通所介護の2時間以上3時間未満とは?70%算定と対象になる利用者の要件を解説

通所介護で所要時間2時間以上3時間未満のサービスを提供した場合、所定単位数の100分の70で算定します。
誤解が多いのは、これが「短時間で帰ったから減る」という話ではない点です。
算定できるのは「心身の状況その他利用者のやむを得ない事情により、長時間のサービス利用が困難である利用者」に限られます。この基準に該当しない人に2時間のサービスを提供しても、70%算定という取扱いにはなりません。
つまりこれは減算ではなく、特定の利用者に対する短時間サービスの算定区分です。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生労働省告示第19号)通所介護費の注4と、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)十四を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 2時間以上3時間未満は所定単位数の70%で算定
- 対象は「長時間の利用が困難な利用者」に限られること
- 基となる単位数がイ(2)・ロ(2)・ハ(2)であること
- 減算ではなく算定区分であること
- 2時間未満の場合の扱い
- 個別機能訓練加算など他の加算との関係
ちびウルフ体調が悪くて2時間で帰った人がいたら、これで請求するんですか?
リハウルフそこが分かれ道です。この規定は「もともと長時間の利用が困難な人」に対して、計画的に短時間で提供する場合を想定しています。たまたま当日体調を崩して早退した場合は、通所介護計画に位置づけられた標準的な時間で算定するのが原則です。急な早退と、この規定は別の話ですね。
通所介護の2時間以上3時間未満の算定とは?
通所介護の2時間以上3時間未満の算定は、長時間の利用が難しい利用者に対して短時間の通所介護を行った場合の算定方法です。
通所介護は本来、半日から1日をかけて入浴・食事・機能訓練・レクリエーションを提供するサービスです。しかし、疲労が強い人、呼吸器疾患で長時間の離床が難しい人、認知症で環境に長くいられない人がいます。
こうした人が「長時間は無理だから通所介護は使えない」となるのを避けるために置かれているのがこの規定です。短時間でも通所介護を利用できる道を開き、その分は70%で算定するという設計になっています。
通所介護の2時間以上3時間未満の単位数
4 別に厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者に対して、所要時間2時間以上3時間未満の指定通所介護を行う場合は、注1の施設基準に掲げる区分に従い、イ(2)、ロ(2)又はハ(2)の所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定する。
基となるのは「(2)=3時間以上4時間未満」の単位数
70%を掛けるのはイ(2)・ロ(2)・ハ(2)の単位数です。これは各規模区分の「所要時間3時間以上4時間未満」の単位数を指します。
8時間の単位数の70%ではありません。最も短い時間区分の単位数に70%を掛けるため、実際の額はかなり小さくなります。
| 規模区分 | 該当する条文 |
|---|---|
| 通常規模型通所介護費 | イ(2) |
| 大規模型通所介護費(Ⅰ) | ロ(2) |
| 大規模型通所介護費(Ⅱ) | ハ(2) |
自事業所の規模区分に応じた(2)の単位数を確認してください。規模が大きいほど基礎となる単位数も低くなります。
通所介護の2時間以上3時間未満の算定要件
対象となる利用者
心身の状況その他利用者のやむを得ない事情により、長時間のサービス利用が困難である利用者
- 対象者が「長時間のサービス利用が困難」であること
- その理由が心身の状況その他のやむを得ない事情であること
- 所要時間が2時間以上3時間未満であること
「やむを得ない事情」の判断
告示は「心身の状況その他利用者のやむを得ない事情」とだけ書いており、具体的な状態像の列挙はありません。
心身の状況としては、易疲労性、呼吸器疾患による長時間離床の困難、認知症による環境適応の困難などが考えられます。「その他」の事情の範囲を含め、個別の判断は指定権者に確認してください。(該当例に関する記述は筆者の理解であり、告示に列挙されているものではありません)
届出は不要
注4には「届出を行った事業所において」という文言がありません。加算のような体制の届出は求められておらず、対象となる利用者に該当するかどうかで判定されます。
