機能訓練体制加算とは?ショートステイ12単位と専従常勤要件を解説

短期入所生活介護(ショートステイ)の機能訓練体制加算は、1日につき12単位です。届出をすれば事業所の全利用者に算定できる体制加算なので、実際に訓練を提供したかどうかは問われません。
その代わり、配置要件は厳格です。併設の通所介護事業所の機能訓練指導員を兼務している人は、たとえ常勤であっても要件を満たしません。これは老企第40号が名指しで書いている取扱いで、デイサービスを併設している事業所がいちばん引っかかるポイントです。
ただし、利用者数が100人を超える場合には兼務を認める例外があり、通知はその計算例まで示しています。この例外を知っているかどうかで、大規模な特養併設事業所の取り扱いは変わります。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注9・注20、老企第40号 第二の2(11)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 機能訓練体制加算の単位数(12単位/日)と、全利用者に算定できること
- 「専ら従事する常勤の理学療法士等を1名以上」という配置要件
- 機能訓練指導員になれる資格8種類と、はり師・きゅう師の追加要件
- 併設デイの機能訓練指導員との兼務が認められない理由
- 利用者100人超の場合に兼務が認められる例外と、その計算例
- 利用者数に本体施設の入所者数を合算すること
- 空床利用型は特養の届出で足りるという特例
- 個別機能訓練加算(56単位)との違いと、併算定の可否
- 要支援(介護予防短期入所生活介護)でも12単位で算定できること
機能訓練体制加算は12単位。全利用者に算定できる
告示19号の注9は、要点だけを抜き出すと次のような構造です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1日につき12単位 |
| 対象 | 届出を行った事業所の全利用者 |
| 基本の配置要件 | 専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士等を1名以上 |
| 利用者100人超の場合 | 上記に加え、理学療法士等である従業者を機能訓練指導員として常勤換算で利用者数÷100以上配置 |
| 届出 | 必要 |
この加算は体制を評価する加算です。個々の利用者に訓練を行ったかどうかは要件になっていません。定員20人の事業所が満床で30日稼働すれば、12単位×20人×30日で月7,200単位になります。
ショートステイには、機能訓練体制加算(12単位)と個別機能訓練加算(56単位)の2つがあります。
機能訓練体制加算=配置を評価(全利用者)/個別機能訓練加算=計画に基づく訓練の実施を評価(訓練を受けた利用者のみ)という違いです。告示上、両者に併算定を禁じる規定はなく、要件を満たせば重ねて算定できます。
機能訓練指導員になれるのは8種類の資格
注9が挙げる「理学療法士等」は、次のとおりです。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 看護職員
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師(条件付き)
- きゅう師(条件付き)
はり師・きゅう師だけは追加の条件があります。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で、6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限るとされています。
単独で配置できる資格ではなく、他資格の機能訓練指導員のもとで6か月の経験を積んでいることが前提です。
いちばんの関門は「専従・常勤」。併設デイとの兼務は不可
老企第40号 第二の2(11)は、この加算の核心を明確に書いています。
注9の機能訓練指導員に係る加算については、専ら当該業務に従事する常勤の機能訓練指導員が配置されることがその要件であることから、併設の通所介護事業所の機能訓練指導員を兼務している者については、たとえ常勤の職員であったとしても加算の算定要件は満たさないことに留意すること。
要件は「専従」かつ「常勤」の2つです。常勤職員であることだけでは足りず、その業務に専ら従事していなければなりません。
| 配置の形 | 算定 |
|---|---|
| 常勤の作業療法士が、ショート専従で勤務 | ○ |
| 常勤の作業療法士が、午前は併設デイ・午後はショートを担当 | ×(専従でない) |
| 非常勤の理学療法士が、ショート専従で勤務 | ×(常勤でない) |
| 看護職員が、看護業務と機能訓練指導員を兼務 | ×(専従でない) |
ちびウルフうちのデイとショート、同じ理学療法士さんが見てるんですけど、それだと取れないんですね……。
リハウルフ原則はそうです。ただし利用者数が100人を超える場合には、通知が明確に例外を認めています。次の項目で計算例まで紹介します。
筆者自身、訪問リハが主戦場ですが、併設施設の配置相談を受けることはあります。この加算は「誰を専従に置くか」を決める設計の話で、後から兼務表を作り直しても間に合いません。人員配置を組む段階で押さえておく項目です。
利用者100人超なら兼務が認められる。通知の計算例
注9のただし書きは、利用者数が100を超える事業所について、次の2つを求めています。
