グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の看取り介護加算は、死亡日1,280単位、死亡日の前日・前々日680単位、死亡日以前4〜30日144単位、死亡日以前31〜45日72単位(いずれも1日につき)を、死亡した月に加算します。45日分をフルに算定すると3,000単位を超えます。

ただし、この加算には強い前提条件があります。条文のただし書きに「退居した日の翌日から死亡日までの間又は医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」とあり、医療連携体制加算を届け出ていないグループホームは、どれだけ丁寧な看取りをしても1単位も算定できません。

もうひとつ実務で問題になるのが、看取り期に入った入居者が病院へ移った場合です。退居した日の翌日から死亡日までは算定できません。つまり「最期は病院で」となった時点で、その後の日数は加算の対象から外れます。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費の注10、厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第33号、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第40号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 看取り介護加算の4つの日数区分と単位数
  • 死亡月にまとめて加算する仕組み
  • 医療連携体制加算を算定していないと算定できないこと
  • 退居した日の翌日から死亡日までは算定できないこと
  • 事業所側に求められる3つの体制要件(指針・協議と見直し・研修)
  • 利用者側に求められる3つの要件(診断・計画への同意・随時の説明と同意)
  • 短期利用(ロ)では算定できないこと
  • 介護予防(要支援2)にはこの加算が存在しないこと
  • 特養の看取り介護加算との違い
ちびウルフちびウルフ

看取りをやっている事業所なら、自動的に算定できるものではないんですか?

リハウルフリハウルフ

違います。医療連携体制加算の届出がなければゼロです。実際に最期まで支えていても、報酬上は評価されません。看取りに取り組む方針を決めたら、順番としてまず看護体制の届出から入るべきです。

単位数は4区分。死亡月にまとめて加算する

告示126号の注10は次のとおりです。

イについて、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして(略)届出を行った指定認知症対応型共同生活介護事業所において、別に厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者については、看取り介護加算として、死亡日以前31日以上45日以下については1日につき72単位を、死亡日以前4日以上30日以下については1日につき144単位を、死亡日の前日及び前々日については1日につき680単位を、死亡日については1日につき1,280単位を死亡月に加算する。ただし、退居した日の翌日から死亡日までの間又は医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない。

日数区分単位数(1日)最大日数小計
死亡日以前31日以上45日以下72単位15日1,080単位
死亡日以前4日以上30日以下144単位27日3,888単位
死亡日の前日及び前々日680単位2日1,360単位
死亡日1,280単位1日1,280単位

注意したいのは「死亡月に加算する」という書き方です。前月・前々月に該当する日数分も、死亡した月の請求にまとめて計上します。45日区分まで使うと2か月前にまたがるため、記録も2か月分さかのぼって確認することになります。

「イについて」——短期利用では算定できない

注10の書き出しは「イについて」です。イは認知症対応型共同生活介護費(本体)、ロは短期利用認知症対応型共同生活介護費を指します。短期利用で受け入れている人については、看取り介護加算を算定できません。

初期加算、協力医療機関連携加算、認知症専門ケア加算なども同じく「イについて」と限定されています。短期利用は30日以内の利用が前提なので、体制系・継続系の加算は本体入居者向けという整理です。

事業所側の要件は3つ(施設基準告示第33号)

  • 看取りに関する指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること
  • 医師、看護職員(事業所の職員、又は密接な連携を確保できる範囲内の距離にある病院・診療所・訪問看護ステーションの職員に限る)、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者による協議のうえ、看取りの実績等を踏まえて指針の見直しを行うこと
  • 看取りに関する職員研修を行っていること

2つ目の「協議に加わる看護職員」に条件が付いている点を見落とさないでください。事業所の職員か、密接な連携を確保できる範囲内の距離にある医療機関・訪問看護ステーションの職員に限られます。遠方の医療機関の看護師をリモートで参加させる形は、条文の想定からは外れます。

指針の「見直し」は実績を踏まえて行う

条文は「当該指定認知症対応型共同生活介護事業所における看取りの実績等を踏まえ、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと」と定めています。作りっぱなしの指針では要件を満たしません。看取りを1件経験するごとに、多職種でカンファレンスを開き、指針に反映した記録を残す運用にしておくと確認に耐えます。

利用者側の要件は3つ(告示94号第40号)

「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者」は、次のイからハまでのいずれにも適合している人です。

イ 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること。
ロ 医師、看護職員、介護支援専門員その他の職種の者が共同で作成した利用者の介護に係る計画について、医師等のうちその内容に応じた適当な者から説明を受け、当該計画について同意している者(その家族等が説明を受けた上で、同意している者を含む。)であること。
ハ 看取りに関する指針に基づき、利用者の状態又は家族の求め等に応じ随時、医師等の相互の連携の下、介護記録等利用者に関する記録を活用し行われる介護についての説明を受け、同意した上で介護を受けている者(その家族等が説明を受け、同意した上で介護を受けている者を含む。)であること。

実務でいちばん弱くなりやすいのはハの「随時」の説明と同意です。入居時と計画作成時に同意を取って終わりにしていると、この要件を満たしていることを示せません。状態が変わったとき、家族から問い合わせがあったときに、誰が何を説明し、家族がどう答えたかを介護記録に残すこと。これが加算の根拠になります。

退居した日の翌日から死亡日までは算定できない

ただし書きの前半です。病院へ入院して退居扱いになった場合、その翌日から死亡日までは算定できません。看取り期に急変して救急搬送し、そのまま病院で亡くなるケースは実務で珍しくありませんが、搬送=退居となった時点で以降の日数は対象外です。

