「訪問看護を辞めたい」「私は訪問看護に向いていないのかもしれない」——そう感じて検索された方も多いのではないでしょうか。責任の重さ、オンコール、人間関係、給料など、訪問看護を辞めたくなる理由は人それぞれです。

この記事では、訪問看護師が辞めたくなる代表的な理由を11個に整理したうえで、「辞める前にやるべきこと」「辞めるべきか転職すべきかの見極め方」まで、現場をよく知る立場からやさしく解説します。読み終えるころには、今のモヤモヤが少し整理されて、次の一歩が見えてくるはずです。

この記事でわかること
  • 訪問看護を辞めたくなる11の理由(退職理由)
  • 「訪問看護に向いていない人」に多い特徴
  • 辞める前に試したい対策と、辞める/転職する判断の手順
  • 管理者・経営者が知っておきたい離職を防ぐ視点
ちびウルフちびウルフ

訪問看護を辞めたいって思うのは、甘えなのかな…?

リハウルフリハウルフ

甘えなんかじゃないよ。訪問看護には向き・不向きがあるし、事業所によって働きやすさも全然違う。まずは「何がつらいのか」を整理することが大事なんだ。

訪問看護を辞めたくなる11の理由(退職理由)

訪問看護を辞めたいと感じる背景には、いくつか共通したパターンがあります。まずは「自分はどれに当てはまるか」をチェックしてみましょう。原因がはっきりすると、対策も見えやすくなります。

辞めたくなる理由主な背景
責任が重い基本は1人で訪問し、その場で判断・対応を求められる
移動の負担自転車・自動車・バイクでの移動が体力的・心理的にきつい
オンコール夜間・休日の電話当番で常に緊張感がある
夜勤の方が稼げるオンコール手当より病院夜勤の方が収入面で有利なことも
衛生環境利用者宅の環境はさまざまで、潔癖な人には負担
暑さ・寒さ空調の整わない環境での訪問・入浴介助が過酷
給料が安い夜勤手当がなく、収入が伸びにくい事業所もある
人間関係利用者・家族・ケアマネ・多職種など関係性が幅広い
管理者と合わない管理者次第で職場の雰囲気が大きく変わる
ライフイベント結婚・出産・子育てでオンコールや勤務が続けにくい
書類業務が多い計画書・報告書・多職種連携など事務負担が大きい

責任が重い・1人で抱え込んでしまう

訪問看護は、医師の指示のもとで動くとはいえ、利用者さんの自宅では基本的に1人で判断し対応します。看取りの方、医療的処置が必要な方、急変の可能性がある方など、対象は幅広く、「自分の判断で大丈夫だろうか」というプレッシャーが続きます。この責任の重さが、辞めたい気持ちにつながることは少なくありません。

移動とオンコールの負担

自転車・自動車・バイクでの移動そのものが負担になる人もいます。運転が苦手、坂道や悪天候の移動がつらい、といった声です。あわせて多いのがオンコール(夜間・休日の電話当番)。お酒が飲めない、遠出ができない、家庭を優先できない、何かあれば出動しなければならない——こうした制約が「生活が縛られる」ストレスになります。

注意オンコールの負担は、事業所の体制(担当の回り方・出動頻度・バックアップの有無)で大きく変わります。「オンコールが嫌=訪問看護が嫌」とは限らないので、切り分けて考えることが大切です。

収入・待遇への不満

病院の夜勤手当に比べると、オンコール手当は1回あたり数千円程度にとどまる事業所も多く、「夜勤をしていた方が稼げた」と感じる人もいます。給料が上がりにくい、評価が見えにくいといった待遇面の不満も、退職を考えるきっかけになりがちです。

人間関係・管理者との相性

訪問看護は、利用者・家族はもちろん、ケアマネジャーや多職種との連携が欠かせません。関係性が広いぶん、人間関係の負担も生じやすい仕事です。特に管理者との相性は職場満足度を大きく左右します。「辞めたい理由が管理者にある」というケースは実はとても多いものです。

ライフイベントと書類業務

結婚・出産・子育てでオンコールが持てなくなり、「他のスタッフに迷惑をかけてしまう」と感じて離れていく人もいます。また、訪問看護計画書・報告書の作成、主治医や他事業所との連携など、書類・調整業務の多さに疲れてしまう人も少なくありません。

これらの理由は単独ではなく、いくつも重なって「もう限界」という気持ちに至るケースがほとんどです。たとえば「オンコールがつらい」だけなら続けられたかもしれないのに、そこに「管理者と合わない」「給料が上がらない」が重なると、一気に退職へと傾きます。だからこそ、自分がどの要因にどれくらい負担を感じているのかを、いちど紙に書き出して可視化してみることをおすすめします。原因が整理できれば、「どれは環境を変えれば解決するのか」「どれは自分の働き方を変える必要があるのか」が見えてきます。

