ショートステイ(短期入所生活介護)のサービス提供体制強化加算は、(Ⅰ)22単位・(Ⅱ)18単位・(Ⅲ)6単位です。1日につき算定します。

他サービスと比べて、介護福祉士の割合の要件が明らかに厳しいのが特徴です。(Ⅰ)で80%以上、(Ⅱ)で60%以上。小規模多機能型居宅介護の(Ⅰ)70%・(Ⅱ)50%より10ポイント高い水準です。一方で(Ⅲ)には常勤職員75%以上・勤続7年以上30%以上という別ルートがあり、介護福祉士の割合で届かない事業所にも道が残されています。

この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費のチと、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第38号の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)22単位・(Ⅱ)18単位・(Ⅲ)6単位
  • (Ⅰ)は介護福祉士80%以上または勤続10年以上35%以上
  • (Ⅱ)は介護福祉士60%以上
  • (Ⅲ)は3つのルートがあること
  • 併設型は本体特養の介護職員で判定すること
  • (Ⅲ)の常勤職員75%は看護・介護職員が母数であること
  • 処遇改善加算(Ⅰ)の要件になっていること
  • 他サービスより要件が厳しい理由
ちびウルフちびウルフ

介護福祉士80%って、かなり高いですよね。取れる事業所はあるんですか?

リハウルフリハウルフ

(Ⅰ)は簡単ではありません。ただ併設型なら母数は本体特養の介護職員です。特養は介護福祉士の比率が高い職場なので、単独型のショートステイより届きやすい。それに(Ⅰ)にはもう1つ、勤続10年以上の介護福祉士35%以上というルートもあります。

ショートステイのサービス提供体制強化加算とは?

短期入所生活介護のサービス提供体制強化加算は、質の高い人材を確保している事業所を評価する加算です。告示19号 短期入所生活介護費のチに規定されています。

ショートステイは、初めて利用する方も、認知症のある方も、医療的な配慮が必要な方も受け入れます。短い期間で状態を把握し、環境の変化に伴うリスクを予測して動く必要があります。これは経験と資格に支えられる仕事です。

この加算は、資格を持つ職員の割合、勤続年数、常勤職員の比率という3つの角度から人材の厚みを測り、報酬で評価します。人材確保と定着を促す仕組みです。

令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。

サービス提供体制強化加算の単位数

チ サービス提供体制強化加算
注 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(略)届出を行った指定短期入所生活介護事業所が、利用者に対し、指定短期入所生活介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1日につき次に掲げる所定単位数を加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
(1) サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 22単位
(2) サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 18単位
(3) サービス提供体制強化加算(Ⅲ) 6単位

区分単位数算定頻度30日利用の場合
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)22単位1日につき660単位
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)18単位1日につき540単位
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)6単位1日につき180単位

3区分の併算定はできません。(Ⅰ)と(Ⅲ)の差は16単位。延べ600人日の月なら9,600単位の差になります。

サービス提供体制強化加算の算定要件

告示95号 第38号が定める要件です。すべての区分に共通して、通所介護費等算定方法第3号に規定する基準のいずれにも該当しないこと(定員超過利用・人員基準欠如でないこと)が必要です。

(Ⅰ)22単位

要件内容
(1)次のいずれかに適合すること
(一) 介護職員の総数のうち介護福祉士が80%以上
(二) 介護職員の総数のうち勤続年数10年以上の介護福祉士が35%以上
(2)定員超過利用・人員基準欠如に該当しないこと

(Ⅱ)18単位

要件内容
(1)介護職員の総数のうち介護福祉士が60%以上であること
(2)定員超過利用・人員基準欠如に該当しないこと

(Ⅲ)6単位=3つのルート

ルート要件母数
(一)介護福祉士が50%以上介護職員の総数
(二)常勤職員が75%以上看護師・准看護師または介護職員(看護・介護職員)の総数
(三)勤続年数7年以上の者が30%以上指定短期入所生活介護を利用者に直接提供する職員の総数

