「訪問看護のとき、スリッパは履くべき?それとも履かない方がいいの?」
「利用者さんにスリッパを差し出されたら、断っても失礼にならない?」

訪問看護や訪問リハの現場で、意外と多くの人が迷うのが「スリッパのマナー」です。「履くのが礼儀」「素足が清潔」など人によって言うことが違い、何が正解か分かりにくいですよね。結論からいえば、スリッパのマナーに一律の正解はなく、利用者さんに合わせた臨機応変な対応がベストです。訪問看護・訪問リハを合わせて10年以上続けてきた経験から、現場で本当に役立つスリッパの考え方を解説します。

この記事でわかること
  • 訪問看護でスリッパを履くべきか・履かないべきかの考え方
  • 利用者さんのタイプ別・スリッパ対応のコツ
  • ステーション側からスリッパを履いた方がよい家の特徴
  • 現場でよくある「スリッパあるある」と注意点

訪問看護のスリッパのマナーに「絶対の正解」はない

ちびウルフちびウルフ

訪問看護のときって、スリッパは履くのがマナーなの?

リハウルフリハウルフ

実はね、「履くべき」「履かないべき」と決めつけるのは違うんだ。大事なのは利用者さんがどう思っているか。臨機応変が正解だよ。

結論からお伝えします。訪問看護でのスリッパは、「臨機応変に対応する」のが正解だと考えています。

「履くべきである」「履かない方がよい」という意見は、どちらも訪問看護提供者側の主観に過ぎません。本当に大切なのは、利用者さんがスリッパについてどう感じているかを理解したうえで、履くか履かないかを判断することです。マナーの軸を「自分の都合」ではなく「利用者さんの気持ち」に置くと、迷いがぐっと減ります。

利用者さんのタイプ別・スリッパ対応のコツ

ひと口に「スリッパを差し出される」といっても、その背景にある気持ちはさまざまです。代表的な3つのタイプ別に、おすすめの対応を整理しました。

利用者さんのタイプおすすめの対応
元々スリッパを履く習慣がある素直に履く
提供者の靴下が汚れないか心配してくれる履く/丁重にお断りしてもOK
自宅が汚れるのが嫌で履いてほしい必ず履く(断らない)

① 元々スリッパを履く習慣がある人

「よかったら使ってください」とスリッパを差し出してくれる利用者さんの場合は、素直に履くのが無難です。その人にとっての“普通”が「来客にもスリッパを履いてもらうこと」なので、何も考えず、ありがたく履かせてもらいましょう

② 訪問看護提供者のことを心配してくれる人

看護師やセラピストの靴下が汚れないように、と気遣ってスリッパを出してくれる方もいます。この場合も、気持ちをありがたく受け取って履かせてもらうのが正解です。

ポイントこのタイプは、丁重にお断りしても問題ありません。スリッパを勧める理由が「提供者を思っての行動」だからです。「お気遣いありがとうございます。靴下のままで大丈夫ですよ」と笑顔で伝えれば、関係を損なうことはありません。

③ 自宅が汚れるのが嫌だから履いてほしい人

「家を汚されたくない」という理由でスリッパを履いてほしい利用者さんもいます。この場合に遠慮して断ると、相手を不快にさせてしまうので要注意です。訪問看護提供者はさまざまな家を回るため、どんな環境を通ってきた靴下か分からない——そう感じる方がいるのは自然なこと。差し出されたら必ず履きましょう。

注意空気を読まずに③のタイプの利用者さんのスリッパを断ってしまうと、信頼関係に大きなヒビが入ることがあります。「なぜスリッパを勧めてくれているのか」を一瞬考える習慣をつけましょう。

ステーション側の判断でスリッパを履いた方がよい家

ちびウルフちびウルフ

利用者さんから言われなくても、こっちからスリッパを履いた方がいい家もあるの?

リハウルフリハウルフ

あるよ。感染対策や安全の面から、こちらの判断でシューズカバーやスリッパを使うべき家もあるんだ。

利用者さんからの申し出がなくても、訪問看護ステーション側の判断でスリッパやシューズカバーを使った方がよい場合があります。

こんな家では検討を理由
あまり清潔ではない家こちらが履いても気にされにくい/衛生面の配慮
ペットがいる家汚れ・毛・アレルギー対策
感染症に注意が必要な家感染物の持ち込み・持ち出し防止
小さな子どもがいる家床の衛生を保つため

こうした家では、持参のスリッパや使い捨てシューズカバーを活用すると安心です。とくに使い捨てのシューズカバーは、感染対策と清潔保持の両面でメリットが大きく、1足ずつ交換できるので複数件を回る訪問業務と相性が良いアイテムです。あまり清潔でない家では、こちらがスリッパを履いても気にされないことがほとんどなので、遠慮せず衛生を優先しましょう。

ポイントシューズカバーは大容量・使い捨てタイプを車に常備しておくと、いざというときにサッと使えて便利です。スリッパの貸し借りに気を使わずに済み、感染対策としても理にかなっています。

感染対策の視点から見たスリッパ・シューズカバー

ちびウルフちびウルフ

スリッパって、マナーだけじゃなくて感染対策にも関係するの?

