グループホーム(認知症対応型共同生活介護)のサービス提供体制強化加算は、(Ⅰ)22単位/日、(Ⅱ)18単位/日、(Ⅲ)6単位/日です。1日あたりの加算なので、体制系の加算のなかでは金額のインパクトが最も大きい部類に入ります。

(Ⅰ)は22単位×30日で月660単位。生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の100単位/月や、感染対策向上加算(Ⅰ)の10単位/月と比べると桁が違います。GHで加算の優先順位をつけるなら、医療連携体制加算・認知症専門ケア加算と並んで最初に検討すべき加算です。

要件は職員構成の割合。(Ⅰ)は介護福祉士70%以上、又は勤続10年以上の介護福祉士25%以上。(Ⅱ)は介護福祉士60%以上。(Ⅲ)は3つのルートのいずれか。いずれも共通で、定員超過利用・人員基準欠如の減算に該当していないことが必要です。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のソ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第59号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)22単位・(Ⅱ)18単位・(Ⅲ)6単位という単位数
  • (Ⅰ)は介護福祉士70%以上、又は勤続10年以上の介護福祉士25%以上
  • (Ⅱ)は介護福祉士60%以上
  • (Ⅲ)は3つのルート(介護福祉士50%以上/常勤職員75%以上/勤続7年以上30%以上)のいずれか
  • 母集団が「介護職員の総数」か「直接提供する職員の総数」かで違うこと
  • 定員超過・人員基準欠如の減算に該当していないことが共通要件であること
  • (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は同時に算定できないこと
  • 介護予防(要支援2)でも算定できること
ちびウルフちびウルフ

介護福祉士70%は、GHではかなり厳しくないですか?

リハウルフリハウルフ

ユニット数が少ないぶん、分母が小さいので1人の資格取得で割合が大きく動きます。介護職員が10人なら、7人が介護福祉士で(Ⅰ)の要件です。逆に1人辞めると割合が崩れる。届出後も毎月の確認が必要な加算です。

単位数は(Ⅰ)22単位・(Ⅱ)18単位・(Ⅲ)6単位(1日につき)

告示126号の「ソ サービス提供体制強化加算」の注は、次のとおりです。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして(略)届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所が、利用者に対し、指定認知症対応型共同生活介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1日につき次に掲げる所定単位数を加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
(1) サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 22単位
(2) サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 18単位
(3) サービス提供体制強化加算(Ⅲ) 6単位

区分1日30日換算9人ユニットの月額目安
(Ⅰ)22単位660単位約5,940単位
(Ⅱ)18単位540単位約4,860単位
(Ⅲ)6単位180単位約1,620単位

※入居者数×単位数×30日で計算した概算です。

(Ⅰ)の要件——2つのルート

(1) 次のいずれかに適合すること。
(一) 指定認知症対応型共同生活介護事業所の介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が100分の70以上であること。
(二) 指定認知症対応型共同生活介護事業所の介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が100分の25以上であること。
(2) 通所介護費等算定方法第八号に規定する基準のいずれにも該当しないこと。

(一)と(二)はどちらか一方を満たせば足ります。介護福祉士の割合が70%に届かなくても、勤続10年以上の介護福祉士が25%以上いれば(Ⅰ)を算定できます。長く勤めている職員が多いGHは、(二)のルートを検討する価値があります。

(Ⅱ)は介護福祉士60%以上

  • 介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が100分の60以上であること
  • 定員超過利用・人員基準欠如等の減算に該当していないこと

(Ⅲ)は3つのルートのいずれか

ルート要件母集団
介護福祉士の占める割合が50%以上介護職員の総数
常勤職員の占める割合が75%以上看護・介護職員の総数
勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上サービスを利用者に直接提供する職員の総数
ルートごとに母集団(分母)が違う

