老健の夜勤職員基準減算とは?

老健の夜勤職員基準減算は、所定単位数の100分の97、つまり3%の減算です。基本報酬そのものが下がるため、100床規模なら月に数十万円の影響が出ます。判定に使うのはその日の夜勤者数ではなく、暦月ごとに計算した1日平均夜勤職員数で、シフト表の人数だけを見ていると気づかないうちに割ります。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)、老企第40号の原文を確認して、減算率・必要な夜勤職員数・計算方法・見守り機器による緩和を整理しました。
この記事でわかること
- 老健の夜勤職員基準減算は3%(所定単位数の97%)だということ
- 従来型は「2以上」、ユニット型は「2ユニットごとに1以上」という基準の違い
- 見守り機器等の活用で1.6以上に緩和される要件
- 利用者等の数が40以下なら1以上でよい場合があること
- 1日平均夜勤職員数の計算式
- 夜勤時間帯は22時から翌5時を含む連続16時間だということ
- 夜勤職員配置加算(24単位)との基準の違い
- 減算が始まるタイミングと解消のタイミング
老健の夜勤職員基準減算とは?
夜勤職員基準減算は、夜勤を行う看護職員・介護職員の人数が基準に満たない場合に、基本報酬を減額する仕組みです。加算が取れなくなるのではなく、介護保健施設サービス費そのものが97%になります。
老健の夜勤に関する規定は2段構えです。まず基本報酬を満額もらうための基準があり、これを割ると3%減算。その上に、さらに手厚い配置を評価する夜勤職員配置加算(1日24単位)があります。減算を回避できていることと、加算が取れることは別の話です。
ちびウルフ夜勤を2人体制で組んでいれば、まず大丈夫ですよね。
リハウルフ人数だけならそうです。ただ判定は月単位の平均で、夜勤時間帯にかかった時間で計算します。16時間フルで入っていない日が混ざると平均が落ちます。人数ではなく時間で見る、というのがこの基準の要点です。
夜勤職員基準減算の減算率
告示第21号の介護保健施設サービスの注1の但し書きに定められています。
1 (前略)ただし、当該夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合は、所定単位数の100分の97に相当する単位数を算定する。
| 区分 | 減算後の単位数 | 実質の減算率 |
|---|---|---|
| 夜勤職員基準を満たさない場合 | 所定単位数の97% | 3%減 |
要介護3・多床室の基本報酬を仮に1日900単位とすると、27単位の減。100床が1か月満床なら約81,000単位、金額にして80万円前後の影響になります。
減算は基本報酬にかかる
「所定単位数の100分の97」なので、基本報酬に直接かかります。加算を1つ落とすのとは規模が違います。老健の減算のなかでは身体拘束廃止未実施減算(10%)に次いで重い部類です。
夜勤職員基準減算にならないための基準
基準は告示第29号の第6号にあり、第2号イの規定を準用する形で書かれています。従来型とユニット型で内容が違います。
従来型(介護保健施設サービス費)
夜勤を行う看護職員又は介護職員の数が二以上(次に掲げる要件のいずれにも適合する場合は、一・六以上)であること。ただし、指定短期入所療養介護の利用者の数及び当該介護老人保健施設の入所者の数の合計数(以下この号において「利用者等の数」という。)が四十以下の介護老人保健施設であって、常時、緊急時の連絡体制を整備しているものにあっては、一以上であること。
| 条件 | 必要な1日平均夜勤職員数 |
|---|---|
| 原則 | 2以上 |
| 見守り機器等の要件を満たす場合 | 1.6以上 |
| 利用者等の数が40以下+常時の緊急時連絡体制 | 1以上 |
ユニット型
ユニット型は考え方が変わり、「2つのユニットごとに夜勤を行う看護職員または介護職員の数が1以上」です。ユニット数で決まるため、入所者数が同じでもユニットの区切り方で必要人数が変わります。
| ユニット数 | 必要な夜勤職員数 |
|---|---|
| 2ユニット | 1以上 |
| 4ユニット | 2以上 |
| 6ユニット | 3以上 |
見守り機器等による1.6以上への緩和
従来型で2以上を1.6以上に下げるには、次の3つをすべて満たす必要があります。
- 夜勤時間帯を通じて、見守り機器を利用者の数以上設置していること
- 夜勤時間帯を通じて、夜勤を行うすべての介護職員または看護職員が情報通信機器を使用し、職員同士の連携促進が図られていること
- 見守り機器等を活用する際の安全体制・ケアの質の確保・職員の負担軽減に関する5つの事項を実施し、かつ委員会において介護職員・看護職員その他の職種と共同して必要な検討等を行い、実施を定期的に確認していること
3つ目の「5つの事項」は次のとおりです。
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| (1) | 夜勤職員による居室への訪問を個別に必要とする利用者への訪問と、適切なケア等による利用者の安全およびケアの質の確保 |
| (2) | 夜勤を行う職員の負担の軽減および勤務状況への配慮 |
| (3) | 夜勤時間帯における緊急時の体制整備 |
| (4) | 見守り機器等の定期的な点検 |
| (5) | 見守り機器等を安全かつ有効に活用するための職員研修 |
見守り機器は「利用者の数以上」
一部の居室に設置しただけでは足りません。利用者の数以上の設置が要件です。100床なら100台以上。加えて夜勤者全員がインカム等の情報通信機器を使っていることも求められます。緩和とはいえ、ハードルは低くありません。
1日平均夜勤職員数の計算方法
老企第40号 8の(13)①が準用する3の(2)に、計算式が示されています。
夜勤を行う職員の数は、一日平均夜勤職員数とする。一日平均夜勤職員数は、暦月ごとに夜勤時間帯(午後十時から翌日の午前五時までの時間を含めた連続する一六時間をいう。)における延夜勤時間数を、当該月の日数に一六を乗じて得た数で除することによって算定し、小数点第三位以下は切り捨てるものとする。
