訪問入浴と訪問看護・訪問介護は併用できる?同日と同一時間帯の違いを解説

訪問入浴介護は、訪問看護とも訪問介護とも同じ日に使えます。制限がかかるのは「同じ日か」ではなく「同じ時間帯か」、そして「利用者がどこにいるか」です。
老企第36号 第二の1(2)は、算定できない組み合わせを明示しています。読み解くと、訪問入浴介護が算定できなくなるのは大きく3つの場面です。①特定施設・グループホームに入居している間、②ショートステイを受けている間、③同一時間帯に通所サービスを利用している場合。
逆に言えば、在宅にいて、時間帯が重なっていなければ、訪問看護とも訪問介護とも併用できます。訪問入浴の前に訪問看護が入って状態を確認する、といった組み方は制度上まったく問題ありません。
この記事では、老企第36号、省令37号、令和6年度改定資料を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 訪問入浴と訪問看護・訪問介護は同日に併用できること
- 制限がかかるのは「同一時間帯」であること
- 特定施設・グループホーム入居中は算定できない理由
- ショートステイ中に訪問入浴が算定できないこと
- 通所サービスと同一時間帯に利用できない理由
- 訪問看護師が訪問入浴の看護職員を兼ねられるか
- 訪問看護の入浴介助と訪問入浴介護の違い
- 同一建物減算が訪問入浴にもかかること
- 区分支給限度基準額への影響(1回1,266単位の重さ)
- 併用を組むときのケアプラン上の注意点
同日の併用はできる。制限は「同一時間帯」
老企第36号 第二の1(2)が、算定関係の基本ルールです。
また、同一時間帯に通所サービスと訪問サービスを利用した場合は、訪問サービスの所定単位数は算定できない。例えば、利用者が通所サービスを受けている時間帯に本人不在の居宅を訪問して掃除等を行うことについては、訪問介護の生活援助として行う場合は、本人の安否確認・健康チェック等も合わせて行うべきものであることから、訪問介護(生活援助が中心の場合)の所定単位数は算定できない(利用者不在時の訪問サービスの取扱いについては、当該時間帯に通所サービスを利用するかどうかにかかわらず、同様である。)。
| 組み合わせ | 同日 | 同一時間帯 |
|---|---|---|
| 訪問入浴介護 × 訪問看護 | 可能 | 不可 |
| 訪問入浴介護 × 訪問介護 | 可能 | 不可 |
| 訪問入浴介護 × 訪問リハビリテーション | 可能 | 不可 |
| 訪問入浴介護 × 通所介護・通所リハビリ | 可能 | 不可 |
| 訪問入浴介護 × 居宅療養管理指導 | 可能 | ― |
訪問入浴介護は、利用者本人に対して3人がかりで提供するサービスです。その時間に別の訪問サービスを受けることは、物理的に成り立ちません。
制度が「同一時間帯は算定できない」としているのは、同じ時間に2つのサービスを受けたことにして二重に請求することを防ぐ趣旨です。時間帯をずらせば、何の問題もありません。
実務でよくある組み方
- 訪問看護 → 訪問入浴:看護師が先に入って状態を確認し、そのうえで入浴する。医療的ケアのある方でよく使う
- 訪問入浴 → 訪問介護:入浴後に居室の整えや洗濯を行う
- 訪問介護 → 訪問入浴:入浴前に排泄介助を済ませておく
いずれも時間帯を分けて位置付ければ算定できます。訪問記録の開始・終了時刻が重なっていないことが要件です。ここが重なっていると、どちらかが査定されます。
特定施設・グループホームに入居している間は算定できない