ここが計算を間違えやすい箇所です。①は「介護職員」、②は「看護・介護職員」、③は「直接提供する職員」と、条文が使い分けています。

  • ①介護福祉士50%以上 → 分母は介護職員のみ
  • ②常勤75%以上 → 分母に看護職員も含まれる
  • ③勤続7年以上30%以上 → 分母は直接提供する職員(計画作成担当者等の扱いは要確認)

同じ職員名簿から3通りの割合を計算し、いちばん有利なルートを選ぶのが実務の進め方です。

(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は同時算定できない

注のただし書きにより、3区分のうち算定できるのは1つだけです。要件を満たす最も高い区分を選びます。

届出後の維持がこの加算の本質

  • 職員名簿から、介護職員数・介護福祉士数・常勤数・勤続年数を毎月集計する
  • 3区分・複数ルートの割合を計算し、該当区分を確認する
  • 退職・入職が発生した月は、翌月の割合への影響を確認する
  • 割合が下がって要件を満たさなくなる場合は、速やかに市町村へ届け出る

GHは職員数の分母が小さいため、1人の退職で割合が10ポイント以上動くことがあります。算定できない月に算定してしまうと返還対象です。月次の確認を業務に組み込んでください。

介護予防(要支援2)でも算定できる

介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)にもサービス提供体制強化加算が設けられており、告示95号第128号が同様の基準を定めています。要支援2の入居者についても算定できます。

よくある質問

(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は同時に算定できますか?

できません。いずれかを算定している場合、その他の区分は算定できません。要件を満たす最も高い区分を選びます。

介護福祉士70%に届かない場合、(Ⅰ)は無理ですか?

もう一つのルートがあります。勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上であれば(Ⅰ)を算定できます。

割合の分母はすべて同じですか?

違います。介護福祉士の割合は「介護職員の総数」、常勤職員の割合は「看護・介護職員の総数」、勤続年数の割合は「直接提供する職員の総数」が分母です。

勤続年数はどのように数えますか?

条文には年数の要件のみが定められています。算定方法(同一法人内の異動の扱い等)は自治体の解釈によることがあるため、市町村に確認してください。

職員が退職して割合が下がったらどうなりますか?

要件を満たさなくなった場合は算定できません。速やかに市町村へ届け出てください。月次で割合を確認する運用が必要です。

定員超過の減算中でも算定できますか?

できません。通所介護費等算定方法第8号に規定する基準(定員超過利用・人員基準欠如)に該当していないことが共通要件です。

短期利用の利用者にも算定できますか?

注に「イについて」という限定がないため、短期利用でも算定できると読めます。取扱いは市町村に確認してください。

要支援2の入居者にも算定できますか?

できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にもサービス提供体制強化加算が設けられています。

まとめ
  • サービス提供体制強化加算は(Ⅰ)22単位/日、(Ⅱ)18単位/日、(Ⅲ)6単位/日
  • 1日あたりの加算なので、体制系のなかでは金額の影響が大きい
  • (Ⅰ)は介護福祉士70%以上、又は勤続10年以上の介護福祉士25%以上
  • (Ⅱ)は介護福祉士60%以上
  • (Ⅲ)は介護福祉士50%以上/常勤職員75%以上/勤続7年以上30%以上のいずれか
  • ルートごとに分母(介護職員・看護介護職員・直接提供する職員)が異なる
  • 共通要件は、定員超過利用・人員基準欠如の減算に該当していないこと
  • 3区分は同時に算定できない
  • 職員数の分母が小さいため、退職・入職で割合が大きく動く。月次確認が必須
  • 介護予防(要支援2)でも算定できる
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のソ(サービス提供体制強化加算)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第59号(認知症対応型共同生活介護費におけるサービス提供体制強化加算の基準)、第128号(介護予防認知症対応型共同生活介護費における同加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成12年厚生省告示第27号)第8号(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。割合の算定方法、勤続年数の数え方、母集団に含める職種の範囲、短期利用での算定可否については所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の月額の試算は単位数を単純に乗じた概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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