精神訪問看護の条件4つ|精神科訪問看護を受けるには?要件を解説

「精神科訪問看護を受けるには、どんな条件が必要なの?」「うちのステーションでも精神科訪問看護を提供できるの?」——精神疾患を抱える方の在宅生活を支える精神科訪問看護は、通常の訪問看護とは制度上のルールが異なり、満たすべき条件がいくつかあります。
この記事では、精神訪問看護を受けるための4つの条件と、精神科訪問看護を提供できるステーション・スタッフの要件を、制度に沿ってわかりやすく解説します。利用を検討するご本人・ご家族にも、事業所運営に関わる専門職にも役立つ内容です。
- 精神訪問看護を受けるための4つの条件
- 精神科訪問看護を提供できるステーション・スタッフの要件
- 精神科訪問看護が「医療保険」となる理由
- 精神科訪問看護指示書やGAF評価など実務上の注意点
ちびウルフ精神科の訪問看護って、普通の訪問看護と何が違うの?
リハウルフいい質問だね。精神科訪問看護は医療保険で提供されて、指示書や担当者の経験にも特別な条件があるんだ。順番に一緒に学んでいこう!
精神訪問看護を受けるための4つの条件
結論から言うと、精神訪問看護を受けるには次の4つの条件をすべて満たす必要があります。
| No | 条件 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 精神科を受診する | 精神科を標榜する保険医療機関の精神科医師の診察 |
| 2 | 精神疾患の診断を受ける | 認知症は精神疾患に含まれない点に注意 |
| 3 | 対応する訪問看護STと契約する | 届出済みのステーションのみ提供可 |
| 4 | 精神科訪問看護指示書の交付を受ける | 精神科の医師が交付 |
ちびウルフ4つの条件について、もう少し詳しく教えてよ!
リハウルフ任せておいて!一つずつ説明するね。
条件①:精神科を受診する
まず、精神科を標榜する保険医療機関で、精神科を担当する医師の診察を受ける必要があります。
内科・外科・整形外科・神経内科などの診療科では、精神科訪問看護の指示を出してもらえません。あくまで精神科(または心療内科を含む精神科担当医)の医師による診察が出発点になります。
条件②:精神疾患の診断を受ける
精神訪問看護を受けるには、精神疾患の診断を受けている必要があります。統合失調症、気分障害(うつ病・双極性障害)、不安障害などが対象となります。
ここで間違えやすいのが認知症です。認知症は、精神科訪問看護の対象となる「精神疾患」には含まれません。認知症の方への訪問看護は、通常の訪問看護(多くは介護保険)で対応するのが基本です。混同しやすい点なので注意しましょう。
条件③:対応する訪問看護ステーションと契約する
精神訪問看護は、すべての訪問看護ステーションで提供しているわけではありません。提供できる人員を備え、地方厚生(支)局長に届出をしているステーションだけが算定・提供できます。
精神科訪問看護を行うことができる者
精神科訪問看護を実施できるのは、精神疾患を有する者への看護について相当の経験を有する、保健師・看護師・准看護師または作業療法士です。「相当の経験を有する者」とは、次のいずれかに該当する人を指します。
- 精神科を標榜する保険医療機関の精神病棟または精神科外来に1年以上勤務した経験がある者
- 精神疾患を有する者への訪問看護の経験を1年以上有する者
- 精神保健福祉センターまたは保健所等で精神保健に関する業務の経験を1年以上有する者
- 国・都道府県・医療関係団体等が主催する精神科訪問看護に関する研修を修了している者
条件④:精神科訪問看護指示書の交付を受ける
最後に、精神科訪問看護指示書の交付が必要です。これは精神科の医師が交付するもので、通常の訪問看護指示書とは様式・記載内容が異なります。
指示書の有効期間は6か月が限度です。期限が切れる前に、改めて交付を受ける必要があります。精神科訪問看護指示書の様式や書き方、どの医師が書けるかについては、別の記事で詳しく解説しています。
精神科訪問看護を受けるには?流れを整理
ここまでの4条件を、利用までの流れとして並べると次のようになります。
- 精神科を標榜する保険医療機関で、精神科の医師の診察を受ける
- 精神疾患の診断を受ける
- 精神科訪問看護を提供している(届出済みの)訪問看護ステーションと契約する
- 精神科訪問看護指示書を交付してもらう
ちびウルフ何から始めればいいか分からないときは、どうすればいいの?
