通所介護の中重度者ケア体制加算とは?

通所介護の中重度者ケア体制加算は1日につき45単位。要介護3以上の利用者が30%以上という要件から「中重度の人にだけ算定する加算」と誤解されがちですが、違います。要件を満たせば、要介護1の人も含めて利用者全員に算定できます。通知が「事業所を利用する利用者全員に算定することができる」と明記しています。
そのぶん、要件は厳しめです。人員基準に加えて看護職員または介護職員を常勤換算2以上、さらに提供時間帯を通じて専従の看護職員を1名以上。この2つは別の要件で、しかも専従の看護職員は他の職務との兼務が認められません。
この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(厚生省告示第19号)通所介護費 注11、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第15号、老企第36号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 単位数は45単位/日で、利用者全員に算定できること
- 3つの要件(常勤換算2以上・要介護3以上30%・専従看護職員1名)
- 常勤換算は暦月ごとに計算し、小数点第2位以下を切り捨てること
- 延長加算のために配置した職員の勤務時間は算入できないこと
- 割合の判定に要支援者を含めないこと
- 前年度実績が6月未満だと前年度実績では届け出られないこと
- 前3月で届け出た場合の毎月の維持義務と記録義務
- 専従の看護職員は他の職務と兼務できないこと
- 認知症加算とは併算定できること
- 共生型通所介護では算定できないこと
- 通所リハビリの同名加算(20単位)との違い
中重度者ケア体制加算とは?単位数は45単位
中重度者ケア体制加算とは、中重度の要介護者を受け入れる体制を構築している通所介護事業所を評価する加算です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 45単位 |
| 算定の単位 | 1日につき |
| 算定対象 | 利用者全員(要介護度を問わない) |
| 届出 | 必要 |
| 共生型通所介護 | 算定不可 |
1日45単位。1日30人・月25日稼働なら45×30×25=33,750単位。1単位10円換算で月約33万円、年間400万円規模です。
専従看護職員1名と常勤換算2以上の上乗せ配置という人件費はかかりますが、通所介護の加算のなかでは収益インパクトが最上位クラスに入ります。
告示の原文で算定要件を確認する
通所介護費 注11です。
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(中略)届出を行った指定通所介護事業所が、中重度の要介護者を受け入れる体制を構築し、指定通所介護を行った場合は、中重度者ケア体制加算として、1日につき45単位を所定単位数に加算する。ただし、注7を算定している場合は、算定しない。
要件の本体は、厚生労働大臣が定める基準(告示第95号)第15号です。イ・ロ・ハの3つすべてを満たす必要があります。
十五 通所介護費における中重度者ケア体制加算の基準
イ 指定居宅サービス等基準第九十三条第一項第二号又は第三号に規定する看護職員又は介護職員の員数に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で二以上確保していること。
ロ 指定通所介護事業所における前年度又は算定日が属する月の前三月間の利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護三、要介護四又は要介護五である者の占める割合が百分の三十以上であること。
ハ 指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員を一名以上配置していること。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| イ 上乗せ配置 | 人員基準に加えて、看護職員または介護職員を常勤換算2以上 |
| ロ 中重度者の割合 | 要介護3以上が30%以上 |
| ハ 専従看護職員 | 提供時間帯を通じて専従の看護職員1名以上 |
混同されやすいところです。イの「常勤換算2以上」は看護職員でも介護職員でもよい上乗せ配置。ハの「専従1名以上」は看護職員に限定された配置です。
イを介護職員だけで満たしている事業所は、さらに専従の看護職員を確保しなければ算定できません。逆に、看護職員でイを満たす場合でも、ハの専従要件(兼務不可)を別途クリアする必要があります。
要件イ:常勤換算2以上の数え方
老企第36号 通所介護費(11)①が、計算方法を細かく定めています。
中重度者ケア体制加算は、暦月ごとに、(中略)看護職員又は介護職員の員数に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保する必要がある。このため、常勤換算方法による職員数の算定方法は、暦月ごとの看護職員又は介護職員の勤務延時間数を、当該事業所において常勤の職員が勤務すべき時間数で除することによって算定し、暦月において常勤換算方法で2以上確保していれば加算の要件を満たすこととする。なお、常勤換算方法を計算する際の勤務延時間数については、サービス提供時間前後の延長加算を算定する際に配置する看護職員又は介護職員の勤務時間数は含めないこととし、常勤換算方法による員数については、小数点第2位以下を切り捨てるものとする。
- 判定の単位は暦月ごと(年度平均ではない)
- 計算式は暦月の勤務延時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間数
- 延長加算のために配置した職員の勤務時間は算入できない
- 結果は小数点第2位以下を切り捨て(1.99は1.9であり、2.0に届かない)
ちびウルフ延長加算の職員の時間を外す、というのは大きいですか?
