地域密着型通所介護の同一建物減算とは?

地域密着型通所介護には、送迎に関する減算が2つあります。同一建物に居住する者等に対する1日94単位の減算と、送迎を行わない場合の片道47単位の減算です。両方とも送迎に関わるものですが、対象も金額も違います。
この記事では、この2つの減算を、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文を確認して整理しました。
- 同一建物減算が1日94単位であること
- 送迎未実施減算が片道47単位であること
- 2つの減算の対象の違い
- 「同一建物から通う者」も対象になること
- 傷病等で送迎が必要な場合の例外
- 家族が送迎した場合の扱い
- 2つが重なるとどうなるか
- 記録として残すべきこと
地域密着型通所介護の同一建物減算とは?
同一建物減算は、事業所と同じ建物に住んでいる利用者や、同じ建物から事業所に通う利用者について、送迎にかかる手間と費用が少ないことを反映した減算です。
サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームの1階にデイサービスがある、という形は珍しくありません。この場合、車での送迎は発生せず、移動の負担も小さくなります。その分を報酬から差し引くのが、この減算の趣旨です。
2つの減算の単位数
| 減算 | 減算幅 | 単位 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 同一建物等に居住する者等に対する減算 | 94単位 | 1日につき | 同一建物に居住または同一建物から通う利用者 |
| 送迎を行わない場合の減算 | 47単位 | 片道につき | 居宅と事業所の間の送迎を行わない場合 |
94単位は47単位のちょうど2倍です。往復の送迎を行わないことに相当する金額として設定されています。
同一建物減算の算定要件
- イについて、指定地域密着型通所介護事業所と同一建物に居住する者又は指定地域密着型通所介護事業所と同一建物から当該指定地域密着型通所介護事業所に通う者に対し、指定地域密着型通所介護を行った場合は、1日につき94単位を所定単位数から減算する。ただし、傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要であると認められる利用者に対して送迎を行った場合は、この限りでない。
- 同一建物に居住する者が対象です
- 同一建物に居住していなくても、同一建物から通う者も対象です
- 傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要と認められる利用者に送迎を行った場合は、減算されません
たとえば同じ建物にある通所リハや別のデイに通った後、そこから続けて利用する、といった形も含まれ得ます。
「居住していないから対象外」と判断する前に、その利用者がどこから通っているかを確認してください。
やむを得ない事情の例外
骨折して自力での移動が難しい、認知症で1人では事業所にたどり着けないなど、送迎が必要と認められる場合は減算されません。ただし、その判断の根拠を記録に残す必要があります。「念のため送迎した」では認められにくいと考えてください。
送迎を行わない場合の減算
- イについて、利用者に対して、その居宅と指定地域密着型通所介護事業所との間の送迎を行わない場合は、片道につき47単位を所定単位数から減算する。
- 片道ごとの減算です。行きだけ家族が送った場合は47単位、往復とも送迎しなければ94単位です
- 家族が送迎した場合も、事業所が送迎を行っていなければ減算の対象です
- 利用者が自力で通う場合も同様です
・雨の日だけ家族が車で送ってきた
・帰りだけ家族が迎えに来た
こうした日は片道47単位の減算になります。送迎記録と請求データを突き合わせないと、まず気づけません。
送迎表に「家族送迎」の欄を設けて、その場でチェックする運用にしておくのが確実です。
2つの減算の注意点
- 同一建物減算が適用される場合の、送迎未実施減算との関係は留意事項通知を確認してください
- どちらも「イ」=地域密着型通所介護費に対する減算です
- 送迎の実施状況を毎日記録してください
- やむを得ない事情での送迎は、その理由を記録に残してください
- 運営指導では送迎記録と請求内容の一致が確認されます
ちびウルフ同じ建物にデイがあるのに、わざわざ車で送迎したら減算されないの?
リハウルフそこは「傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要であると認められる」かどうかで判断されます。車を出したかどうかではありません。
同じ建物の中でも、エレベーターがない、居室から事業所まで距離があって自力では厳しい、といった事情があれば、介助しての移動が必要になります。その必要性を評価して記録に残しているかが問われます。
「減算を避けるために送迎する」という発想だと、確実に指摘されます。
同一建物減算・送迎減算のQ&A
同一建物減算・送迎減算のQ&A
減算幅はいくらですか?
同一建物減算が1日94単位、送迎を行わない場合の減算が片道47単位です。
同一建物に住んでいなくても対象になりますか?
なります。同一建物から当該事業所に通う者も対象です。
同一建物でも送迎すれば減算されませんか?
傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要と認められる利用者に送迎を行った場合に限られます。
家族が送ってきた日はどうなりますか?
事業所が送迎を行っていないため、片道47単位の減算対象です。
行きだけ送迎した場合は?
行っていない片道分について47単位の減算です。
利用者が自分で歩いて来る場合は?
事業所が送迎を行っていなければ減算の対象です。
2つの減算が重なることはありますか?
適用関係は留意事項通知に定めがあります。保険者にご確認ください。
やむを得ない事情はどう証明しますか?
送迎が必要と判断した理由を記録に残してください。アセスメントや計画への記載も有効です。
運営指導では何を見られますか?
送迎記録と請求内容の一致です。日ごとの送迎の有無がわかる記録を整備してください。
- 送迎に関する減算は2つある
- 同一建物減算は1日につき94単位
- 送迎を行わない場合の減算は片道につき47単位
- 94単位は47単位の2倍で、往復分に相当する
- 同一建物に居住する者が対象
- 同一建物から通う者も対象になる
- 傷病その他やむを得ない事情による送迎は減算されない
- その判断の根拠を記録に残す必要がある
- 家族が送迎した日も片道47単位の減算対象
- 利用者が自力で通う場合も同様
- 行きだけ送迎した場合は帰りの分が減算される
- 送迎表に家族送迎の欄を設けると漏れを防げる
- 送迎記録と請求データの突き合わせが必要
- 運営指導では送迎記録と請求内容の一致が確認される
- 減算を避けるための送迎は指摘の対象になる
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)(地域密着型通所介護費 注28・注29)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
- 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(厚生労働省)
※本記事の減算幅および要件は、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。「同一建物」の具体的な範囲、「やむを得ない事情」の判断基準、2つの減算が重なる場合の適用関係については、留意事項通知および保険者の解釈をご確認ください。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、取扱いが市町村によって異なる場合があります。個別の取扱いは、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理しています。





