通所介護のサービス提供体制強化加算とは?単位数・算定要件を解説

通所介護のサービス提供体制強化加算は、(Ⅰ)22単位/回、(Ⅱ)18単位/回、(Ⅲ)6単位/回の3区分。令和6年度改定では、通所介護のこの加算に変更はありません。ただし、介護職員等処遇改善加算の上位区分を狙うなら避けて通れない加算になっています。
この記事では、理学療法士・介護支援専門員として現場に関わってきた立場から、通所介護のサービス提供体制強化加算の単位数と算定要件を、告示・留意事項通知(老企第36号)の記載に沿って整理します。割合の数え方でつまずきやすい点まで押さえます。
- 3区分(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の単位数と、それぞれの要件
- (Ⅰ)と(Ⅲ)にある「または」の選択肢の中身
- 全区分に共通する「定員超過・人員基準欠如でないこと」
- 割合の計算方法(常勤換算・前年度の平均・前3月の扱い)
- 「介護職員の総数」と「直接提供する職員の総数」の違い
- 資格取得日・勤続年数の起算日(前月の末日時点)
- 勤続年数に他事業所の勤務年数を通算できる条件
- 介護職員等処遇改善加算との関係(キャリアパス要件Ⅴ)
通所介護のサービス提供体制強化加算とは
サービス提供体制強化加算は、介護福祉士の割合や職員の勤続年数といった「人の手厚さ・定着」を評価する加算です。何かのケアを実施した対価ではなく、体制そのものへの評価なので、要件を満たしていれば、その事業所を利用する全利用者に算定できます。
単位は「1回につき」で設定されています。通所介護は1日1回の利用が基本なので、実質的には利用日ごとの加算です。
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 22単位/回 |
|---|---|
| サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 18単位/回 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅲ) | 6単位/回 |
(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は択一で、上位区分だけを算定します。重ねて算定することはできません。
サービス提供体制強化加算の区分ごとの算定要件
要件は「介護福祉士の割合」を軸に組まれていますが、(Ⅰ)と(Ⅲ)には勤続年数による別ルートが用意されています。どちらか一方を満たせば足ります。
(Ⅰ)22単位/回
- 介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が100分の70以上
- または、介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が100分の25以上
介護福祉士70%は、かなり手厚い水準です。一方の「勤続10年以上の介護福祉士25%」は、開設から年数が経っていて職員の定着が良い事業所なら、介護福祉士の総数が70%に届かなくても手が届くルートです。両方を計算してみる価値があります。
(Ⅱ)18単位/回
- 介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が100分の50以上
(Ⅱ)には勤続年数の選択肢がありません。介護福祉士50%の一本道です。
(Ⅲ)6単位/回
- 介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が100分の40以上
- または、指定通所介護を利用者に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が100分の30以上
全区分に共通する要件
どの区分でも、通所介護費等算定方法(平成12年厚生省告示第27号)第1号に規定する基準のいずれにも該当しないことが要件です。かみ砕くと、定員超過利用や人員基準欠如による減算の状態にないことを指します。
ちびウルフ会議とか研修計画とかは要らないの? 訪問系だと要件になってた気がする
リハウルフそこはサービス種別で違うところです。訪問介護や訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算には、研修計画の策定・定期的な会議の開催・健康診断の実施が要件に入っています。通所介護の留意事項通知は、割合の算出方法と勤続年数の考え方の部分だけを準用していて、研修・会議・健康診断は準用していません。他サービスの解説記事をそのまま持ち込むと、要らない準備をすることになります。
割合の計算方法
数字の作り方は通知で決まっています。ここを自己流でやると、届出後の返還につながります。
| 算出方法 | 常勤換算方法 |
|---|---|
| 原則の対象期間 | 前年度(3月を除く)の平均 |
| 前年度の実績が6月未満の場合 | 届出日の属する月の前3月の平均 |
| 新規開設・再開の場合 | 4月目以降に届出が可能 |
| 資格の判定時点 | 各月の前月の末日時点で資格を取得していること |
| 勤続年数の判定時点 | 各月の前月の末日時点における勤続年数 |
前年度の対象期間から3月が除かれているのは見落としやすい点です。4月から翌年2月までの11か月で平均を出します。
勤続年数は他事業所の分を通算できる
勤続年数の算定では、その事業所での勤務年数に加えて、同一法人等の経営する他の介護サービス事業所、病院、社会福祉施設等において、サービスを利用者に直接提供する職員として勤務した年数を含めることができます。
法人内で異動してきた職員の年数がリセットされないということです。複数事業所を持つ法人では、この通算を拾えるかどうかで(Ⅰ)や(Ⅲ)の成否が変わります。人事記録を先に整理しておく価値があります。
「介護職員」と「直接提供する職員」の線引き
留意事項通知では、通所介護における「利用者に直接提供する職員」を次のように定めています。
つまり、管理者や送迎専従の運転手、調理員、事務員はここに入りません(他の職種と兼務している場合の扱いは、その勤務実態によります)。
| 介護職員の総数(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの介護福祉士割合) | 介護職員のみ |
|---|---|
| 直接提供する職員の総数(Ⅲの勤続7年ルート) | 生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員 |
リハウルフ機能訓練指導員として入っている理学療法士や看護師は、介護福祉士割合の母数(介護職員の総数)には入りません。リハ職を厚く配置している事業所ほど、介護職員の母数が小さくなって割合が動きやすいという構造があります。1人の増減で数%動くので、常勤換算の小数まで丁寧に出してください。