同じ老企第36号 第二の1(2)の前段です。
特定施設入居者生活介護又は認知症対応型共同生活介護若しくは地域密着型特定施設入居者生活介護を受けている間については、その他の指定居宅サービス又は指定地域密着型サービスに係る介護給付費(居宅療養管理指導費を除く。)は算定しないものであること。ただし、特定施設入居者生活介護又は認知症対応型共同生活介護の提供に必要がある場合に、当該事業者の費用負担により、その利用者に対してその他の居宅サービス又は地域密着型サービスを利用させることは差し支えないものであること。
| 居所 | 訪問入浴介護の算定 |
|---|---|
| 自宅 | 算定できる |
| サービス付き高齢者向け住宅・住宅型有料老人ホーム(外部サービス利用) | 算定できる(同一建物減算の対象になりうる) |
| 介護付き有料老人ホーム等(特定施設入居者生活介護を受けている間) | 算定できない |
| グループホーム(認知症対応型共同生活介護を受けている間) | 算定できない |
| 地域密着型特定施設 | 算定できない |
ポイントは「建物の種類」ではなく「どのサービスを受けているか」です。同じ有料老人ホームでも、特定施設入居者生活介護を受けているかどうかで結論が変わります。住宅型で外部の居宅サービスを使っている方なら、訪問入浴介護を算定できます。
条文のただし書きは、「当該事業者の費用負担により」その他の居宅サービスを利用させることは差し支えないとしています。
つまりグループホームが自らの費用で訪問入浴を頼むことはできるということです。介護保険からは給付されず、事業者の持ち出しになります。設備の都合で入浴が難しい施設では、実際に検討される選択肢です。
ショートステイを受けている間も算定できない
同じ(2)の続きです。
また、短期入所生活介護又は短期入所療養介護を受けている間については、訪問介護費、訪問入浴介護費、訪問看護費、訪問リハビリテーション費、居宅療養管理指導費、通所介護費及び通所リハビリテーション費並びに定期巡回・随時対応型訪問介護看護費、夜間対応型訪問介護費、地域密着型通所介護費、認知症対応型通所介護費、小規模多機能型居宅介護費及び複合型サービス費は算定しないものであること。
ショートステイ中は施設で入浴の機会があるため、訪問入浴介護は算定できません。なお、この列挙に福祉用具貸与費は入っていません。同(2)の末尾は「福祉用具貸与費については、短期入所生活介護又は短期入所療養介護を受けている者についても算定が可能である」と明記しています。
訪問看護師が訪問入浴の看護職員を兼ねられるか
実務でよく出る質問です。結論から言うと、同一時間帯に両方を算定することはできません。
| 形 | 算定 | 考え方 |
|---|---|---|
| 訪問入浴事業所の看護職員が3人体制の1人として入る | 訪問入浴介護費のみ | 本来の形 |
| 訪問看護ステーションの看護師が、訪問入浴の看護職員として入る | 訪問入浴介護費のみ | その時間は訪問入浴の従業者として動いている |
| 訪問看護と訪問入浴を同一時間帯に別々に算定 | 不可 | 同一時間帯の重複 |
| 訪問看護(前)→ 訪問入浴(後)と時間を分ける | 両方算定できる | 時間帯が分かれていれば可 |
看護職員の確保が難しい事業所が、訪問看護ステーションと連携して看護師を確保する形はあります。ただしその場合、その看護師はその時間、訪問入浴介護事業所の従業者として動いています。訪問看護費を別に算定することはできません。
ちびウルフ訪問看護でも入浴介助ってできますよね? どう使い分けるんですか?
