特養の協力医療機関連携加算は(1)50単位・(2)5単位、いずれも1月につき。10倍の差がつきます。

そして請求で真っ先に確認すべき点があります。(1)は令和6年度中は100単位でしたが、令和7年度以降は50単位です。通知に「令和7年3月31日までの間は100単位」と明記されており、この経過措置はすでに終了しています。100単位のまま請求していないか確認してください。

差を生むのは、協力医療機関が3つの要件を満たしているかどうか。相談対応・診療・入院受入の体制を常時確保しているかで、50単位か5単位かが決まります。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(厚生省告示第21号)、老企第40号、令和6年度介護報酬改定における改定事項についてを突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • (1)50単位・(2)5単位という単位数と、令和6年度の100単位からの引下げ
  • 50単位と5単位を分ける3つの要件
  • 複数の医療機関で3要件を満たす場合の注意点
  • 会議は概ね月1回以上が原則であること
  • 電子的システムがあれば年3回以上でよいこと
  • 会議はテレビ電話装置等を活用できること
  • 入所者全員の病状を毎回共有する必要はないこと
  • 年1回以上の急変時対応の確認と一体的に行えること
  • 協力医療機関を定めること自体は運営基準上の義務であること
  • 特定施設・認知症グループホームとは要件も単位数も違うこと

単位数は50単位と5単位

区分単位数(令和7年度以降)令和6年度
(1)協力医療機関が3要件を満たす場合50単位/月100単位/月
(2)(1)以外の場合5単位/月5単位/月

ト 協力医療機関連携加算

注 指定介護老人福祉施設において、協力医療機関との間で、入所者の同意を得て、当該入所者の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催している場合は、次に掲げる区分に応じ、1月につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。
(1) 当該協力医療機関が、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第28条第1項各号に掲げる要件を満たしている場合 50単位
(2) (1)以外の場合 5単位

100単位は令和6年度限りだった

老企第40号がはっきり書いています。「(1)の50単位(令和7年3月31日までの間は100単位)」。

改定資料も「100単位/月(令和6年度) 50単位/月(令和7年度〜)」と併記していました。令和7年4月以降は50単位です。

加算の新設時に体制を整えた施設ほど、100単位の設定のまま運用している可能性があります。請求ソフトの単位設定を確認してください。

50単位と5単位を分ける3つの要件

「指定介護老人福祉施設基準第28条第1項各号」の中身を、令和6年度改定資料が示しています。

(協力医療機関の要件)
入所者等の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
高齢者施設等からの診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること。
入所者等の病状が急変した場合等において、入院を要すると認められた入所者等の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。

要件内容ポイント
①相談対応医師または看護職員が相談対応常時確保
②診療診療の求めに応じて診療常時確保
③入院受入入院を要する入所者の入院を原則受入③は病院に限る
③だけは「病院」でなければならない

改定資料は、協力医療機関を定める義務について「以下の要件を満たす協力医療機関(③については病院に限る。)を定めることを義務付ける」としています。

診療所は入院機能を持たない、または限られるため、③は病院が担うという整理です。近隣の診療所1か所だけを協力医療機関としている場合、(2)5単位にとどまることになります。

複数の医療機関で満たしてもよい——ただし会議はそれぞれと

(1)について、複数の医療機関を協力医療機関として定めることにより3要件を満たす場合には、それぞれの医療機関と会議を行う必要がある。(1)を算定する場合において、(中略)3要件を満たす医療機関の情報を都道府県等に届け出ていない場合には、速やかに届け出ること。

ちびウルフちびウルフ

診療所と病院の2か所で3要件を満たす場合、会議も2回必要ということですか?