- 専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士等を1名以上配置していること
- かつ、理学療法士等である従業者を機能訓練指導員として常勤換算方法で利用者の数を100で除した数以上配置していること
ここでいう「利用者の数」の数え方が重要です。空床利用型・併設事業所の場合は、ショートステイの利用者数に加えて、本体施設(特別養護老人ホーム等)の入所者数を合算します。
老企第40号(11)のただし書きは、この場合に他の機能訓練指導員の兼務を認め、具体例を挙げています。
例えば、入所者数100人の指定介護老人福祉施設に併設される利用者数20人の短期入所生活介護事業所において、2人の常勤の機能訓練指導員がいて、そのうちの1人が指定介護老人福祉施設及び指定短期入所生活介護事業所の常勤専従の機能訓練指導員である場合であっては、もう1人の機能訓練指導員は、勤務時間の5分の1だけ指定介護老人福祉施設及び短期入所生活介護事業所の機能訓練指導員の業務に従事し、その他の時間は併設の通所介護事業所の機能訓練指導員の業務に従事するときは、通所介護、短期入所生活介護及び介護福祉施設サービスの機能訓練指導員に係る加算の全てが算定可能となる。
数字を追うと次のようになります。
- 利用者数を数える
特養の入所者100人+ショートの利用者20人=120人。100人を超えるので、ただし書きの適用対象になる。 - 必要な常勤換算数を出す
120÷100=1.2。常勤換算1.2以上が必要。 - 1人目は専従常勤
特養およびショートの常勤専従として1.0を確保。 - 2人目で残りを埋める
勤務時間の5分の1(=0.2)を特養・ショートの機能訓練指導員業務に充てれば、1.0+0.2=1.2で基準を満たす。残り5分の4は併設デイの機能訓練指導員として従事してよい。
この例では、通所介護・短期入所生活介護・介護福祉施設サービスの機能訓練指導員に係る加算のすべてが算定可能と通知が明言しています。
「1人目は完全に専従で固める、2人目で兼務のやりくりをする」というのが設計の型です。逆に、2人とも中途半端に兼務させると、どのサービスでも要件を満たさなくなります。
空床利用型は特養の届出で足りる
告示19号の注20には、届出についての特例があります。
指定居宅サービス基準第121条第2項の規定の適用を受ける指定短期入所生活介護事業所に係る注9の規定による届出については、指定施設サービス等介護給付費単位数表の規定により、注9の規定による届出に相当する介護福祉施設サービスに係る届出があったときは、注9の規定による届出があったものとみなす。
第121条第2項の適用を受ける事業所とは、特別養護老人ホームの空床を利用してショートステイを行う事業所のことです。この場合、特養側で相当する届出をしていれば、ショートステイについてあらためて注9の届出を出す必要はありません。
逆にいえば、併設事業所(別に指定を受けているタイプ)は、この特例の対象外です。空床利用型か併設型かで届出の要否が変わるので、自事業所がどちらに当たるかを確認してください。
個別機能訓練加算(56単位)との違い
ショートステイの機能訓練に関する加算を並べると、次のようになります。
| 加算 | 単位数 | 評価しているもの | 算定対象 |
|---|---|---|---|
| 機能訓練体制加算 | 12単位/日 | 専従常勤の機能訓練指導員の配置 | 全利用者 |
| 個別機能訓練加算 | 56単位/日 | 個別機能訓練計画に基づく訓練の実施 | 訓練を受けた利用者 |
| 生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100単位/月(3月に1回を限度) | 外部リハ職の助言に基づく計画作成 | 対象利用者 |
| 生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200単位/月 | 外部リハ職が訪問して共同で計画作成等 | 対象利用者 |
個別機能訓練加算には、機能訓練体制加算にはない実施要件があります。老企第40号(12)②は、1週間のうち特定の曜日だけ理学療法士等を配置している場合、その曜日に直接訓練の提供を受けた利用者のみが算定対象としています。しかも配置する曜日をあらかじめ定め、利用者や居宅介護支援事業者に周知しておく必要があります。
また同③は、短期入所生活介護計画のなかに個別機能訓練計画に相当する内容を記載すれば、その記載をもって個別機能訓練計画の作成に代えられるとしています。書類を二重に作る必要はありません。
なお、生活機能向上連携加算については、注8に「注10(個別機能訓練加算)を算定している場合、(Ⅰ)は算定せず、(Ⅱ)は1月につき100単位を加算する」という調整規定があります。機能訓練まわりの加算を重ねる場合は、この関係も確認してください。
要支援(介護予防短期入所生活介護)でも12単位
介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第127号にも、同じ12単位の機能訓練体制加算が設けられています。配置要件も「専従・常勤の理学療法士等1名以上」「利用者100人超の場合は常勤換算で利用者数÷100以上」と、介護給付と同じ構造です。
要支援の利用者についても、届出をしていれば12単位を算定できます。
機能訓練体制加算はいくらですか?
