地域密着型通所介護には、必要な取り組みができていないと報酬が下がる減算が2つあります。高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算で、いずれも所定単位数の100分の1です。あわせて、中山間地域等に居住する利用者へのサービス提供加算(5%)も整理します。

この記事では、これらを、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 2つの減算がいずれも1%であること
  • 虐待防止に必要な4つの取り組み
  • 業務継続計画に必要な5つの取り組み
  • 「計画はあるが訓練がない」が最も多い不備であること
  • 中山間地域等の加算が5%であること
  • この加算が療養通所介護にも適用されること
  • 通常の事業の実施地域を越えることが要件であること
  • 揃えておくべき書類

地域密着型通所介護の高齢者虐待防止措置未実施減算とは?

高齢者虐待防止措置未実施減算は、虐待の発生またはその再発を防止するための措置を講じていない場合に適用される減算です。令和3年度の改定で義務化され、経過措置を経て減算が適用されています。

介護報酬の多くは「やったこと」を評価する加算ですが、こちらは「やっていないこと」に対する減算です。金額は小さくても、基準を満たしていないと判断されること自体が重い意味を持ちます。

減算・加算の単位数

項目算定
高齢者虐待防止措置未実施減算所定単位数の100分の1減算
業務継続計画未策定減算所定単位数の100分の1減算
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算所定単位数の100分の51日につき加算

2つの減算は同時に適用されることもあります。体制が整っていない事業所ほど、両方に該当しやすくなります。

高齢者虐待防止措置未実施減算の算定要件

指定地域密着型サービス基準は、次の措置を講じることを求めています。

  • 虐待の防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、結果を従業者に周知徹底すること
  • 虐待の防止のための指針を整備すること
  • 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
  • これらの措置を適切に実施するための担当者を置くこと

4つすべてが必要です。委員会は開いているが指針がない、指針はあるが研修をしていない、という状態では減算の対象になります。委員会はテレビ電話装置等を活用して行うことができますが、開催記録と周知の記録は必要です。

業務継続計画未策定減算の算定要件

  • 感染症の発生・まん延時、および非常災害時の業務継続計画を策定していること
  • 計画に従い必要な措置を講じていること
  • 従業者に対し計画を周知していること
  • 必要な研修および訓練を定期的に実施していること
  • 定期的に計画の見直しを行い、必要に応じて変更していること
最も多い不備は「訓練をしていない」 計画は作ったが、研修と訓練をしていないという事業所が少なくありません。基準は策定・周知・研修・訓練・見直しをセットで求めています。
訓練は机上のシミュレーションでも構いませんが、実施した記録(日時、参加者、想定した状況、気づいた課題)が必要です。記録がなければ実施していないものとして扱われます。
通所介護では、送迎中の被災を想定に含めておくと実態に即した計画になります。

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準 地域密着型通所介護費 注12(要旨)
  • 指定地域密着型通所介護事業所又は指定療養通所介護事業所の従業者が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えてサービスを行った場合は、1日につき所定単位数の100分の5に相当する単位数を加算する。
  • 利用者が厚生労働大臣が定める地域に居住していること
  • 事業所が定めた通常の事業の実施地域を越えてサービスを行うこと
  • この加算は療養通所介護にも適用されます

2つの条件の両方が必要です。中山間地域に住んでいても、通常の事業の実施地域の中であれば算定できません。運営規程に定めた実施地域の範囲を確認してください。

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1%なら大した額じゃないし、後回しでもいい?

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金額より、減算は過去にさかのぼって適用されることがあるのが怖いところです。その分は返還になります。
それに、委員会も研修も業務継続計画も、やること自体は事業所を守る取り組みです。書類を揃えるためではなく、実際に何かあったときに動けるようにという視点で作ると、中身のあるものになります。
デイは利用者が一度に集まる場所です。感染症が広がったときの影響は在宅サービスより大きい、という前提で考えてください。

揃えておくべき書類

  • 虐待防止委員会の議事録(開催日、出席者、検討内容、周知の方法)
  • 虐待の防止のための指針
  • 虐待防止研修の記録(日時、参加者、資料)
  • 虐待防止の担当者を定めた記録
  • 業務継続計画(感染症・非常災害の両方)
  • 計画の周知の記録
  • 研修および訓練の記録(日時、参加者、内容、課題)
  • 計画の見直しの記録

減算・加算のQ&A

減算・加算のQ&A

減算幅はいくらですか?

高齢者虐待防止措置未実施減算・業務継続計画未策定減算とも、所定単位数の100分の1です。

2つ同時に適用されますか?

それぞれ独立した減算のため、両方の要件を満たしていなければ両方が適用されます。

委員会は開いていますが指針がありません。

減算の対象になります。委員会・指針・研修・担当者の4つすべてが必要です。

委員会はオンラインでもよいですか?

テレビ電話装置等を活用して行うことができます。開催記録は必要です。

業務継続計画は作りましたが訓練をしていません。

減算の対象になります。策定・周知・研修・訓練・見直しがセットで求められています。

訓練は実地でないとだめですか?

机上のシミュレーションでも差し支えありませんが、実施した記録が必要です。

中山間地域の加算はいくらですか?

1日につき所定単位数の100分の5です。

中山間地域に住んでいれば必ず算定できますか?

できません。通常の事業の実施地域を越えてサービスを行った場合が要件です。

この加算は療養通所介護でも算定できますか?

できます。告示は指定療養通所介護事業所も対象としています。

まとめ
  • 減算は高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算の2つ
  • いずれも所定単位数の100分の1
  • 2つが同時に適用されることもある
  • 虐待防止は委員会・指針・研修・担当者の4つすべてが必要
  • 委員会はテレビ電話装置等を活用できるが記録は必要
  • 業務継続計画は策定・周知・研修・訓練・見直しがセット
  • 「計画は作ったが訓練をしていない」が最も多い不備
  • 訓練は机上でもよいが実施記録が必要
  • 通所介護では送迎中の被災を想定に含めるとよい
  • 減算は過去にさかのぼって適用され返還につながることがある
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は1日5%
  • 利用者が定める地域に居住していることが条件
  • 通常の事業の実施地域を越えることも条件
  • この加算は療養通所介護にも適用される
  • 必要書類を1つのファイルにまとめておくと運営指導が早く終わる
参考にした情報

※本記事の減算幅および加算率は、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。虐待防止および業務継続計画に関する具体的な措置の内容は、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準に定められています。委員会や研修の開催頻度、減算の起算時点、中山間地域等の対象となる地域の範囲については、留意事項通知および厚生労働大臣が定める地域をご確認ください。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、取扱いが市町村によって異なる場合があります。個別の取扱いは、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理しています。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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