訪問入浴で看護師が同行できない時はどうする?介護職員3人と95%減算を解説

訪問入浴介護は、原則として看護職員1人+介護職員2人の3人体制で行います。では、看護職員が休みで同行できない日はどうするのか。
答えは条文にあります。指定居宅サービス等基準(省令37号)第50条第6号のただし書きです。「利用者の身体の状況が安定していること等から、入浴により利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合においては、主治の医師の意見を確認した上で、看護職員に代えて介護職員を充てることができる。」
つまり介護職員3人でも提供できます。ただし条件が2つ。①利用者の身体の状況が安定していること等から支障を生ずるおそれがないと認められること、②主治の医師の意見を確認すること。そして報酬は所定単位数の95%になります。
この記事では、省令37号、老企第36号、老企第25号、令和6年度改定資料を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 看護職員が同行できない場合に介護職員3人で提供できる根拠
- そのために必要な2つの条件
- 「主治の医師の意見を確認」が事前に必要であること
- 95%減算の計算と、実際の単位数
- 看護職員が2人いても減算になるケース(見落としやすい)
- 看護職員を介護職員として数えられるという人員の取扱い
- 入浴を見合わせた場合の扱いと、清拭・部分浴の90%
- 95%と90%を取り違えないための整理
- 介護予防と一体的に運営する場合の人員の特例
- 当日の判断で介護職員3人に切り替えられるかどうか
原則は看護職員1人+介護職員2人の3人体制
まず原則を確認します。省令37号 第45条です。
指定訪問入浴介護事業者が当該事業を行う事業所ごとに置くべき指定訪問入浴介護の提供に当たる従業者の員数は、次のとおりとする。
一 看護師又は准看護師(看護職員) 一以上
二 介護職員 二以上
2 前項の訪問入浴介護従業者のうち一人以上は、常勤でなければならない。
そして提供時の体制を定めるのが第50条第6号です。
指定訪問入浴介護の提供は、一回の訪問につき、看護職員一人及び介護職員二人をもって行うものとし、これらの者のうち一人を当該サービスの提供の責任者とする。
ただし、利用者の身体の状況が安定していること等から、入浴により利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合においては、主治の医師の意見を確認した上で、看護職員に代えて介護職員を充てることができる。
| 体制 | 報酬 | |
|---|---|---|
| 原則 | 看護職員1人+介護職員2人 | 所定単位数(100%) |
| 例外 | 介護職員3人 | 所定単位数の95% |
第50条第6号は、3人のうち1人を「当該サービスの提供の責任者」とすることも求めています。誰が責任者かを決めずに3人で行く運用は、条文の求めから外れます。
訪問介護の「サービス提供責任者」とは別の概念で、その回の訪問における現場責任者という意味です。記録上、誰が責任者だったか分かるようにしておいてください。
介護職員3人で行う場合の2つの条件
- ①状態要件:利用者の身体の状況が安定していること等から、入浴により身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められること
- ②手続要件:主治の医師の意見を確認した上で行うこと
実務でつまずくのは②です。「主治の医師の意見を確認した上で」とあるので、事後ではなく事前です。看護職員が急に休んだから今日だけ介護職員3人で、という運用は、条文の順序と合いません。
条文が求めているのは「利用者の身体の状況」を軸にした判断であって、事業所の人員都合ではありません。あらかじめ主治医の意見を確認してある利用者であれば、介護職員3人での提供に切り替えられます。
逆に、確認していない利用者について当日その場で切り替えることは、要件を満たしません。現実的な備えは、状態が安定している利用者について、あらかじめ主治医の意見を取っておくことです。担当したケースの事業所でも、契約時に併せて確認しておく運用にしていました。
なお「主治の医師の意見」の形式について、条文は書面を明示していません。記録として残せる形にしておくのが安全です。取扱いは保険者に確認してください。