1日につき12単位です。届出を行った事業所の全利用者に算定できます。個々の利用者に訓練を行ったかどうかは要件ではありません。
誰を配置すればよいですか?
専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のいずれかを1名以上です。はり師・きゅう師は、他資格の機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上の従事経験が必要です。
非常勤でも算定できますか?
できません。要件は「常勤」かつ「専従」です。どちらか一方だけでは満たしません。
併設デイの機能訓練指導員と兼務していますが算定できますか?
原則できません。通知は「併設の通所介護事業所の機能訓練指導員を兼務している者については、たとえ常勤の職員であったとしても加算の算定要件は満たさない」と明記しています。ただし利用者100人超の場合には例外があります。
利用者100人超の場合の例外とは何ですか?
専従常勤の理学療法士等を1名以上配置し、かつ理学療法士等を常勤換算で「利用者数÷100」以上配置していれば、その他の機能訓練指導員は併設デイとの兼務が認められます。
利用者数はショートの利用者だけを数えるのですか?
違います。特養の空床利用型や併設事業所の場合は、本体施設の入所者数を合算します。特養100人+ショート20人なら120人として扱います。
空床利用型でも届出は必要ですか?
注20により、特養側で相当する届出が行われていれば、ショートステイについて注9の届出があったものとみなされます。別に指定を受けている併設事業所は、この特例の対象外です。
個別機能訓練加算と両方算定できますか?
告示に併算定を禁じる規定はなく、それぞれの要件を満たせば重ねて算定できます。機能訓練体制加算は配置、個別機能訓練加算は計画に基づく訓練の実施を評価しています。
個別機能訓練計画は別に作る必要がありますか?
短期入所生活介護計画のなかに個別機能訓練計画に相当する内容を記載する場合は、その記載をもって作成に代えることができるとされています。
要支援でも算定できますか?
できます。介護予防短期入所生活介護にも同じ12単位の機能訓練体制加算があり、配置要件も同じ構造です。
- 機能訓練体制加算は1日12単位で、届出をすれば全利用者に算定できる
- 訓練の実施ではなく、機能訓練指導員の配置を評価する体制加算
- 要件は「専ら従事する常勤の理学療法士等を1名以上」
- 資格は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師
- はり師・きゅう師は他資格の機能訓練指導員のもとで6月以上の経験が必要
- 常勤であっても、併設デイの機能訓練指導員と兼務していれば要件を満たさない
- 非常勤の専従も要件を満たさない
- 利用者100人超の場合は、専従常勤1名+常勤換算「利用者数÷100」以上で兼務が認められる
- 利用者数には本体施設(特養等)の入所者数を合算する
- 通知は特養100人+ショート20人=120人、必要1.2という計算例を示している
- 1人目を完全に専従で固め、2人目で兼務のやりくりをするのが設計の型
- この形なら通所介護・短期入所生活介護・介護福祉施設サービスの加算すべてが算定可能
- 空床利用型は、特養側の届出があれば注9の届出があったものとみなされる
- 別に指定を受けている併設事業所は、この届出特例の対象外
- 個別機能訓練加算56単位とは別の加算で、併算定できる
- 個別機能訓練加算は、配置した曜日に直接訓練を受けた利用者のみが対象
- 個別機能訓練計画は、短期入所生活介護計画への記載で代えられる
- 生活機能向上連携加算には、個別機能訓練加算算定時の調整規定がある
- 要支援(介護予防短期入所生活介護)でも12単位で算定できる
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「短期入所生活介護費」注8・注9・注10・注20(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日老企第40号)第二の2(11)機能訓練指導員の加算について、(12)個別機能訓練加算について(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第36号(短期入所生活介護費における個別機能訓練加算の基準)、第34号の5(生活機能向上連携加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)介護予防短期入所生活介護費 注9(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。専従・兼務の判断、常勤換算の端数処理、届出特例の適用範囲は、都道府県・指定都市によって取扱いが異なる場合があります。本文中の常勤換算の計算は通知の例示に沿った試算です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。人員配置の組み立て方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