場面算定の可否
GHで最期まで過ごし、GHで死亡4区分すべて算定できる
死亡3日前に入院(退居)し、病院で死亡退居日までは算定できる。翌日以降(死亡日1,280単位を含む)は算定できない
入院したが退居扱いにせず、居室を空けて待っていた期間入院時の費用(1月6日を限度に246単位)の対象。看取り介護加算の日数の扱いは市町村に確認が必要

3つ目の扱いは自治体で解釈が分かれる部分です。入院中で在籍している期間をどう数えるかは、必ず所在市町村に確認してください。

医療連携体制加算が算定の前提

ただし書きの後半、「医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」がこの加算の実質的な入口です。医療連携体制加算は(Ⅰ)イ57単位・ロ47単位・ハ37単位で、訪問看護ステーションとの連携による確保(ハ)でも算定できます。

  • 看護師を自前で配置するか、病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携で確保する
  • 看護師による24時間連絡できる体制を作り、連絡先と手順を文書化する
  • 重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に説明して同意を得る
  • 医療連携体制加算を市町村長に届け出る
  • 看取りに関する指針・多職種協議・職員研修を整え、看取り介護加算を届け出る

介護予防(要支援2)にはこの加算がない

介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)には、看取り介護加算が設けられていません。医療連携体制加算・協力医療機関連携加算も同様です。

要支援2のまま看取り期を迎えた場合、報酬上の評価は受けられません。状態が変化した時点で区分変更申請を行うかどうかは、本人・家族の意向とケアの実態で決めるべきことですが、算定面の影響は知っておいたほうがよい論点です。

ちびウルフちびウルフ

特養の看取り介護加算と単位数は同じですか?

リハウルフリハウルフ

別の加算です。特養は(Ⅰ)(Ⅱ)の区分があり、配置医師緊急時対応加算などGHにない仕組みも絡みます。GHは区分がない代わりに、医療連携体制加算という前提条件が付いているのが特徴です。他施設の資料をそのまま流用しないことです。

よくある質問

医療連携体制加算を算定していない場合でも、看取り介護加算だけ算定できますか?

できません。注10のただし書きに「医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」と明記されています。まず医療連携体制加算(Ⅰ)イ・ロ・ハのいずれかを届け出る必要があります。

死亡日以前45日分をすべて算定できますか?

要件を満たしていれば可能です。72単位×15日+144単位×27日+680単位×2日+1,280単位=7,608単位が上限の計算になります。ただし退居後の期間や、要件を満たしていない日は算定できません。

病院に搬送されて亡くなった場合、死亡日の1,280単位は算定できますか?

退居扱いになっている場合は算定できません。「退居した日の翌日から死亡日までの間」は算定しないと定められているためです。退居日当日までの分は算定できます。

前月分の日数も死亡月にまとめて請求するのですか?

そのとおりです。条文は「死亡月に加算する」と定めています。45日区分まで使う場合は2か月前にまたがるため、記録の確認も同じ範囲で必要になります。

短期利用の入居者にも算定できますか?

できません。注10は「イについて」と限定しており、イは本体の認知症対応型共同生活介護費を指します。短期利用(ロ)は対象外です。

看取りの指針は作ってあれば要件を満たしますか?

作成だけでは足りません。入居の際に本人・家族へ説明して同意を得ること、多職種の協議のうえ実績を踏まえて適宜見直すこと、職員研修を行うことの3つが揃って要件を満たします。

家族への説明はいつ行えばよいですか?

入居時の指針説明に加えて、利用者の状態変化や家族の求めに応じて「随時」行うことが利用者側の要件になっています。説明の日時・内容・同意の有無を介護記録に残してください。

要支援2の入居者に算定できますか?

できません。介護予防認知症対応型共同生活介護費には看取り介護加算が設けられていません。

届出先はどこですか?

市町村長です。グループホームは地域密着型サービスのため、指定・指導・届出はすべて市町村が所管します。看取り期の入院・退居の扱いなど解釈が分かれる点は、事前に確認しておくと安全です。

まとめ
  • 看取り介護加算は死亡日1,280単位、前日・前々日680単位、4〜30日144単位、31〜45日72単位
  • 該当する日数分を死亡した月にまとめて加算する
  • 医療連携体制加算を算定していない事業所は算定できない
  • 退居した日の翌日から死亡日までの間は算定できない
  • 短期利用(ロ)では算定できない
  • 事業所側の要件は、指針の策定と入居時の説明・同意、多職種協議による見直し、職員研修の3つ
  • 協議に加わる看護職員は、自事業所か密接な連携が可能な距離の医療機関等の職員に限られる
  • 利用者側の要件は、回復の見込みがない旨の診断、多職種計画への同意、随時の説明と同意の3つ
  • 「随時の説明と同意」は介護記録で示せるようにしておく
  • 介護予防(要支援2)にはこの加算が存在しない
  • 届出先は市町村長
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費の注10(看取り介護加算)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第33号(指定認知症対応型共同生活介護における看取り介護加算に係る施設基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第40号(認知症対応型共同生活介護費の注10の基準に適合する利用者)(厚生労働省法令等データベース)
  • 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。入院中で在籍している期間の日数の数え方など、解釈が分かれる論点は必ず所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の金額の試算は単位数を単純に比較した概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
PR

リハビリ職の転職・求人なら
レバウェルリハビリ

リハノメ 無料で求人を見る ▶
PR

PT・OT・STのオンラインセミナー
リハノメ

リハノメ セミナーを詳しく見る ▶