95%減算はいくらになるか
令和6年度の訪問入浴介護の基本報酬は次のとおりです。改定で引き上げられました。
| 区分 | 改定前 | 令和6年度 | 介護職員3人(95%) |
|---|---|---|---|
| 訪問入浴介護 | 1,260単位 | 1,266単位 | 1,202単位(1,266×0.95、小数点以下切り捨て) |
| 介護予防訪問入浴介護 | 852単位 | 856単位 | 813単位(856×0.95、小数点以下切り捨て) |
差額は1回あたり約64単位です。週2回利用なら月に約512単位。事業所にとっては小さくない額です。
看護職員が2人いても減算になる
ここが見落とされやすい論点です。老企第36号 第二の3(4)は次のとおりです。
注4の場合に、訪問入浴介護の提供に当たる3人の職員のうち、看護職員が含まれている場合であっても所定単位数に100分の95を乗じて得た単位数が算定されることには変わりがないものであること。
「看護職員に代えて介護職員を充てる」という取扱いを適用した回は、たまたま看護職員が同行していても95%です。減算の判定は「その日誰が来たか」ではなく「どの体制で提供する取扱いにしたか」で決まる、と読むのが素直です。
ちびウルフ看護師が来てるのに減算って、納得いかないんですけど。
リハウルフ感覚としては分かります。ただ、この通知が想定しているのは「3人のうち2人が看護職員で、1人が介護職員」といった配置のようなケースです。
もう一つ押さえておくべき取扱いがあって、老企第36号 第二の3(1)は「人員の算定上、看護職員を介護職員として数えることができる」としています。「訪問する3人の職員のうち2人が看護職員であっても差し支えない」と例示まで付いている。つまり看護職員2人+介護職員1人なら、原則体制として100%で算定できます。減算になるのは、あくまで「看護職員に代えて介護職員を充てる」ルートを使った場合です。
人員の算定では、看護職員を介護職員として数えられる
もう一度、老企第36号 第二の3(1)を正確に引用します。
訪問入浴介護については、人員の算定上、看護職員を介護職員として数えることができるものであること。例えば、訪問する3人の職員のうち2人が看護職員であっても差し支えないこと。
| 当日の3人の構成 | 原則体制を満たすか | 報酬 |
|---|---|---|
| 看護職員1人+介護職員2人 | 満たす | 100% |
| 看護職員2人+介護職員1人 | 満たす(看護職員を介護職員として数える) | 100% |
| 看護職員3人 | 満たす(同上) | 100% |
| 介護職員3人(第50条第6号ただし書きを適用) | 例外 | 95% |
したがって、看護職員が1人でも確保できていれば減算になりません。減算が発生するのは、看護職員が1人も同行しない場合です。人員が厳しい日は、まず看護職員を1人確保できないかを検討する、という順序になります。
95%と90%を取り違えない
訪問入浴介護には、性質の違う2つの割合が出てきます。混同が非常に多いところです。
| 95% | 90% | |
|---|---|---|
| 何の話か | 提供する職員の体制 | 提供したサービスの内容 |
| 場面 | 看護職員に代えて介護職員を充てた | 心身の状況により入浴を見合わせ、希望により清拭・部分浴を実施した |
| 根拠 | 省令37号 第50条第6号ただし書き 老企第36号 第二の3(4) | 老企第36号 第二の3(5) |
| 令和6年度の単位 | 1,202単位 | 1,139単位(1,266×0.9、小数点以下切り捨て) |
老企第36号 第二の3(5)の原文です。
実際に入浴を行った場合に算定の対象となり、入浴を見合わせた場合には算定できない。ただし、利用者の希望により清拭、部分浴を実施した場合には、所定単位数に100分の90を乗じて得た単位数を算定できる。
- 入浴を見合わせ、清拭も部分浴もしなかった → 算定できない(0)
- 入浴を見合わせ、利用者の希望により清拭・部分浴を実施 → 90%
- 介護職員3人で入浴を実施 → 95%
- 介護職員3人で、清拭・部分浴を実施 → 両方の取扱いが重なる(保険者に確認を推奨)
90%の要件でとくに重要なのは「利用者の希望により」という文言です。事業所の判断で清拭に切り替えた、というだけでは条文の文言に合いません。希望を確認した事実を記録に残してください。
