介護医療院の基本報酬とは?Ⅰ型・Ⅱ型・ユニット型の単位数と控除を解説

介護医療院の基本報酬は、施設の型(Ⅰ型・Ⅱ型・特別・ユニット型)× 施設基準の区分(Ⅰ)〜(Ⅲ)× 療養室の種類 × 要介護度で決まります。組み合わせが多く、自施設がどこに当たるかを取り違えやすい構造です。
加えて、基本報酬には加算・減算の一覧には載りにくい「引かれる仕組み」が3つあります。夜勤職員の基準を満たさない場合の25単位控除、ユニットケアの基準を満たさない場合の97%、そして定員超過利用・人員基準欠如の取扱いです。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのイ〜ヘ、注1・注2の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- Ⅰ型・Ⅱ型・特別・ユニット型という基本報酬の区分
- Ⅰ型とⅡ型の単位数の差
- (i)と(ii)の違い(療養室の種類による区分)
- 夜勤職員の基準を満たさない場合の25単位控除
- ユニットケアの基準を満たさない場合の97%
- 定員超過利用・人員基準欠如の取扱い
ちびウルフⅠ型とⅡ型は、どう違うんですか?
リハウルフⅠ型は重篤な身体疾患や身体合併症を持つ人を受け入れる、より医療的な類型です。人員配置も手厚く、単位数も高い。Ⅱ型はそれに次ぐ水準です。要介護5で比べると、Ⅰ型(Ⅰ)(i)が1,263単位、Ⅱ型(Ⅰ)(i)が1,149単位。100単位以上の差があります。
介護医療院の基本報酬とは?
介護医療院の基本報酬は、日常的な医学管理、看護、介護、機能訓練、療養上の世話を包括的に評価する1日あたりの報酬です。
介護医療院は、療養病床の転換先として平成30年に創設された施設です。「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話」を同時に提供する場として位置づけられており、基本報酬もその両方を含む水準に設定されています。
他の介護施設と比べて基本報酬が高いのは、医師・看護職員・薬剤師の配置が求められ、医療的なケアを継続的に提供する前提があるからです。
介護医療院の基本報酬の単位数
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)
| 要介護度 | (i) | (ii) |
|---|---|---|
| 要介護1 | 721単位 | 833単位 |
| 要介護2 | 832単位 | 943単位 |
| 要介護3 | 1,070単位 | 1,182単位 |
| 要介護4 | 1,172単位 | 1,283単位 |
| 要介護5 | 1,263単位 | 1,375単位 |
Ⅰ型には(Ⅰ)〜(Ⅲ)の区分があり、施設基準に応じて単位数が下がります。(Ⅲ)(i)の要介護5は1,228単位で、(Ⅰ)(i)との差は35単位です。
Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ)
| 要介護度 | (i) | (ii) |
|---|---|---|
| 要介護1 | 675単位 | 786単位 |
| 要介護2 | 771単位 | 883単位 |
| 要介護3 | 981単位 | 1,092単位 |
| 要介護4 | 1,069単位 | 1,181単位 |
| 要介護5 | 1,149単位 | 1,261単位 |
ユニット型Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)
| 要介護度 | 単位数 |
|---|---|
| 要介護1 | 850単位 |
| 要介護2 | 960単位 |
| 要介護3 | 1,199単位 |
| 要介護4 | 1,300単位 |
| 要介護5 | 1,392単位 |
経過的ユニット型も同じ単位数です。ユニット型は従来型より高く設定されています。
特別介護医療院サービス費
人員基準を満たさない場合等に算定する区分です。Ⅰ型特別(i)は要介護1で661単位、要介護5で1,168単位。通常のⅠ型より低く設定されているうえ、注16により多くの加算が算定できなくなります。
介護医療院の基本報酬の算定要件
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、かつ、別に厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たすものとして(略)都道府県知事に対し届出を行った介護医療院における当該届出に係る療養棟において、介護医療院サービスを行った場合に、当該施設基準に掲げる区分及び別に厚生労働大臣が定める基準に掲げる区分に従い、入所者の要介護状態区分に応じて、それぞれ所定単位数を算定する。
- 施設基準に適合していること
- 夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たすこと
- 届出を行っていること
- 算定は療養棟単位で行うこと
「療養棟」は、1つまたは複数の療養床により一体的に構成される場所を指します(介護医療院基準第3条第1号)。施設全体ではなく療養棟ごとに区分が決まる点が特徴です。
介護医療院の基本報酬の注意点
| 事象 | 取扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 夜勤職員の勤務条件に関する基準を満たさない | 所定単位数から25単位を控除 | 注1ただし書き |
| ユニットケアの施設基準を満たさない(ニ〜ヘ) | 1日につき所定単位数の97% | 注2 |
| 入所者の数、医師・薬剤師・看護職員・介護職員・介護支援専門員の員数が基準に該当 | 別に厚生労働大臣が定めるところにより算定 | 注1なお書き |