3つのルートで母数がすべて違います。(一)は介護職員、(二)は看護・介護職員、(三)は直接提供する職員。1つのルートで届かなくても、母数の違う別のルートで届くことがあります。3つとも計算してください。

併設型は本体特養の介護職員で判定する

第38号には重要なかっこ書きが繰り返し出てきます。

指定短期入所生活介護事業所の介護職員(当該指定短期入所生活介護事業所が指定居宅サービス等基準第121条第2項の規定の適用を受ける特別養護老人ホームである場合にあっては、当該特別養護老人ホームの介護職員。以下同じ。)の総数のうち……

事業所の形態母数となる職員
単独型ショートステイ事業所の介護職員
特別養護老人ホームが行う場合(第121条第2項)当該特別養護老人ホームの介護職員

特養がショートステイを行っている場合、ショートステイ専任の職員だけでなく、特養全体の介護職員で割合を計算します。

担当したケースでも、併設型のショートステイで「うちは介護福祉士が少ないから」と算定していない事業所がありました。本体特養の介護職員を母数に入れて計算し直したら、(Ⅱ)の60%を超えていました。母数の取り方を確認せずに諦めている事業所は少なくないと思います。

(Ⅲ)(三)の母数も同様

(三)の「直接提供する職員」も、特養である場合は「当該特別養護老人ホームの入所者に対して介護福祉施設サービスを直接提供する職員」と読み替えられます。

他サービスとの比較

サービス(Ⅰ)の介護福祉士割合(Ⅱ)の介護福祉士割合(Ⅲ)
ショートステイ80%以上60%以上50%以上ほか3ルート
看多機70%以上50%以上40%以上ほか3ルート
小多機70%以上50%以上

ショートステイは他サービスより10ポイント高い水準が設定されています。

これは母数の違いによるものと読めます。看多機や小多機は「看護職を除いた従業者」が母数ですが、ショートステイは「介護職員」が母数です。もともと介護福祉士の比率が高くなりやすい母集団に対して、高めの基準が置かれている構造です。

処遇改善加算との連動

処遇改善加算の区分加算率サービス提供体制強化加算との関係
介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ16.3%要件(10)(一)にサービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出が含まれる
介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)ロ17.6%同上

処遇改善加算の(Ⅰ)に上がるには、原則としてサービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出が必要です。(Ⅲ)6単位では要件を満たしません。

ショートステイには「もう1つのルート」がある

ただし、告示95号 第39号 イ(10)には(二)という別ルートが用意されています。

(10)(二)=本体施設の届出で代替できる

事業所が第121条第2項の適用を受ける特別養護老人ホームである場合は当該特養が、併設事業所である場合は併設本体施設(病院・診療所を除く)が、介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イまたはロを届け出ていること。

本体施設が処遇改善加算(Ⅰ)を届け出ていれば、ショートステイ側でサービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)を取れなくても、処遇改善加算(Ⅰ)を算定できます。

これは看多機や小多機にはないルートです。併設型のショートステイは、本体施設の体制を利用できる分だけ有利な位置にあります。

サービス提供体制強化加算の注意点

3つのルートをすべて計算する

(Ⅰ)は2ルート、(Ⅲ)は3ルートあります。1つのルートで届かなくても、他のルートで届くことがあります。とくに(Ⅲ)は母数が3つとも違うため、必ず全部計算してください。

勤続年数の数え方

(Ⅰ)の(二)は「勤続年数10年以上の介護福祉士」、(Ⅲ)の(三)は「勤続年数7年以上の者」です。同一法人内の他事業所での勤続を通算できるかなど、数え方は告示に定めがありません。指定権者の取扱いを確認してください。

