定期巡回・随時対応型訪問介護看護の緊急時訪問看護加算は、(Ⅰ)325単位、(Ⅱ)315単位です。差はわずか10単位ですが、(Ⅰ)には「看護業務の負担軽減に資する業務管理等の体制の整備」という要件が追加されており、単なる上位下位ではなく職員の働き方まで問う設計になっています。

この記事では、この加算の単位数と算定要件を、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準および厚生労働大臣が定める基準の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)の単位数と要件の差
  • 算定できるのがイ(2)に限られること
  • 「常時対応できる体制」という要件の意味
  • (Ⅰ)だけに求められる負担軽減の体制
  • 対象となる利用者の条件
  • 届出が必要であること
  • 記録として残すべきもの
  • 他サービスとの重複に注意すべき点

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の緊急時訪問看護加算とは?

計画に位置づけられていない緊急の訪問看護に、必要に応じて対応できる体制を評価する加算です。24時間いつでも連絡を受けられ、必要なら訪問できるという体制そのものに対する評価であり、実際に緊急訪問を行った回数で算定するものではありません。

緊急時訪問看護加算の単位数

区分単位数算定頻度
緊急時訪問看護加算(Ⅰ)325単位1月につき
緊急時訪問看護加算(Ⅱ)315単位1月につき

対象となるのはイ(2)、つまり一体型で訪問看護サービスを行う場合です。連携型(ロ)や(Ⅲ)では算定できません。

緊急時訪問看護加算の算定要件

厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第44号の8
  • イ 緊急時訪問看護加算(Ⅰ) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
    (1) 利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあること。
    (2) 緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われていること。
  • ロ 緊急時訪問看護加算(Ⅱ) イ(1)に該当するものであること。

(Ⅱ)は「常時対応できる体制」だけ

(Ⅱ)の要件は(Ⅰ)の(1)のみです。利用者や家族から電話等で看護に関する意見を求められたとき、常時対応できる体制があれば算定できます。

  • 24時間の連絡先が利用者・家族に周知されているか
  • 連絡を受ける担当者の輪番表が整備されているか
  • 連絡を受けた際の対応手順が定められているか
  • 連絡の記録(日時・内容・対応)が残っているか

(Ⅰ)は負担軽減の体制が追加される

10単位の差が問うているもの (Ⅰ)に追加されるのは「緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備」です。
オンコールを担当する看護職員に負担が集中しない仕組みがあるか、が問われています。具体的には、担当者の輪番制、夜間対応後の勤務調整、複数名での分担、記録の簡素化といった取り組みが考えられます。
「体制の整備が行われていること」が要件なので、規程や手順として文書化しておく必要があります。

対象となる利用者

注は「訪問看護サービスに関し特別な管理を必要とする利用者」に対して、計画的でない緊急時訪問を必要に応じて行う体制にある場合に加算するとしています。すべての利用者が対象になるわけではありません。

特別な管理を必要とする状態に該当するかは、厚生労働大臣が定める状態等にもとづいて判断します。該当を示す記録(疾患名、処置内容、医師の指示など)を残してください。

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緊急の訪問が1回もなかった月でも算定できるの?

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これは体制に対する加算なので、訪問の実績がなくても体制があれば算定できる考え方です。ただし「体制がある」ことを示せる必要があります。輪番表、連絡先の周知資料、対応手順、そして連絡を受けたときの記録。運営指導ではこの4点セットを見られます。電話が鳴らなかった月ほど、体制の書類が効いてきます。

緊急時訪問看護加算の注意点

  • 届出が必要:市町村長への届出を行ったうえで算定します
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない:いずれか一方です
  • 対象はイ(2)のみ:一体型で訪問看護サービスを行う場合に限られます
  • 1月につき1回:緊急訪問の回数に応じて増えるものではありません
  • 他サービスとの重複:同じ利用者について、訪問看護事業所が緊急時訪問看護加算を算定していないか確認してください
  • 体制が崩れたら算定できない:担当者が不在で連絡がつかない期間があれば、要件を満たしません

緊急時訪問看護加算のQ&A

よくある質問

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは何ですか?

(Ⅱ)は常時対応できる体制のみ、(Ⅰ)はこれに加えて、緊急時訪問における看護業務の負担軽減に資する業務管理等の体制の整備が必要です。単位数の差は10単位です。

連携型でも算定できますか?

できません。対象はイ(2)、一体型で訪問看護サービスを行う場合に限られます。

緊急訪問がなかった月も算定できますか?

体制に対する加算のため、実績がなくても体制があれば算定できる考え方です。ただし体制を示す記録が必要です。

負担軽減の体制とは具体的に何ですか?

条文は「十分な業務管理等の体制の整備」とのみ定めています。輪番制、夜間対応後の勤務調整、複数名での分担などが考えられます。規程や手順として文書化してください。

すべての利用者が対象ですか?

違います。訪問看護サービスに関し特別な管理を必要とする利用者が対象です。該当を示す記録を残してください。

届出は必要ですか?

必要です。市町村長への届出を行ったうえで算定します。

訪問看護事業所と重複しませんか?

同じ利用者について重複して算定されていないか確認してください。

月に何回算定できますか?

1月につき1回です。緊急訪問の回数に応じて増えるものではありません。

担当者が不在だった日がある場合は?

「常時対応できる体制」が要件のため、連絡がつかない期間があれば要件を満たしません。

まとめ
  • 緊急時訪問看護加算は(Ⅰ)325単位、(Ⅱ)315単位(1月につき)
  • 対象はイ(2)=一体型で訪問看護サービスを行う場合のみ
  • 連携型(ロ)や(Ⅲ)では算定できない
  • (Ⅱ)の要件は「常時対応できる体制」のみ
  • 電話等で看護に関する意見を求められたとき、常時対応できることが要件
  • (Ⅰ)は「看護業務の負担の軽減に資する業務管理等の体制の整備」が追加
  • 10単位の差が、オンコール担当者の負担軽減の仕組みを問うている
  • 負担軽減の体制は、規程や手順として文書化しておく
  • 対象は「特別な管理を必要とする利用者」で、全員ではない
  • 該当を示す記録(疾患名、処置内容、医師の指示等)を残す
  • 体制に対する加算のため、緊急訪問の実績がなくても算定できる考え方
  • ただし輪番表、連絡先の周知、対応手順、連絡記録が必要
  • 届出を行ったうえで算定する
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
  • 訪問看護事業所と重複して算定していないか確認する
参考にした情報

※本記事の単位数および算定要件に関する記述は、厚生労働大臣が定める基準および指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。単位数は令和6年度介護報酬改定時点のもので、地域区分による1単位あたりの単価は含みません。「特別な管理を必要とする利用者」の範囲、および「業務管理等の体制の整備」として認められる具体的な取り組みについては、厚生労働大臣が定める状態等および留意事項通知をご確認ください。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、取扱いが市町村によって異なる場合があります。個別の算定の可否は、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理しています。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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