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。訪問看護は複数の家を回る仕事だから、足元の衛生は意外と大事なポイントなんだよ。

訪問看護では、1日に何件もの利用者宅を回ります。だからこそ、足元を介して汚れや感染物を「家から家へ持ち運ばない」配慮が求められます。共用のスリッパを各家庭で履き回すより、自分専用のスリッパや使い捨てシューズカバーを使う方が、衛生的に安心できる場面も多いです。

使い捨てシューズカバーが向いている場面

使い捨てのシューズカバーは、感染対策と清潔保持の両立に役立ちます。とくに次のような場面では活躍します。

場面シューズカバーのメリット
感染症に注意が必要な利用者宅1件ごとに交換でき、持ち込み・持ち出しを防げる
ペットがいる家毛やアレルゲンの付着を抑えられる
清潔に保たれた家「床を汚さない」配慮が伝わり信頼につながる
連続して複数件を訪問その都度履き替えられ衛生的
ポイントシューズカバーは厚手で滑り止めのあるタイプを選ぶと、室内でも安全に動けます。大容量・使い捨てのものを車に常備しておけば、急な訪問先でもサッと対応できて便利です。スリッパの貸し借りに気を使わずに済むのも大きな利点です。

新人看護師・セラピストへのアドバイス

経験が浅いうちは「履くべきか・断るべきか」で固まってしまいがちですが、難しく考える必要はありません。迷ったら、まず利用者さんの様子をよく見ること。スリッパを差し出されたら基本は履く、気遣いからの申し出なら丁重にお断りしてもよい——この2つを覚えておくだけで、多くの場面に対応できます。

そして何より大切なのは、足元のマナーそのものより「相手を思いやる姿勢」が利用者さんに伝わることです。スリッパひとつにも、その人らしい配慮がにじみ出ます。形式にとらわれず、目の前の利用者さんにとって心地よい対応を選んでいきましょう。

訪問看護における「スリッパあるある」

最後に、現場でよく聞く「スリッパあるある」を紹介します。共感する方も多いのではないでしょうか。

  • 管理者や上司が、スリッパも断るくらいの頑固者
  • 「スリッパは履くべき」と職員に強制する人がいる
  • 履かせてもらうスリッパが汚い・毛だらけ
  • スリッパを持参すると、わざわざ汚いスリッパを渡される

スリッパのマナーには賛否両論があり、職場によっても考え方が分かれます。ただ、「こうすべき」と一律に決めつけず、常に利用者さんの気持ちを軸に臨機応変に動くことが、クレームを防ぎ、より良い訪問看護につながります。

こうした「あるある」が起きるのは、スリッパのマナーに明確なルールがなく、人それぞれの価値観に委ねられているからです。だからこそ、ステーション内で「基本はこう対応する」という共通認識を持っておくと、新人もベテランも迷わず動けます。たとえば「差し出されたら履く」「衛生面が気になる家ではシューズカバーを使う」といった大まかな方針を共有しておくだけでも、対応のばらつきが減り、利用者さんとのトラブル予防につながります。

足元のマナーは小さなことのようでいて、利用者さんとの信頼関係を左右する大切な要素です。マニュアル通りに振る舞うのではなく、その家・その人に合わせた柔軟な姿勢こそが、選ばれる訪問看護師・セラピストへの第一歩になります。

よくある質問(FAQ)

訪問看護では結局スリッパを履くべきですか?
一律の正解はありません。利用者さんがどう感じているかを基準に、履くか履かないかを臨機応変に判断するのがベストです。差し出されたら基本は履く、と考えておくと迷いにくいです。
スリッパを断っても失礼になりませんか?
提供者を気遣って勧めてくれる場合は、丁重にお断りしても問題ありません。ただし「家を汚されたくない」という理由の場合は、断ると不快にさせるため必ず履きましょう。
衛生面が気になる家ではどうすればいい?
持参のスリッパや使い捨てシューズカバーの使用を検討しましょう。ペット・感染対策・小さな子どもがいる家などでは、ステーション側の判断で使うのが安心です。
マイスリッパを持参してもいい?
問題ありません。衛生面でも安心です。ただし、利用者さんがスリッパを用意してくれている場合は、その気持ちを優先して履かせてもらう配慮も大切です。
まとめ
  • 訪問看護のスリッパに絶対の正解はなく、利用者さんに合わせた臨機応変な対応がベスト。
  • 「履く習慣がある人」「気遣ってくれる人」には素直に履く。「家を汚されたくない人」には必ず履く
  • 気遣いタイプは丁重にお断りしてもOK。判断の軸は常に利用者さんの気持ち
  • ペット・感染対策・小さな子どもがいる家などは、持参スリッパや使い捨てシューズカバーでステーション側から衛生に配慮する。
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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