割合の算定時期

割合をいつの時点で判定するのか、常勤換算で数えるのか実人数かも告示本文には書かれていません。留意事項通知および指定権者の取扱いによります。

定員超過・人員基準欠如でないこと

すべての区分に共通する要件です。介護福祉士の割合を満たしていても、定員超過や人員基準欠如があれば算定できません。

算定前に確認したいこと
  • 都道府県知事等への届出を済ませているか
  • 併設型なら本体特養の介護職員を母数に入れて計算したか
  • (Ⅰ)は勤続10年以上の介護福祉士35%以上のルートも検討したか
  • (Ⅲ)は3つのルートをすべて計算したか
  • 定員超過利用・人員基準欠如に該当していないか
  • 処遇改善加算(Ⅰ)を目指すなら、本体施設の届出ルートも確認したか

よくある質問

ショートステイのサービス提供体制強化加算はいくらですか?

(Ⅰ)22単位、(Ⅱ)18単位、(Ⅲ)6単位です。いずれも1日につき算定します。

(Ⅰ)の要件は何ですか?

介護職員の総数のうち介護福祉士が80%以上、または勤続年数10年以上の介護福祉士が35%以上であることです。あわせて定員超過利用・人員基準欠如に該当しないことが必要です。

(Ⅱ)の要件は?

介護職員の総数のうち介護福祉士が60%以上であることです。

(Ⅲ)の要件は?

介護福祉士50%以上、看護・介護職員の常勤職員75%以上、直接提供する職員の勤続7年以上30%以上のいずれかです。

(Ⅲ)の3つは母数が同じですか?

違います。介護職員・看護介護職員・直接提供する職員と、それぞれ母数が異なります。必ず3つとも計算してください。

併設型はどの職員で計算しますか?

特別養護老人ホームが行う場合は、当該特別養護老人ホームの介護職員が母数になります。

他サービスより要件が厳しいのはなぜですか?

母数の取り方が異なるためと読めます。看多機や小多機は看護職を除いた従業者が母数ですが、ショートステイは介護職員が母数です。

3区分は併算定できますか?

できません。いずれかを算定している場合はその他を算定できません。

処遇改善加算とどう関係しますか?

処遇改善加算(Ⅰ)イ・ロの要件(10)(一)に、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出が含まれています。(Ⅲ)では満たしません。

(Ⅲ)でも処遇改善加算(Ⅰ)を取る方法はありますか?

あります。要件(10)(二)により、本体の特別養護老人ホームまたは併設本体施設が処遇改善加算(Ⅰ)イ・ロを届け出ていれば要件を満たします。

勤続年数は他事業所の分も通算できますか?

告示に定めはありません。指定権者の取扱いを確認してください。

定員超過があると算定できませんか?

できません。すべての区分に共通する要件です。

まとめ
  • ショートステイのサービス提供体制強化加算は(Ⅰ)22単位・(Ⅱ)18単位・(Ⅲ)6単位(1日につき)
  • 3区分の併算定はできない
  • (Ⅰ)は介護福祉士80%以上、または勤続10年以上の介護福祉士35%以上
  • (Ⅱ)は介護福祉士60%以上
  • (Ⅲ)は介護福祉士50%以上・常勤職員75%以上・勤続7年以上30%以上の3ルート
  • (Ⅲ)の3ルートは母数がすべて異なるため、必ず全部計算する
  • 特別養護老人ホームが行う場合は、本体特養の介護職員が母数になる
  • 併設型で「介護福祉士が少ない」と諦める前に母数の取り方を確認する
  • 介護福祉士の割合はショートステイが他サービスより10ポイント高い
  • これは母数が「介護職員」であることによる違いと読める
  • すべての区分で定員超過利用・人員基準欠如でないことが必要
  • 処遇改善加算(Ⅰ)の要件に(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出が含まれる
  • 本体施設が処遇改善加算(Ⅰ)を届け出ていれば代替できるルートがある
  • このルートは看多機・小多機にはないショートステイ固有のもの
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに介護福祉士・常勤職員・勤続年数の割合を判定する時期と方法(常勤換算か実人数か)、勤続年数の通算の可否、「直接提供する職員」の範囲については告示本文に明記がなく、留意事項通知および指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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