リハウルフこれが地味に効くんだ。延長加算を算定している事業所は、サービス提供時間の前後にも職員を置いている。その時間まで数えれば常勤換算2以上に届く——という計算をしてしまうと、後で覆る。
しかも判定は暦月ごと。年度で均せばOK、ではない。職員が辞めた月、産休に入った月に一時的に2を割ることは普通に起こる。
だから毎月の常勤換算を計算して残す運用が必須になる。ここを回していない事業所は、指導で必ず止まると思っていい。
要件ロ:要介護3以上30%の数え方
通知②③が、割合の算定方法を定めています。
② 要介護3、要介護4又は要介護5である者の割合については、前年度(3月を除く。)又は届出日の属する月の前3月の1月当たりの実績の平均について、利用実人員数又は利用延人員数を用いて算定するものとし、要支援者に関しては人員数には含めない。
③ イ 前年度の実績が6月に満たない事業所(新たに事業を開始し、又は再開した事業所を含む。)については、前年度の実績による加算の届出はできないものとする。
ロ 前3月の実績により届出を行った事業所については、届出を行った月以降においても、直近3月間の利用者の割合につき、毎月継続的に所定の割合を維持しなければならない。また、その割合については、毎月ごとに記録するものとし、所定の割合を下回った場合については、直ちに(中略)届出を提出しなければならない。
| 論点 | 取扱い |
|---|---|
| 判定期間 | 前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3月 |
| 分母・分子 | 利用実人員数または利用延人員数(どちらでもよい) |
| 要支援者 | 人員数に含めない |
| 新規開設 | 前年度実績6月未満なら、前年度実績での届出は不可 |
| 前3月で届出 | 毎月維持・毎月記録・下回れば直ちに届出 |
通知は「利用実人員数又は利用延人員数を用いて算定する」としています。事業所が有利なほうを選べるということです。
要介護3以上の人が週3〜4回利用し、要介護1〜2の人が週1回という構成なら、延人員で計算したほうが割合は高くなります。両方を計算してから判断してください。
また、要支援者(介護予防通所サービス等の利用者)は分母から外します。要支援者が多い事業所ほど、この扱いは有利に働きます。
要件ハ:専従の看護職員は兼務できない
通知④は、たった1行ですが決定的です。
看護職員は、指定通所介護を行う時間帯を通じて1名以上配置する必要があり、他の職務との兼務は認められない。
「他の職務との兼務は認められない」と言い切られています。送迎の運転、併設施設の業務、機能訓練指導員としての従事——提供時間帯にこれらを行っていれば、専従要件を満たしません。
また「時間帯を通じて」なので、午前だけ、午後だけでは足りません。看護職員が1人しかいない事業所では、その人が休んだ日をどうするかを先に設計しておく必要があります。
認知症加算とは併算定できる
通知⑤が、この加算の性格と併算定を明示しています。
中重度者ケア体制加算については、事業所を利用する利用者全員に算定することができる。また、注15の認知症加算の算定要件も満たす場合は、中重度者ケア体制加算の算定とともに認知症加算も算定できる。
| 加算 | 単位数 | 中重度者ケア体制加算との併算定 |
|---|---|---|
| 認知症加算 | 60単位/日 | 可 |
| 若年性認知症利用者受入加算 | 60単位/日 | 可(ただし認知症加算とは併算定不可) |
| 個別機能訓練加算 | — | 可 |
| 入浴介助加算 | — | 可 |
中重度者ケア体制加算45単位+認知症加算60単位=105単位/日。両方の要件を満たせる事業所であれば、収益への効果は非常に大きくなります。ただし認知症加算にも「常勤換算2以上」「専門研修修了者1名以上」といった別の要件があるため、人員設計は慎重に。
共生型通所介護では算定できない
告示注11のただし書き「注7を算定している場合は、算定しない」——注7は共生型通所介護の減算規定です。
| 共生型通所介護の実施主体 | 所定単位数 |
|---|---|
| 指定生活介護事業者 | 100分の93 |
| 指定自立訓練(機能訓練・生活訓練)事業者 | 100分の95 |
| 指定児童発達支援事業者 | 100分の90 |
| 指定放課後等デイサービス事業者 | 100分の90 |
障害福祉サービス事業所が共生型通所介護を行う場合、所定単位数が減額されるとともに、中重度者ケア体制加算は算定できません。共生型を検討している事業所は、この点を収支に織り込んでおく必要があります。
プログラムの作成が求められる
中重度者ケア体制加算を算定している事業所にあっては、中重度の要介護者であっても社会性の維持を図り在宅生活の継続に資するケアを計画的に実施するプログラムを作成することとする。
告示の3要件には含まれていませんが、通知が求めている事項です。「受け入れる体制」だけでなく「何をするか」まで書けということ。重度だから安全管理だけ、ではなく、社会性の維持と在宅生活の継続に資する内容を、計画的なプログラムとして残してください。
通所リハビリの中重度者ケア体制加算との違い
| 項目 | 通所介護 | 通所リハビリ |
|---|---|---|
| 単位数 | 45単位/日 | 20単位/日 |
| 上乗せ配置 | 常勤換算2以上 | 常勤換算1以上 |
| 要介護3以上の割合 | 30%以上 | |
| 専従看護職員 | 提供時間帯を通じて1名以上 | |
| 共生型での算定 | 不可 | 共生型の制度なし |
単位数が2倍以上違うぶん、上乗せ配置の要件も倍(1以上→2以上)になっています。同名の加算でも別物です。他サービスの資料を流用すると必ず間違えます。
算定にあたっての実務ステップ
- 前年度(3月を除く)または前3月の利用実人員数・利用延人員数を、両方の方法で集計する
- 要支援者を除いたうえで、要介護3以上の割合が30%以上になる集計方法を選ぶ
- 暦月ごとの看護職員・介護職員の勤務延時間数を集計する
- 延長加算のために配置した職員の勤務時間を除外する
- 常勤の職員が勤務すべき時間数で除し、小数点第2位以下を切り捨てて2.0以上を確認する
- 提供時間帯を通じて専従(兼務なし)の看護職員1名以上を配置できるシフトを組む
- 社会性の維持と在宅生活の継続に資するケアのプログラムを作成する
- 都道府県知事へ届け出る
- 前3月実績で届け出た場合は、毎月の割合を記録し、下回ったら直ちに届け出る
- 認知症加算の要件も満たせないか、あわせて検討する
3〜5つ目は毎月やる作業です。年1回の確認では足りません。
よくある質問
要介護3以上の利用者にだけ算定するのですか?