リハウルフリハウルフ

通知の書き方はそう読める。「それぞれの医療機関と会議を行う必要がある」と明記されている。

実務的にはけっこう重い。日常の診療は近隣の診療所、入院は病院——という組み合わせは特養では一般的だけど、両方と月1回ずつ会議を持つことになる。

ただ、救いもある。テレビ電話装置等の活用が認められているし、後で触れるけど電子的システムの体制があれば年3回以上でよくなる。50単位を取りにいくなら、まずこの緩和規定が使えるかを検討したほうがいい。

会議の頻度——原則は月1回以上、電子的システムがあれば年3回以上

「会議を定期的に開催」とは、概ね月に1回以上開催されている必要がある。ただし、電子的システムにより当該協力医療機関において、当該施設の入所者の情報が随時確認できる体制が確保されている場合には、定期的に年3回以上開催することで差し支えないこととする。なお、協力医療機関へ診療の求めを行う可能性の高い入所者がいる場合においては、より高い頻度で情報共有等を行う会議を実施することが望ましい。

体制会議の頻度
原則概ね月1回以上
電子的システムで入所者情報を随時確認できる体制がある年3回以上
月12回が年3回になる

年間の会議回数で見ると、12回以上 → 3回以上。負担はまったく違います。

協力医療機関が施設の入所者情報を電子的に随時確認できる仕組み——たとえば医療介護連携システムや情報共有基盤の導入——があれば、この緩和が使えます。複数の医療機関と会議を持つ必要がある施設ほど、検討する価値が大きい規定です。

会議はテレビ電話装置等でよい

会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

入所者全員の病状を毎回共有する必要はない

会議の内容についても、現実的な運用が示されています。

会議では、特に協力医療機関に対して診療の求めを行うこととなる可能性が高い入所者や新規入所者を中心に情報共有や対応の確認等を行うこととし、毎回の会議において必ずしも入所者全員について詳細な病状等を共有しないこととしても差し支えない。

  • 中心に置くのは診療の求めを行う可能性が高い入所者新規入所者
  • 毎回全員分を詳細に共有する必要はない
  • ただし入所者の同意を得て情報を共有する(告示の要件)

100人規模の特養で毎月全員の病状を医師と共有するのは非現実的です。状態が不安定な方と、まだ医療機関が把握していない新規入所者に絞る——それでよいと通知が明示しています。

年1回以上の急変時対応の確認と一体的に行える

本加算における会議は、指定介護老人福祉施設基準第28条第2項に規定する、入所者の病状が急変した場合の対応の確認と一体的に行うこととしても差し支えない。

令和6年度改定では、運営基準上も「1年に1回以上、協力医療機関との間で、入所者の病状の急変が生じた場合等の対応を確認する」ことが義務づけられました。この義務の履行と、加算の会議を1回でまとめて行えるということです。

義務と加算を切り分ける

整理しておきましょう。

  • 協力医療機関を定めること=運営基準上の義務(3年の経過措置つき)
  • 年1回以上の急変時対応の確認と自治体への届出=運営基準上の義務
  • 定期的な会議の開催=任意。やれば加算

会議をやらなくても基準違反にはなりませんが、加算は算定できません。逆に、加算を取らない施設でも年1回の確認と届出は必須です。

特定施設・認知症グループホームとは別物

サービス(1)(2)要件
特養・老健・介護医療院50単位5単位3要件(①②③)
特定施設入居者生活介護100単位40単位2要件(①②)
認知症対応型共同生活介護100単位40単位2要件(①②)

施設系(特養・老健・介護医療院)は③の入院受入体制まで求められる代わりに、単位数は低く設定されています。特定施設や認知症グループホームは①②の2要件で100単位です。

他サービスの解説をそのまま当てはめると、単位数も要件も間違えます。とくに「100単位」という数字は、施設系では令和6年度限りの経過的な額でした。

算定にあたっての実務ステップ

  • 協力医療機関が3要件(相談対応・診療・入院受入)を満たしているかを確認する
  • ③の入院受入を担う医療機関が病院であるかを確認する
  • 1か所で満たせない場合は、複数の医療機関を協力医療機関として定める
  • 3要件を満たす医療機関の情報を都道府県等に届け出る(未届なら速やかに)
  • 複数の医療機関で満たしている場合は、それぞれと会議を行う体制を組む
  • 電子的システムで入所者情報を随時確認できる体制があるかを確認する(あれば年3回以上でよい)
  • 入所者から情報共有についての同意を得る
  • 診療の求めを行う可能性が高い入所者と新規入所者を中心に、会議の議題を組む
  • 年1回以上の急変時対応の確認と一体的に開催することを検討する
  • 会議の概要を記録する
  • 請求単位が50単位になっているかを確認する(100単位は令和6年度限り)

最後の1行を最初に確認してください。経過措置の終了は、体制の話ではなく請求の話です。

よくある質問

単位数はいくらですか?

