グループホームの口腔衛生管理体制加算とは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の口腔衛生管理体制加算は、1月につき30単位です。要件は、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月1回以上行っていること。
栄養管理体制加算と同じ「体制」型の加算ですが、告示95号の基準には、条文には書かれていない要件がもうひとつあります。それは「歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士の技術的助言及び指導に基づき、利用者の口腔ケア・マネジメントに係る計画が作成されていること」。助言をもらうだけでなく、計画に落とす必要があります。
特養等の「口腔衛生管理加算(Ⅰ)90単位・(Ⅱ)110単位」とは別の加算です。あちらは歯科衛生士が入所者に月2回以上の口腔衛生等の管理を行うもの。GHの口腔衛生管理体制加算は、職員への助言・指導と計画作成を評価する仕組みで、単位数も要件も異なります。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のヲ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第68号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 口腔衛生管理体制加算の単位数(30単位/月)
- 助言・指導の相手が介護職員であること
- 「口腔ケア・マネジメントに係る計画」の作成が基準に含まれていること
- 歯科衛生士は「歯科医師の指示を受けた」者である必要があること
- 特養等の口腔衛生管理加算(90単位・110単位)との違い
- 栄養管理体制加算・口腔栄養スクリーニング加算との関係
- 短期利用(ロ)では算定できないこと
- 介護予防(要支援2)でも算定できること
ちびウルフ歯科の先生に月1回来てもらえば算定できるんですか?
リハウルフ来てもらうだけでは足りません。助言に基づいて口腔ケア・マネジメントの計画を作ることが基準に入っています。訪問歯科が入っているGHは多いので、助言の記録と計画の様式を整えるだけで算定できる事業所は少なくないはずです。
単位数は30単位(1月につき)
告示126号の「ヲ 口腔衛生管理体制加算 30単位」の注は、次のとおりです。
イについて、別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定認知症対応型共同生活介護事業所において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月1回以上行っている場合に、1月につき所定単位数を加算する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1月につき30単位 |
| 誰が | 歯科医師、又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士 |
| 誰に | 介護職員 |
| 何を | 口腔ケアに係る技術的助言及び指導 |
| 頻度 | 月1回以上 |
| 対象 | 「イ」=本体入居者(短期利用は対象外) |
歯科衛生士が単独で助言する場合は「歯科医師の指示を受けた」ことが必要です。訪問歯科診療と連動している形が通常ですが、指示の記録が残っているかを確認してください。
基準にある「計画の作成」を見落とさない
告示95号第68号は、次の2つを求めています。
イ 事業所において歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士の技術的助言及び指導に基づき、利用者の口腔ケア・マネジメントに係る計画が作成されていること。
ロ 通所介護費等算定方法第五号、第八号、第九号、第十九号及び第二十二号に規定する基準のいずれにも該当しないこと。
単位数表の注には「計画」の文言がないため、助言・指導さえ受けていれば算定できると誤解されやすい加算です。実際の基準は告示95号側にあり、口腔ケア・マネジメントに係る計画の作成が要件です。ロは定員超過利用・人員基準欠如等の減算に該当していないことを指します。
特養等の「口腔衛生管理加算」とは別物
| 加算 | 対象サービス | 単位 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 口腔衛生管理体制加算 | GH、地域密着型特定施設 等 | 30単位/月 | 歯科医師等による介護職員への助言・指導と計画作成 |
| 口腔衛生管理加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 特養、老健、介護医療院 等 | 90単位/110単位 | 歯科衛生士が入所者に対し月2回以上の口腔衛生等の管理を実施 |
名前が似ているため混同されますが、GHに設けられているのは「体制」加算のほうだけです。入居者への直接の口腔衛生管理を評価する加算はありません。
栄養・口腔まわりの3加算の関係
| 加算 | 単位 | 評価対象 |
|---|---|---|
| 口腔衛生管理体制加算 | 30単位/月 | 歯科医師等の助言・指導と計画(体制) |
| 栄養管理体制加算 | 30単位/月 | 管理栄養士の助言・指導(体制) |
| 口腔・栄養スクリーニング加算 | 20単位/回 | 利用開始時と6月ごとのスクリーニング(行為) |
条文上、これらの併算定を禁じる規定はありません。3つとも算定すれば、月60単位+スクリーニング分。金額としては小さいものの、いずれも新たな人員配置を必要としないため、取り組みやすい加算群です。
短期利用では算定できない/介護予防では算定できる
注は「イについて」と限定しているため、短期利用(ロ)では算定できません。介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)には口腔衛生管理体制加算(ヌ)が設けられており、要支援2の入居者についても算定できます。
よくある質問
訪問歯科に来てもらっていれば算定できますか?
それだけでは足りません。介護職員への技術的助言・指導を月1回以上行っていることに加え、助言に基づく口腔ケア・マネジメントに係る計画が作成されている必要があります。
歯科衛生士だけの助言でもよいですか?
「歯科医師の指示を受けた歯科衛生士」であることが必要です。指示があったことがわかる記録を残してください。
入居者への口腔ケアの実施は要件ですか?
この加算では、介護職員への助言・指導と計画の作成が要件です。歯科衛生士が入所者に直接管理を行う加算(口腔衛生管理加算)はGHには設けられていません。
栄養管理体制加算と両方算定できますか?
条文上、併算定を禁じる規定はありません。それぞれの要件を満たせば算定できます。
計画に様式はありますか?
告示に様式の定めはありません。市町村が様式例を示している場合はそれに従ってください。
月1回できなかった月はどうなりますか?
要件は「月1回以上行っている場合」です。実施できなかった月の取扱いは市町村に確認してください。
短期利用の利用者にも算定できますか?
できません。注が「イについて」と限定しています。
要支援2の入居者にも算定できますか?
できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも口腔衛生管理体制加算が設けられています。
- 口腔衛生管理体制加算は1月につき30単位
- 歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に月1回以上の技術的助言・指導を行うこと
- 告示95号の基準に「口腔ケア・マネジメントに係る計画の作成」が含まれている
- 定員超過利用・人員基準欠如等の減算に該当していないことも要件
- 特養等の口腔衛生管理加算(90単位・110単位)とは別の加算
- GHには入居者への直接の口腔衛生管理を評価する加算はない
- 栄養管理体制加算・口腔栄養スクリーニング加算との併算定を禁じる規定はない
- 短期利用(ロ)では算定できない
- 介護予防(要支援2)でも算定できる
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のヲ(口腔衛生管理体制加算)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第68号(口腔衛生管理体制加算の基準)、第69号(口腔衛生管理加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費のヌ(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、取扱いが自治体によって異なる場合があります。計画の様式、助言の方法、実施できなかった月の扱いについては所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