違います。通知は「事業所を利用する利用者全員に算定することができる」としています。要件を満たせば要介護度を問わず全員に算定できます。
単位数はいくらですか?
通所介護では1日につき45単位です。通所リハビリの同名加算は20単位で異なります。
常勤換算2以上はいつの時点で判定しますか?
暦月ごとです。暦月の勤務延時間数を常勤職員が勤務すべき時間数で除して算定します。
延長加算で配置している職員の時間も数えられますか?
数えられません。通知は「サービス提供時間前後の延長加算を算定する際に配置する看護職員又は介護職員の勤務時間数は含めない」としています。
常勤換算の端数はどう処理しますか?
小数点第2位以下を切り捨てます。
要介護3以上の割合は実人員と延人員のどちらで計算しますか?
どちらでも構いません。通知は「利用実人員数又は利用延人員数を用いて算定する」としています。
要支援の人は分母に入りますか?
入りません。要支援者に関しては人員数には含めないとされています。
開設したばかりですが前年度実績で届け出られますか?
前年度の実績が6月に満たない事業所は、前年度の実績による届出はできません。前3月の実績による届出を検討することになります。
専従の看護職員は送迎を運転できますか?
できません。通知は「他の職務との兼務は認められない」としています。提供時間帯を通じて専従である必要があります。
認知症加算と併算定できますか?
できます。通知が「認知症加算の算定要件も満たす場合は、中重度者ケア体制加算の算定とともに認知症加算も算定できる」と明記しています。
共生型通所介護でも算定できますか?
できません。告示注11のただし書きにより、共生型通所介護の減算(注7)を算定している場合は算定しないとされています。
割合が30%を下回ったらどうしますか?
前3月実績で届け出た事業所は、毎月継続的に割合を維持する必要があり、下回った場合は直ちに届出を提出しなければなりません。
- 通所介護の中重度者ケア体制加算は1日につき45単位
- 要件を満たせば利用者全員に算定できる
- 要件はイ・ロ・ハの3つすべてを満たすこと
- イは人員基準に加えて看護職員または介護職員を常勤換算2以上
- ロは要介護3以上の利用者が30%以上
- ハは提供時間帯を通じて専従の看護職員1名以上
- イとハは別の要件で、両方を満たす必要がある
- 常勤換算の判定は暦月ごとに行う
- 延長加算のために配置した職員の勤務時間は算入できない
- 常勤換算の端数は小数点第2位以下を切り捨てる
- 割合は前年度(3月を除く)または前3月で判定する
- 実人員数と延人員数のどちらを使ってもよい
- 要支援者は人員数に含めない
- 前年度実績が6月未満なら前年度実績での届出はできない
- 前3月実績で届け出た場合は毎月の維持義務と記録義務がある
- 割合を下回ったら直ちに届出が必要
- 専従の看護職員は他の職務と兼務できない
- 認知症加算とは併算定できる(45+60=105単位/日)
- 共生型通所介護では算定できない
- 社会性の維持と在宅生活の継続に資するプログラムの作成が求められる
- 通所リハビリの同名加算は20単位・常勤換算1以上で別物
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号) 通所介護費 注7・注11(全国老人保健施設協会 法令Q&A検索システム)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号) 第15号
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス等に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号) 通所介護費(11)中重度者ケア体制加算について
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号) 第93条(従業者の員数)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および老企第36号の留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。常勤換算の計算方法、割合の集計方法、専従要件の判断、届出の様式・提出方法は、指定権者によって取扱いが異なる場合があります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。本文中の収益の試算は1単位10円で計算した概算です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。シフト設計や記録の残し方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。