老企第25号 第三の二の3(2)①は、次のとおり書いています。
「指定訪問入浴介護の提供に当たっては、利用者の心身の状況により、訪問時に全身入浴が困難な場合は、利用者の希望により、『清しき』又は『部分浴(洗髪、陰部、足部等)』を実施するなど、適切なサービス提供に努めること。」
「入浴できないなら帰る」ではなく、できる範囲で提供せよという趣旨です。90%の減算は、そのための受け皿として用意されています。
介護予防と一体的に運営する場合の特例
省令37号 第45条第3項には、人員基準の特例があります。
指定訪問入浴介護事業者が指定介護予防訪問入浴介護事業者の指定を併せて受け、かつ、指定訪問入浴介護の事業と指定介護予防訪問入浴介護の事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合については、指定介護予防サービス等基準第47条第1項及び第2項に規定する人員に関する基準を満たすことに加え、介護職員を一人置くことをもって、前二項に規定する基準を満たしているものとみなすことができる。
介護予防訪問入浴介護の人員基準は看護職員1人+介護職員1人の2人体制です。一体的に運営する場合、その2人に介護職員を1人加えれば、介護給付側の3人体制の基準も満たしたものとみなせます。
設備・器具の消毒も条文事項
看護職員の同行と直接の関係はありませんが、同じ第50条に置かれた義務なので押さえておきます。
指定訪問入浴介護の提供に当たっては、サービスの提供に用いる設備、器具その他の用品の使用に際して安全及び清潔の保持に留意し、特に利用者の身体に接触する設備、器具その他の用品については、サービスの提供ごとに消毒したものを使用する。
「サービスの提供ごとに」です。1日の終わりにまとめて、ではありません。訪問入浴は複数の利用者宅を回るサービスなので、ここは実地指導でも確認されます。
緊急時の対応も定めが必要
第51条は、提供中に病状の急変が生じた場合その他必要な場合について、「速やかに主治の医師又はあらかじめ当該指定訪問入浴介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置」を求めています。
老企第25号 第三の二の3(3)は、協力医療機関について「事業の通常の実施地域内にあることが望ましい」「あらかじめ必要な事項を取り決めておくこと」としています。介護職員3人で行く日ほど、この体制が効いてきます。
ちびウルフ看護師がいない日は、バイタルは誰が測るんですか?
リハウルフ介護職員が測って構いません。体温測定と自動血圧測定器による血圧測定は、原則として医行為ではないと厚生労働省の通知(医政発第0726005号)が明示しています。
ただし同じ通知に「測定された数値を基に投薬の要否など医学的な判断を行うことは医行為」とあります。測った値をどう扱うかが問題です。だから介護職員3人で行く日は、「この値なら中止」という基準をあらかじめ決めておくことが実務上ほぼ必須になります。判断をその場の介護職員に背負わせない設計にしてください。
よくある質問
看護職員が同行できない場合、訪問入浴はできませんか?
できます。省令37号 第50条第6号ただし書きにより、利用者の身体の状況が安定していること等から支障を生ずるおそれがないと認められる場合に、主治の医師の意見を確認したうえで、看護職員に代えて介護職員を充てることができます。
その場合の報酬はいくらですか?
所定単位数の95%です。令和6年度の訪問入浴介護1,266単位に対して1,202単位、介護予防訪問入浴介護856単位に対して813単位になります(小数点以下切り捨て)。
主治医の意見は当日でも間に合いますか?
条文は「主治の医師の意見を確認した上で」としており、事前の確認が前提です。状態が安定している利用者については、あらかじめ確認しておく運用が現実的です。
看護職員が2人いても減算になりますか?
老企第36号 第二の3(4)は「3人の職員のうち看護職員が含まれている場合であっても95%」としています。ただし別途、人員の算定上は看護職員を介護職員として数えることができ、「3人のうち2人が看護職員であっても差し支えない」ともされています。個別の判定は保険者に確認してください。
看護職員3人で提供してもよいですか?
人員の算定上、看護職員を介護職員として数えることができるため、原則体制を満たします。
入浴を見合わせた場合は算定できますか?
