グループホームの医療連携体制加算とは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の医療連携体制加算は、(Ⅰ)イ57単位・ロ47単位・ハ37単位、(Ⅱ)5単位(いずれも1日につき)です。(Ⅰ)は看護体制の評価、(Ⅱ)は医療的ケアが必要な人を実際に受け入れているかの評価で、この2つは同時に算定できます。
ただしこの加算の本当の重さは、単位数ではありません。看取り介護加算にも協力医療機関連携加算にも、「医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」というただし書きが付いています。医療連携体制加算を届け出ていないグループホームは、看取りにも協力医療機関との連携加算にも進めません。GHの加算構造は、この加算を起点にした一本道になっています。
実務で判断に迷うのは、(Ⅰ)のイ・ロ・ハをどこで分けるかと、(Ⅱ)の「前3月間」をどう数えるかの2点です。前者は「看護師か看護職員か」「自前の職員か外部との連携か」で決まり、後者は該当者がいなくなっても3か月は要件を満たす一方、さかのぼって算定することはできません。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のホ、厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第34号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 医療連携体制加算(Ⅰ)イ・ロ・ハ/(Ⅱ)の単位数
- (Ⅰ)の3区分を分けているのが「看護師か看護職員か」「自前か連携か」であること
- 准看護師のみを配置している場合の読み替え規定
- 3区分に共通する24時間連絡体制と重度化対応指針の要件
- (Ⅱ)5単位の対象となる11の医療的状態
- 「算定日が属する月の前3月間に1人以上」という母集団の考え方
- (Ⅰ)のイ・ロ・ハどうしは同時算定できないこと
- この加算がないと看取り介護加算・協力医療機関連携加算が算定できないこと
- 令和6年度改定で体制要件と受入要件が分けられたこと
- 介護予防(要支援2)にはこの加算が存在しないこと
ちびウルフ57単位って、1日あたりだと小さくないですか?
リハウルフ1人あたり月1,700単位前後です。9人ユニットなら月1万5千単位を超えます。それ以上に大きいのは、この加算がないと看取り介護加算を1単位も算定できないことです。看取りまでやるつもりなら、最初に通る関門になります。
単位数は(Ⅰ)57・47・37単位、(Ⅱ)5単位
告示126号の認知症対応型共同生活介護費「ホ 医療連携体制加算」の注は、次のとおりです。
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、市町村長に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所において、指定認知症対応型共同生活介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1日につき次に掲げる所定単位数を加算する。ただし、医療連携体制加算(Ⅰ)イ、(Ⅰ)ロ又は(Ⅰ)ハのいずれかの加算と医療連携体制加算(Ⅱ)を同時に算定する場合を除き、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
| 区分 | 単位数 | 評価している内容 |
|---|---|---|
| 医療連携体制加算(Ⅰ)イ | 57単位/日 | 看護師を常勤換算1名以上、自前で配置 |
| 医療連携体制加算(Ⅰ)ロ | 47単位/日 | 看護職員を常勤換算1名以上、自前で配置 |
| 医療連携体制加算(Ⅰ)ハ | 37単位/日 | 自前または外部との連携で看護師を1名以上確保 |
| 医療連携体制加算(Ⅱ) | 5単位/日 | 医療的ケアが必要な人を実際に受け入れている |
ただし書きの構造を読み違えないでください。「(Ⅰ)のいずれか+(Ⅱ)」の組み合わせだけが例外として認められ、(Ⅰ)のイ・ロ・ハどうしは同時算定できません。最大で算定できるのは(Ⅰ)イ57単位+(Ⅱ)5単位=62単位/日です。
(Ⅰ)イ・ロ・ハの違いは「看護師か看護職員か」「自前か連携か」
施設基準告示(平成27年厚生労働省告示第96号)第34号が、3区分の要件を定めています。
| 区分 | 看護体制要件 |
|---|---|
| (Ⅰ)イ 57単位 | 事業所の職員として看護師を常勤換算方法で1名以上配置していること |
| (Ⅰ)ロ 47単位 | 事業所の職員として看護職員を常勤換算方法で1名以上配置していること |
| (Ⅰ)ハ 37単位 | 事業所の職員として、又は病院、診療所若しくは指定訪問看護ステーションとの連携により、看護師を1名以上確保していること |
ポイントは2つです。イとロの差は「看護師」か「看護職員(准看護師を含む)」かだけ。ロとハの差は「自前の職員として常勤換算1名以上配置」か「連携での確保でもよい」かです。訪問看護ステーションとの契約で看護師を確保している事業所は(Ⅰ)ハに該当します。
准看護師のみの場合は24時間連絡体制の相手が変わる
(Ⅰ)ロには読み替え規定があります。条文はこうです。