算定でつまずきやすいポイント
常勤換算であって、頭数ではない
「介護福祉士が5人いるから50%」という数え方はできません。常勤換算方法で算出した数値で判定します。週2日だけのパート介護福祉士は、常勤換算では0.4程度にしかなりません。頭数で満たしていても、常勤換算で割ると落ちるケースは珍しくありません。
資格取得は「前月の末日時点」
介護福祉士や実務者研修修了者などは、各月の前月の末日時点で資格を取得している、または研修の課程を修了している者として数えます。合格発表や登録のタイミングによっては、思っていた月から数えられないことがあります。
区分は上位ひとつだけ
(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は択一です。(Ⅰ)の要件を満たしていれば(Ⅱ)(Ⅲ)の要件も満たしていますが、算定するのは(Ⅰ)だけ。要件を満たしているのに下位区分のまま届出を放置しているのは、実務でときどき見かけるもったいないパターンです。
介護予防・日常生活支援総合事業の第1号通所事業は別枠
この加算は通所介護費の加算です。総合事業の第1号通所事業については、市町村が定める報酬体系によります。国の基準に準じている自治体が多いものの、単位数や要件が同じとは限らないため、市町村の実施要綱を確認してください。
介護職員等処遇改善加算との関係
令和6年6月から一本化された介護職員等処遇改善加算では、上位区分の算定にキャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)が求められます。通所介護の場合、この要件はサービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定していることで満たすという整理がされています。
つまり、サービス提供体制強化加算そのものの22単位・18単位に加えて、処遇改善加算の加算率が一段上がる分まで含めて損得を考える必要があるということです。(Ⅲ)から(Ⅱ)に上げる価値は、6単位と18単位の差額だけでは測れません。
どのくらいの増収になるか
1単位10円の地域で、延べ利用回数が月400回(1日20人×20日)の事業所を仮に置くと、次のようになります。金額は地域区分により変わるため、あくまで規模感の目安です。
| (Ⅰ) 22単位/回 | 22単位×400回=8,800単位/月(約88,000円) |
|---|---|
| (Ⅱ) 18単位/回 | 18単位×400回=7,200単位/月(約72,000円) |
| (Ⅲ) 6単位/回 | 6単位×400回=2,400単位/月(約24,000円) |
(Ⅲ)から(Ⅱ)へ上げれば月5万円弱、(Ⅱ)から(Ⅰ)へ上げれば月1万6千円ほどの差です。単体では大きな額ではありませんが、この加算は「すでにいる職員の資格と勤続年数」で決まるため、追加コストがほぼゼロという点が他の加算と決定的に違います。計算していないだけで取り逃している事業所は、一度必ず数字を出してみてください。
通所介護のサービス提供体制強化加算は何単位ですか?
(Ⅰ)を算定するには介護福祉士が何%必要ですか?
割合は頭数で数えてよいですか?
新規開設の事業所はいつから算定できますか?
機能訓練指導員は介護福祉士割合の母数に入りますか?
勤続年数に前の職場の年数は含められますか?
研修計画や定期的な会議は必要ですか?
処遇改善加算とはどう関係しますか?
定員超過をしていると算定できませんか?
- 通所介護のサービス提供体制強化加算は(Ⅰ)22単位/回、(Ⅱ)18単位/回、(Ⅲ)6単位/回の3区分で、択一。
- 令和6年度改定では、通所介護のこの加算に単位数・要件の変更はない。現在の3区分は令和3年度改定によるもの。
- (Ⅰ)は介護福祉士70%以上、または勤続10年以上の介護福祉士25%以上。
- (Ⅱ)は介護福祉士50%以上の一本のみ。
- (Ⅲ)は介護福祉士40%以上、または直接提供する職員のうち勤続7年以上が30%以上。
- 介護福祉士割合の母数は「介護職員の総数」、(Ⅲ)の勤続7年ルートの母数は「直接提供する職員の総数」(生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員)。
- 全区分に共通して、定員超過利用・人員基準欠如の状態にないことが必要。
- 割合は常勤換算方法で算出し、前年度(3月を除く)の平均を用いる。前年度実績が6月未満なら前3月の平均。
- 資格・勤続年数はいずれも各月の前月の末日時点で判定する。
- 勤続年数は、同一法人等の他事業所・病院・社会福祉施設等での直接提供職員としての勤務年数を通算できる。
- 前3月で届け出た場合は、届出後も毎月の維持と記録が必要で、下回れば直ちに届出。
- 介護職員等処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅴは、通所介護では(Ⅰ)または(Ⅱ)の算定で満たすとされており、加算率にも波及する。
- 追加コストがほぼかからない加算のため、まず常勤換算で計算してみることに価値がある。
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(告示・通知・Q&A等の一次情報の掲載ページ)
- 厚生省老人保健福祉局企画課長通知「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日老企第36号)第二の3(12)・7(26)
- 「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)二十三 通所介護費におけるサービス提供体制強化加算の基準
※本記事の単位数および算定要件は、厚生労働省の告示・留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。ここに記載した以外の要件が定められている場合があります。地域区分により1単位あたりの単価が異なるため、金額は単位数から一律には算出できません。記事中の増収額は仮の利用回数を置いた試算であり、実際の金額を保証するものではありません。介護職員等処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅴに関する記述は令和6年6月以降の取扱いとして整理したもので、要件の詳細は最新の通知および指定権者の案内をご確認ください。運用上の留意点に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。
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