リハウルフまずは「精神疾患の診断がつくか」がスタート地点だよ。だから最初に精神科の医師に相談するのがおすすめなんだ。そこから指示書、ステーション契約へと進んでいくよ。
精神科訪問看護は「医療保険」で提供される
覚えておきたいのは、精神科訪問看護は原則として医療保険で提供されるという点です。通常の訪問看護では、要介護認定を受けている方は介護保険が優先されますが、精神科訪問看護指示書に基づく精神科訪問看護は医療保険の扱いとなります。
医療保険で算定する場合の費用は「精神科訪問看護基本療養費」などとして定められており、訪問する職種(看護師・作業療法士など)や訪問時間・回数によって区分されます。実務上は、月の初日の訪問時にGAF尺度(機能の全体的評定)で評価した値を、訪問看護記録書・報告書などに記載することが求められます。
精神科訪問看護で行う支援の内容
条件を満たして精神科訪問看護が始まると、具体的にはどのような支援が行われるのでしょうか。精神科訪問看護は、単に身体面のケアをするだけでなく、本人が地域で安心して暮らし続けられることを目標に、幅広い関わりを行います。
- 服薬状況の確認と服薬継続の支援(服薬管理・副作用の観察)
- 症状や生活リズムの観察と、悪化のサインの早期把握
- 不安や悩みの傾聴、対人関係や日常生活の相談対応
- 家族への助言・支援(接し方や対応の相談)
- 受診の継続支援、主治医・関係機関との連携
- 社会資源の活用支援(就労・日中活動・福祉サービスなど)
こうした関わりを通じて、再入院の予防や生活の質の維持・向上を図ります。利用者本人だけでなく、家族を含めた支援が大切にされる点も精神科訪問看護の特徴です。
通常の訪問看護との違いを整理
最後に、精神科訪問看護と通常の訪問看護の違いを表で整理しておきます。混同しやすいポイントなので、ここで押さえておきましょう。
| 項目 | 精神科訪問看護 | 通常の訪問看護 |
|---|---|---|
| 指示書 | 精神科訪問看護指示書(精神科医が交付) | 訪問看護指示書(主治医が交付) |
| 保険 | 原則 医療保険 | 介護保険または医療保険 |
| 担当者の要件 | 相当の経験を有する看護師・OT等 | 看護職員等(特別な経験要件は不要) |
| 主な対象 | 精神疾患を有する方(認知症は対象外) | 幅広い疾患・状態の方 |
よくある質問(FAQ)
精神訪問看護を受けるための条件は何ですか?
認知症でも精神科訪問看護を受けられますか?
内科の医師でも精神科訪問看護指示書を書けますか?
どの訪問看護ステーションでも精神科訪問看護を受けられますか?
精神科訪問看護は介護保険ですか、医療保険ですか?
- 精神訪問看護を受ける条件は、①精神科受診、②精神疾患の診断、③届出済みST と契約、④精神科訪問看護指示書の交付、の4つ
- 認知症は精神科訪問看護の対象となる精神疾患には含まれない
- 提供できるのは、相当の経験(精神科勤務1年以上・訪問看護経験1年以上・精神保健業務1年以上・研修修了等)を有する看護師・作業療法士など
- 精神科訪問看護は原則医療保険で提供され、指示書は6か月が限度、GAF評価の記載が必要
- 点数・算定要件は改定で変わるため最新の告示・通知を確認する
出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定」関連告示・通知(訪問看護療養費・精神科訪問看護基本療養費)。点数・算定要件は改定や解釈通知により変わるため、最新の告示・通知をご確認ください。