できません。ただし利用者の希望により清拭または部分浴を実施した場合は、所定単位数の90%を算定できます。
95%と90%はどう違いますか?
95%は職員の体制(看護職員に代えて介護職員を充てた場合)、90%はサービスの内容(入浴を見合わせ清拭・部分浴を実施した場合)です。根拠となる条文も別です。
事業所の判断で清拭に切り替えても90%で算定できますか?
条文は「利用者の希望により清拭、部分浴を実施した場合」としています。希望を確認した事実を記録に残してください。
3人のうち責任者を決める必要がありますか?
あります。第50条第6号は「これらの者のうち一人を当該サービスの提供の責任者とする」と定めています。
介護予防と一体運営する場合の人員は?
指定介護予防訪問入浴介護の人員基準(看護職員1人・介護職員1人)を満たすことに加え、介護職員を1人置くことで、介護給付側の基準を満たしたものとみなすことができます。
介護職員がバイタルを測ってもよいですか?
体温測定と自動血圧測定器による血圧測定は、原則として医行為ではないと厚生労働省の通知(医政発第0726005号)が示しています。ただし測定値をもとに投薬の要否など医学的判断を行うことは医行為です。
浴槽や器具の消毒はいつ行いますか?
省令37号 第50条第7号は「サービスの提供ごとに消毒したものを使用する」と定めています。1日の終わりにまとめて行う運用は要件を満たしません。
- 訪問入浴介護の原則は看護職員1人+介護職員2人の3人体制
- 事業所の人員基準は看護職員1以上・介護職員2以上、うち1人以上が常勤
- 3人のうち1人をサービス提供の責任者とすることが条文で求められている
- 看護職員が同行できない場合、介護職員3人で提供できる
- 条件は①身体の状況が安定し支障のおそれがないこと、②主治の医師の意見を確認すること
- 「確認した上で」なので、事前の確認が前提
- 状態が安定している利用者は、あらかじめ意見を取っておくのが現実的
- 介護職員3人の場合は所定単位数の95%
- 令和6年度は1,266単位→1,202単位、介護予防は856単位→813単位
- 差額は1回あたり約64単位
- 人員の算定上、看護職員を介護職員として数えることができる
- 「3人のうち2人が看護職員であっても差し支えない」と通知に例示がある
- 看護職員が1人でも確保できていれば、原則体制として算定できる
- 95%は職員体制、90%はサービス内容の話で、根拠条文が別
- 入浴を見合わせた場合は算定できない
- 利用者の希望により清拭・部分浴を実施した場合は90%
- 「利用者の希望により」が要件なので、希望の確認を記録に残す
- 通知は全身入浴が困難な場合の清拭・部分浴を積極的に位置付けている
- 介護予防と一体運営する場合は、予防の基準+介護職員1人でみなすことができる
- 身体に接触する設備・器具は、サービスの提供ごとに消毒したものを使用する
- 緊急時は主治医または協力医療機関へ速やかに連絡する体制が必要
- 介護職員3人で行く日は、中止基準をあらかじめ決めておくことが実務上ほぼ必須
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第45条(従業者の員数)、第46条(管理者)、第50条(指定訪問入浴介護の具体的取扱方針)、第51条(緊急時等の対応)(e-Gov法令検索)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)第二の3(1)看護、介護職員の取扱い、(4)利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合の取扱い、(5)利用者の心身の状況により入浴を見合わせた場合の取扱い(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について(平成11年9月17日 老企第25号)第三の二の1、2、3(2)(3)(全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)訪問入浴介護 基本報酬
- 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(平成17年7月26日 医政発第0726005号)(PDF)別紙1・2、注2(厚生労働省)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の省令、告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者・保険者の解釈をご確認ください。「主治の医師の意見」の確認方法や記録の形式、看護職員が同行している場合の減算判定、95%と90%が重なる場合の取扱いは、保険者によって解釈・運用が異なる場合があります。単位数の端数処理を含め、個別の請求方法は保険者にご確認ください。単位数は1単位10円の地域を前提とした表記で、実際の金額は地域区分により異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。中止基準の事前設定や事前の意見確認の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