リハウルフできます。ただし訪問看護の入浴介助は、自宅の浴槽を使う前提です。訪問入浴介護は、専用の浴槽を車で運んで組み立てる。まったく別物です。
だから使い分けの軸は「自宅の浴室で入れるかどうか」。浴室まで移動できて、湯船をまたげるなら訪問看護や訪問介護の入浴介助で足ります。寝たきりで浴室に入れないなら訪問入浴。ここを取り違えて「訪問入浴を入れたが自宅の風呂で足りた」というケースは、限度額の無駄遣いになります。
同一建物減算は訪問入浴にもかかる
老企第36号 第二の3(6)は、次のとおりです。
指定訪問入浴介護事業所と同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物若しくは指定訪問介護事業所と同一の建物等に居住する利用者に対する取扱い
訪問介護と同様であるので、2の(16)①〜⑤を参照されたい。
訪問入浴介護には独自の規定がなく、訪問介護の同一建物減算のルールがそのまま適用されます。サービス付き高齢者向け住宅や集合住宅にまとめて訪問している事業所は、この減算の対象になりえます。
減算率の考え方や90%判定の詳細は、訪問介護の同一建物減算の記事で整理しています。訪問入浴は1回の単位が大きいため、減算の影響額も大きくなります。
区分支給限度基準額への影響が大きい
併用を考えるうえで避けて通れないのが限度額です。訪問入浴介護は1回あたりの単位が突出しています。
| サービス | 令和6年度の単位(1回) |
|---|---|
| 訪問入浴介護 | 1,266単位 |
| 介護予防訪問入浴介護 | 856単位 |
| 訪問介護(身体介護30分以上1時間未満) | 387単位 |
| 訪問看護(ステーション・30分以上1時間未満) | 823単位 |
| 訪問リハビリテーション(1回20分) | 308単位 |
週2回の訪問入浴で、月8回なら約10,128単位。要介護3の区分支給限度基準額(27,048単位)の約4割を占めます。要介護1・2ではさらに厳しい。
- 訪問入浴を入れると、他サービスに回せる枠が大きく減る
- 要介護度が低いほど、限度額の側から先に制約が来る
- 「併用できるか」より「限度額に収まるか」が実際の論点になることが多い
ケアプランを組むときの確認順序
- 利用者の居所を確認する(特定施設・グループホームでないか)
- 自宅の浴室で入浴できないことを、アセスメントで具体的に確認する
- 訪問入浴の曜日・時間帯を決め、他の訪問サービスと重ならないよう調整する
- ショートステイの利用日と重複していないか、月間の予定表で突き合わせる
- 通所サービスの利用時間帯と重なっていないか確認する
- 区分支給限度基準額に収まるか、他サービスと合算して計算する
- 同一建物減算の対象となる住まいかどうかを事業所に確認する
4つ目を落としがちです。ショートステイの日程が後から変更になり、訪問入浴の予定と重なるという事故は実際に起きます。月の予定が動いたら、必ず突き合わせ直してください。
ちびウルフショートの日に間違って訪問入浴が入っちゃったら、どうなるんですか?
リハウルフ訪問入浴介護費は算定できません。通知が名指しで「算定しない」と書いているので、争う余地がない。サービスは提供したのに報酬が入らないという、事業所にとって最悪の形です。
担当したケースでも、ショートの延長が事業所に伝わっておらず、当日訪問して空振り、という事故がありました。予定変更の連絡経路を、ケアマネから全事業所に一斉に流す形にしておくのが確実です。事業所同士の横の連絡に期待しないほうがいい。
よくある質問
訪問入浴と訪問看護は同じ日に使えますか?
使えます。制限がかかるのは同一時間帯です。時間帯を分けて位置付ければ、両方算定できます。
訪問入浴と訪問介護は同じ日に使えますか?
使えます。訪問入浴の前後に排泄介助や居室の整えを入れる組み方は一般的です。時間帯が重ならないようにしてください。
デイサービスの日に訪問入浴を入れられますか?
同一時間帯でなければ可能です。老企第36号は「同一時間帯に通所サービスと訪問サービスを利用した場合は、訪問サービスの所定単位数は算定できない」としています。
グループホームに訪問入浴は入れますか?
認知症対応型共同生活介護を受けている間は算定できません。ただし当該事業者の費用負担により利用させることは差し支えないとされています。
有料老人ホームではどうですか?
特定施設入居者生活介護を受けている間は算定できません。住宅型で外部の居宅サービスを利用している場合は算定できますが、同一建物減算の対象になりえます。
ショートステイ中に訪問入浴は使えますか?