通所介護の2時間以上3時間未満の注意点
通所介護の所要時間は、現に要した時間ではなく、通所介護計画に位置づけられた内容を行うのに要する標準的な時間で算定するのが原則です(注1)。
当日の体調不良で早く帰った、送迎の都合で遅れて到着した、といった事情は、この規定が想定するものではありません。
この規定は、あらかじめ短時間での利用を計画に位置づける場合のものです。急な早退時の取扱いは指定権者に確認してください。
2時間未満の場合
通所介護費に2時間未満の区分はありません。所要時間が2時間に満たない場合の取扱いについては、告示本文に定めがありません。解釈通知および指定権者の取扱いを確認してください。
加算の扱い
注4は「イ(2)、ロ(2)又はハ(2)の所定単位数の100分の70」としており、基本報酬部分の算定方法を定めるものです。
個別機能訓練加算や入浴介助加算などの各加算は、それぞれの注に基づいて算定します。ただし、短時間の中でそれぞれの加算の要件(サービスの実施内容、時間)を満たせるかは別の問題です。個別機能訓練加算(Ⅰ)ロのように配置時間の要件があるものは、実施可能かを個別に確認してください。
ケアプラン上の位置づけ
- 長時間の利用が困難な理由をアセスメントで明確にする
- 居宅サービス計画に短時間利用の必要性を記載する
- 通所介護計画に2時間以上3時間未満の内容を位置づける
- 提供内容と時間を記録する
- 状態が改善した場合、時間区分の見直しを検討する
「長時間が困難」という状態は変わりうるものです。短時間から始めて通所に慣れ、通常の時間区分に移行できるケースもあります。定期的な見直しをおすすめします。(運用に関する記述は筆者の実務経験にもとづく整理です)
通所介護の2時間以上3時間未満のQ&A
誰にでも2時間で算定できますか?
できません。心身の状況その他やむを得ない事情により長時間のサービス利用が困難である利用者に限られます。
何の単位数の70%ですか?
イ(2)・ロ(2)・ハ(2)、つまり所要時間3時間以上4時間未満の単位数の70%です。
これは減算ですか?
条文は「100分の70に相当する単位数を算定する」という算定方法の規定で、減算という名称は使われていません。
体調不良で早退した場合に使えますか?
所要時間は通所介護計画上の標準的な時間で算定するのが原則です。急な早退時の取扱いは指定権者に確認してください。
届出は必要ですか?
注4に届出の文言はありません。
2時間未満の場合はどうなりますか?
告示本文に定めがありません。解釈通知および指定権者の取扱いを確認してください。
加算も70%になりますか?
注4は基本報酬部分の算定方法を定めるものです。各加算はそれぞれの注に基づきます。
「やむを得ない事情」に具体例はありますか?
告示に列挙はありません。個別の判断は指定権者に確認してください。
- 2時間以上3時間未満は所定単位数の100分の70で算定
- 基礎となるのはイ(2)・ロ(2)・ハ(2)=3時間以上4時間未満の単位数
- 8時間区分の70%ではない
- 対象は「心身の状況その他やむを得ない事情により長時間の利用が困難な利用者」
- 誰にでも適用できるものではない
- 減算ではなく算定方法の規定
- 注4に届出の要件はない
- 所要時間は原則として通所介護計画上の標準的な時間で判定する
- 2時間未満の取扱いは告示本文に定めがない
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生労働省告示第19号)別表 通所介護費の注1、注4、イ・ロ・ハ(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)十四 通所介護費の注4の厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の算定方法・要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・政令市・中核市)の解釈をご確認ください。解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「やむを得ない事情」の具体的な範囲、2時間未満の場合の取扱い、急な早退時の取扱い、短時間利用時の各加算の算定可否については告示本文に明記がなく、解釈通知および指定権者の取扱いによります。所在自治体に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

おすすめ本-640x360.png)