当該指定認知症対応型共同生活介護事業所の職員である看護職員又は病院、診療所若しくは指定訪問看護ステーションの看護師との連携により、二十四時間連絡できる体制を確保していること。ただし、(1)により配置している看護職員が准看護師のみである場合には、病院、診療所又は指定訪問看護ステーションの看護師により、二十四時間連絡できる体制を確保していること。
つまり准看護師しか配置していない事業所は、24時間連絡できる相手を外部の「看護師」に求めなければなりません。准看護師どうしで夜間のオンコールを回す体制では要件を満たしません。ここは実地指導で確認されやすい箇所です。
3区分に共通する2つの要件
- 事業所の職員である看護師、又は病院・診療所・訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること
- 重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること
重度化対応指針の説明・同意は「入居の際に」行うものです。すでに入居している人について、届出後にまとめて同意を取り直す運用が実務では発生しますが、条文上の建て付けは入居時です。届出を検討し始めた時点で、既入居者への説明記録をどう残すかを市町村に確認しておくほうが安全です。指針そのものは、看取りに関する指針と一体で整備している事業所が多い印象です。
(Ⅱ)5単位は「前3月間に該当者が1人以上」
医療連携体制加算(Ⅱ)は、(Ⅰ)イ・ロ・ハのいずれかを算定していることが前提です。そのうえで、算定日が属する月の前3月間に、次のいずれかの状態の利用者が1人以上いることが要件になります。
- 喀痰吸引を実施している状態
- 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態
- 中心静脈注射を実施している状態
- 人工腎臓を実施している状態
- 重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態
- 人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態
- 経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている状態
- 褥瘡に対する治療を実施している状態
- 気管切開が行われている状態
- 留置カテーテルを使用している状態
- インスリン注射を実施している状態
この11項目は、令和6年度改定で対象が追加されたものです。留置カテーテルとインスリン注射が入っている点が実務上は大きいと感じます。糖尿病でインスリンを使っている入居者は決して珍しくないためです。
要件は「算定日が属する月の前3月間」です。つまり、
- 該当する人を受け入れた月には、まだ算定できない
- その人が退居・入院・死亡しても、その後3か月は要件を満たす
- 過去にさかのぼって算定することはできない
該当者が1人だけのユニットでは、退居から3か月を過ぎた時点で算定できなくなります。「いつから算定できなくなるか」をカレンダーで管理している事業所は、算定漏れも過誤請求も起きにくいです。
この加算がないと看取り介護加算・協力医療機関連携加算が算定できない
ここがGHの加算構造で最も重要な点です。
| 加算 | 条文のただし書き |
|---|---|
| 看取り介護加算 | 「退居した日の翌日から死亡日までの間又は医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」 |
| 協力医療機関連携加算 | 「ただし、医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」 |
看取り介護加算は死亡日1,280単位、前日・前々日680単位という大きな加算です。看取りに取り組む方針を決めたなら、順番として先に医療連携体制加算の届出が必要になります。「看取りの指針は作ったが医療連携体制加算は届け出ていない」という状態では、実務としての看取りはできても報酬上の評価はゼロです。
令和6年度改定で「体制」と「受入れ」が分けられた
厚生労働省の「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」は、この見直しの趣旨をこう説明しています。
認知症対応型共同生活介護における医療連携体制加算について、看護体制の整備や医療的ケアが必要な者の受入れについて適切に評価する観点から、体制要件と医療的ケアが必要な者の受入要件を分けて評価を行い、医療的ケアが必要な者の受入要件については、対象となる医療的ケアを追加する見直しを行う。
体制だけ整えている事業所と、実際に医療的ケアが必要な人を受け入れている事業所を、同じ評価にしないという整理です。体制を作っても受け入れていなければ(Ⅱ)は算定できず、受け入れていても体制がなければ(Ⅰ)が算定できないので(Ⅱ)にも進めません。
介護予防(要支援2)にはこの加算がない
要支援2の人が入居している場合は、介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)を算定します。この単位数表には医療連携体制加算がありません。看取り介護加算・協力医療機関連携加算も同様に存在しません。
同じユニットに要介護の人と要支援2の人が混在している場合、医療連携体制加算は要介護の入居者についてのみ算定することになります。要支援2の人が重度化してきた場合、区分変更申請のタイミングがそのまま算定の可否に直結します。
ちびウルフ訪問看護と契約すれば(Ⅰ)ハは取れる、という理解でいいですか?
