グループホームの口腔・栄養スクリーニング加算とは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の口腔・栄養スクリーニング加算は、1回につき20単位。利用開始時と、利用中6月ごとに口腔の健康状態と栄養状態のスクリーニングを行った場合に算定します。
この加算で実務上の論点になるのが、告示95号の基準にある「当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること」という文言です。GHの入居者には居宅の担当ケアマネジャーがいないのが通常で、この要件をどう満たすかは市町村の解釈を確認しておくべき点になります。
もうひとつ、他の事業所ですでに口腔・栄養スクリーニング加算を算定している場合は算定できないという除外規定があります。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のワ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第42号の6の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 口腔・栄養スクリーニング加算の単位数(20単位/回)
- 実施のタイミング(利用開始時と利用中6月ごと)
- 口腔と栄養の両方を確認する必要があること
- 情報を介護支援専門員に提供するという基準の中身
- 他事業所で算定している場合は算定できないこと
- 栄養管理体制加算・口腔衛生管理体制加算との違い
- 短期利用(ロ)では算定できないこと
- 介護予防(要支援2)でも算定できること
ちびウルフ6か月ごとなら、年に2回で40単位ですか?
リハウルフ入居者1人あたりで見ればそうです。金額は小さい。ただし体重減少や食べこぼしの変化を定期的に拾う仕組みとしては、実務的な意味があります。GHは同じ職員が毎日見ているぶん、緩やかな低下に気づきにくい環境でもあります。
単位数は20単位(1回につき)
告示126号の「ワ 口腔・栄養スクリーニング加算 20単位」の注は、次のとおりです。
イについて、別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定認知症対応型共同生活介護事業所の従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の口腔の健康状態のスクリーニング及び栄養状態のスクリーニングを行った場合に、1回につき所定単位数を加算する。ただし、当該利用者について、当該事業所以外で既に口腔・栄養スクリーニング加算を算定している場合にあっては算定しない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1回につき20単位 |
| タイミング | 利用開始時、および利用中6月ごと |
| 実施者 | 事業所の従業者(職種の限定なし) |
| 内容 | 口腔の健康状態と栄養状態の両方のスクリーニング |
| 除外 | 他事業所で既に算定している場合 |
実施者に職種の限定はありません。管理栄養士や歯科衛生士でなくても、事業所の従業者が実施できます。
基準は「確認」と「情報提供」の2本立て
告示95号第42号の6は、次のとおりです。
イ 利用開始時及び利用中六月ごとに利用者の口腔の健康状態について確認を行い、当該利用者の口腔の健康状態に関する情報(口腔の健康状態が低下しているおそれのある場合にあっては、その改善に必要な情報を含む。)を当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること。
ロ 利用開始時及び利用中六月ごとに利用者の栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に関する情報(低栄養状態の場合にあっては、その改善に必要な情報を含む。)を当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること。
ハ 通所介護費等算定方法第五号、第七号から第九号まで、第十九号、第二十一号及び第二十二号に規定する基準のいずれにも該当しないこと。
この基準は、通所系サービスが居宅のケアマネジャーへ情報を返すことを想定した文言です。GHの入居者は居宅サービス計画の対象ではなく、計画作成担当者が認知症対応型共同生活介護計画を作ります。
そのため実務では、
- 事業所の計画作成担当者(介護支援専門員)への情報提供と記録で足りるのか
- 提供の記録をどの様式で残すのか
を算定を始める前に市町村へ確認しておくべきです。筆者が確認した範囲では告示に読み替え規定は見当たらないため、自治体の解釈に委ねられる部分だと考えています(=この点は不確かです)。
「6月ごと」の数え方
- 利用開始時にスクリーニングを実施(1回目・20単位)
- その6か月後に実施(2回目・20単位)
- 以降、6か月ごとに実施
入居が長期になるGHでは、年2回のペースで継続的に算定できる加算です。実施月を入居者ごとに管理表で持っておかないと、抜けが出ます。
他事業所での算定との調整
ただし書きにより、その利用者について他の事業所で既に口腔・栄養スクリーニング加算を算定している場合は算定できません。GHの入居者が外部の通所サービス等を併用しているケースは多くありませんが、併用がある場合は確認が要ります。
栄養・口腔の3加算の位置づけ
| 加算 | 単位 | 性質 |
|---|---|---|
| 口腔・栄養スクリーニング加算 | 20単位/回 | 行為(開始時・6月ごとの確認と情報提供) |
| 栄養管理体制加算 | 30単位/月 | 体制(管理栄養士による従業者への助言) |
| 口腔衛生管理体制加算 | 30単位/月 | 体制(歯科医師等による介護職員への助言と計画) |
条文上、これら3つの併算定を禁じる規定はありません。いずれも新たな人員配置を求めない加算なので、体制加算2本を先に押さえ、スクリーニングを運用に組み込む順序が現実的です。
短期利用では算定できない/介護予防では算定できる
注は「イについて」と限定しているため、短期利用(ロ)では算定できません。介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)には口腔・栄養スクリーニング加算(ル)が設けられており、要支援2の入居者についても算定できます。
よくある質問
口腔だけ、栄養だけの確認でも算定できますか?
できません。口腔の健康状態と栄養状態の両方のスクリーニングを行うことが要件です。
実施者に資格は必要ですか?
条文は「事業所の従業者」としており、職種の限定はありません。
GHでは誰に情報提供すればよいですか?
基準の文言は「当該利用者を担当する介護支援専門員」です。GHでは居宅の担当ケアマネジャーがいないのが通常のため、取扱いは所在市町村に確認してください。
6か月より短い間隔で実施したら、そのつど算定できますか?
算定できるのは利用開始時と利用中6月ごとです。より頻回に実施すること自体は差し支えありませんが、算定回数は増えません。
他の事業所で算定している場合はどうなりますか?
その利用者について他事業所で既に算定している場合は算定できません。
栄養管理体制加算と両方算定できますか?
条文上、併算定を禁じる規定はありません。それぞれの要件を満たせば算定できます。
短期利用の利用者にも算定できますか?
できません。注が「イについて」と限定しています。
要支援2の入居者にも算定できますか?
できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも同じ加算が設けられています。
- 口腔・栄養スクリーニング加算は1回につき20単位
- 実施のタイミングは利用開始時と利用中6月ごと
- 口腔の健康状態と栄養状態の両方を確認する
- 実施者は事業所の従業者で、職種の限定はない
- 基準には、確認した情報を担当する介護支援専門員に提供することが含まれる
- GHにおける「担当する介護支援専門員」の扱いは市町村への確認が必要
- 他事業所で既に算定している場合は算定できない
- 栄養管理体制加算・口腔衛生管理体制加算との併算定を禁じる規定はない
- 短期利用(ロ)では算定できない
- 介護予防(要支援2)でも算定できる
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のワ(口腔・栄養スクリーニング加算)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第42号の6(口腔・栄養スクリーニング加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費のル(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、取扱いが自治体によって異なる場合があります。とくに「担当する介護支援専門員」への情報提供をGHでどう扱うかは自治体の解釈に委ねられる部分があり、算定前に所在市町村へ確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




