後期高齢者医療制度の保険料はいくら?計算方法と軽減を解説

後期高齢者医療制度の保険料は、「均等割額」と「所得割額」を足して計算します。全国一律ではなく、都道府県ごとの広域連合が決めるため、住んでいる都道府県によって金額が変わります。そして所得が少ない世帯には、申請なしで適用される軽減が用意されています。
この記事では、後期高齢者医療制度の保険料について、高齢者の医療の確保に関する法律とその施行令の原文を確認して整理しました。計算の仕組み、7割・5割・2割の軽減が適用される基準、会社員の扶養に入っていた人だけに用意されている2年間の特例、そして年金天引きをやめる方法までをまとめています。
- 後期高齢者医療制度の保険料が「均等割+所得割」で決まる仕組み
- 同じ都道府県の中では原則として料率が均一であること
- 均等割が7割・5割・2割軽減される所得の基準
- 会社員の扶養に入っていた人は2年間、所得割がかからず均等割も半額になること
- 生活保護を受けている人は被保険者にならないこと
- 75歳になると手続きなしで自動的に資格が切り替わること
- 介護保険料と合わせて年金の半分を超えると天引きが外れること
- 口座振替に変更でき、家族の税負担が下がる可能性があること
後期高齢者医療制度の保険料とは?
後期高齢者医療制度は、75歳以上の人が加入する医療保険です。高齢者の医療の確保に関する法律(以下、高確法)第50条が、被保険者を次のように定めています。
- 一 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する七十五歳以上の者
- 二 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する六十五歳以上七十五歳未満の者であつて、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの
75歳の誕生日当日から資格を取得します(高確法第52条第1号)。申請は必要ありません。それまで加入していた国民健康保険や、会社の健康保険(被扶養者を含む)からは自動的に外れます。
保険料を決めるのは市町村ではなく「広域連合」
介護保険料との大きな違いがここです。高確法第104条第2項は、保険料率について次のように定めています。
- 前項の保険料は、後期高齢者医療広域連合が被保険者に対し、後期高齢者医療広域連合の全区域にわたつて均一の保険料率であることその他の政令で定める基準に従い後期高齢者医療広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によつて算定された保険料額によつて課する。
広域連合は都道府県ごとに設けられています。つまり同じ都道府県内であれば、どの市町村に住んでいても保険料率は同じです。市町村ごとに金額が違う介護保険料とは、ここが根本的に異なります。
ただし例外があり、同条第2項ただし書は、離島など医療の確保が著しく困難で厚生労働大臣が定める基準に該当する地域については、別の保険料率を定めることができるとしています。
ちびウルフ75歳になったら、国民健康保険の保険料はどうなるの?二重に払うことにならない?
リハウルフ医療保険は自動的に切り替わるので、国民健康保険と二重にはなりません。二重になるのは「医療」と「介護」です。後期高齢者医療保険料とは別に、介護保険料も引き続きかかります。年金の振込通知に2つ並んでいるのを見て驚かれることが多い部分です。
後期高齢者医療制度の保険料の計算方法
保険料の構造は、高確法施行令第18条第1項第2号に定められています。
- 前号イの基礎賦課額は、被保険者につき算定した所得割額及び被保険者均等割額の合計額とすること。
| 区分 | 内容 | 性格 |
|---|---|---|
| 被保険者均等割額 | 被保険者1人あたりに定額でかかる | 所得に関係なく全員が負担する部分 |
| 所得割額 | 基礎控除後の総所得金額等 × 所得割率 | 所得が高いほど増える部分 |
この2つを足したものが、その人の年間保険料です。所得割の計算のもとになるのは「基礎控除後の総所得金額等」で、施行令第18条第1項第3号により、地方税法上の総所得金額等から基礎控除を引いた後の額とされています。年金収入がそのまま所得割の対象になるわけではありません。公的年金等控除と基礎控除を引いた後の額に、所得割率を掛けます。
保険料には上限がある
施行令第18条第1項には、基礎賦課額が一定額を超えることができない旨の定めが置かれています。高所得であっても青天井にはならない仕組みです。ただしこの上限額は年度ごとに政令で改定されており、経過措置が設けられる年度もあります。実際に適用される上限額は、お住まいの都道府県の広域連合が公表している保険料の案内で確認してください。
後期高齢者医療制度の保険料の軽減(7割・5割・2割)
所得が少ない世帯については、均等割額が軽減されます。施行令第18条第5項がその基準です。ここは申請不要で、住民税の課税状況から自動的に判定されます。
| 軽減割合 | 世帯の総所得金額等の合算額の基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 7割軽減 | 地方税法に定める額(基礎控除相当額)以下 | 施行令第18条第5項第3号イ「十分の七」 |