リハウルフ条文上はそうです。ただし「看護師を1名以上確保」+「看護師による24時間連絡体制」+「重度化対応指針の説明・同意」の3点セットが揃って初めて算定できます。契約書があるだけで、夜間に誰につながるか決まっていない体制は要件を満たしません。連絡先と手順を文書にしておくことです。
よくある質問
(Ⅰ)のイ・ロ・ハは同時に算定できますか?
できません。条文のただし書きで、いずれかを算定している場合はその他の加算を算定しないと定められています。同時算定が認められているのは「(Ⅰ)のいずれか+(Ⅱ)」の組み合わせだけです。
准看護師を常勤換算1名配置していれば(Ⅰ)ロを算定できますか?
配置要件は満たしますが、それだけでは足りません。配置している看護職員が准看護師のみの場合は、病院・診療所・訪問看護ステーションの「看護師」による24時間連絡体制を確保する必要があります。
訪問看護ステーションとの連携だけで算定できる区分はどれですか?
(Ⅰ)ハ(37単位/日)です。事業所の職員として、又は病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により看護師を1名以上確保していることが要件です。
(Ⅱ)の対象となる人が退居したら、翌月から算定できなくなりますか?
すぐには算定できなくならず、要件は「算定日が属する月の前3月間に1人以上」です。該当者が退居しても、その後3か月間は要件を満たします。逆に受け入れた月にさかのぼって算定することはできません。
インスリン注射をしている入居者がいれば(Ⅱ)を算定できますか?
(Ⅰ)のいずれかを算定していることを前提に、11の対象状態のひとつとして算定要件を満たします。ただし体制要件(Ⅰ)を算定していない事業所は(Ⅱ)だけを算定することはできません。
医療連携体制加算を算定していなくても看取り介護加算は算定できますか?
算定できません。看取り介護加算の注に「医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」と明記されています。協力医療機関連携加算にも同じただし書きがあります。
重度化対応の指針は、看取りの指針と別に作る必要がありますか?
条文はそれぞれ別の要件として定めていますが、内容が重なるため一体の文書として整備している事業所が多いです。ただし説明・同意のタイミング(医療連携体制加算は「入居の際に」、看取り介護加算も「入居の際に」)と記録は、それぞれ確認できる形にしておくことをおすすめします。
要支援2の入居者にも算定できますか?
できません。介護予防認知症対応型共同生活介護費には医療連携体制加算そのものが設けられていません。看取り介護加算・協力医療機関連携加算も同様です。
届出先は都道府県ですか、市町村ですか?
市町村長です。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導・届出はいずれも市町村が所管します。様式や解釈が自治体で異なることがあるため、事前相談をおすすめします。
- 医療連携体制加算は(Ⅰ)イ57単位・ロ47単位・ハ37単位、(Ⅱ)5単位(1日につき)
- (Ⅰ)イは看護師を常勤換算1名以上、自前で配置
- (Ⅰ)ロは看護職員を常勤換算1名以上、自前で配置
- (Ⅰ)ハは自前または病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携で看護師1名以上を確保
- 准看護師のみの配置では、外部の看護師による24時間連絡体制が必要
- 3区分に共通する要件は24時間連絡体制と重度化対応指針の説明・同意
- (Ⅱ)は(Ⅰ)の算定が前提で、前3月間に11の医療的状態のいずれかに該当する人が1人以上
- 令和6年度改定で対象にインスリン注射・留置カテーテル等が追加された
- (Ⅰ)のイ・ロ・ハどうしは同時算定不可。(Ⅰ)+(Ⅱ)のみ同時算定できる
- 医療連携体制加算がないと看取り介護加算・協力医療機関連携加算は算定できない
- 介護予防(要支援2)にはこの加算が存在しない
- 届出先は市町村長
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のホ(医療連携体制加算)、注10(看取り介護加算)、ニ(協力医療機関連携加算)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第34号(指定認知症対応型共同生活介護における医療連携体制加算に係る施設基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)1.(3)⑭ 認知症対応型共同生活介護における医療連携体制加算の見直し
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および改定資料にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。医療的ケアが必要な者の受入要件に該当するかどうかの判断、既入居者に対する指針の説明・同意の取扱いについても市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の金額の試算は単位数を単純に比較した概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