「訪問看護に向いていない」と感じやすい人の特徴

「向いていないのかな」と落ち込む前に、知っておいてほしいことがあります。下に挙げる特徴は能力の問題ではなく、相性や環境の問題であることがほとんどです。

向き不向きが出やすいポイント 1人での判断にプレッシャーを感じやすい/生活リズムを乱されたくない/衛生環境に敏感/事務作業が極端に苦手/特定の人間関係で消耗しやすい——こうした傾向がある場合でも、働き方や事業所を変えることで解決できることが多くあります。
ちびウルフちびウルフ

向いてないって決めつけなくてもいいんだね。

リハウルフリハウルフ

そうだよ。同じ訪問看護でも、オンコールなし・日勤のみ・小児特化など多様な働き方がある。「合う場所」を探すほうが建設的なんだ。

辞める前に試したい対策と判断の手順

勢いで辞めてしまう前に、いちど立ち止まって整理してみましょう。次の手順で考えると、後悔の少ない選択ができます。

  1. つらさの正体を切り分ける:「訪問看護という仕事そのものが苦手」なのか、「今の職場(環境・人間関係)が苦手」なのかを書き出して整理します。
  2. 職場が原因なら、まず相談・調整:オンコールの回数、訪問件数、業務分担など、改善できる余地がないか管理者に相談してみます。
  3. 改善が難しいなら、別の訪問看護ステーションへ:管理者・体制が変われば働きやすさは大きく変わります。転職で訪問看護が好きになる人もいます。
  4. 仕事自体が合わないなら、別分野へ:無理に続けず、自分の得意・好きを活かせる職場を選び直すのも立派な選択です。
ポイント「辞めたい理由=訪問看護そのもの」ではなく「今の職場」であるケースは非常に多いです。転職先を探すときは、オンコール体制・訪問件数・教育体制・管理者の人柄を必ず確認しましょう。

訪問看護ステーションを変えるだけで解決することも多い

訪問看護ステーションは、管理者ごとに職場の雰囲気がまったく違います。オンコールの負担、訪問件数、記録の仕組み、教育やフォロー体制、人間関係——これらは事業所によって大きく異なります。今の職場がつらいからといって、訪問看護の仕事すべてが自分に合わないとは限りません。

「日勤のみ」「オンコールなし・少なめ」「直行直帰OK」「ICTで記録負担が軽い」など、自分の優先順位に合った事業所を選ぶことで、同じ訪問看護でも驚くほど働きやすくなることがあります。転職活動では、求人票だけでなく見学や面接で現場の空気を確かめることをおすすめします。

管理者・経営者が知っておきたい離職を防ぐ視点

ここからは、訪問看護ステーションの管理者・経営者の方に向けたパートです。スタッフの退職理由を知ることは、そのまま離職対策のヒントになります。

離職を防ぐための着眼点 オンコールの負担を1人に偏らせない仕組みづくり/訪問件数の適正化/記録・書類のICT化による事務負担軽減/新人・ブランク者へのフォロー体制/ライフイベントに合わせた柔軟な勤務(時短・オンコール免除など)/管理者自身のコミュニケーション。これらは、求人広告以上に「定着」に効きます。

特に、管理者との相性やコミュニケーションは退職理由の上位に挙がります。面談の機会を定期的に設け、「相談しやすい雰囲気」をつくるだけでも、辞めたい気持ちが和らぐスタッフは少なくありません。働き方の選択肢を増やすことが、結果的に採用コストの削減にもつながります。

よくある質問(FAQ)

訪問看護を辞めたいのは「甘え」でしょうか?
甘えではありません。訪問看護には明確な向き・不向きがあり、事業所による働きやすさの差も大きい仕事です。大切なのは、つらさの原因が「仕事そのもの」か「今の職場」かを切り分けることです。
辞める前に何をしておくべきですか?
まず原因の整理、次に改善できないか職場へ相談、それでも難しければ別の訪問看護ステーションや別分野への転職を検討、という順番がおすすめです。勢いで辞める前に一度立ち止まりましょう。
オンコールがつらいだけなら、訪問看護を続けられますか?
続けられる可能性は十分あります。オンコールなし・少なめの事業所や、日勤のみの働き方もあります。オンコールの負担は事業所の体制で大きく変わるため、転職先選びで解消できることが多いです。
人間関係が理由でも転職していいですか?
問題ありません。特に管理者との相性は職場満足度を大きく左右します。我慢し続けて心身を壊すより、合う環境を探すほうが建設的です。
転職先の訪問看護ステーションはどう選べばいいですか?
オンコール体制、訪問件数、教育・フォロー体制、記録のしくみ、管理者の人柄を確認しましょう。可能なら見学や面接で現場の雰囲気を直接確かめると失敗が減ります。
まとめ
  • 訪問看護を辞めたくなる理由は、責任・移動・オンコール・収入・人間関係・管理者との相性・ライフイベント・書類業務など多岐にわたる。
  • 「辞めたい=訪問看護に向いていない」とは限らず、原因の多くは「今の職場」にある。
  • 辞める前に、つらさの正体を切り分け→相談→転職(別ステーション or 別分野)の順で考えると後悔が少ない。
  • 管理者・経営者は、オンコール負担の分散・事務負担の軽減・柔軟な勤務・対話の機会づくりで離職を防げる。
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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