用者に対する指定訪問リハビリテーション又は指定通所リハビリテーション等の提供が終了した場合であっても、3月間は本加算の算定が可能であること。

利用者が通所リハを卒業しても、3月間は200単位を算定できます。「リハが終わったから加算も終わり」と自主的に止める必要はありません。

算定期間中は毎月の報告が必要

本加算を算定する期間中は、各月における目標の達成度合いにつき、利用者及び(中略)理学療法士等に報告し、必要に応じて利用者の意向を確認し、当該理学療法士等から必要な助言を得た上で、利用者のADL及びIADLの改善状況及び達成目標を踏まえた適切な対応を行うこと。

(Ⅰ)が「3月経過後に報告」なのに対し、(Ⅱ)は各月ごとに報告です。200単位×3月を算定する以上、毎月のやりとりが求められます。

連携先の条件——病院は200床未満

連携先条件
指定訪問リハビリテーション事業所
指定通所リハビリテーション事業所
リハビリテーションを実施している医療提供施設病院は許可病床数200床未満、または半径4km以内に診療所が存在しないもの

通知は「リハビリテーションを実施している医療提供施設」を、診療報酬における疾患別リハビリテーション料の届出を行っている病院・診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院と定義しています。

大病院との連携は原則として対象外です。まずは利用者が使っている訪問リハ・通所リハの事業所に声をかけるのが近道になります。

算定にあたっての実務ステップ

  • 利用者が訪問リハ・通所リハを利用しているか、連携できる医療提供施設があるかを確認する
  • リハ職に居宅訪問へ同行してもらえるかで、(Ⅰ)と(Ⅱ)のどちらを狙うか決める
  • (Ⅰ)なら、ICTを使う場合の撮影方法・確認事項をリハ職と事前に調整する
  • (Ⅱ)なら、リハ職の居宅訪問に同行するか、担当者会議の前後に時間を区分してカンファレンスを行う
  • ADL・IADLの現在の状況と改善可能性を評価する(生活機能アセスメント)
  • 自立して行おうとする行為、3月を目途とする達成目標、各月の目標、訪問介護員等が行う介助内容を訪問介護計画に記載する
  • 目標は回数や時間数など、数値で書く
  • (Ⅰ)は助言の内容を計画に記載する
  • (Ⅱ)は各月、(Ⅰ)は3月経過後に、達成度合いを利用者とリハ職に報告する
  • 3月を超えて算定する場合は、再度の評価・助言に基づいて計画を見直す

2つ目が分岐点です。リハ職に同行してもらえるなら(Ⅱ)で600単位、難しければ(Ⅰ)を3月ごとに回す。どちらも取れないと決めつける前に、連携先に一度相談してみてください。

よくある質問

(Ⅰ)と(Ⅱ)の単位数は?

(Ⅰ)は100単位、(Ⅱ)は200単位です。(Ⅰ)は初回月のみ、(Ⅱ)は初回月以降3月の間1月につき算定します。

(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できますか?

できません。告示は「ただし、(1)を算定している場合は、算定しない」としています。

(Ⅰ)ではリハ職が自宅に来なくてよいのですか?

はい。通知は「理学療法士等が自宅を訪問せずにADL及びIADLに関する利用者の状況について適切に把握した上でサービス提供責任者に助言を行い」と定めています。

動画やテレビ電話で状況を把握してもよいですか?

認められています。ただしICTを活用する場合は、適切に把握できるよう理学療法士等とサービス提供責任者で事前に方法等を調整することとされています。

(Ⅰ)は毎月算定できますか?

できません。初回の月に限り算定され、急性増悪等により計画を見直した場合を除き、翌月・翌々月は算定しません。

(Ⅰ)を再び算定するにはどうすればよいですか?

計画作成から3月経過後に目標の達成度合いを利用者と理学療法士等に報告し、再度助言に基づいて訪問介護計画を見直せば算定できます。

(Ⅱ)のカンファレンスはオンラインでもよいですか?

テレビ電話装置等を活用して行うことができるとされています。ガイドラインの遵守が求められます。

サービス担当者会議と一緒に行ってもよいですか?

サービス担当者会議の前後に時間を明確に区分したうえで、サービス提供責任者と理学療法士等により実施するもので差し支えないとされています。

訪問介護計画には何を書きますか?

生活機能アセスメントの結果のほか、①自立して行おうとする行為の内容、②3月を目途とする達成目標、③各月の経過的な目標、④訪問介護員等が行う介助等の内容です。

目標はどのように設定しますか?

生活行為の回数や、必要となる基本的な動作の時間数といった数値を用いるなど、可能な限り具体的かつ客観的な指標を用いることとされています。

3月の途中で通所リハが終了したら算定できなくなりますか?

なりません。通知は「当該3月の間に指定訪問リハビリテーション又は指定通所リハビリテーション等の提供が終了した場合であっても、3月間は本加算の算定が可能である」としています。

連携先の病院に条件はありますか?

あります。病院の場合は許可病床数200床未満のもの、または当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものに限られます。

まとめ
  • 訪問介護の生活機能向上連携加算は(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位
  • (Ⅰ)は初回の訪問介護を行った日の属する月のみ
  • (Ⅱ)は初回月以降3月の間、1月につき算定できる
  • 合計では100単位対最大600単位で、実質6倍の差になる
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
  • (Ⅰ)は理学療法士等が自宅を訪問せずに助言する形でよい
  • 把握はリハ事業所等の場で行うか、ICTを活用した動画・テレビ電話で行う
  • ICTを使う場合は事前に方法等を調整する
  • (Ⅰ)は助言の内容を訪問介護計画に記載する
  • (Ⅰ)は翌月・翌々月は算定しない(急性増悪等を除く)
  • 3月経過後に報告し、再度助言に基づき見直せば再算定できる
  • (Ⅱ)はリハ職の居宅訪問にサ責が同行し、共同で評価する
  • 別々に訪問した後に共同カンファレンスでもよい
  • カンファレンスはテレビ電話装置等で行える
  • サービス担当者会議の前後に時間を区分して実施してもよい
  • 訪問介護計画には自立して行う行為・3月の達成目標・各月の目標・介助内容を書く
  • 目標は回数や時間数など数値を用いた具体的・客観的な指標にする
  • (Ⅱ)は3月の間にリハの提供が終了しても算定を続けられる
  • (Ⅱ)は各月ごとに達成度合いを利用者とリハ職に報告する
  • 連携先の病院は許可病床数200床未満等の条件がある
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および老企第36号の留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。ICTを活用した状況把握の具体的な方法、カンファレンスの実施形態、達成目標の設定水準については、指定権者によって取扱いが異なる場合があります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。連携先の探し方や計画の書き方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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