協力医療機関が3要件を満たす場合は50単位/月、それ以外の場合は5単位/月です。

100単位ではないのですか?

令和6年度中は100単位でしたが、令和7年4月以降は50単位です。通知は「(1)の50単位(令和7年3月31日までの間は100単位)」としています。

3つの要件とは何ですか?

①病状が急変した場合等に医師または看護職員が相談対応を行う体制を常時確保、②診療の求めがあった場合に診療を行う体制を常時確保、③入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制の確保です。

診療所だけを協力医療機関にしている場合は?

③の入院受入体制については病院に限るとされています。3要件を満たさない場合は(2)の5単位になります。

複数の医療機関で3要件を満たしてもよいですか?

よいとされています。ただしその場合は、それぞれの医療機関と会議を行う必要があります。

会議はどのくらいの頻度で開きますか?

概ね月に1回以上です。ただし電子的システムにより協力医療機関が施設の入所者情報を随時確認できる体制が確保されている場合は、年3回以上でよいとされています。

会議はオンラインでよいですか?

テレビ電話装置等を活用して行うことができるとされています。

毎回、入所者全員の病状を共有しないといけませんか?

必要ありません。診療の求めを行う可能性が高い入所者や新規入所者を中心に行うこととし、毎回全員について詳細な病状等を共有しないこととしても差し支えないとされています。

入所者の同意は必要ですか?

必要です。告示は「入所者の同意を得て、当該入所者の病歴等の情報を共有する会議」としています。

年1回の急変時対応の確認と一緒に行ってよいですか?

差し支えないとされています。運営基準上の確認と加算の会議を一体的に開催できます。

都道府県への届出は必要ですか?

3要件を満たす医療機関の情報を都道府県等に届け出ていない場合は、速やかに届け出ることとされています。

特定施設の協力医療機関連携加算と同じですか?

違います。特定施設や認知症対応型共同生活介護は①②の2要件で(1)100単位・(2)40単位です。施設系は3要件で50単位・5単位です。

まとめ
  • 特養の協力医療機関連携加算は(1)50単位・(2)5単位(いずれも1月につき)
  • (1)は令和6年度中は100単位だったが、令和7年4月以降は50単位
  • 請求単位の設定が100単位のままになっていないか確認する
  • 50単位と5単位を分けるのは協力医療機関が3要件を満たすかどうか
  • ①相談対応体制の常時確保
  • ②診療体制の常時確保
  • ③入院を要する入所者の入院受入体制の確保
  • ③については病院に限られる
  • 複数の医療機関を定めて3要件を満たしてもよい
  • その場合はそれぞれの医療機関と会議を行う必要がある
  • 3要件を満たす医療機関の情報は都道府県等に届け出る
  • 会議は概ね月1回以上が原則
  • 電子的システムで入所者情報を随時確認できる体制があれば年3回以上でよい
  • 会議はテレビ電話装置等を活用できる
  • 毎回入所者全員の病状を詳細に共有する必要はない
  • 診療の求めを行う可能性が高い入所者と新規入所者が中心
  • 情報共有には入所者の同意が必要
  • 年1回以上の急変時対応の確認と一体的に開催してよい
  • 協力医療機関を定めること自体は運営基準上の義務
  • 特定施設・認知症グループホームは2要件で100単位・40単位と別構造
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、老企第40号の留意事項通知および令和6年度介護報酬改定の資料にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。単位数の経過措置(令和6年度100単位/令和7年度以降50単位)など期日に関する記述は本記事の作成時点のものです。最新の取扱いは必ず指定権者にご確認ください。3要件を満たすかの判断、電子的システムによる「随時確認できる体制」の具体的な範囲、複数医療機関との会議の持ち方については、指定権者によって取扱いが異なる場合があります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。会議の運営に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
PR

リハビリ職の転職・求人なら
レバウェルリハビリ

リハノメ 無料で求人を見る ▶
PR

PT・OT・STのオンラインセミナー
リハノメ

リハノメ セミナーを詳しく見る ▶