計算式
1日平均夜勤職員数 = その月の夜勤時間帯における延夜勤時間数 ÷(当月の日数 × 16)
※小数点第3位以下は切り捨て
計算例
従来型で毎晩2人、16時間ずつ配置した30日の月。
- 延夜勤時間数=2人 × 16時間 × 30日 = 960時間
- 分母=30日 × 16 = 480
- 1日平均夜勤職員数=960 ÷ 480 = 2.00 → 基準(2以上)を満たす
ここで、月に5日だけ1人が8時間しか夜勤時間帯にかからなかったとします。
- 延夜勤時間数=960 −(8時間 × 5日)= 920時間
- 1日平均夜勤職員数=920 ÷ 480 = 1.916… → 切り捨てて1.91
2を割るため、その月は減算になります。シフト表上は毎晩2人体制でも、時間で計算すると足りないという典型例です。
ちびウルフこれは怖いですね。どう管理すればいいですか。
リハウルフ月末に計算するのでは遅いので、月の途中で一度は集計してください。それと夜勤時間帯をどの16時間に設定しているかを全員が共有していないと、そもそも延夜勤時間数を数えられません。
夜勤時間帯の設定
夜勤時間帯は「22時から翌5時までを含む連続16時間」です。この7時間を含んでいれば、施設で設定できます。17時〜翌9時、16時〜翌8時などが一般的です。この16時間の外側の勤務時間は、延夜勤時間数に算入されません。
夜勤職員基準減算の注意点
夜勤職員配置加算とは基準が別
| 区分 | 根拠 | 必要な1日平均夜勤職員数の目安 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 基本報酬の夜勤職員基準 | 告示第29号 第6号イ・ロ | 2以上(緩和で1.6以上) | 満たさないと97% |
| 夜勤職員配置加算 | 告示第29号 第6号ハ | 41人以上なら20人ごとに1以上かつ2超 | 1日24単位を加算 |
同じ告示の中で条文が分かれています。減算を回避できているだけでは、加算は取れません。
看護職員・介護職員のどちらでも数える
告示は「夜勤を行う看護職員又は介護職員の数」としており、職種の内訳は問われません。ただし介護保健施設サービス費(Ⅱ)(Ⅲ)を算定する転換老健には、看護職員の数に関する追加の規定があります。
ショートステイの利用者も分母に含める
「利用者等の数」は、短期入所療養介護の利用者の数と老健の入所者の数の合計です。空床利用型のショートステイを行っている施設は、その分を含めて数えます。
減算は月単位で判定される
1日平均夜勤職員数は暦月ごとに算定します。1日でも基準を割った日があると即減算、という仕組みではありません。逆に、月全体の平均で足りなければ、個々の日が2人体制であっても減算になります。
夜勤職員基準減算のQ&A
1日だけ基準を割ったら減算になりますか?
なりません。判定は暦月ごとの1日平均夜勤職員数で行います。ただし月全体の平均が基準を下回れば、その月は減算です。
小数点はどう処理しますか?
小数点第3位以下を切り捨てます。1.999は1.99となり、2以上が必要な場合は基準を満たしません。
ユニット型の基準は何ですか?
2つのユニットごとに夜勤を行う看護職員または介護職員が1以上です。従来型の「2以上」とは考え方が異なります。
見守り機器は何台必要ですか?
利用者の数以上です。加えて夜勤者全員が情報通信機器を使用していること、委員会での検討と定期確認が必要です。
40人以下なら1人でよいのですか?
利用者等の数が40以下で、かつ常時、緊急時の連絡体制を整備している場合に1以上でよいとされています。連絡体制がなければ2以上が必要です。
夜勤時間帯はいつに設定すればよいですか?
22時から翌5時までを含む連続16時間であれば、施設で設定できます。設定した枠を基準に延夜勤時間数を計算します。
ショートステイの利用者は数に含めますか?
含めます。「利用者等の数」は短期入所療養介護の利用者の数と入所者の数の合計です。
減算中でも加算は算定できますか?
加算ごとに要件が異なります。ただし夜勤職員配置加算は、より高い基準を満たす必要があるため、減算に該当している状況では算定できません。
宿直職員は夜勤に含まれますか?
夜勤と宿直は別の勤務形態です。夜勤職員として算入できるかは勤務の実態によるため、指定権者に確認してください。
まとめ
- 老健の夜勤職員基準減算は所定単位数の97%(3%減)
- 加算が取れなくなるのではなく、基本報酬そのものが下がる
- 従来型の基準は1日平均夜勤職員数が2以上
- 見守り機器等の要件を満たせば1.6以上に緩和される
- 利用者等の数が40以下かつ常時の緊急時連絡体制があれば1以上でよい
- ユニット型は2つのユニットごとに1以上
- 見守り機器は利用者の数以上の設置が必要
- 夜勤者全員が情報通信機器を使用していることも要件
- 委員会で5つの事項を検討し、実施を定期的に確認する
- 判定は1日平均夜勤職員数(延夜勤時間数÷当月の日数×16)
- 夜勤時間帯は22時から翌5時を含む連続16時間
- 枠外の勤務時間は延夜勤時間数に算入されない
- 小数点第3位以下は切り捨て
- ショートステイの利用者も「利用者等の数」に含める
- 夜勤職員配置加算(1日24単位)の基準はこれより高く、別の条文に定められている
参考にした情報
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護保健施設サービス 注1
- 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)第6号・第2号
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準等に関する留意事項について(老企第40号)3の(2)、8の(13)
※本記事の減算率・基準は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。