3つ目は定員超過利用・人員基準欠如の取扱いで、通所介護費等の算定方法により所定単位数が引き下げられます。具体的な率は当該告示で確認してください。
夜勤基準未満は「25単位控除」
注1のただし書きは、「当該夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合は、所定単位数から25単位を控除して得た単位数を算定する」と定めています。
率ではなく単位数で固定されている点に注意してください。あわせて、夜間勤務等看護加算(7〜23単位)も算定できません。
ユニット型は97%
注2は、ニからヘまで(ユニット型Ⅰ型・ユニット型Ⅱ型・ユニット型特別)について、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たさない場合は1日につき所定単位数の97%を算定すると定めています。ユニットケアに関する基準(職員配置や共同生活室の要件など)が対象です。
特別介護医療院サービス費の位置づけ
| 項目 | 通常の区分 | 特別介護医療院サービス費 |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 高い | 低い |
| 加算 | 要件を満たせば算定できる | 注16により多くが算定できない |
注16により算定できなくなるのは、チからヌまで(退所時栄養情報連携加算・再入所時栄養連携加算・退所時指導等加算)、ワからヨまで(経口移行加算・経口維持加算・口腔衛生管理加算)、レ(在宅復帰支援機能加算)、ソ(特別診療費)、ウからオまで(排せつ支援加算・自立支援促進加算・科学的介護推進体制加算・安全対策体制加算)です。
基本報酬が下がるだけでなく、加算も広く制限される二重の構造になっています。
減算は基本報酬に対して計算される
| 減算 | 計算方法 |
|---|---|
| 身体拘束廃止未実施減算 | 所定単位数の10% |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の3% |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の1% |
| 安全管理体制未実施減算 | 1日5単位 |
| 栄養管理の基準未達 | 1日14単位 |
| 療養環境減算(Ⅰ)(Ⅱ) | 各1日25単位 |
| 室料相当額控除 | 1日26単位 |
介護医療院の基本報酬は高い一方で、率による減算の影響額も大きくなります。身体拘束廃止未実施減算の10%は、1日1,200単位の区分なら120単位です。
介護医療院の基本報酬のQ&A
Ⅰ型とⅡ型の違いは何ですか?
Ⅰ型は重篤な身体疾患や身体合併症を有する人を受け入れる類型で、人員配置も手厚く単位数も高く設定されています。Ⅱ型はそれに次ぐ水準です。
(i)と(ii)は何が違いますか?
療養室の種類による区分です。詳細は施設基準の原文と都道府県の解釈を確認してください。
算定は施設単位ですか?
療養棟単位です。条文は「当該届出に係る療養棟において」と定めています。
夜勤基準を満たさない場合はどうなりますか?
所定単位数から25単位が控除されます。あわせて夜間勤務等看護加算も算定できません。
ユニット型で基準を満たさない場合は?
1日につき所定単位数の97%を算定します(注2)。
定員超過するとどうなりますか?
入所者の数や職種ごとの員数が基準に該当する場合、別に厚生労働大臣が定めるところにより算定します。具体的な率は通所介護費等の算定方法で確認してください。
特別介護医療院サービス費とは何ですか?
人員基準を満たさない場合等に算定する区分です。基本報酬が低いうえ、注16により多くの加算が算定できなくなります。
ユニット型は従来型より高いのですか?
ユニット型Ⅰ型(Ⅰ)は要介護5で1,392単位で、従来型Ⅰ型(Ⅰ)(i)の1,263単位より高く設定されています。
- 基本報酬は施設の型 × 施設基準の区分 × 療養室の種類 × 要介護度で決まる
- Ⅰ型(Ⅰ)(i)は要介護1で721単位、要介護5で1,263単位
- Ⅱ型(Ⅰ)(i)は要介護1で675単位、要介護5で1,149単位
- ユニット型Ⅰ型(Ⅰ)は要介護5で1,392単位と、従来型より高い
- 算定は施設単位ではなく療養棟単位
- 夜勤職員の基準を満たさない場合は25単位を控除
- ユニットケアの基準を満たさない場合は97%
- 定員超過利用・人員基準欠如は別に定めるところにより算定
- 特別介護医療院サービス費は基本報酬が低いうえ、注16により多くの加算が算定できない
- 基本報酬が高いぶん、率による減算の影響額も大きい
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのイ〜ヘ、注1〜注9、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)ハ(介護医療院に係る基準)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成12年厚生省告示第27号)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)第3条第1号(療養床)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。(i)と(ii)の区分の判定、施設基準(Ⅰ)〜(Ⅲ)の該当性、定員超過利用・人員基準欠如の具体的な算定方法、複数の減算が重なる場合の計算については指定権者に確認してください。本記事に掲載した単位数は主要な区分の抜粋であり、すべての区分を網羅したものではありません。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