| 5割軽減 | 基礎控除相当額+(被保険者数×31万円)以下で、7割に当たらない世帯 | 同第3号ロ「十分の五」 |
| 2割軽減 | 基礎控除相当額+(被保険者数×57万円)以下で、上記に当たらない世帯 | 同第6号「十分の二」 |
なお、世帯の中に給与所得者や公的年金等の所得がある人が2人以上いる場合は、判定の基準額に「(給与所得者等の数−1)×10万円」が加算されます(施行令第18条第5項第1号)。世帯に働いている人が複数いる場合、その分だけ軽減の枠が広がるという調整です。
会社員の扶養に入っていた人の2年間の特例
これは見落とされやすい、しかし金額へのインパクトが大きい規定です。75歳になる直前まで、会社の健康保険(協会けんぽや健康保険組合など)の被扶養者だった人には、2つの優遇があります。
1. 所得割がかからない
施行令第18条第1項第2号のただし書は、次のように定めています。
- ただし、法第九十九条第二項に規定する被保険者(以下この条において「被扶養者であった被保険者」という。)に係る基礎賦課額は、当該被扶養者であった被保険者につき算定した被保険者均等割額とする。
基礎賦課額が「均等割額のみ」とされているため、被扶養者であった被保険者には所得割がかかりません。これは期間の制限なく続く扱いです。
2. 均等割が2年間、半額になる
さらに施行令第18条第6項は、均等割額そのものも減額すると定めています。
- 一 被扶養者であった被保険者(前項第一号及び第二号の規定による減額がされない被保険者に限る。)について、法第五十二条各号のいずれかに該当するに至った日の属する月以後二年を経過する月までの間に限り、当該被扶養者であった被保険者に対して賦課する被保険者均等割額を減額するものであること。
- 二 前号の規定に基づき減額する額は、当該後期高齢者医療広域連合の当該年度分の保険料に係る当該被保険者均等割額に十分の五を乗じて得た額であること。
資格を取得した月から2年を経過する月まで、均等割額が5割減額されます。逆にいえば、2年が過ぎると均等割が元に戻るため、3年目に保険料が上がります。「去年より高くなった」という相談の原因が、これであることは少なくありません。所得が増えたわけではなく、軽減期間が終わっただけ、というケースです。
生活保護を受けている場合
高確法第51条は、適用除外を定めています。
- 一 生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者
生活保護を受けている人は、そもそも後期高齢者医療の被保険者になりません。したがって保険料もかかりません。医療は生活保護の医療扶助で受けることになります。
ここは介護保険と扱いが違います。介護保険では生活保護受給者も第1号被保険者のままで、保険料は最も低い第1段階として課され、生活扶助の介護保険料加算から納付されます。医療は「対象外」、介護は「対象のまま」という非対称があります。
後期高齢者医療制度の保険料の納め方
納め方は介護保険と同じく、特別徴収(年金天引き)と普通徴収(納付書・口座振替)の2種類です。高確法第107条第1項が、特別徴収による場合を除くほか普通徴収によらなければならないと定めており、天引きが原則です。天引きの対象となる年金額の基準は年18万円で、施行令第22条に定められています。
介護保険料と合わせて年金の半分を超えると天引きが外れる
施行令第23条第1号は、特別徴収の対象としない被保険者を次のように定めています。
- 同一の月に徴収されると見込まれる後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、その月に支払われる老齢等年金給付の額の2分の1に相当する額を超える被保険者
2つの保険料の合計が年金の半分を超える場合、先に外れるのは後期高齢者医療保険料のほうです。介護保険料は天引きのまま、医療保険料だけ納付書で届く、という状態はこの規定によります。また同条第2号により、介護保険料が天引きされていない人は、後期高齢者医療保険料も天引きされません。
口座振替に変更できる
施行令第23条第3号は、口座振替により保険料を納付する旨を申し出た被保険者について、市町村が認めれば普通徴収にできると定めています。これは条文上はっきり認められた選択肢です。
保険料が高いと感じたときに確認すること
- 軽減の判定は世帯単位。世帯分離により軽減の対象になる場合があるが、他の制度(高額療養費の区分など)にも影響するため、単独で判断せず市町村に相談する
- 被扶養者だった人の均等割5割軽減は2年で終わる。3年目に上がったのは、所得が増えたからではない可能性がある
- 前年の所得で決まるため、退職や資産の売却があった翌年は高くなる。翌々年には下がる
- 災害や所得の著しい減少があった場合、広域連合の条例による減免を受けられることがある。これは申請しないと適用されない
- 年金からの天引きが負担感につながっている場合、口座振替への変更を検討する
ちびウルフ世帯分離すれば保険料が下がるって聞いたけど、やったほうがいいの?