使えません。短期入所生活介護・短期入所療養介護を受けている間は、訪問入浴介護費を算定しないと通知に明記されています。
ショートステイ中に使える居宅サービスはありますか?
福祉用具貸与費は、短期入所生活介護・短期入所療養介護を受けている者についても算定が可能とされています。
訪問看護師が訪問入浴の看護職員として入れますか?
その時間は訪問入浴介護事業所の従業者として動くことになり、訪問看護費を別に算定することはできません。訪問入浴介護費のみの算定になります。
訪問看護の入浴介助と訪問入浴介護はどう違いますか?
訪問看護・訪問介護の入浴介助は自宅の浴室・浴槽を使います。訪問入浴介護は専用の浴槽を車で運んで組み立てます。自宅の浴室で入浴できるかどうかが使い分けの軸です。
訪問入浴にも同一建物減算はありますか?
あります。老企第36号 第二の3(6)は「訪問介護と同様である」として、訪問介護の同一建物減算の規定を参照させています。
訪問入浴は限度額をどれくらい使いますか?
令和6年度で1回1,266単位です。週2回・月8回で約10,128単位となり、要介護3の区分支給限度基準額27,048単位の約4割を占めます。
予定が重なってしまった場合はどうなりますか?
ショートステイ中や同一時間帯の重複では、訪問入浴介護費を算定できません。サービスを提供しても報酬が発生しないため、予定変更の連絡経路を整えておくことが重要です。
- 訪問入浴介護は、訪問看護・訪問介護と同じ日に併用できる
- 制限がかかるのは「同一時間帯」であって「同日」ではない
- 同一時間帯に通所サービスと訪問サービスを利用した場合、訪問サービスは算定できない
- 訪問記録の開始・終了時刻が重なっていないことが要件
- 訪問看護→訪問入浴という組み方は、医療的ケアのある方でよく使う
- 特定施設入居者生活介護を受けている間は算定できない
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を受けている間も算定できない
- 地域密着型特定施設入居者生活介護も同様
- 判断軸は「建物の種類」ではなく「どのサービスを受けているか」
- 住宅型有料老人ホームやサ高住で外部サービスを使う場合は算定できる
- ただし同一建物減算の対象になりうる
- 特定施設等が自らの費用負担で利用させることは差し支えない
- 短期入所生活介護・短期入所療養介護を受けている間は算定できない
- ショートステイ中でも福祉用具貸与費は算定できる
- 訪問看護師が訪問入浴の看護職員として入る場合、訪問看護費は別に算定できない
- 時間帯を分ければ、訪問看護と訪問入浴の両方を算定できる
- 訪問看護・訪問介護の入浴介助は自宅の浴室を使う点で訪問入浴と別物
- 使い分けの軸は「自宅の浴室で入浴できるかどうか」
- 同一建物減算は訪問介護の規定がそのまま適用される
- 訪問入浴は1回1,266単位で、限度額への影響が大きい
- 週2回・月8回で要介護3の限度額の約4割を占める
- 要介護度が低いほど、限度額の側から先に制約が来る
- ショートステイの日程変更と訪問入浴の予定の突き合わせを忘れない
- 予定変更はケアマネから全事業所へ一斉に流す形が確実
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)第二の1(2)サービス種類相互の算定関係について、(3)施設入所日及び退所日等における居宅サービスの算定について、第二の3(6)(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第44条、第45条、第50条(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)訪問入浴介護 基本報酬、訪問介護 基本報酬、訪問看護 基本報酬
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の省令、告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者・保険者の解釈をご確認ください。同一時間帯の判定、看護職員の確保にあたっての事業所間の連携の取扱い、同一建物減算の適用範囲は、保険者によって解釈・運用が異なる場合があります。区分支給限度基準額の計算例は1単位10円の地域を前提とした概算であり、実際の単位数は地域区分や加算の有無により異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。ケアプランの組み方や連絡経路の整備に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




