グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の生産性向上推進体制加算は、(Ⅰ)100単位/月、(Ⅱ)10単位/月です。令和6年度改定で新設されました。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は10倍。分かれ目は「介護機器を複数種類活用しているか」「業務効率化と負担軽減の実績があるか」「業務分担の明確化まで検討しているか」です。(Ⅱ)は介護機器を1つ活用していれば要件を満たしますが、(Ⅰ)は複数種類+実績+報告が必要になります。

両区分に共通するのが、委員会での検討と、事業年度ごとの厚生労働省への実績報告です。委員会は夜間支援体制加算の見守り機器要件で求められる委員会と同じものを使えるため、見守り機器を入れているGHはこの加算に手が届きやすい位置にいます。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のレ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第58号の8(第37号の3を準用)の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 生産性向上推進体制加算(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)10単位という単位数
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)を分ける3つのポイント
  • 委員会で検討すべき4つの事項
  • 事業年度ごとの厚生労働省への実績報告が必要なこと
  • 「介護機器を複数種類」の意味
  • 夜間支援体制加算の委員会要件と共通化できること
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できないこと
  • 介護予防(要支援2)でも算定できること
ちびウルフちびウルフ

介護機器って、GHでも入れられるものですか?

リハウルフリハウルフ

見守りセンサー、インカム、介護記録ソフトあたりが典型です。夜間支援体制加算のために見守り機器を入れた事業所なら、すでに1種類は活用していることになります。そこにインカムか記録ソフトを足せば「複数種類」の要件が視野に入ります。

単位数は(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)10単位(1月につき)

告示126号の「レ 生産性向上推進体制加算」の注は、次のとおりです。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして(略)届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所において、利用者に対して指定認知症対応型共同生活介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1月につき次に掲げる所定単位数を加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
(1) 生産性向上推進体制加算(Ⅰ) 100単位
(2) 生産性向上推進体制加算(Ⅱ) 10単位

ただし書きにより、(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できません。

(Ⅱ)の要件は3つ

  • 委員会において、後述の4事項について必要な検討を行い、その実施を定期的に確認していること
  • 介護機器を活用していること
  • 事業年度ごとに、これらの取組に関する実績を厚生労働省に報告すること

委員会で検討すべき4つの事項

(一) 業務の効率化及び質の向上又は職員の負担の軽減に資する機器(以下「介護機器」という。)を活用する場合における利用者の安全及びケアの質の確保
(二) 職員の負担の軽減及び勤務状況への配慮
(三) 介護機器の定期的な点検
(四) 業務の効率化及び質の向上並びに職員の負担軽減を図るための職員研修

この委員会は、夜間支援体制加算で「見守り機器+委員会での検討」を要件とするときの委員会と同じものを活用できます。GHの規模で複数の委員会を並行して回すのは現実的ではないため、1つの委員会で議題を整理する形が実務的です。

(Ⅰ)はさらに3つが上乗せされる

要件(Ⅱ)10単位(Ⅰ)100単位
委員会での4事項の検討と確認必要必要
介護機器の活用活用していること複数種類活用していること
実績取組と機器活用による業務効率化・ケアの質の確保・負担軽減の実績があること
業務分担委員会で業務分担の明確化等を検討し、取組を実施・定期確認すること
報告事業年度ごとに厚生労働省へ報告事業年度ごとに厚生労働省へ報告
(Ⅰ)は「実績」が壁になる

(Ⅰ)の要件にある「実績があること」は、取組の前後で何がどう変わったかを示せることを意味します。GHで測りやすい指標としては、

  • 夜勤帯の巡回回数・所要時間の変化
  • 記録にかかる時間の変化
  • 時間外労働時間の変化
  • 職員の負担感(アンケート等)の変化

があります。機器を導入した「後」からデータを取り始めると比較ができません。導入前の状態を記録してから始めるのが鉄則です。(指標の例は筆者の実務経験にもとづく整理で、制度上の定めではありません)

「介護機器を複数種類」とは

条文の定義は「業務の効率化及び質の向上又は職員の負担の軽減に資する機器」です。具体的な機器名や種類の指定はありません。一般に、見守り機器、インカム等の情報通信機器、介護記録ソフト(介護ソフト)などが想定されます。

何を「複数種類」と数えるかは自治体の解釈が絡む部分です。届出前に、活用している機器のリストを持って市町村に相談することをおすすめします。

事業年度ごとの報告を忘れない

(Ⅰ)(Ⅱ)とも、事業年度ごとに取組の実績を厚生労働省に報告することが要件です。報告を怠れば要件を満たさなくなります。報告方法や様式は厚生労働省の案内に従い、実施時期を年間スケジュールに組み込んでください。

介護予防(要支援2)でも算定できる

介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)にも生産性向上推進体制加算(ヨ)が設けられており、同じ単位数で算定できます。

よくある質問

(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できますか?

できません。注のただし書きで、いずれかを算定している場合はその他の加算を算定しないと定められています。

どの機器が「介護機器」に当たりますか?

条文の定義は「業務の効率化及び質の向上又は職員の負担の軽減に資する機器」で、具体的な指定はありません。見守り機器、インカム、介護記録ソフト等が一般に想定されます。判断は市町村に確認してください。

「複数種類」は2種類でよいですか?

条文は「複数種類活用していること」としています。数え方の細部は市町村の解釈によるため、事前に相談することをおすすめします。

委員会は新たに設置する必要がありますか?

「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会」です。夜間支援体制加算の要件で求められる委員会と同じものを活用できます。

実績はどのように示せばよいですか?

取組と機器活用による業務効率化・ケアの質の確保・負担軽減に関する実績が求められます。導入前後で比較できるデータを残しておくことが重要です。具体的な様式は厚生労働省の案内を確認してください。

報告を忘れた場合はどうなりますか?

事業年度ごとの報告は要件のひとつです。要件を満たさなくなるため、報告時期を年間スケジュールに組み込んでください。

届出は必要ですか?

必要です。注は「届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所」と定めています。届出先は市町村長です。

要支援2の入居者にも算定できますか?

できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも同じ加算が設けられています。

まとめ
  • 生産性向上推進体制加算は(Ⅰ)100単位/月、(Ⅱ)10単位/月
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない
  • 共通要件は、委員会での4事項の検討・確認と、事業年度ごとの厚生労働省への報告
  • 委員会で検討する4事項は、安全とケアの質の確保、職員の負担軽減と勤務状況への配慮、機器の定期点検、職員研修
  • (Ⅱ)は介護機器を活用していること
  • (Ⅰ)は介護機器を複数種類活用し、実績があり、業務分担の明確化等まで検討していること
  • 委員会は夜間支援体制加算の要件で求められる委員会と共通化できる
  • 実績を示すには、機器導入前のデータを残しておく必要がある
  • 介護予防(要支援2)でも算定できる
  • 届出先は市町村長
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のレ(生産性向上推進体制加算)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第58号の8(第37号の3を準用)、第37号の3(生産性向上推進体制加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第32号(夜間支援体制加算に係る施設基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費のヨ(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。介護機器の範囲、「複数種類」の数え方、実績の示し方、報告の様式については所在市町村および厚生労働省の案内を確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。指標の例など実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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