リハウルフ下がることはありますが、勧められません。世帯の状況は、施設に入るときの食費・居住費の負担軽減や、高額介護サービス費の上限区分にも関わります。保険料だけを見て動かすと、別のところで負担が増えることがあります。介護保険と医療保険の両方を見られる人に相談してから判断してください。
よくある質問
75歳になるとき、何か手続きは必要ですか?
必要ありません。高確法第52条第1号により、75歳に達した日から自動的に資格を取得します。被保険者証は事前に郵送されます。
保険料は都道府県によってどれくらい違いますか?
均等割額も所得割率も広域連合ごとに決まるため、都道府県によって差があります。同じ都道府県内では原則として均一です(高確法第104条第2項)。金額は各広域連合の公表資料で確認してください。
夫婦2人とも75歳以上です。保険料はどうなりますか?
1人ずつかかります。均等割は被保険者1人あたりの定額なので、2人分です。ただし軽減の判定は世帯単位で行われ、被保険者数に応じて基準額が加算されるため、2人世帯のほうが軽減を受けやすくなる場合があります。
会社員の子の扶養に入っていました。保険料はどうなりますか?
被扶養者であった被保険者として、所得割がかからず、資格取得月から2年を経過する月まで均等割が5割減額されます(施行令第18条第1項第2号ただし書、第6項)。
去年より保険料が上がりました。なぜですか?
前年の所得が増えた場合のほか、被扶養者だった人の2年間の均等割軽減が終わった場合、軽減の判定に入る世帯員の所得が増えた場合などが考えられます。通知書の内訳を確認し、不明なら市町村の窓口で聞いてください。
年金天引きをやめられますか?
口座振替により納付する旨を申し出て市町村が認めれば、普通徴収に変更できます(施行令第23条第3号)。
保険料を滞納するとどうなりますか?
督促のうえ、通常の被保険者証より有効期間の短い証が交付されるなどの措置がとられることがあります。取扱いは広域連合と市町村によるため、払えない事情がある場合は早めに相談してください。
65歳ですが障害があります。加入できますか?
65歳以上75歳未満で、政令で定める程度の障害の状態にあると広域連合の認定を受けた場合は被保険者になります(高確法第50条第2号)。申請と認定が必要です。
生活保護を受けています。保険料はかかりますか?
かかりません。高確法第51条第1号により被保険者から除外されます。医療は生活保護の医療扶助で受けます。なお介護保険料は引き続きかかります。
- 後期高齢者医療制度の被保険者は75歳以上(65歳以上で一定の障害の認定を受けた人を含む)
- 75歳の誕生日当日から自動的に資格を取得し、手続きは不要
- 保険料を決めるのは市町村ではなく、都道府県ごとの広域連合
- 同じ都道府県内では原則として保険料率は均一(離島等は例外)
- 保険料は「被保険者均等割額+所得割額」で計算する
- 所得割は年金収入そのままではなく、基礎控除後の総所得金額等に所得割率を掛ける
- 基礎賦課額には政令で上限があり、年度ごとに改定される
- 所得が少ない世帯は均等割が7割・5割・2割軽減され、申請は不要
- 軽減の判定は世帯単位で、世帯主の所得も判定に入る
- 会社の健康保険の被扶養者だった人は所得割がかからない
- その人の均等割は資格取得月から2年を経過する月まで5割減額される
- 2年が終わると均等割が戻るため、3年目に保険料が上がる
- 介護保険料との合計が年金の2分の1を超えると、医療保険料が天引きから外れる
- 口座振替への変更は条文上認められており、家族の社会保険料控除につながる可能性がある
- 生活保護受給者は後期高齢者医療の適用除外だが、介護保険料はかかる
- 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)e-Gov法令検索(第50条、第51条、第52条、第104条、第107条)
- 高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成19年政令第318号)e-Gov法令検索(第18条、第22条、第23条)
- 介護保険法(平成9年法律第123号)e-Gov法令検索
- 介護保険法施行令(平成10年政令第412号)e-Gov法令検索(第38条、第41条)
※本記事の制度に関する記述は、高齢者の医療の確保に関する法律および同法施行令にもとづいて整理したものです。均等割額・所得割率・賦課限度額は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が条例で定め、年度ごとに改定されます。実際の保険料額、軽減判定の基準額、減免の要件は、お住まいの都道府県の広域連合および市町村の案内でご確認ください。制度に関する記述は2026年9月時点の内容として整理していますが、その後の改正により取扱いが変わる可能性があります。税の取扱いに関する記述は一般的な整理であり、個別の適用については税務署にご確認ください。





