介護医療院の外泊時費用・試行的退所・他科受診とは?

介護医療院には、入所者が一時的に施設を離れているときの費用が3つあります。いずれも加算ではなく、基本報酬に「代えて」算定する特例です。
| 費用 | 単位数 | 限度 |
|---|---|---|
| 外泊時費用(注12) | 362単位/日 | 1月に6日 |
| 試行的退所時の費用(注13) | 800単位/日 | 1月に6日 |
| 他科受診時の費用(注14) | 362単位/日 | 1月に4日 |
外泊と試行的退所は6日、他科受診だけ4日と限度が違います。また外泊と試行的退所は初日・最終日を算定できませんが、他科受診にはその規定がありません。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスの注12・注13・注14の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 3つの費用の単位数と日数の限度
- 外泊と試行的退所は初日・最終日を算定できないこと
- 他科受診だけ限度が4日であること
- 試行的退所は「介護医療院が居宅サービスを提供する」ことが要件であること
- 外泊時費用と試行的退所時の費用は同時に算定できないこと
- 他科受診の対象が「専門的な診療が必要になった場合」であること
ちびウルフ試行的退所の800単位は、外泊362単位よりずいぶん高いですね。
リハウルフやることが違うからです。外泊は「居室を空けて待つ」だけですが、試行的退所は施設が居宅サービスを提供します。職員が自宅へ行き、実際に生活が成り立つかを見て、必要なら手を入れる。その人件費が乗っているぶん高くなっています。
介護医療院の外泊時費用・試行的退所時の費用・他科受診時の費用とは?
この3つは、入所者が施設にいない日でも、居室を確保し続ける施設側のコストを一部だけ補う仕組みです。
入所者が家族のもとへ帰る、在宅復帰に向けて自宅で試してみる、専門的な診療のために外部の医療機関を受診する。いずれの場合も、その日はサービスを提供していないか、通常とは違う形になります。それでも居室は他の人に回せません。
基本報酬(Ⅰ型で1日1,000単位を超える区分もある)と比べれば、362単位はごく一部の補填です。制度としてそこまで面倒を見ていない、という前提で運営を考える必要があります。
外泊時費用・試行的退所時の費用・他科受診時の費用の単位数
①外泊時費用(注12)362単位
入所者に対して居宅における外泊を認めた場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき362単位を算定する。ただし、外泊の初日及び最終日は、算定できない。
②試行的退所時の費用(注13)800単位
入所者であって、退所が見込まれる者をその居宅において試行的に退所させ、介護医療院が居宅サービスを提供する場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき800単位を算定する。ただし、試行的な退所に係る初日及び最終日は算定せず、注12を算定している場合は算定しない。
③他科受診時の費用(注14)362単位
入所者に対し専門的な診療が必要になった場合であって、当該入所者に対し病院又は診療所において当該診療が行われた場合は、1月に4日を限度として所定単位数に代えて1日につき362単位を算定する。
外泊時費用・試行的退所時の費用・他科受診時の費用の算定要件
| 外泊時費用 | 試行的退所時の費用 | 他科受診時の費用 | |
|---|---|---|---|
| 単位数 | 362単位 | 800単位 | 362単位 |
| 限度 | 1月6日 | 1月6日 | 1月4日 |
| 初日・最終日 | 算定できない | 算定できない | 規定なし |
| 対象者 | 外泊を認めた入所者 | 退所が見込まれる入所者 | 専門的な診療が必要になった入所者 |
| 施設が行うこと | 居室の確保 | 居宅サービスの提供 | — |
試行的退所時の費用が800単位と高いのは、介護医療院が居宅サービスを提供することが要件に入っているからです。単に自宅に帰しただけでは算定できません。
在宅復帰支援機能加算(10単位/日)や退所前訪問指導加算(460単位)と組み合わせて、在宅復帰の道筋をつくる流れの中に位置づけられる費用だといえます。(この整理は筆者の実務経験にもとづくものです)
外泊時費用・試行的退所時の費用・他科受診時の費用の注意点
外泊時費用と試行的退所時の費用は、初日と最終日を算定できません。その日は施設でサービスを提供している時間があるため、通常の基本報酬を算定するという整理です。
| 日 | 外泊・試行的退所 |
|---|---|
| 初日 | 基本報酬(362/800単位は算定できない) |
| 2日目〜最終日の前日 | 1月6日を限度に362/800単位 |
| 最終日 | 基本報酬(362/800単位は算定できない) |
7日間の外泊なら、実際に362単位を算定できるのは最大5日分です。一方、他科受診時の費用にはこの規定がありません。
外泊と試行的退所は同時に算定できない
注13のただし書きに「注12を算定している場合は算定しない」とあります。同じ日に両方を算定することはできません。
他科受診の限度は4日
他科受診時の費用だけ、限度が1月に4日です。外泊・試行的退所の6日とは異なります。眼科、皮膚科、整形外科などの受診が重なる月は、4日を超えることがあり得ます。受診予定の管理が必要です。
「専門的な診療」とは
条文は「専門的な診療が必要になった場合」としています。介護医療院には医師が配置されているため、施設内で対応できる診療は対象になりません。どこからが「専門的」かの判断は、都道府県に確認してください。
初期加算との関係
介護医療院の初期加算(30単位/日)は入所日から30日以内が対象です。外泊・他科受診の日に初期加算を算定できるかは条文に明示がありません。該当した場合は都道府県に確認してください。
外泊時費用・試行的退所時の費用・他科受診時の費用のQ&A
これらは加算ですか?
加算ではありません。「所定単位数に代えて」算定する特例です。その日は基本報酬を算定しません。
外泊の初日も算定できますか?
できません。外泊の初日と最終日は算定できないと明記されています。
7日間外泊した場合、何日分算定できますか?
初日と最終日を除くため最大5日分です。ただし1月6日という限度もあります。
外泊と試行的退所を同じ月に算定できますか?
注13は「注12を算定している場合は算定しない」と定めています。取扱いの詳細は都道府県に確認してください。
試行的退所で800単位を算定する条件は?
退所が見込まれる者を居宅において試行的に退所させ、かつ介護医療院が居宅サービスを提供することが要件です。
他科受診は何日まで算定できますか?
1月に4日が限度です。外泊・試行的退所の6日とは異なります。
他科受診にも初日・最終日の除外はありますか?
注14にはその規定がありません。取扱いは都道府県に確認してください。
入院した場合も外泊時費用を算定できますか?
注12は「居宅における外泊」と定めています。入院の場合の取扱いは都道府県に確認してください。
- 3つとも加算ではなく「所定単位数に代えて」算定する特例
- 外泊時費用は362単位、1月6日が限度
- 試行的退所時の費用は800単位、1月6日が限度
- 他科受診時の費用は362単位、1月4日が限度
- 外泊と試行的退所は初日・最終日を算定できない
- 他科受診には初日・最終日の除外規定がない
- 試行的退所は「介護医療院が居宅サービスを提供する」ことが要件
- 外泊時費用を算定している場合、試行的退所時の費用は算定しない
- 「専門的な診療」の範囲は都道府県への確認が必要
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスの注12(外泊時費用)、注13(試行的退所時の費用)、注14(他科受診時の費用)、ト(初期加算)、レ(在宅復帰支援機能加算)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 同 別表 介護保健施設サービスの外泊時費用・試行的退所時の費用(比較のため)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。日数の数え方、入院した場合の取扱い、「専門的な診療」の範囲、他の加算との関係については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




